レビュー
純度99.9%の銅ボディで音質が向上?

実売50万円の超高級ポータブルプレーヤー「AK380 Copper」をチェック!

Astell&Kernのポータブルオーディオプレーヤーのフラッグシップで実売40万円台の超高級機「AK380」をベースに、ボディに銅を採用した台数限定モデル「AK380 Copper」が登場した。見た目も音も通常モデルとは異なる雰囲気が楽しめるリミテッドな仕上がりとなっている。価格はベースモデルを上回る約50万円台と驚異的なプライスだ。ボディ素材以外の性能面で、DSD256や384kHz/32bit PCMのネイティブ再生、高品質クロックを採用する点は変更がない。そこで今回は銅ボディの採用で音がどう変わったのか?をレポートしよう。 試聴前は半信半疑だったが、違いを実感できる結果となった。

AK380 Copper(左)、AK380(右)

AK380 Copper(左)、AK380(右)

1.7kgの銅ブロックから削り出されたボディ

AK380 Copperの最大の特徴は銅ボディを採用したこと。見た目は、生活の中でもっとも触れる機会の多い銅である10円硬貨と見比べてみても色艶がよい。それは、10円硬貨が青銅(銅95%、亜鉛4〜3%、スズ1〜2%)なのに対し、AK380 Copperは純度99.9%(3N)の銅シャーシとなっているのだ。さらに、くすみがない輝かしさを備えつつ、表面は高級感のあるアライン仕上げ。所有欲を満たしてくれる仕上がりだ。

また手にしたときに感じる、ずしりとした重みもいい。本体サイズは変わらないが、重量は通常モデルの230gから350gにアップ。ポータブルプレーヤーとしてはかなりヘビー級だ。なお、全重量のうち半分(175g)をボディがしめており、共振を抑えた作りとなっている。ちなみに、ボディは削り出し加工で、加工前の銅ブロックの重さはなんと1.7kg。銅を惜しみなく使ったボディとなっているのだ。

ヘアライン調に仕上げられた本体

ヘアライン調に仕上げられた本体

ボリュームノブは鏡面加工となっている

ボリュームノブは鏡面加工となっている

トップの端子レイアウト

トップの端子レイアウト

見た目もさることながら、銅ボディならではの音質効果も見逃せない。銅は一般的に、シールド効果があり外来ノイズを防ぐことができるほか、電気伝導率も高いためアースとしても十分な素材となっている。特にピュアオーディオ向けのプレーヤーやアンプの本体には、外側にアルミ系を使い、内側のシャーシ部には銅メッキをした金属板を採用するモデルもあるほど。AK380 Copperはピュアオーディオ的な設計思想の面もある製品となっているのだ。

ちなみに、通常モデルのAK380では、ジュラルミンより強度の高いA7075と呼ばれる超々ジュラルミンが使用されており、こちらも金属的なグレードは高いが、オーディオ用途としての相性は銅の方に分がある。

背面パネルには青のケブラーが織り込まれた模様となっている(AK380はカーボンファイバー)

背面パネルには青のケブラーが織り込まれた模様となっている(AK380はカーボンファイバー)

無垢銅のきれいさを保つ4段階のコーティング処理

銅ボディで気になるところと言えば変色だ。AK380 Copperは、これに対しても十分な対策を行っており、4段階の工程を踏んでいる。AK380 Copperを開発するときに、一番時間を費やしたという作業だ。

はじめに油や破片などのゴミを電気的に除去するグリス除去、次にレーザーマーキングを通じて酸化膜加工を施すエッチング処理、3段階目に銅の外観と質感を保つ皮膜処理、最後に皮膜処理後の乾燥。これらの工程の中で3段回目の皮膜処理に多くのテスト時間をかけてベストな仕上がりにしているという。

色がまったく変わらないというわけではないが、革のように使っていくうちに色合いの変化が楽しめるようなものになっているという。

グリス除去工程の様子

グリス除去工程の様子

エッチング処理の様子

エッチング処理の様子

皮膜処理工程の様子

皮膜処理工程の様子

乾燥作業の様子

乾燥作業の様子

音質インプレッション

使用したイヤホンは、1964EARSの6ドライバー搭載のカスタムインイヤーモニター「V6 Stage」で、Effect Audioの2.5mm4極バランスの2ピン「Thor Silver cable」にリケーブルして聴いている。

AK380といえば究極のスタジオマスターを目指した音作りがなされている。それは、解像度感、S/N感、ダイナミックレンジ、どれを取っても極めて高いレベルでまとめられている。AK380 Copperは基本的にそのよさを踏襲している。違いはエッジのなめらかさ、というか、やわらかさ。たとえていうなら、AK380がデジタルのようなシャープさが特徴的なのに対して、AK380 Copperはアナログ的ともいえる生っぽさがある。音の粒立ちがハッキリしているのはAK380のように聴こえるが、その場の雰囲気や空気をよく表していると思えるのはAK380 Copperだ。

試しに、JPOP、アニメソング、エレクトロニカ、ジャズ、クラシックなど何曲か聞いてみたが、ライブ音源であればAK380 Copperのほうがオーディオ的な成分が強くなったように聴こえる。逆にレコーディングスタジオで完成されたきっちりとした音のすごみは、AK380のほうがディティールを綿密に捉えている。

なお、試聴機自体あまりエージングが済んでいない機体のためか、ところどころに硬さを感じたがそれが取れてくればオーディオ的な表現がいっそう高まってくるかもしれない

まとめ

AK380とAK380 Copperどちらがすぐれているか、というよりも好みの問題と言えるだろう。レコーディングスタジオで緻密に録られた音をロスなく再現するのならAK380のほうがいいし、ライブ音源のようなその場の熱気が伝わってくるような生っぽさが表れているのはAK380 Copperだと思う。AK380が完全なスタジオマスターという路線を追求していたのに対し、AK380 Copperは少しだけ横道に外れてオーディオ的な表現に舵を切ったモデルだ。

ただ、気になるのは銅の外観や質感がどの程度まで維持されるか。十分な対策を施していても、外で使用するのなら、こればかりはどうしようもない。また、銅は金属の中でも比較的やわらかい素材であるため、落としたときの耐久性も気になるところ。という面を考慮すれば、ほぼ自宅用になるだろう。

価格は、価格.com最安価格で499,800円(2016年2月16日時点)。AK380ユーザーであればイヤホンのケーブルを変えて楽しむほうが懐にもやさしそうだが、これからAK380の購入を検討している人であれば、両方とも聴いて好みのものを選んでみてほしい。

銭袋秀明(編集部)

銭袋秀明(編集部)

編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!

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