レビュー

レコードプレーヤーに求めていたのは「ジャケットを飾れる」機能だったのかもしれない

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AUREX(オーレックス)のレコードプレーヤー「AX-RP10」をレビュー。レコード再生のハードルは下げつつ、ジャケットを含めたレコードの魅力を満喫できる。そんなニーズにガッチリとハマるモデルが登場した。

ジャケットを飾れるレコードプレーヤー「AX-RP10」をレポート

ジャケットを飾れるレコードプレーヤー「AX-RP10」をレポート

“おしゃれアイテム”として人気のレコード、鳴らしてみませんか?

レコード人気がじわじわと、しかし確実に高まっている。その理由はいくつか考えられるが、“おしゃれアイテム”としての側面が大きいのは間違いない。

約30cm四方のジャケットはインパクトがあり、デザインに凝ったものも多い。なかにはプレーヤーを持たず、「カッコいいから」とレコード(盤)だけを購入する方もいるそうだ。また、「レコード再生は難しそう」というイメージも、プレーヤー導入の妨げになっているのかもしれない。

レコードはコレクションアイテムとしても所有欲を満たしてくれるし、持っているだけでも楽しい気持ちはわかる。しかし、やっぱりレコードは鳴らしてなんぼだろう。

そこで紹介したいのが、ジャケットを飾れるレコードプレーヤー「AX-RP10」だ。

「AX-RP10」はレコードをディスプレイしつつ、簡単に再生もできる初心者にやさしい設計だ

「AX-RP10」はレコードをディスプレイしつつ、簡単に再生もできる初心者にやさしい設計だ。写真はBluetoothスピーカーをつないだところ

「AX-RP10」はレコードをディスプレイできる

「AX-RP10」最大の特徴は、本体にジャケットを立てかけられる「ジャケットホルダー」を備えていること。再生中のレコードのジャケットを眺めながら音楽の世界に没頭するのもよいし、好きなジャケットをずっと飾っておくのも楽しい。ジャケット単体で見てもカッコいいものだが、レコードプレーヤーの側に飾られたジャケットはいっそう魅力的に見えるのは気のせいだろうか。

深さ約1.7cmの「ジャケットホルダー」にレコードのジャケットを立てかけられる

深さ約1.7cmの「ジャケットホルダー」にレコードのジャケットを立てかけられる

本体のデザインは真四角ではなく長方形で、幅16cm×奥行き30cmと一般的なレコードプレーヤーを縦半分にしたようなサイズ感だ。正直に言えば若干のチープさは否めないが、それがかえってレトロ感を演出しており、“エモ”を感じられる。

本体自体は確かにコンパクトだが、レコードを設置すると結局は普通のレコードプレーヤーなみのスペースが必要になる。どこにでも移動できるという強みはあるものの、部屋の中で置く場所を固定したいなら、それを加味して設置場所を考えるようにしたい。

操作が簡単で手軽に持ち出せることもポイント

「AX-RP10」の基本スペックを確認しておくと、DCモーターによるベルドドライブ方式を採用。ダイキャストアルミ合金製のターンテーブルが、ワウ・フラッターを0.2%以下に抑え回転ムラを低減しているという。回転数は33 1/3rpm、45rpmに対応する。特に変わったところのない、過不足ないと言える仕様だが、音質への配慮も見受けられる。

Bluetooth接続に対応するので、Bluetoothスピーカーやイヤホン・ヘッドホンに直接接続できる

ダストカバーも一体になっている。Bluetooth接続に対応するので、Bluetoothスピーカーやイヤホン・ヘッドホンに直接接続できる

また、Bluetooth接続に対応しているのも特徴。別途フォノイコライザーやアンプといったオーディオシステムを用意しなくても、本体とBluetooth(ワイヤレス)スピーカーやイヤホンさえあれば、レコード再生が楽しめる。アナログ音声出力として3.5mmステレオミニ(ヘッドホン出力)端子も備えているので、有線接続にも対応。友人の家などに持っていって、その場でレコードを再生するといった使い方もできる。

操作が簡単なのも、初心者にはうれしいところ。操作ボタンは電源、回転数切り替え、Bluetooth接続の3つだけとシンプルな設計なので迷うことなく使える。付属カートリッジはオーディオテクニカ製で、針圧調整なども必要ない。

天面に操作ボタンがまとめて配置されている

天面に操作ボタンがまとめて配置されている

針の上げ下げはアームリフターから行えるのでまったく難しくないし、再生終了後に自動で回転が停止するオートストップ機能も搭載している。夜にレコードをかけて、そのまま寝落ちしてしまっても大丈夫だ。

本体には2,000mAhのリチウムイオン電池を内蔵しており、最大約10時間の再生が可能。専用収容バッグも付属しているので、持ち運びできるのがポイントのひとつだ。

内蔵バッテリーで持ち運びも可能。付属のバッグもジャストサイズで使いやすそうだ

内蔵バッテリーで持ち運びも可能。付属のバッグもジャストサイズで使いやすそうだ

サウンドは中低域優勢のパワフルなタイプ

それでは「AX-RP10」のサウンドをチェックしていこう。まずはBluetooth接続でスピーカーから再生してみる。

音質傾向としては重心が低く、低〜中域が盛り上がったバランスになっている。質感は少し硬質で、高域の響きは軽め。繊細というよりもパワフルな方向に描写するタイプだ。ジャズの唸るようなベースにスウィング感が高まり、ダンスミュージックはリズム隊が前に出てきてさらにノリよく楽しめる。

しっとりした楽曲ではボーカルの柔らかさがやや削られ、その代わりに力強さが増して感じられる。逆にストレートなバンドサウンドなどではその傾向がポジティブに働き、楽曲の勢いがダイレクトに伝わってくる。オーケストレーションの高域の広がり感は制限されるが、厚みのある低域により壮大さが生まれるので、スケールの大きな映画音楽ともよくマッチする。

現代的なレコードプレーヤーのオールマイティな再生音とはひと味違う、個性のあるサウンドが面白い。ボリュームを小さめにしてローファイな楽曲を流すなど、カフェのBGM的に音楽を溶け込ませるような使い方とも相性がよさそうに思う。

有線イヤホン・ヘッドホンリスニングにも対応

Bluetoothスピーカーにつないでもよいが、有線イヤホン・ヘッドホンを直接つないでもよい

Bluetoothスピーカーにつないでもよいが、有線イヤホン・ヘッドホンを直接つないでもよい

続いては有線接続。3.5mmステレオミニ出力とイヤホンを直接とつないで聴いてみた。すると、音質傾向は大きく変わらないが、少しだけエネルギーバランスがフラット寄りになる。耳元で低域がガッツリくると聴き疲れしてしまうので、ゆったりと楽しむにはこちらの接続方法も使えそうだ。

なお、音量調整はBluetooth接続なら接続先のデバイスで、有線接続の場合は本体背面のダイヤルから行う。Bluetooth接続したデバイスを小音量にして聴いたあとに有線接続に切り替えると、実は本体ボリュームは大きくなっていた、という可能性もあるので要注意。

本体の背面に音量調整用のダイヤルと、アナログ音声出力端子(3.5mmステレオミニ)、電源供給用のUSB Type-C端子を備える

本体の背面に音量調整用のダイヤルと、アナログ音声出力端子(3.5mmステレオミニ)、電源供給用のUSB Type-C端子を備える

また、軽量なため、どうしても外部の影響を受けやすい。ちょっとした振動で針が飛ぶので、置き場所には安定した土台を選びたい。近づくとモーターの駆動音がわずかに聞こえるし、時折「サー」というノイズも入ることもあるが、このあたりは2万円以下のポータブルタイプであることを考えれば、許容範囲だろう。

【まとめ】レコードの魅力がトータルで味わえる!

レコードの魅力はジャケットを含めてのものだと改めて実感できる

レコードの魅力はジャケットを含めてのものだと改めて実感できる

このように音質を細かく確認してはみたが、飾ったジャケットが視界に入るとうれしくなるし、ジャケットを眺めながらレコードを聴くとテンションが上がる。それだけで、「AX-RP10」にはほかのプレーヤーにはない価値がある

レコードの魅力はジャケットを含めたトータル体験にある。その意味で、「AX-RP10」はジャケット+サウンドという楽しみ方を提供してくれる個性的な1台だ。まだプレーヤーを持っていないレコードコレクターの方は、「AX-RP10」をチェックしてみてはいかがだろうか。

小岩井 博
Writer
小岩井 博
カフェ店員、オーディオビジュアル・ガジェット関連媒体の編集・記者を経てライターとして活動。音楽とコーヒーと猫を傍らに、執筆に勤しんでいます。
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柿沼良輔(編集部)
Editor
柿沼良輔(編集部)
AV専門誌「HiVi」の編集長を経て、カカクコムに入社。近年のAVで重要なのは高度な映像と音によるイマーシブ感(没入感)だと考えて、「4.1.6」スピーカーの自宅サラウンドシステムで日々音楽と映画に没頭している。フロントスピーカーだけはマルチアンプ派。
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