自動車ライターのマリオ高野です。
今回は「サウンドレーサー」というグッズを試してみました。愛車の車内に欧米のスーパーカーのエンジン音が響き渡るというものです。
欧州V12スーパーカー(左)のほか、アメリカンV8サウンド仕様(右)は50〜60年代マッスルカーのドロドロ系サウンド
新旧さまざまなスーパーカーをガッツリ試乗した経験をもとに、音質のリアル感などをチェックしました。
愛車は2014年式のスバル・インプレッサG4 1.6i(5MT)で、スーパーカーとは対局にある超大衆的な実用車です。
地味な実用車ながら、水平対向エンジンを搭載するのでエンジンサウンドは悪くはなく、まったく不満はないのですが、まずは自分の愛車のエンジン音をとってみました。
結論から先にいうと、このサウンドレーサーは使用するクルマとの相性により「かなり楽しい!」から「もう少し…」と評価が二分されるものといえます。
まず試したのはヨーロッパのV型12気筒エンジン仕様。シガーライターソケットに挿し込み、FMラジオの周波数を合わせるだけで、カーオーディオのスピーカーからスーパーカーサウンドが轟きます。
箱、本体ともに質感はまずまず。トリセツは6か国語で解説されています
具体的な車名は記載されていませんが、80〜90年代イタリアンスーパーカーサウンドです
MP3やCDをサウンドレーサーにつなぎ、FMトランスミッターで愛車のFMラジオで聴くことも可能
サウンドレーサーとクルマのFMラジオ受信は簡単。問題は、エンジン回転と同調するかどうか
ヨーロッパのV型12気筒仕様で再現したのは90年代のフェラーリやランボルギーニなどのイタリアンスーパーカー。音質からして、おそらくランボルギーニのディアブロあたりのモデルだと思われますが、アイドリング状態ではまずまずの雰囲気。いかにも巨大な心臓が不整脈を打つようにラフな鼓動を伝えるビート感など、往年のランボルギーニっぽさが出ています。
エンジンをかけるとすぐにエンジン回転と同調し、停止中に空吹かしをしても、おおむねアクセル操作のとおりにサウンドが強弱するので、インプレッサG4(5MT)との相性はバッチリな感触でした。
1速で発進し、3000回転あたりで2速にシフトチェンジするという、ごく普通の運転操作でも、サウンドだけはかなり高回転までまわる感覚で、耳をつんざく系の金属音が高まります。これぞまさに、いちいちすべてが大げさな昔のスーパーカーという感じですね。
その後も多少のズレはあるものの、アクセル開度の強弱やシフト操作のたびサウンドも強弱するので、やがて「愛車の本当のエンジン音だ」と錯覚するほどになりました。
本物の往年のランボルギーニV12サウンドは、もっと強烈な野獣の咆哮(ほうこう)のようなものですが、雰囲気の再現力はなかなかのもので、ワタシの愛車での使用に限れば予想以上に楽しめます。
また、アメリカンV8バージョンも試してみると、ヨーロッパのスーパーカーとは異なるドロドロとした野太いサウンド。
V8バージョン。クラシックなアメ車のエンジン音を再現
いかにも50〜60年代の大排気量V8らしい、豊かな物量感を伝える濃厚な音質です。
エンジン回転を上げると、OHV特有のプッシュロッドがバルブたたく音もよく再現されており、音質のリアルさは満足度の高いものでした。
思わず、我が愛車に積まれるわずか1.6リッターの非力なエンジンのトルク感が太くなったかのように錯覚させてくれる効果も!(笑)
しかし、オルタネーター発電時のノイズと同調する機構上、エンジン回転の上下動がMTよりも比較的少ないAT車やCVT車、ディーゼルエンジン車では相性が悪いもようでした。
特に多段化された最近のAT車との相性はいまひとつである可能性が高く、アクセル操作と同調せず、走行中もアイドリング状態から変化しなかったりする場合も多々あります。
本体ボディーはレーシーなカーボン調で、見た目、質感ともにまずまず。インテリアのじゃまをしないので、FMトランスミッターとして常備するのもアリかと思いました
いくつかの車種で試した範囲では、やや古めの日本車のMT車との相性がよさそうです。
大衆的なクルマのMT車、スポーツ性の低い軽自動車のMT車なら楽しめる可能性が高いと推察します。
愛車のエンジン音がサウンドではなく単なるノイズでしかなかったり、退屈な音質だったりした場合は試してみる価値アリですよ!
ヨーロピアンV12もアメリカンV8も、軽トラックのMT車で試せばかなりおもしろいはずなので、なるべく排気量の小さい非力なエンジンを積むクルマで使ってほしいと思いました!