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話題沸騰! ニコンのフルサイズ一眼レフ「D850」。発売後のユーザーの反応は?

9月8日に異例のスピード発売に至った「D850」

ニコン「D850」

ニコン「D850」

2017年9月8日、ニコンの新型デジタル一眼レフカメラ「D850」が発売となった。本連載でもすでにお伝えしてとおり、「D850」は、ニコンが3年ぶりに放つフルサイズ一眼レフの主力シリーズ「D800」シリーズの新モデル。7月25日の開発発表からわずか1か月ほどで発売開始に至ったという異例のスピード発売で話題を呼び、9月8日の発売日時点では、注文殺到により、入手が困難という状況に陥っているほどの話題を呼んでいる。

「D850」のスペックについておさらいしておくと、まず大きなポイントとして、ニコンのフルサイズ機では初となる「裏面照射CMOSセンサー」を採用したことがある。しかも、その有効画素数は、前モデル「D810」の3635万画素と比べても1000万ほど多い、驚きの4575万画素! これはニコンのデジタルカメラでは最高レベルであり、同クラスの製品の中でもかなり高い。

このほか、映像エンジンも、「D810」時代の「EXPEED 4」から「EXPEED 5」へと刷新。高感度撮影にも強く、常用ISO感度はISO 64〜25600、拡張ISO感度は最大ISO 102400相当にまで広がっている。また、動画撮影機能も、クロップなしの4K UHD/30p撮影に対応。このほか、高速・高精度153点AFシステムの搭載や、倍率約0.75倍の光学ファインダー、ボディだけで7コマ/秒の連射機能、長寿命バッテリー、Wi-Fi/Bluetooth対応など、3年ぶりに登場したフルサイズ機として、この3年間で進化した技術はすべて載せてきた「全部入り」の製品という感じだ。

図1:ニコン「D850」詳細ページへのアクセス数推移(過去1か月)

図1:ニコン「D850」詳細ページへのアクセス数推移(過去1か月)

図1は、過去1か月のニコン「D850」詳細ページへのアクセス数推移を、「価格.comトレンドサーチ」で示したもの。8月24日に製品発売の正式発表があった直後に注目度が一気に上がり、その後やや沈静化するものの、9月8日の発売日にかけてピークを迎えている。製品の正式発表からわずか2週間程度で発売に至ったため、ユーザー側も不意打ちをくらった状況だったが、発表されたスペックや、35万円台の最安価格などに対して、クチコミ掲示板ではさまざまなやり取りがなされ、購買意欲もきわめて高い様子が見て取れた。

図2:ニコン「D850」の売れ筋ランキング、注目ランキング推移(過去1か月)

図2:ニコン「D850」の売れ筋ランキング、注目ランキング推移(過去1か月)

図2は、「デジタル一眼カメラ」カテゴリーにおける、「D850」の売れ筋ランキング、注目ランキングの推移を示したもの。やはり、8月24日の正式発表後に一気に注目度が上がり、そのまま、売れ筋・注目ともに、ランキングのトップをひた走っている様子が見て取れる。通常のデジタル一眼カメラの発売スケジュールであれば、製品の発表から発売まで数か月のスパンが空くため、この間に、ユーザー側もじっくりその製品の詳細をチェックして、品定めを行うものだが、今回の「D850」の場合、予想を超えるハイスペック、そして、予想を下回る低価格だったということもあり、品薄になることを警戒した多くのユーザーが、そのまま予約に走ったという状況だ。

図3:「デジタル一眼カメラ」カテゴリーにおける売れ筋ベスト5製品のアクセス推移(過去3か月)

図3:「デジタル一眼カメラ」カテゴリーにおける売れ筋ベスト5製品のアクセス推移(過去3か月)

ちなみに、今回の「D850」の人気を、ほかの人気製品と比較したグラフが図3になる。少なくともここ3か月の間では、もっとも人気の高かった製品は、8月4日に発売された、キヤノン「EOS 6D Mark II」であったが、「D850」発売の衝撃は、それまで一番人気だった「EOS 6D Mark II」の注目度を一気に超えてきていることがわかる。両者の発売時のピークを比べると、「D850」のほうが6割ほども上回っており、今年一番の人気モデルの座を一気にしとめた形だ。

図4:「デジタル一眼カメラ」カテゴリーにおける主要メーカー別閲覧者数推移(過去3か月)

図4:「デジタル一眼カメラ」カテゴリーにおける主要メーカー別閲覧者数推移(過去3か月)

この「D850」人気を受けて、ニコン自体の存在感もここへ来てグンと増している。図4は、「デジタル一眼カメラ」カテゴリーにおける主要メーカー別閲覧者数の推移を示したものだが、それまでライバルであるキヤノンに大きく差を開けられていた2位のニコンが、「D850」の発表・発売とともに、一気に首位キヤノンに迫り、一時的に首位を奪うほどの伸びを見せているのだ。ここ1年ほど、業績悪化や、それにともなう製品投入の見送りなどのあまりよくないニュースが相次いだニコンだったが、ここへ来て、起死回生の一撃的な盛り返しを見せている。

ユーザー満足度は4.67。「完璧に近い一眼レフ」「一眼レフの完成形」との声も

図5:ニコン「D850」のユーザー評価(2017年9月13日時点)

図5:ニコン「D850」のユーザー評価(2017年9月13日時点)

そんな話題の「D850」であるが、あまりの人気にすでに入手困難の状況だ。価格.comの最安価格は359,640円(2017年9月13日時点)だが、ほとんどの店舗で「取り寄せ」のステータスになっている。それでも、すでに本機を入手したユーザーからのユーザーレビューが続々と上がってきている。図5は、2017年9月13日時点での「D850」のユーザー評価を示したものだが、総合のユーザー満足度は5点満点の4.67(評価者数:17名)。満点に近い点数ではないが、まあまあいいレベルの満足度と言えそうだ。ちなみに、同クラスの製品のユーザー満足度を見ると、前モデルの「D810」が4.76、ライバル機のキヤノン「EOS 5D Mark IV」が4.75、約1か月前に発売されたフルサイズのエントリー機、キヤノン「EOS 6D Mark II」が4.41となっており、そこそこ高めの評価と言った感じだ。

「D850」は、発売前から、そのスペックの高さと、それに対する価格設定の安さが話題となっていたが、実際に入手して使ってみたユーザーの感想でも、この前評判はほぼ裏付けられた形となっている。画質については、ほとんどのユーザーが高く評価しており、「D810比で立体感、解像感ともに上がっており、同じレンズで撮影しても一つ上のランクのレンズに変えたような印象を受けました」「瞬間の表情や景色を切り取ることを優先して連写重視でしたので、高画素は必要ないと思ってましたが、条件が整えば、被写体をより精緻に捉える高画素、広いダイナミックレンジを持ち、高連写もできるD850には、本当に感動します」など、新採用の4575万画素裏面照射CMOSセンサーの威力がはっきりとわかるという評価が多く寄せられている。

このほか、大きく向上したオートフォーカス性能や、ニコンお得意の高速連写機能(本体のみで7コマ/秒)、初搭載のチルト液晶によるライブビュー撮影など、さまざまな点が評価されており、ユーザーによっては、「完璧に近い一眼レフカメラ」「一眼レフとしては完成形と言って良いレベルのカメラ」「高画素と高速連写を両立した汎用性の高いカメラ」など、ほぼ最高級の賛辞が送られている。

しかし、ここまで評価が高いのにも関わらず、全体としての満足度が満点に近い点数に行っていないのは、本機の性能がどうということではなく、昨今の小型・軽量化するデジタルカメラ、特にミラーレス一眼に対する、一眼レフカメラのデメリットが影響しているようだ。「フルサイズ機なんだから、大きくて重いのは仕方ない」というのは、数年前ならよく聞かれた話だが、ミラーレス機でも4000万画素を超える高画素モデルが出ており、その画質も十分以上に上がってきている現在では、フルサイズセンサーを備えるデジタル一眼レフと言えども、比較を余儀なくされる。本機も「携帯性」の項目では3.56と、唯一カテゴリー平均を大きく下回っているが、これに関する言及も、ユーザーレビューの中には散見されている。

「小さい事・軽い事は営業上武器になりますので個人的にはファインダーとして映像処理されたEVFは違和感たっぷりですが写真を撮る道具としてミラーレス機は良く出来ています」「ボディだけで1kg。正直重い。大口径のレンズを持ち歩くことを考えると、携帯性は積極的に良いとは言えません。が、この性能を考えれば携帯性が悪いとも言えません。SONYのα7RUぐらいだったら文句なしの五つ星をつけます」「ミラーレスと比較すると重い・デカイ。星4つの理由は機能に対して大きさはこんなものかと判断」。

以上のようなコメントが示すように、ニコンのフルサイズ機と言えども、今や台頭している高級ミラーレス機と、サイズ・重量なども比較されてしまう。ただ、それでも、ミラーレス機では到達し得ていない一眼レフならではの画質、操作性といったものに対して、今回の「D850」が実現したものは、まさに「一眼レフの完成形」と言うにふさわしいものなのかもしれない。

鎌田 剛(編集部)

鎌田 剛(編集部)

価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。

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