レビュー

自社開発のBA型ドライバーを搭載! EARNiNEのイヤホン「EN2J」「EN1J」の音質をチェック

イヤホン・ヘッドホン専門店のe☆イヤホンは、国内初上陸となる韓国「EARNiNE」ブランドのイヤホン「EN2J」と「EN1J」の2モデルの国内先行販売を10月7日に開始した。自社で開発・製造したというバランスド・アーマチュア型ドライバーユニット(以下、BA型ドライバーユニット)を搭載したという注目の新製品をさっそく聴いてみた。

自社開発・製造のBA型ドライバーを搭載。日本向けにサウンドをチューニング

今回発売されたEN2JとEN1Jの2モデル。冒頭でも触れたが、いずれも自社開発のBA型ドライバーユニットを搭載したのが最大の特徴だ。BA型ドライバーユニットといえば、製品開発・製造が非常に難しく、開発から製造まですべて内製しているメーカーは、KNOWLESやSONION、ソニーくらいしかなかった。BA型ドライバーユニットを搭載するイヤホンは、基本的にこれらのメーカーに製造を依頼し、それらを用いて製品化を行ってきたわけだが、いくら音質チューニングを施しているとはいえ、ベースが似たようなものばかりだと、製品の差別化が難しくなってくる。

そういった経緯もあり、EARNiNEは既存のBA型ドライバーユニットを搭載する他社製品と差別化し、同社の求める唯一無二の理想の音を実現するため、BA型ドライバーユニットの自社開発・製造に踏み切ったという。とはいえ、BA型ドライバーユニットの自社開発・製造を行うメーカーが非常に限られているという事実からわかる通り、普通ならこれはかなりハードルが高いことだ。しかし同社は、20年間培った光ピックアップの高度な3軸同時制御技術を応用することで、一からBA型ドライバーユニットの開発・製造を成功させたという。

EN2J(写真左)とEN1J(写真右)

EN2J(写真左)とEN1J(写真右)

そんなBA型ドライバーユニットを搭載する2モデルだが、いずれも、e☆イヤホンが主催する「ポタフェス」での試聴会で各種マーケティングを実施。ユーザーの声を開発に反映し、日本国内向けのチューニングを施したほか、ケーブルのリモコン機能を排して音質に配慮するなど、かなり音質にこだわっているという。ちなみに、今回発売された2モデルだが、グローバル版と異なり、製品型番末尾に日本市場向けを表すJが付いている。

上位モデルのEN2Jは、自社開発のBA型ドライバーユニットを2基搭載した2ウェイモデル。ドライバーごとにフルレンジとウーハーをそれぞれ搭載しており、より豊かな音場を再現できるという。極小のBA型ドライバーを搭載する製品ということもあり、筺体は非常にコンパクト。ハウジングにステンレス素材を使用しているため、実際に手に持ってみると見た目以上に重さを感じるものの、装着時の耳への収まりはなかなかだ。付属ケーブルは1.2mで、プラグはL字の3.5mmステレオミニプラグ。ツイストケーブルでタッチノイズに配慮しているほか、リケーブルにも対応している。

自社開発のBA型ドライバーユニットを2基搭載したEN2J。ステンレスのメタルハウジングを採用している

周波数帯域は20〜20kHz、インピーダンスは20Ω、感度は104dB

周波数帯域は20〜20kHz、インピーダンスは20Ω、感度は104dB

MMCXタイプのリケーブルにも対応している

MMCXタイプのリケーブルにも対応している

EN1Jは、自社開発のBA型ドライバーユニットを1基搭載したモデル。フルレンジ1発の構成をとることで、自然なサウンドを実現しているという。筺体は樹脂製で、非常に軽量だ。EN2J同様、付属ケーブルは1.2mで、プラグはL字の3.5mmステレオミニプラグだが、こちらはリケーブル非対応となる。

BA型ドライバーユニットを1基搭載したEN1J。本体は黒い樹脂製で、非常に軽量だ

BA型ドライバーユニットを1基搭載したEN1J。本体は黒い樹脂製で、非常に軽量だ

周波数帯域は20〜20kHz、インピーダンスは38Ω、感度は104dB

周波数帯域は20〜20kHz、インピーダンスは38Ω、感度は104dB

EN2Jはリケーブル非対応

EN2Jはリケーブル非対応。プラグはL字の3.5mmステレオミニプラグだ

音質インプレッション

ということで、ここからはさっそく音質インプレッションをお届けしよう。今回は、DAPにONKYOの「DP-X1」を組み合わせて試聴を行った。

まずは上位モデルのEN2Jから。今回試したEN2Jは箱から出したばかりの未使用品だったということもあり、鳴らし始めは音抜けが悪く、メタルハウジングの影響もあってか、中高域寄りのピークで、中高域にピークのある女性ボーカルものを聴くとかなり刺激的なサウンドだった。しかし、20時間ほどエージングして、その評価は一転。音抜けがよくなったことで、中高域が煌びやかでさらにクリアになった。低音はしっかり出てるけど控えめで、バランス傾向が中高域寄りというのは変わっていないので、ややジャンルを選びそうだが、女性ボーカルやアニソンとかは意外と合いそうだ。

下位モデルのEN1Jもエージング前とエージング後でだいぶ印象が変わった。音のバランス的には、こちらもEN2Jと似た感じで、中域から中高域にかけて特徴的なサウンドだ。筺体が樹脂製ということもあり、音場は上位モデルに比べて狭いものの、その分中高域は線が太い印象。大編成のオーケストラなど、音数の多いものはやや苦手な感じだったが、EN2Jほどバランスが極端ではないので、EN2Jよりはジャンルを選ばずに聴けそうだ。

まとめ

一からBA型ドライバーユニットの開発・製造を成功させ、満を持して日本市場に参入を果たしたEARNiNE。店頭価格は、上位モデルのEN2Jが26,820円(税込)、EN1Jが10,150円(税込)となっている。箱出しのファーストインプレッションとエージング後のインプレッションでだいぶ音の違いがでたのにはかなり驚いたが、最終的な音を聴いた限りではコストパフォーマンスはなかなか良さそう。特に下位モデルのEN1Jは、本体も非常にコンパクトで、ケーブルもとり回しがしやすくてタッチノイズにも強いので、スマートフォンと組み合わせて利用するにもよさそう。人気の高い1万円前後の価格帯に登場するということもあり、注目する人は多そうだ。

遠山俊介(編集部)
Writer / Editor
遠山俊介(編集部)
2008年カカクコムに入社、AV家電とガジェット系の記事を主に担当。ポータブルオーディオ沼にはまり、家にあるイヤホン・ヘッドホンコレクションは100オーバーに。最近はゲーム好きが高じて、ゲーミングヘッドセットにも手を出している。家電製品総合アドバイザー資格所有。
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