特集
広角端/望遠端での解像力と色収差をチェック

純正VS.サードパーティー 大口径・標準ズームレンズ対決!【描写力編その1】

前回の「スペック編」に続いて、一眼レフ用の大口径・標準ズームレンズ(開放F2.8通し)を徹底比較。ニコン/キヤノンの純正レンズと、シグマならびにタムロンのサードパーティー製レンズの違いを詳しくレビューする。今回は「描写力編その1」として、各レンズで同じ被写体を撮影した比較作例を用いて、広角端/望遠端での解像力と色収差をチェックしていこう。

左からタムロンSP 24-70mm F/2.8 Di VC USD G2 Model A032 (以下、タムロンSP24-70mm)、ニコンAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR(以下、ニコンNIKKOR24-70mm)、キヤノンEF24-70mm F2.8L II USM(以下、キヤノンEF24-70mm)、シグマ24-70mm F2.8 DG OS HSM | Art(以下、シグマArt24-70mm)。今回、ニコン「D850」、キヤノン「EOS 5D Mark IV」を使用して各レンズの描写力を検証した

比較作例の撮影設定

・使用カメラボディ:ニコン用はD850、キヤノン用はEOS 5D Mark IV
・感度:常用の最低感度(D850はISO64、EOS 5D Mark IV はISO100)に固定
・露出値:日中の撮影ではEV14(ISO100、F8、1/250秒)、夜景の撮影ではEV6(ISO100、F2.8、1/8秒)を基準とした。段階的に絞り値を変えて撮る場合も、すべてのレンズで同じ露出値になるように設定
・ホワイトバランス:日中の撮影は晴天(太陽光)、夜景は白色蛍光灯
カメラボディ内のレンズ補正:すべての機能をオフ(※レンズそのものの素性をチェックするため)
・その他設定:階調補正などの機能はオフ、仕上がり設定はスタンダート系とした
・撮影方法:各レンズでできる限り同じ構図になるよう、三脚にカメラボディを固定したうえでレンズを交換しながら撮影(※構図決定は純正レンズを使用)。中央から周辺までできる限りピント面がそろう被写体を選び、フォーカス位置は画面の中央付近に来るように調整した

広角端での解像力(F2.8〜F8)

まずは、広角端24mmの解像力を見ていこう。F2.8/F4/F5.6/F8の絞り値で被写体距離およそ10mの建物を撮影した作例から中央部と周辺部を等倍で切り出した画像を掲載する。

緑枠が中央部、赤枠が周辺部として切り出した部分

緑枠が中央部、赤枠が周辺部として切り出した部分

ニコン用切り出し画像(中央)

ニコン用切り出し画像(周辺)

キヤノン用切り出し画像(中央)

キヤノン用切り出し画像(周辺)

中央部をチェックすると、どのレンズも、絞りがF4もしくはF5.6くらいからコントラストと精細感が上がり、十分な解像力が得られていることがわかる。どのレンズもそれほど大きな差はないが、細かいところを見てみると、わずかではあるが解像力では純正レンズがサードパーティー製レンズを上回っているように思う。ニコンNIKKOR24-70mmは開放から十分な精細感で、F4より大きな絞り値では非常に高い解像力を発揮する。キヤノンEF24-70mm は開放だとコントラストがわずかに落ちるものの全体的にシャープな描写だ。

周辺部は、開放だとさすがに描写が甘くなるものの、どのレンズもF5.6くらいまで絞れば改善する。気になるのはシグマArt24-70mm。絞り込んだときの解像力はすぐれているものの、開放だと大きく流れるような感じになってしまう。ほかのレンズと比べると像面湾曲が強い感じもあるので、フォーカス位置を微調整して何度か撮り直してみたがみたが、開放で流れるような描写は変わらなかった。

健闘しているのはタムロンSP24-70mm。解像力がずば抜けて高いというわけではないのだが、中央だけでなく周辺でも安定した描写が得られた。開放でもそれほどコントラストが落ちる感じがしないのも高ポイントだ。

望遠端での解像力(F2.8〜F8)

続いて望遠端70mmをチェックしよう。およそ20mの距離から建物(広角端と同じ被写体)を撮影した。

緑枠が中央部、赤枠が周辺部として切り出した部分

緑枠が中央部、赤枠が周辺部として切り出した部分

ニコン用切り出し画像(中央)

ニコン用切り出し画像(周辺)

キヤノン用切り出し画像(中央)

キヤノン用切り出し画像(周辺)

望遠端では、広角端とは少し違った描写になった。

純正レンズでは、ニコンNIKKOR24-70mmが開放でやや甘い描写となった。開放でも周辺までそれなりに解像感をキープできているが、コントラストが低くなるようで、全体的に少しソフトな印象の仕上がりになる。F5.6くらいまで絞ればコントラストが上がり、十分な解像力を発揮するようになるが、広角端と比べるとやや解像力は低いように感じる。

キヤノンEF24-70mmは、開放でも比較的シャープで周辺の写りも申し分ない。広角端でも十分な描写だったが、望遠端はそれを上回る結果となった。全体的に広角端でも望遠端でもとても安定した性能を発揮するレンズだと思う。

シグマArt24-70mmは開放から中央部の解像感が高いのが好印象。ただ、広角端と同様、周辺の描写がもうひとつ。絞っても周辺の解像力がそれほど上がってこないのが少々気になった。

タムロンSP24-70mmは広角端と同じような印象で、周辺まで画面全体で安定した性能を発揮する。開放でも比較的すぐれた描写をするのも特徴だ。広角端と望遠端で撮影した作例を見る限りでは、フラットな特性で、これといった穴のない優秀なレンズだと感じた。

開放での色収差

ここでは開放F2.8の描写をもう少し掘り下げ、夜景を撮影した比較作例を用いて色収差の出方をチェックしよう。なお、今回の撮影では、画面の真ん中だと目立った色収差が見られなかったため、中央から少し外れたところを切り出して比較した。

緑枠(2か所)が中央部、赤枠が周辺部として切り出した部分

緑枠(2か所)が中央部、赤枠が周辺部として切り出した部分

ニコン用切り出し画像(広角端)

キヤノン用切り出し画像(広角端)

こうした夜景の写真では、強い光源のエッジ部に色収差が出やすい。特に開放での撮影になると収差は大きくなる。

ニコンNIKKOR24-70mmは開放でも色収差がかなり抑えられている。エッジ部の色ずれがほとんど見られない。それと比べるとキヤノンEF24-70mmはわずかに色収差が出た。サードパーティー製レンズでは、シグマArt24-70mmは色収差が少なく、キヤノンEF24-70mmと同じか少し上回るクオリティとなった。 いっぽうのタムロンSP24-70mmは色ずれがやや目立つ。

色収差とあわせて気になるのが、コマ収差や非点収差などが原因で発生する点像の流れだ。これに関してはどのレンズでも発生しているが、純正レンズはかなり抑制されているようだ。いっぽうのサードパーティー製レンズはコマ収差やハロなどが目立つ。こうした点像の流れは、特に、開放での撮影が多くなる星空を撮る場合に気になるものだ。

参考として、以下に、広角端での周辺の点像をもう少し大きく撮影して切り出した画像を掲載しておこう。中央から周辺までできる限りピントが来るようにフォーカスを調整して広角端で撮ったものになる。これを見ると、キヤノンEF24-70mmがもっとも優秀な結果なのがわかる。

続いて、望遠端での色収差をチェックしよう。

緑枠が中央部、赤枠が周辺部として切り出した部分

緑枠が中央部、赤枠が周辺部として切り出した部分

ニコン用切り出し画像(望遠端)

キヤノン用切り出し画像(望遠端)

望遠端では、ニコンNIKKOR24-70mmが、広角端と比較すると中央部でも周辺部でもやや色収差が見られる。かなり抑えられてはいるが、広角端ほどの補正力ではない。周辺での点像の流れが目立つのも気になるところだ。いっぽうのキヤノンEF24-70mmは、広角端よりも色収差が目立たない結果となった。この結果は、先に紹介した解像力の検証と同じような傾向だ。どちらかというとニコンNIKKOR24-70mmは広角端に強く、キヤノンEF24-70mmは望遠端に強い設計になっているのではないだろうか。

サードパーティー製レンズはどちらも色収差はうまく抑えられていると思う。シグマArt24-70mmはニコン用では中央で気になるような色収差が出ていないし、タムロンSP24-70mmも広角端ほどは目立たない。周辺での点像の描写はもうひとつだが、広角端とは異なり、純正レンズと比べて極端な差はないようだ。

なお、ニコンのカメラボディでは選択できる機能として色収差補正はないが、キヤノンにはある。純正レンズのほか、サードパーティー製レンズでは、最新のファームウェアにアップデートしたシグマArt24-70mmがキヤノンのカメラボディ内のレンズ補正を利用することが可能だ。今回はレンズの素性を見るため色収差補正はオフで撮影したが、オンにするとどうなるのか気になるところではないだろうか。以下に、ボディ内RAW現像を使って色収差補正をオンにして出力したキヤノン用作例の切り出し画像を掲載していこう。 結果としては色収差補正を使うことで、画面全体で色収差をより良好に抑えられた。パープルフリンジも周辺部のにじみも軽減している。

※「描写力その2(手ブレ補正検証含む)」に続きます。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

紹介した製品の最新価格・クチコミをチェックする
関連記事
「価格.comマガジン」プレゼントマンデー
ページトップへ戻る