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夏のボーナス商戦始まる! 目玉となるべき4Kテレビの売れ行きはいかに?

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パナソニック「VIERA TH-43DX750」

パナソニック「VIERA TH-43DX750」

6月もすでに中旬。家電業界では、夏のボーナス商戦が始まった。商戦の目玉は、やはりテレビ。というのも、今年2016年は、ブラジルでリオ五輪が開催される「オリンピックイヤー」。これまでの傾向としては、テレビが売れるとされている年だけに、各社とも、特に新型の4Kテレビの販売に力が入る。しかし、実際のところ、4Kテレビは売れているのだろうか。「価格.comトレンドサーチ」のデータを基に分析する。

盛り上がりにかける夏ボー商戦。4Kテレビもさほど動かず

図1:「液晶テレビ」カテゴリーのアクセス推移(過去2年間)

図1:「液晶テレビ」カテゴリーのアクセス推移(過去2年間)

まず、図1を見てほしい。これは、価格.comの「液晶テレビ」カテゴリーの、過去2年間のアクセス推移をしめしたものだ。これを見るとわかるように、液晶テレビへの注目度は、昨年2015年の同時期と比べると、かなり改善しているものの、2年前、2014年の同時期と比べるとほぼ横ばいという状況で、それほど盛り上がってきているとは言えない状態が続いている。この6月に入ってからも、さほどアクセスがは上がっておらず、現状では、今ひとつ盛り上がりにかけるという状況だ。ただ、昨年2015年に比べると、アクセス数ベースで125%ほど向上しており、4Kテレビを中心にデジタルテレビの買い換え需要が出てきたことを物語っている。

図2:「液晶テレビ」カテゴリーにおける主要メーカー別アクセス推移(過去6か月)

図2:「液晶テレビ」カテゴリーにおける主要メーカー別アクセス推移(過去6か月)

図2は、過去6か月における、「液晶テレビ」カテゴリーの主要4メーカー別のアクセス推移だ。これを見ると、この半年では、東芝の人気が戻ってきているほかは、どのメーカーもアクセスを減らしている。やや底を打った感はあるものの、ソニー、パナソニック、シャープといったメーカーは、いずれも昨年末よりは、人気という点で苦戦していると言えそうだ。逆に、東芝は4Kテレビの新モデル投入が4月中旬に行われたこともあって、それ以降大幅に注目度をあげている。

図3:「液晶テレビ」カテゴリー売れ筋ランキングベスト5(2016年6月15日時点)

図3:「液晶テレビ」カテゴリー売れ筋ランキングベスト5(2016年6月15日時点)

最新モデルでは、値ごろ感の高いパナソニック「VIERA」と、東芝「REGZA」が人気。約4割引きの大幅値下げも

図4:売れ筋4Kテレビ5製品のアクセス推移(過去3か月)

図4:売れ筋4Kテレビ5製品のアクセス推移(過去3か月)

図5:売れ筋4Kテレビ5製品のランキング推移(過去3か月)

図5:売れ筋4Kテレビ5製品のランキング推移(過去3か月)

では、話を4Kテレビに限定して、その動きを見てみよう。図4は、ここ3か月間での売れ筋4Kテレビ5製品のアクセス推移を、図5はランキング推移をそれぞれ示したもの。すでに述べたように、人気5製品のうち2製品を除いては、3製品が2015年夏発売の型落ちモデルとなっており、ソニー「BRAVIA KJ-559300C」、シャープ「AQUOS LC-60US30」、東芝「REGZA 43G20X」の3機種は、昨年から引き続いての人気となっている。そこへ、この4〜6月にかけて、新モデルが多く発売されたタイミングで、新モデルであるパナソニック「VIERA TH-49DX750」や東芝「REGZA 55Z700X」などが人気を伸ばして追いついてきたという構図だ。ただ、図5の売れ筋ランキングの推移を見ると、4Kテレビで売れ筋とは言っても、液晶テレビ全体で見るとベスト10圏外に落ちてしまう製品もあるなど、必ずしも、4Kテレビが好調とは言いがたい状況だ。

図6:2016年モデルの4Kテレビで売れ筋5製品のアクセス推移(過去3か月)

図6:2016年モデルの4Kテレビで売れ筋5製品のアクセス推移(過去3か月)

図7:2016年モデルの4Kテレビで売れ筋5製品のランキング推移(過去3か月)

図7:2016年モデルの4Kテレビで売れ筋5製品のランキング推移(過去3か月)

では、今年2016年発売の最新モデルに話を限って見たらどうなるか。図6と図7は、2016年モデルの4Kテレビの売れ筋5製品のアクセス推移と、ランキング推移を示したものだが、これらの製品の仲では、パナソニック「VIERA TH-43DX750」(2016年2月発売)が比較的安定した人気を維持しており、そこへ、同じパナソニックの49型モデル「VIERA TH-49DX750」や、東芝「REGZA 55Z700X」(4月発売)がからんでくるという展開。そのほか、東芝の43型モデル「REGZA 43Z700X」や、ソニーの高級モデル「BRAVIA KJ-55X9350D」なども、ほぼ同レベルのアクセスになってきており、混戦状態が続いている状況だ。売れ筋ランキングで見ると、東芝「REGZA 55Z700X」と、パナソニックの「VIERA TH-43DX750」並びに「VIERA TH-49DX750」の3機種がベスト10圏内という状態で、4Kテレビの最新モデルの人気は、やはり今ひとつ伸びきっていないという状況が見て取れる。

このように、今ひとつ盛り上がりにかける4Kテレビ市場ではあるが、価格.com上では、パナソニックと東芝の人気がやや高い印象を受ける。それは何故なのか? その答えは、やはり価格にあるようだ。

図8:パナソニック「VIERA TH-43DX750」「VIERA TH-49DX750」の最安価格推移(過去6か月)

図8:パナソニック「VIERA TH-43DX750」「VIERA TH-49DX750」の最安価格推移(過去6か月)

図8は、過去6か月における、上記パナソニック「VIERA TH-43DX750」「VIERA TH-49DX750」の最安価格推移を示したものだ。製品発表のあった2月上旬の価格と比べると、2製品ともだいぶ値下がりしており、43型の「VIERA TH-43DX750」は213,642円から129,378円、49型の「VIERA TH-49DX750」は252,522円から163,088円と、いずれも35〜40%の価格下落となっている。発売からわずか4か月程度しか経っていない最新モデルとしては、かなりの下落率だ。

図9:東芝「REGZA 55Z700X」「REGZA 43Z700X」の最安価格推移(過去3か月)

図9:東芝「REGZA 55Z700X」「REGZA 43Z700X」の最安価格推移(過去3か月)

同様の動きは東芝でも見られる。図9は、過去6か月における、東芝「REGZA 55Z700X」「REGZA 43Z700X」の最安価格推移を示したものだが、こちらも4月中旬の製品発表時から比べると、55型の「REGZA 55Z700X」が323,870円から201,105円、43型の「REGZA 43Z700X」が237,470円から146,750円と、こちらも38〜39%ほどの価格下落を示している。こちらは発売からまだ2か月経っていないことを考えると、パナソニック以上の速さで価格下落が進んでいることになる。最新モデルが、すでに4割引き程度の値段で買えるというのは、ちょっと驚きだ。

図10:ソニー「BRAVIA KJ-55X9350D」の最安価格推移(過去3か月)

図10:ソニー「BRAVIA KJ-55X9350D」の最安価格推移(過去3か月)

ちなみに、高級路線を打ち出している、ソニーの55型最新モデル「BRAVIA KJ-55X9350D」の場合はどうかと言うと(図10)、こちらは製品発表があった4月初旬の最安価格が421,070円で、6月14日時点の最安価格が314,408円ということで、その下落率は約25%。発売が5月21日と遅かったこともあるが、上記のパナソニックや東芝製品ほどの値崩れ現象は起こっていない。ただし、その分、売れ行きもやや鈍く、6月15日時点の売れ筋ランキング順位は52位と出遅れている。

4Kテレビの最新モデルは厳しい戦い。五輪直前の駆け込み需要に期待

以上のことから、今年の4Kテレビの最新モデルの売れ行きは、やはりさほどかんばしくないという状況が見て取れる。最新モデルで4割近くまで価格下落するというのは、製品があまり売れていないことを示しており、特にパナソニック、東芝でそれが顕著となっている。また、上記で見たように、型落ちとなった昨年モデルが低価格で購入できることも、最新モデルの売れ行きを阻害している要因のひとつと言えるだろう。

今年2016年は、4Kテレビの価格がグッと下がって、消費者にとってはかなり買いやすくなっているのだが、それでもなかなか売れてこないという状況がある。このままいくと、夏のボーナス商戦もかなり厳しい状況が見えているが、オリンピック開催を前にして、この状況がもう少し改善するのかどうか、注意深く見守りたい。

鎌田 剛(編集部)
Writer / Editor
鎌田 剛(編集部)
1996年にソフトバンクにて複数のパソコン情報誌の編集・立ち上げに携わった後、2002年にカカクコム入社。2006年「価格.comマガジン」を創刊。以降、編集長としてメディア運営に携わる。日経MJにてコラム連載、ラジオ出演なども幅広く行う。家電製品アドバイザー資格保持者。
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