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信頼性を重視するか、コストパフォーマンスを取るか

純正VS.サードパーティー 大口径・標準ズームレンズ対決!【スペック編】

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一眼レフのレンズ選びで悩ましいのは、カメラメーカーの純正レンズと、レンズメーカーのレンズ(サードパーティー製レンズ)のどちらを選ぶかということ。カメラボディとのマッチングを考慮すると純正レンズを選びたいところだが、コストパフォーマンス的にはサードパーティー製レンズに魅力がある。そこで本特集では、ニコン/キヤノンの純正レンズと、シグマならびにタムロンのサードパーティー製レンズを徹底比較。「スペック編」と「描写力編(計2回)」に分けて、一眼レフ用の大口径・標準ズームレンズの比較レビューをお届けしよう。

取り上げるのは、純正レンズがニコンの「AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR」とキヤノンの「EF24-70mm F2.8L II USM」。対するサードパーティー製レンズはシグマの「24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art」とタムロンの「SP 24-70mm F/2.8 Di VC USD G2 (Model A032)」。なお、本記事では便宜的に、それぞれ「ニコンNIKKOR24-70mm」「キヤノンEF24-70mm」「シグマArt24-70mm」「タムロンSP24-70mm」と表記する。

左からニコンAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR、キヤノンEF24-70mm F2.8L II USM、シグマ24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art、タムロンSP 24-70mm F/2.8 Di VC USD G2 (Model A032)

基本スペックと価格をチェック

今回比較するのは、広角24mm〜望遠70mmの焦点距離に対応し、ズーム全域で開放F2.8通しを実現した35mmフルサイズ対応の大口径・標準ズームレンズ。いわゆる「大三元レンズ」の標準ズームで、風景やポートレートなど幅広いジャンルで活用できる汎用性の高さが魅力。作品作りをするうえで1本は持っておきたいレンズだ。

まずは各レンズの基本的なスペックと価格を見ていこう。


ニコンNIKKOR24-70mmは、2015年10月発売の比較的新しい製品。NIKKORレンズとして初めてED非球面レンズ(EDガラスによる色収差の補正と、非球面構造による球面収差ならびに歪曲収差の補正を両立したレンズ)を採用するなど、最高レベルの光学性能を実現している。その分、サードパーティー製レンズよりも長くて重い筐筒(長さ154.5mm、約1070g)になっているが、すぐれた描写力で人気のレンズだ。4.0段分の補正効果を持つ手ブレ補正機構「VR」を搭載するのも特徴である。

ED非球面レンズを採用するなど高い光学性能を実現したニコンNIKKOR24-70mm(カメラボディはD850)。付属フードはレンズ先端ではなく鏡筒部に取り付けるようになっており、フードをつけた状態でズーミングしても見た目の全長は変わらない

キヤノンEF24-70mmは、2012年4月発売の高性能な「Lレンズ」。最新のLレンズと比べるとレンズコーティングで違いはあるものの、非球面レンズ3枚(うち研削非球面1枚)、スーパーUDレンズ1枚を採用するなど光学設計はLレンズの中でも一級品。描写力の高さで支持されているレンズである。手ブレ補正は非搭載だが、その分軽く、重量はサードパーティー製レンズよりも軽い約805gとなっている。

高性能なLレンズに属するキヤノンEF24-70mm(カメラボディはEOS 5D Mark IV)。Lレンズらしい高い光学性能が特徴だ。ズームロックスイッチも備わっている

シグマArt24-70mmは、光学性能にこだわったプロダクトライン「Artライン」のレンズ。レンズ構成は14群19枚で、非球面レンズ4枚、SLDガラス3枚を採用するなどして高い光学性能を実現している。4段分の補正効果を持つ手ブレ補正「OS」も搭載。重量は約1020gでタムロンSP24-70mmよりも重いが、レンズ鏡筒部に金属を多用するなど剛性にも配慮した設計となっているのがポイントだ。価格.com最安価格(2018年4月27日時点)は純正レンズよりも安い12万円台となっている。

Artラインの大口径・標準ズームレンズとなるシグマArt24-70mm(カメラボディはEOS 5D Mark IV)。ズームリング/フォーカスリングの回転方向はキヤノンと同じ半時計回り(左回り)。4段分の補正効果を持つ手ブレ補正を搭載する。ニコン用にも電磁絞りを採用

タムロンSP24-70mmは、GM (ガラスモールド非球面) レンズ3枚、複合非球面レンズ1枚、XR(高屈折)ガラス2枚、LD(異常低分散)レンズ3枚を採用するなど、すぐれた光学設計を採用。手ブレ補正「VC」は、手ブレ補正処理専用のMPU(マイクロプロセッサ)を追加するなどして、このクラスでは最高となる5段分の補正効果を実現している。高性能な手ブレ補正を搭載しながら価格.com最安価格(2018年4月27日時点)で10万円を切るコストパフォーマンスの高さが魅力だ。

5段分という高性能な手ブレ補正を搭載したタムロンSP24-70mm(カメラボディはD850)。ズームリング/フォーカスリングの回転方向はニコンと同じ時計回り(右回り)。ニコン用にも電磁絞りを採用する

左からニコンNIKKOR24-70mm、シグマArt24-70mm、タムロンSP24-70mm。画像左側はレンズがもっとも短い状態で、右側がもっともレンズが繰り出した状態(望遠端)。比べるとニコンNIKKOR24-70mmは筐筒が長い。なお、ニコンNIKKOR24-70mmは焦点距離50mm付近でもっとも短い状態になる

左からニコンキヤノンEF24-70mm、シグマArt24-70mm、タムロンSP24-70mm。画像左側はレンズがもっとも短い状態(広角端)で、右側がもっともレンズが繰り出した状態(望遠端)。サイズ感で3モデルに大きな違いはないが、重量はキヤノンEF24-70mmがもっとも軽い

こうして基本的なスペックと価格だけを比べると純正レンズは割高に感じるかもしれない。確かに純正レンズは高額だが、ニコンNIKKOR24-70mm、キヤノンEF24-70mmはいずれもすぐれた光学性能に加えて高い信頼性を併せ持っていることも押さえておきたい。サードパーティー製レンズは簡易的な防塵・防滴設計にとどまっているが(シグマArt24-70mmはマウント部にゴムのシーリングを、タムロンSP24-70mmは鏡筒の可動部・接合部に防滴用のシーリングを採用)、純正レンズはプロフェッショナルの使用に耐えうる本格的な防塵・防滴設計を実現している。

サードパーティー製はボディ内/RAW現像ツールのレンズ補正に注意

サードパーティー製レンズは使用するうえで注意したいのは、純正レンズとは違い、カメラボディ内や純正のRAW現像ツールのレンズ補正をフルに利用できないことだ。

作品作りはRAW現像が前提で、各種レンズのプロファイルが用意されている「Adobe Lightroom」などのRAW現像ツールを利用するのであればそれほど気にしなくていいが、JPEG撮って出しの撮影を積極的に行い、純正のRAW現像ツールしか使わないというのであれば、サードパーティー製レンズは純正レンズに比べて機能に制限があることは覚えておいてほしい。

ニコンのカメラボディ(D850)では、ボディ内のレンズ補正として周辺光量を補正する「ヴィネットコントロール」と、歪曲収差を抑える「自動ゆがみ補正」が用意されているが、シグマArt24-70mm、タムロンSP24-70mmともにヴィネットコントロールは選択できるものの、自動ゆがみ補正は選択不可となっている。純正のRAW現像ツール「Capture NX-D」でもこれは同じだ。なお、色収差補正については、サードパーティー製レンズでも純正レンズと同じようにカメラボディ内の画像処理において自動的に補正が行われていると思われる。Capture NX-DではシグマArt24-70mm、タムロンSP24-70mmともに倍率色収差補正/軸上色収差補正を選択することが可能だ(※デフォルトは倍率色収差補正オン、軸上色収差補正オフ)。

シグマArt24-70mm、タムロンSP24-70mmとも、ニコンのカメラボディ(D850)ではヴィネットコントロールを利用できる。自動ゆがみ補正は選択できない

キヤノンのカメラボディ(EOS 5D Mark IV)では、シグマとタムロンで大きな違いがある。シグマは2018年に入ってから、最新のキヤノン製一眼レフに限定されるものの、ボディ内のレンズ補正に対応したレンズファームウェアを順次リリースしているのだ。シグマArt24-70mmもこのファームウェアの対象となっており、光学的な各種収差を補正するキヤノンの独自機能「デジタルレンズオプティマイザ」は選択できないものの、ボディ内の周辺光量補正、歪曲収差補正、色収差補正を利用することができる。純正のRAW現像ツール「Digital Photo Professional 4」でも周辺光量や歪曲収差、色収差を選択することが可能だ。いっぽう、タムロンSP24-70mmを含めてタムロンのレンズは光学補正情報がボディに伝わらないため、ボディ内のレンズ補正自体は選択できるものの補正は行われない。補正をオンにしておくと過度に補正されたり、画像に縞模様が現れたりするので必ずオフにして使用してほしい。

キヤノンのカメラボディ(EOS 5D Mark IV)を利用した際のレンズ補正の設定画面(左がシグマArt24-70mm、右がタムロンSP24-70mm)。ファームウェアアップデート後のシグマArt24-70mmであれば周辺光量補正、歪曲収差補正、色収差補正が働く

※「描写力編その1」に続きます。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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