レビュー

キヤノン初のAPS-Cコンデジ「PowerShot G1 X Mark III」で東京オートサロンを撮ってみた

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スピードライトなしでも、ある程度使える測光性能とRAW撮影

ここまでは、スピードライトを使用することを積極的にお勧めしてきたが、このPowerShot G1 X Mark IIIは、実はスピードライトなしでもかなり使える。

東京オートサロン2018「ダンロップ」ブースの沢すみれさん/キヤノン「PowerShot G1 X Mark III」を使用して撮影
45mm、F5.6、1/25秒、ISO400、+2EV、WB:オート

上記は、ダンロップブースの沢すみれさんを撮影したものだが、あえてストロボを使用せずブースの照明のみで撮影している。PowerShot G1 X Mark IIIでは測光設定を「評価」「スポット」「中央部重点」から選ぶことができる。この画像は、評価測光でRAW撮影したものだ。測光方式によって陰影の強弱がかなり変わってくるが、最適な測光をみずから選ぶことができるのでスピードライトなしでも、ある程度の仕上がりは期待できる。

東京オートサロン2018「MOTUL」ブースの霧島聖子さん/キヤノン「PowerShot G1 X Mark III」を使用して撮影

東京オートサロン2018「MOTUL」ブースの霧島聖子さん/キヤノン「PowerShot G1 X Mark III」を使用して撮影
45mm、F10、1/160秒、ISO800、+1EV、WB:オート

PowerShot G1 X Mark IIIは、基本的には自然光で撮影するのが望ましい。この写真はMOTULブースの霧島聖子さんの休憩時間中にお願いして屋外撮影をしたものだが、中央部重点測光によりスピードライトなしでの撮影である。肌の色を重視して露出補正をしたものだが、撮って出しのJPEG画像でもこのように美しく撮影できるのだ。

APS-Cならではの強めなボケ味

PowerShot G1 X Mark IIIの撮像素子は、APS-Cサイズとなったために、従来機のMark IIから1.5倍、その他のGシリーズから比べれば3倍という大きな面積となっている。そのため、フルサイズ換算時に同じ焦点距離相当となっていても、背景のボケはかなり強くなる。

東京オートサロン2018/キヤノン「PowerShot G1 X Mark III」を使用して撮影

東京オートサロン2018/キヤノン「PowerShot G1 X Mark III」を使用して撮影
29mm、F5、1/100秒、ISO400、+1EV、WB:オート

東京オートサロン2018/キヤノン「PowerShot G1 X Mark III」を使用して撮影
27mm、F4.5、1/160秒、ISO1600、+1EV、WB:オート

上の写真をご覧いただいてわかるとおり、向こう側にあるブランド名の表示は、輪郭がにじむほどボケている。一部のフルサイズコンデジを除けば、コンデジで得ることのできるボケ味としては、かなり強めであるといえる。しかし、主題となる被写体(ここではコンパニオン)は驚くべき解像感でくっきりと浮かび上がる。ここまでボケ味が発揮されると、ちょっとしたフォーカスのズレや手ブレも気になってしまうところであるが、このレンズはインナーフォーカスによるフォーカスの高速化とシャッタースピード4段分の光学式手ブレ補正で、レンズそのもののすぐれた描写力をサポートする。レンズ交換を考えないことにより、2,420万画素に完全に最適化された専用開発だからこその実力なのだ。

東京オートサロン2018「DIXCEL」ブース/キヤノン「PowerShot G1 X Mark III」を使用して撮影
16mm、F4、1/80秒、ISO800、+1.3EV、WB:オート
オリジナル写真:(6,000×4,000 Pixel、1.88MB)

ただ、解像感にすぐれる専用レンズにも、若干の弱点がある。広角側フルサイズ換算24mmで撮影した場合に、EOS EFマウント対応の同じ焦点距離のレンズと比較すると、周辺の引っ張られるような歪みが強すぎる傾向にある。解像感の高いレンズに、インナーフォーカスで高速化しただけでもかなりの技術力だと言えるうえに、このコンパクトさ。歪みに関しては目をつぶってもいいかもしれないが、ここまで素晴らしい機能と性能を持たせているだけに、惜しいと言わざるを得ない。

もう1点の弱点は、ズーム速度が遅いことだ。動画撮影もこなす本機ならではの要素で、ズーム機構が電動となる。レンズ外周リングでズーミングを行う際に、初動がワンテンポ遅れるのだ。また、シャッターボタンの周りにもズーミングレバーがあるが、これは撮影した写真を確認する際の拡大と縮小のレバーも兼ねるために、撮影直後に動かすとズーミングではなく確認画面が拡大されてしまうことがまま起こる。

設定を変更するか、撮影直後にすかさずシャッターを半押しすれば解決するが、慣れが必要な部分であることは否めない。

バリアングル液晶はかなり使える

PowerShot G1 X Mark IIIは、EVF内蔵のためファインダー撮影を多用しがちであるが、背面液晶モニターも3.0型104万画素と高精細で、モニターを使った撮影も非常に快適である。

東京オートサロン2018「データシステム」ブース/キヤノン「PowerShot G1 X Mark III」を使用して撮影

東京オートサロン2018「データシステム」ブース/キヤノン「PowerShot G1 X Mark III」を使用して撮影
15mm、F2.8、1/50秒、ISO160、+1.3EV、WB:オート

キヤノン「PowerShot G1 X Mark III」のバリアングル液晶は、多彩に向きを変えることができるうえにタッチシャッターが使えるため、ハイアングルやローアングルなどを楽に撮影することができる

この液晶モニターは前方向に180°、後ろ方向に90°、水平方向に175°と多彩に向きを変えることができるバリアングルのため、撮影ポジションをさまざまに変えることができる。特にハイアングル撮影では、PowerShot G1 X Mark IIIの軽量コンパクトさと優秀な手ブレ補正もあって、両手を伸ばした状態でも正確にフレーミングができたうえに、手ブレも起こしにくい。そのため、積極的にハイアングルを多用すれば表現の幅は確実に増えていく。

通常では撮影が難しい場面でも、PowerShot G1 X Mark IIIのバリアングル液晶なら工夫次第で撮影することができる

ハイアングル撮影で言えば、人垣を頭越しに撮影する場合にも有効だ。両手を思い切り伸ばしながらカメラを保持しているとシャッターボタンに指が届かない場合もあるが、本機は液晶面でのタッチシャッターが使えるので、手のひらひとつ分高い位置で撮影ができる。人が多い場所で撮影をしようと思えば脚立が迷惑な場合もあるが、PowerShot G1 X Mark IIIであれば、ある程度の人垣なら脚立いらずの身軽さで撮影ができるのだ。

まとめ

キヤノン「PowerShot G1 X Mark III」

キヤノン「PowerShot G1 X Mark III」

結論として、PowerShot G1 X Mark IIIはレンズとバッテリーに多少の弱点があったとしても、東京オートサロンのような場所では十分にその魅力が発揮されるカメラであるといえる。とにかく軽量コンパクトであることはなにものにも代え難く、操作性はEOSシリーズをお使いの方ならほぼ直感で操作できる。EOSのサブカメラ的な位置づけではなく、人の多い会場などではメインとして使っても十分に価値のある1台だ、と明言したい。

>>「画質はM5より上」「デジイチとかミラーレスとか、もういらないかも」価格.comでキヤノン「PowerShot G1 X MarkIII」のレビュー・評価を見る

松永和浩
Writer
松永和浩
自動車系フォトジャーナリスト。主にモータースポーツ分野で活動中。自動車全般を取材対象とし、カメラ、写真用品にも精通。スマートフォン、通信関連、アプリゲームやIoT家電なども取材を行う。月刊AKIBA Spec発行人編集長も兼任。
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桜庭智之(編集部)
Editor
桜庭智之(編集部)
自動車専門メディアで編集者として10年間勤務した後「価格.comマガジン」へ。これまで、国産を中心とした数百の新型車に試乗しており、自動車のほかカーナビやドラレコ、タイヤなどのカー用品関連も担当する。
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