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PCM 192kHz/24bit、DSD 5.6MHzでの録音・保存が可能

レコードをハイレゾ化できるレコードプレーヤー「PS-HX500」がソニーから登場! DSDネイティブ変換にも対応!

世界最大級の家電見本市「CES 2016」で登場し、話題を集めたソニーのレコードプレーヤー「PS-HX500」が国内でも正式に発表になった。アナログレコードをDSD 5.6MHzなどのハイレゾ音源として録音・保存できるユニークな製品だ。発売は2016年4月で、価格は61,000円(税別)となっている。

ソニーの新しいレコードプレーヤーPS-HX500。サイズは430(幅)×104(高さ)×366(奥行)mmで、重量は5.4kg

ソニーの新しいレコードプレーヤーPS-HX500。サイズは430(幅)×104(高さ)×366(奥行)mmで、重量は5.4kg

ダストカバーが付属。カバーは外して使うこともできる

ダストカバーが付属。カバーは外して使うこともできる

ハイレゾを推進するソニーがレコードプレーヤーをリリースするワケ

ソニーがレコードプレーヤーの新製品を発売すると聞いて「なぜ?」と思う方も多いことだろう。ソニーは、2008年に、レコードをパソコンにデジタルデータで取り込める製品として「PS-LX300USB」をリリースしているが、そこから数えても実に8年ぶり。古くはCD、最近ではハイレゾを推進しているソニーが、なぜこのタイミングでレコードプレーヤーの新製品をリリースするのだろうか?

その大きな理由となるのが、アナログレコードの人気の高まりだ。昨今、CDを超えるクオリティを持つハイレゾが話題となっているが、レコードの人気も少しずつ復活する傾向にあるのだ。

JEITA(電子情報技術産業協会)では、サンプリング周波数/量子化ビット数で48kHz/24bitを超える情報量を持つものをハイレゾと定義している(CDは44.1kHz/16bit)。CDではカットされてしまう高周波成分まで収録されたハイレゾ音源は、よりマスター音源に近く、非常に明瞭な音で空気感や臨場感もリアルに再現できる。いっぽうのアナログレコードは、CDには入っていない高周波成分が含まれていてマスターに近い点ではハイレゾと同じところがあるが、アナログ再生らしい音圧やあたたかみのある生っぽい音が特徴。デジタルデータのハイレゾ音源とは違った音を楽しめる。

そうした音の特徴の違いはあれど、アナログレコードとハイレゾは「より高音質に音楽を楽しめる」という点では同じだ。ハイレゾの人気の高まりにあわせて、「レコードの音も楽しみたい」という声も高まっており、世界的にレコードの人気がじわじわと復活。海外では、ハイレゾの無料ダウンロードチケットが付いたレコード盤が人気を集めているし、国内でも、新譜をCDやハイレゾ音源だけでなくレコードでもリリースするアーティストが増えてきている。今後、こうした動きは活発になりそうな気配だ。

そうしたアナログレコードを取り巻く状況の中、レコードプレーヤーの市場も拡大する傾向にある。Hi-Fi系の高音質タイプから、スピーカー内蔵のお手軽タイプまで製品が増えてきているが、ソニーが今回リリースしたPS-HX500は、「レコードの楽しみを広げる」ことをコンセプトに開発されている。最大の特徴は、レコードを再生できるのはもちろん、パソコンとUSB接続することでレコードの音をリニアPCM 192kHz/24bitやDSD 5.6MHzのハイレゾ音源として録音・保存できること。A/D変換ができるサウンドボードやICレコーダーなどを使ってハイレゾ化するのではなく、ワンパッケージで手軽にできるのがウリだ。

PS-HX500は、「レコードの楽しみを広げる」ことをコンセプトに開発された製品。ハイレゾ化したレコードの音は、ウォークマンなどのハイレゾ対応ポータブルプレーヤーでも楽しむことができる

高品位なレコード再生とハイレゾ録音を実現するため、シェル一体型のストレートトーンアームなどを採用

レコードの音を高品位なハイレゾ音源で録音するには、プレーヤーとしての再生能力(レコード再生のクオリティ)が重要になる。PS-HX500は61,000円(税別)という価格で、レコードプレーヤーとしてはけっしてハイエンド向けの製品ではないが、レコードを高品位に再生するために、ソニー独自の高音質設計がふんだんに採用されている。

トーンアームには、新設計となる軽量シェル一体型ストレートトーンアームを採用。カートリッジはMMカートリッジが標準で搭載されている。付属カートリッジの重量は5gで、針圧は3g。シェル一体型であるためカートリッジの交換などには非対応となる(対応するカートリッジ重量も非公表)。トーンアーム全体の取り替えも推奨しないとのことだ。針の交換はソニーのサポート対応となる。このあたりの仕様をまとめると、カスタマイズ性の低さにオーディオファンは残念に思うかもしれないが、より高品位なレコード再生とハイレゾ録音を実現するために、あえてこういう仕様になっているという。

MMカートリッジが搭載されたシェル一体型のストレートトーンアームを採用

MMカートリッジが搭載されたシェル一体型のストレートトーンアームを採用

まず、シェルとアームが一体になったインテグレートタイプにすることで、シェルの強度が高くなり、カートリッジの支持も安定。シェルを軽量化できることに加えて、アームの最低共振周波数の最適化を図ることで、低域のトレース性能を高め、変形したレコードにも高い追従性を発揮するとしている。また、角部の共振が少ないアルミダイキャスト製の丸型シェルにすることで、音への色付けがない、原音に忠実な再生を実現。ストレートトーンアームにしたのは、カートリッジから受ける上下の振動に対して軸が回転運動を起こさずに、安定したトレースを行うためだ。これにより、より正しく音の情報を読み取ることができ、良好なステレオバランスが得られる。さらに、ピボット軸受を支えるハウジングを円筒形状に設計。高い強度とスラックレス水平軸受構造によってクリアな低音を再生できるとしている。

ヘッドシェル部。カートリッジは取り外し可能な構造のように見えるが、ユーザーが付け替えて利用することは推奨していない

シェルはユニバーサル型ではなく一体型。基本的にシェルを外すことはできない

シェルはユニバーサル型ではなく一体型。基本的にシェルを外すことはできない

ピボット軸受を支えるハウジングを円筒形状に設計

ピボット軸受を支えるハウジングを円筒形状に設計

ターンテーブルの駆動方式はベルトドライブ方式。ターンテーブルの回転を支えるセンタースピンドルには、ワンクラス上の精度と強度を持つベアリング構造(ボールレス)を採用。これにより回転とベルトの走行を安定化し、自然な再生音を実現する。また、プラッターには、強度と重量のバランスにすぐれたアルミダイキャスト製を採用。ラバーマットは、レコード面との密着性が高く不要共振が少ない、新設計の5mm厚専用ラバーマットだ。さらに、キャビネットには、密度の高い30mm厚の高密度MDFボードを採用。他のソニー製オーディオ機器にも使われている偏心インシュレーターも採用している。

駆動方式はベルトドライブ方式。新設計の5mm厚専用ラバーマットを採用する

駆動方式はベルトドライブ方式。新設計の5mm厚専用ラバーマットを採用する

回転数の切り替えスイッチを用意。手動操作のシンプルなターンテーブルでオートスタート、リターン、ストップなどには非対応

ベアリング構造(ボールレス)を採用するセンタースピンドル

ベアリング構造(ボールレス)を採用するセンタースピンドル

背面にライン出力、アース端子、USB端子などを装備。フォノイコライザーのスルー機能(フォノ/ライン切り替えスイッチ)も備わっている

アナログ/デジタル完全分離のフォノイコライザーを搭載。A/DコンバーターはDSDネイティブ変換に対応

PS-HX500には、高音質なオーディオグレードのパーツを使ったフォノイコライザーが内蔵されている。オーディオ回路にガラスエポキシ基板を採用するほか、基板内のアナログ回路とデジタル回路を完全分離し、ノイズによるアナログ回路への影響を低減しているのも特徴だ。なお、このフォノイコライザーは、付属のMMカートリッジでの使用を前提に最適化されているとのこと。

高音質なオーディオグレードのパーツを使用したフォノイコライザーを内蔵

高音質なオーディオグレードのパーツを使用したフォノイコライザーを内蔵

録音対応フォーマットは、リニアPCM(WAV)とDSD(DSF)。リニアPCMは192kHz/96kHz/48kHz/44.1kHz(16bit/24bit)に、DSDは5.6MHz/2.8MHzに対応する。A/D変換の精度も高く、A/Dコンバーターは、アナログからDSDへのネイティブ変換に対応。マスタークロック部には、44.1kHz PCM用とDSD用と、48kHz/96kHz/192kHz用 PCM用で独立した2つの水晶発信回路を採用。純度の高いマスタータークロックを供給することで、どのフォーマットでもより明瞭なA/D変換を実現している。

DSDネイティブ変換に対応するA/Dコンバーター(バーブラウンPCM4202)を採用

DSDネイティブ変換に対応するA/Dコンバーター(バーブラウンPCM4202)を採用

また、パソコンの録音ソフトとして、Windows/Mac OS Xに対応した新開発の「Hi-Res Audio Recorder」を用意。録音開始・停止を簡単に行えるシンプルな操作性のソフトだが、「不要部分のカット」「複数トラックへの分割」といった編集が可能。アルバム名、アーティスト名、トラック名などのタグ情報の編集にも対応している。

専用の録音ソフトとして用意されるHi-Res Audio Recorderの画面。シンプルな操作性のソフトだ

専用の録音ソフトとして用意されるHi-Res Audio Recorderの画面。シンプルな操作性のソフトだ

まとめ レコードやハイレゾの楽しみ方を広げる製品

アナログレコードの音をデジタルデータとして取り込めるレコードプレーヤーは、これまでにもいくつか存在した。ソニー製品でいえば、冒頭で触れたPS-LX300USBが挙げられるが、PS-HX500は、DSDを含めたハイレゾ音源として保存できるのが特徴だ。

では、レコードからハイレゾ音源を録音した場合、どういう音になるのだろうか? 今回、ソニーの視聴室にて、PS-HX500でのレコード再生の音と、PS-HX500を使って同じレコードをハイレゾ化したものの音を聴き比べることができた。結果は、レコードの音の楽しさを再確認したと同時に、レコードからハイレゾ化することのよさも強く感じた。PS-HX500でハイレゾ化した音源は、ハイレゾらしいS/Nのよさや解像感の高さがありつつも、アナログらしい純度の高い音であった。デジタルとアナログのいいところが組み合わさったような、熱量のある音とでも表現できるだろうか。録音時の環境に左右されるところはあるものの、面倒なセッティングがなく、パソコンとUSBで接続するだけでこの音が手に入るのは非常に面白いと感じた。

PS-HX500は、基本的にはオーディオマニア向けのレコードプレーヤーだが、レコードやハイレゾの楽しみ方を広げる製品なのは間違いない。「長年聴いているお気に入りのレコードの音を高品位に残しておきたい」「お気に入りのレコードをいろいろなオーディオ機器で高音質に楽しみたい」「アナログの音を聴いてみたい。それをポータブルプレーヤーでも楽しみたい」といったように、レコードにくわしい方から入門者まで、いろいろなニーズに対応できるプレーヤーだと思う。

聴き比べでは、プリメインアンプに「TA-A1ES」を使用。ハイレゾ音源の再生にはHDDプレーヤー「HAP-Z1ES」を用いている。スピーカーは「SS-AR1」だった

真柄利行(編集部)

真柄利行(編集部)

体力勝負ならそこそこ強い編集部デスク。カメラやAV家電を中心に製品のレビュー記事を担当しています。撮られるのは苦手ですが撮るのは好きです。

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