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“はじめてのフルサイズ”に適した最新4モデルをピックアップ

フルサイズミラーレス徹底比較! 「EOS RP」「EOS R」「α7 III」「Z 6」の違いをレビュー

細かいところの使い勝手

ここからは4モデルを使い比べてみてわかった違いをもう少し詳しくレポートしていきたい。

1.撮影のレスポンスと安定性

どのモデルもレスポンスに大きな問題はなくスムーズな撮影が可能だが、細かいところでいくつか気になったところがある。

S-AFのワンショットでは、EOS RPとEOS Rが撮影後の挙動で少しクセがあると感じた。具体的には2点あって、ひとつは「撮影直後の画像確認」の設定をオンにした状態だと、撮影後にプレビュー画面が表示されるまでのブラックアウト時間がわずかに長いこと。もうひとつは、撮影直後の画像確認をオフにすると、撮影後にライブビュー画面に戻った際に一瞬引っ掛かるような表示になること。どちらも実用的には問題ないレベルだが、ほかの2モデルにはない挙動である。

高速連写を利用して大量のデータをメモリーカードに書き込んでいる時の動作でも4モデルで違いがあった。動作が最も安定していたのはZ 6で、バッファが一杯になった状態でもカード書き込み中でも操作が遅れるようなことはなく、メニューをスムーズに呼び出して設定を変更できた。比べると、EOS RPとEOS Rも操作に対するレスポンスは速いが、カード書き込み中はビジー状態になって操作を受け付けない時間が発生することがあった。α7 IIIも操作そのもののレスポンスは十分だが、カード書き込み中は一部機能を変更できない制限があり、その点がマイナスだと感じた。

2.連写時のEVF表示の違い

EVFの表示フレームレートはどのモデルも60fps程度で同じだと思われるが、連写時のEVFの表示はそれぞれに違いがある。

EOS RPとEOS Rは、AF/AE追従の約5コマ/秒時、AF 1コマ目固定の約8コマ/秒時ともに、連写の間にブラックアウトが入らないアフタービュー表示(ひとつ前のレリーズの撮影画像が表示されたり、レリーズ時の表示画像の更新が遅い方式)になる。

α7 IIIは、AF/AE追従の約10コマ/秒時はブラックアウトのないアフタービュー表示だが、約8コマ/秒に設定すると、AF/AE追従のまま短いブラックアウトでのライブビュー表示が可能となる。

Z 6は、AF/AE追従の約5.5コマ/秒時はブラックアウトのあるライブビュー表示で、AF追従/AE 1コマ目固定の約12コマ/秒時はブラックアウトのないアフタービュー表示だ。

ブラックアウトの有無は好みがあるかもしれないが、アフタービュー表示よりもライブビュー表示のほうが遅延が少なく、動く被写体を追いかけやすい。4モデルの中で連写時のライブビュー表示に対応するのはα7 IIIとZ 6。なかでもα7 IIIは、追従性にすぐれたAF、約8コマ/秒の連写速度、ライブビュー表示に対応しており、より確実なフレーミングで動く被写体を連写で捉えやすい。

3.EOS RP/EOS Rは評価測光でのフォーカス枠連動が強い

キヤノンの2モデル(EOS RPとEOS R)は、ほかの2モデルと比べて、評価測光での露出の振れ幅が大きくなるのもレポートしておきたい。

評価測光は、ソニーはマルチ測光、ニコンはマルチパターン測光と呼んでいるか、メーカーによって細かいロジックは異なるものの、画面全体を複数のエリアに分けて測光し、最適な露出を導く方式。逆光を含めてさまざまな状況で平均的な露出が得やすく、ほぼすべてのデジタル一眼カメラで初期設定になっていることもあって、一般的には最も使用頻度の高い測光モードではないだろうか。

デジタル一眼カメラの評価測光は多くのモデルで、選択したフォーカス枠の明るさに連動して露出を調整するようになっている。たとえば、屋内で外光が入る窓を撮る場合、明るい窓にフォーカス枠を合わせると露出はより暗く、窓の周辺の暗いところにフォーカス枠を合わせると露出はより明るくなるといった具合だ。今回の4モデルはすべてこの仕様である。ちなみに、これは、ミラーレスのライブビュー撮影特有のものではない。キヤノンやニコンの一眼レフの多くは光学ファインダー撮影でも測距点に連動するようになっており、伝統的な仕様と言える。

EOS RPとEOS Rで気になったのは、評価測光時に、フォーカス枠にかなり引っ張られる形で測光が行われること。特に1点AF(1点のフォーカス枠でのAF)で撮っていると、同じ構図でもフォーカスを合わせた位置の明るさによって露出が大きく変わるようになっている。

以下、4モデルの評価測光かつ1点AF(α7 IIIはフレキシブルスポットM、Z 6はシングルポイントAFを選択)での露出の挙動(絞り優先モードでのシャッタースピードの値)をチェックした結果となる。レンズの焦点距離は24mm、感度はISO100、絞り値はF8とし、晴天下の明るさがほぼ変わらない状況かつ、同じ構図に固定して、フォーカス枠の位置でどのくらい露出が変わるのかをチェックした。

撮影状況は晴天下(EV14〜15くらい)のトップ光で、撮影場所は建物の屋上。感度がISO100、絞り値がF8なら、シャッタースピードの適正値は1/320〜1/400秒といったところ。高いところから少し俯瞰する構図で、画面上半分が空、下半分が建物と木々になるように調整した。上半分が明るく、下半分はそれと比べると暗い状況である。この構図で、4モデルそれぞれで同じ位置(計7か所)にフォーカス枠を持っていってシャッタースピードの変化をチェックした

EOS RP
1 青空:1/400秒
2 薄雲:1/500秒
3 雲:1/640秒
4 建物(暗い):1/160秒
5 建物(明るい):1/250秒
6 木々:1/320秒
7 建物(白くて明るい):1/640秒

EOS R
1 青空:1/400秒
2 薄雲:1/400秒
3 雲:1/640秒
4 建物(暗い):1/160秒
5 建物(明るい):1/250秒
6 木々:1/320秒
7 建物(白くて明るい):1/640秒

α7 III
1 青空:1/500秒
2 薄雲:1/500秒
3 雲:1/500秒
4 建物(暗い):1/320秒
5 建物(明るい):1/400秒
6 木々:1/400秒
7 建物(白くて明るい):1/500秒

Z 6
1 青空:1/400秒
2 薄い雲:1/400秒
3 雲:1/400秒
4 建物(暗い):1/320秒
5 建物(明るい):1/320秒
6 木々:1/320秒
6 建物(白くて明るい):1/400秒

シャッタースピードの振れ幅を見ると、EOS RPとEOS Rは1/160〜1/640秒、α7 IIIは1/320〜1/500秒、Z 6は1/320〜1/400秒となった。EOS RPとEOS Rは、選択できるフォーカス枠のポジションが多いためかEOS Rのほうが細かく露出が変わる傾向があったが、振れ幅の大きさは両モデルで変わりがなく、ほぼ同じ結果に。ちょっとした明るさの変化に敏感で、画面上部の「1 青空」では適正露出だったが、その少し下に位置する「3 雲」にフォーカス枠を持っていくとアンダーになった。画面下部でも明暗差を拾いやすく、この構図ではなかなか適正な露出が得られなかった。いっぽう、α7 IIIとZ 6はそこまでの振れ幅にはならず、比較的安定した結果に。特にZ 6は、このテスト以外で撮影していても、評価測光+1点AFで最も安定した露出が得られる印象を受けた。

EOS RPとEOS Rは、よくいえば、フォーカス枠に対してより厳密な露出傾向にある。測距点連動のスポット測光のようなイメージで使えるので素早く動く被写体を追いかけながら撮るのには便利だが、風景やスナップの撮影では扱いにくいと感じることもある。なお、この傾向はEOS RPとEOS Rだけでなく、一眼レフも含めてエントリーからハイエンドまでキヤノンのデジタル一眼カメラ全般に当てはまる。EOS 5D Mark IV、EOS 6D Mark IIなどでも試してみたが、ライブビュー撮影での評価測光+1点AF時は露出がフォーカス枠にかなり引っ張られる結果となった。

測光モードを評価測光以外にすればフォーカス枠の連動は外れるので(これはほかの2モデルも同様)、EOS RPとEOS Rを使ってみて露出が変わりやすいと感じるようであれば測光モードを見直してほしい。とはいえ、フォーカス枠連動が強すぎるというのが正直なところ。より幅広い撮影シーンで使いやすくなるように、フォーカス枠連動の重みを調整できる機能を追加してほしいところだ。

4.測光の仕組みの違い

やや上級者向けの情報になるが、キヤノン、ソニー、ニコンのフルサイズミラーレスは測光の仕組みと、それに連動したAFの測距動作にも違いがある。

露出を反映した状態でライブビュー映像を表示する初期設定で4モデルの動作をチェックすると、EOS RPとEOS Rは一眼レフと同じ開放測光(どの絞り値に設定しても絞り開放で測光し、露出を算出する方式)でAFも開放のまま測距する。Z 6は絞り開放からF5.6までは実絞り測光(設定した絞り値に絞り羽根を設定して測光する方式。絞り込み測光とも言う)でAFも実絞りのまま測距。F5.6を超えるとF5.6固定での測光・測距となる。α7 IIIは測光自体は実絞り測光だがAF-SとAF-CでAFの動作が異なっており、AF-S時は開放からF2までは実絞りで、F2を超えるとF2固定で測距する(※開放絞り値がF2を超えるレンズは、絞り開放で固定)。AF-C時は像面位相差AFが働くF11までは実絞りで、F11を超えるとF11固定で測距する。周囲の明るさやレンズによって挙動が異なる可能性はあるが、基本的にこのような仕様になっているようだ。

ざっくりと、EOS RPは開放測光、Z 6は条件付きの実絞り測光、α7 IIIは実絞り測光と理解しておいてほしい。開放測光は実絞り測光よりも光量が稼げるため、暗いところでも比較的滑らかなライブビュー映像が得やすいのがメリット。絞ったときのAF速度で実絞り測光よりも優位とも言われている(※今回試した限り、像面位相差AFが働くF11くらいまでの絞り値ではそこまで大きな差は感じなかった)。ただし、絞り値を反映した状態を確認するにはプレビュー機能を利用する必要があるのが手間だ。実絞り測光は被写界深度を画面で確認しながら撮れるのがメリット。ただし、暗いところで絞り値を大きくすると、開放測光と比べてライブビュー映像にどうしてもノイズが増えることになる。

一眼レフの光学ファインダー撮影では光量の問題などで開放測光にメリットがあったが、ライブビュー撮影では開放測光と実絞り測光のそれぞれに一長一短があり、どちらがよいというわけではない。レンズ設計を含めて各メーカーの設計思想の部分になるので難しいのかもしれないが、ミラーレスではユーザーが状況や好みにあわせて開放測光と実絞り測光を選択できるようになると、さらに使いやすくなるはずだ。

まとめ

以上、EOS RP、EOS R、α7 III、Z 6の操作性や機能、画質などの違いをレビューした。

画質については、それぞれで傾向が異なるものの、4モデルで明確な差があるわけではない。今回使い比べてみた限り、この4モデルは、画質よりも操作性や機能の違いを重視して選んだほうがいいと感じた。自分にとって不必要なスペックに惑わされることなく、使い方やフィーリングに合ったモデルを選んでほしい。

EOS RPは何といっても価格が安いのが魅力。ボディ単体の価格.com最安価格(2019年5月10日時点)は13万円台、RF35mm F1.8 マクロ IS STMが付属するレンズキットは18万円台で、最新のフルサイズミラーレスとしては最も手に入れやすくなっている。加えて、重量約485g(バッテリー、メモリーカード含む)の軽量化を実現したのも特徴。本記事では触れなかった部分では、サイレントシャッターがシーンモードでの選択でプログラムAE・単写のみという制限があったり、先幕が電子シャッターのみの動作だったりと、ほかの3モデルと比べると細かいスペックで劣るところはあるが、フルサイズの高画質をより手軽に楽しめるモデルだ。旅行やスナップなどで気軽に撮影するのに向いたカメラだと思う。

キヤノンのフルサイズミラーレスの上位モデルとなるEOS Rは、EOS RPと比べると全方位でより充実したスペックを搭載している。有効画素数は4モデルの中で唯一の3000万画素オーバーとなる約3030万画素。EOS RPと比べるとボディが大きく、その分、大きな望遠ズームレンズなどを装着してもホールドしやすいのも見逃せない点だ。キヤノンのフルサイズミラーレスの中では、より本格的な撮影を行いたい場合に適したモデルとなっている。ボディ単体の価格.com最安価格(2019年5月10日時点)は18万円台。最新のフルサイズミラーレスとしてはEOS RPに次いで安く、コストパフォーマンスにもすぐれている。

発売当初よりもEOS Rの価格が安くなったこともあって、EOS RPとEOS Rのどちらを選ぶか悩んでいる方もいることだろう。基本的なスペックは上位モデルのEOS Rが上回るので、「EOS Rのほうが高機能」と考えていいが、EOS Rを選ぶ場合は、EOS RPにあってEOS Rにはない機能があることはチェックしておいてほしい。具体的には、インターバルタイマーとフォーカスブラケット。EOS Rで星の軌跡写真の素材などを撮りたい場合はタイマー付きのリモコンを使用する必要があるので注意してほしい。

α7 IIIは、α9譲りの高速AFや、AF/AE追従で最高約10コマ/秒の高速連写など基本性能が高く、4モデルの中で最もハイスペックなモデルとなっている。スペックだけを比較するとほかの3モデルを上回っており、これといった欠点のないモデルだ。あえて気になるところを挙げるとするなら操作感になるだろう。特にホールド感はほかの3モデルとは異なるところがあるので、できれば購入前に実機を一度触ってチェックしてみてほしい。ボディ単体の価格.com最安価格(2019年5月10日時点)は18万円台。スペックを考慮するとコストパフォーマンスは非常に高い。また、ソニーはいち早くフルサイズミラーレスを商品化したこともあり、フルサイズミラーレス用のレンズがキヤノン、ニコンより充実しているのも押さえておきたい点だ。

Z 6はニコンのカメラらしく、とても高品位なミラーレスに仕上がっている。特に感心したのが、非常に見やすいEVFを搭載していること。隅々まで明るくクリアな見え方は、ほかの3モデルとは一線を画するものだ。加えて、ホールド感やシャッターのフィーリングなど、操作感が心地よいのも特徴。連写後の操作レスポンスにすぐれる点など、ストレスなく撮影を続けられるように工夫されており、スペックではわからない部分の完成度が高い。使えば使うほどによさがわかってくるカメラだ。ボディ単体の価格.com最安価格(2019年5月10日時点)は21万円台。値ごろ感が出てきており、発売当初よりも購入しやすくなっている。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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