レビュー

5千円台で入手できる、Knowles社製BAドライバー採用のカナル型イヤホン「AQUA」の実力は?

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高価格帯のカナルイヤホンにも多く採用されるバランスド・アーマチュア(BA)型ドライバーを搭載した、エレコムのカナル型イヤホン「AQUA EHP-BA100」が、大幅に値下がりしている。その実勢価格は、価格.com最安価格で5,104円(2016年7月29日時点)になっており、2015年発売当初の半値近くにまで下がった。この影響を受けてか、価格.comの「イヤホン・ヘッドホン」カテゴリーのカナル型イヤホン売れ筋ランキングでは5位へと上位にランクインし、今ひそかに注目を浴びている。今回はそんな今がお買い得な、エレコムのカナル型イヤホン「EHP-BA100」の特徴と音質をレビューしたい。

エレコムのカナル型イヤホン「EHP-BA100」

エレコムのカナル型イヤホン「EHP-BA100」

Knowlesのフルレンジドライバーを1基採用。独自の構造体でより豊かな音に

エレコム「EHP-BA100」は、BA型ドライバーを1基搭載したカナル型イヤホン。再生周波数帯域は20Hz〜20kHzと、ハイレゾ音源の再生には向いていないが、高級なカスタムイヤホンにも採用されるKnowles社製のBA型ドライバーを採用しているのが大きな特徴だ。Knowles社は、世界でも数少ないBA型を手がけるメーカーで、その中でもトップクラスのシェアを持っている。

内蔵されるドライバーは、ひとつのユニットで低域から高域まで表現できるフルレンジタイプの「RABシリーズ」。一般的に低音のパワー感が欠けやすいといわれるシングルBA型ながら、適度な力感と、BA型ならではの澄みわたるような中高音を兼ね備えているのがポイントだ。

また、ハウジング内部にはドライバーの性能を最大限引き出すための独自の構造「Sonic resonating structure」を設けることで、より豊かで響きのあるサウンドに仕上げているという。くわしい音質については後述するが、シングルBA型にありがちな高域のキツさを適度に抑えている。

音圧感度は106dB/mW、最大許容入力は40mW、入力インピーダンスは40Ω。

独自の「Sonic resonating structure」と称される構造。ドライバーユニットの周りに十分な空間を設けながらも内部の強度を補強している

鏡のような磨きを施した樽型ハウジング。共振を防ぐ真鍮製の削り出し

「EHP-BA100」のハウジングはノズル部にいたるまで剛性の高い真鍮製の削り出し。金属筺体を用いることで不要な共振を防ぎ、中高音の透明感と広がり、低音の引き締まりをさらに引き上げた。

また、コンパクトなBA型の利点を生かした小型筺体はやわらかなフォルムで、ていねいに磨きがかけられた高い質感の表面とあいまって、アクセサリーのような雰囲気が感じられる出来ばえとなっている。

真鍮製の樽型ハウジング。表面はきれいに磨きがかけられており、鏡のような仕上がりになっている

真鍮製の樽型ハウジング。表面はきれいに磨きがかけられており、鏡のような仕上がりになっている

ハウジングはリアのキャップを除きノズル部にいたるまで真鍮製の削り出し。スクリーンは金属製のメッシュパネル

付け心地も上々で小ぶりなため耳への圧迫感も少ない。またイヤーチップは軸と傘で硬さを変えており、密閉性やフィット感にすぐれている。これらも音漏れを防ぎつつ低音の表現力アップにひと役買っている点だ。

イヤーチップはS/M/Lの3サイズが付属。イヤーチップは軸と傘で硬さを変えており、密閉性やフィット感をさらに高めている

装着時の様子

装着時の様子

音質インプレッション 中高音のクリアで繊細な表現力が魅力

続いて音質についてレビューしよう。今回はハイレゾ非対応のイヤホンなので、試聴音源はCDをメインにしている。プレーヤーは、「AK380」と「iPhone SE」。

「EHP-BA100」の音を端的に言えば、BA型らしい中高音の表現力にすぐれたイヤホンだということ。中域から高域にかけては非常にクリアでシャープさもほどよい。低域は穏やかに響くタイプで、ボリューム感も思いのほかある。左右の広がり感もあり、ボーカルとの距離感も近いため、全体的に臨場感のある雰囲気が楽しめる。

また実際聴いてみて気持ちよく聴けたのがピアノ演奏。ふわっとした空気感を適度に含んでおり、自然な響き方がとても心地よい。また、チェロやバイオリンなどとも比較的相性がよく、アコースティック楽器が持つやわらかい音をうまく再現しているように思う。

ただ、低域はところどころにシビアな点が出ている。楽曲がハマればある程度のボリューム感はあるが、その間口はダイナミック型に比べれば狭い。特にEDMは出る出ないがハッキリ分かれる。コントラバスの低音の響きも若干物足りなく感じた。低音から高音までのコントラストが映える楽曲を主に聴く場合は注意したい。ちなみに、音数が多くなると解像感が落ちるきらいがあるが、これはシングルBA型の構造上によるもので、同価格帯のダイナミック型ドライバー採用モデルに比べれば繊細な表現をしている。

基本的にはクリアな音質が持ち味で、アコースティックな楽器からデジタル系の打ち込み系まで幅広く聴けるが、中高域が充実している楽曲のほうが、そのよさを十分に引き出せるように感じた。

なお、配信音源として、iTunes専用のマスタリングを施し最適化させた「Mastered for iTunes」版の宇多田ヒカル「FirstLove」を聴いてみたが、こちらは低音が想像以上に出ており不足感もさほど感じなかった。音質自体も十分クリアで、スマートフォンなどでもクオリティの高い音を楽しめた。

まとめ

以上、「EHP-BA100」の特徴紹介と試聴インプレッションをお届けした。

「EHP-BA100」は、ハイレゾには対応してないものの、同価格帯のダイナミック型モデルでは体験できないほどのクリアな音質が楽しめる。2015年6月頃に発売された製品だが、その音はハイレゾ対応機が増えた今でも十分通用する音質で、実際に聴いてみてその圧倒的なコストパフォーマンスには正直言って驚いた。

2,000〜3,000円ほどのイヤホンを所有している方が、アップグレードするのにもピッタリな製品だし、低価格のダイナミック型イヤホンでは満足できないクリアサウンドを満喫したい方には、真っ先に候補として上げたい製品のひとつと言えるだろう。

なお、記事執筆時、本機はエレコムの公式ページには「在庫限定」と表示されている(廃盤品とはされてない)。価格.comに登録されているショップでは、すぐに販売が終わる可能性は低そうだが、取り扱いを終了しているところもあるようなので、気になる方は早めにチェックしておいたほうがいいだろう。

銭袋秀明(編集部)
Writer
銭袋秀明(編集部)
編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!
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