日産ノートe-POWERはなぜこんなに売れているのか!?

日産 ノートe-POWER の加速は“3リッター”並み! ハイパワーと楽しさを両立した唯一の国産コンパクトカー

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最近は、環境性能にすぐれた車種が人気を得ているが、そのなかでもナンバーワンの注目度を誇るのが日産「ノートe-POWER」だ。

e-POWERのグレード追加によって販売台数を大きく伸ばした日産「ノート」

e-POWERのグレード追加によって販売台数を大きく伸ばした日産「ノート」

現行ノートは2012年9月に発売されているが、およそ4年を経た2016年11月にe-POWERをノートのラインアップへ加えたところ、大ヒットとなった。

ノートは2017年上半期(1〜6月)で8万4,211台を販売しており、日本自動車販売協会連合会のランキングによると、トヨタ「プリウス」に次いで2位となるほどの人気。1年前の2016年と比べると実に1.6倍の売れ行きとなっている。

日産「ノート e-POWER」の外観はノートとほとんど変わらないが、その中身は大きく異なる

日産「ノート e-POWER」の外観はノートとほとんど変わらないが、その中身は大きく異なる

販売好調なノート e-POWERの最大の魅力は「加速力」

ここまでノートe-POWERが好調に売れた要因としては、動力性能、特に“加速力”によるところが大きい。ノートe-POWERはシリーズ方式のハイブリッド車で、直列3気筒の1.2リッターエンジンはホイールを直接駆動せず、発電機を作動させる。そこで生み出された電力で、モーターがホイールを駆動する仕組みだ。

モーターは日産の電気自動車「リーフ」と同じタイプが使われており、最高出力は80kW(109馬力)、最大トルクは254N・m(25.9kg-m)を発生する。車重はリーフが売れ筋の30Xで1,460kgなのに対して、ノートe-POWER・Xは1,210kgだから250kg軽い。リーフでも十分に力強い加速が、軽量のノートe-POWERでは一層鋭くなったのだ。

日産 ノート e-POWERの1.2リッターエンジンは発電のみに使用され、駆動はモーターが行う

日産 ノート e-POWERの1.2リッターエンジンは発電のみに使用され、駆動はモーターが行う

ノート e-POWERの加速は、なんと“3リッター並み”!

ノートe-POWERの優れた加速性能には、モーターの“性格”も影響している。ガソリンエンジンの場合は低回転ではパワーが出ず、回転上昇に伴ってトルクや出力を徐々に高めていくが、モーターは低回転から瞬時に高いパワーを発揮できる。そのためにドライバーのアクセル操作に対する反応が機敏で、巡航中に追い越しをする時などにはモーターの本領を発揮する。

エンジンの場合は巡航中には回転が下がって高いギヤ比で走行しているから、アクセルペダルを踏み込むと(AT車であれば)キックダウンが行われてギヤが下がり、そこからエンジン回転の上昇に伴って加速を開始する。だが、モーターは無段変速なのでキックダウンの手間を要さず、反応も素早いために加速を即座に開始できる。

この差は大きく、ノートe-POWERやリーフの加速感覚は、自然吸気のノーマルエンジンでいえば“3リッター並み”だ。最高出力、最大トルクの数値から判断すると2〜2.5リッターが当てはまるが、モーターならではの反応の素早さが動力性能を高めるうえで有利に働くのだ。

ノート e-POWERは3リッターエンジン並みの加速力を誇る

ノート e-POWERは3リッターエンジン並みの加速力を誇る

ノートe-POWERの走行性能は、発進時からすでに他のハイブリッドとは一線を画す。低回転域の駆動力が高く、軽くアクセルペダルを踏んだだけで力強く発進する。さらに、アクセルペダルを一定に踏み込めば、モーターの性格上、直線的に速度を高めていくので運転がしやすい。

モーター駆動ならではの、楽しい走りと高い快適性の両立

ノートe-POWERは加減速も滑らかだ。従来のエンジンの力で駆動するクルマと違って、変速時のショックや変速に伴うエンジン回転の上下動が発生せず、モーターの回転数に応じて速度も素直に上下する。駆動力と速度の関係がシンプルでわかりやすく感じられることも、ノートe-POWERのドライビングの楽しさや気持ち良さに繋がっている。

モーター駆動であるノート e-POWERの加減速は、素直で扱いやすい

モーター駆動であるノート e-POWERの加減速は、素直で扱いやすい

モーターの力強さが最もわかりやすいのは、高速道路で速度を時速60kmから100km程度へ上げるような時だ。アクセルペダルを軽く踏み増すだけで、高い駆動力が沸き上がり速度を滑らかに上昇させる。ノイズも小さい。

これが、CVT(無段変速AT)を備えたコンパクトカーでは、エンジン回転が少し先行して高まり、その後で速度が上昇する。そのほうが効率がよいためではあるのだが、エンジン回転の上昇に伴ってノイズも高まり、快適性を下げてしまう。

また有段式のATでは、ギヤを自動的に下げるキックダウンによってエンジン回転を上昇させて加速力を高める。この作動もノイズを増大させるが、モーター駆動のノートe-POWERにそれはない。モーター駆動は格段に静かで、とても快適だ。

CVTや有段ATのコンパクトカーに比べ、ノート e-POWERは滑らかな加速やノイズの少なさによる快適性などメリットが多い

エンジンと駆動が連動しないという“違和感”

もし、ノートe-POWERのデメリットをあげるとすれば、エンジンの違和感についてだろう。前述のようにノートe-POWERのエンジンはホイールを直接駆動せず、発電機の作動だけに使われる。駆動はモーターが行うから、エンジンの回転数と速度は連動しない。

そしてエンジンは常に発電効率にすぐれた回転域を使う。そのために速度が上下しているのに、エンジンは一定の回転数で回り続ける状態が生じる。これが違和感として受け取られる場合もあるが、この制御を行わないとシリーズハイブリッドならではのすぐれた燃費効率を得られない。避けては通れない今後の課題となるだろう。

「回生充電」という、ノート e-POWERのもうひとつの魅力

ノートe-POWERのもうひとつの魅力が、Sモード/ECO(エコ)モードの2つのドライブモードによる「回生充電」だ。

ノート e-POWERでは、ノーマルモード/S/ECO(エコ)と3つのドライブモードを選択できる。選択スイッチは、センターコンソールのシフトノブからやや後ろに設置されている

回生充電とは、減速時に駆動用モーターが発電機の役割を果たし、駆動用リチウムイオン電池に充電することだ。モーターを備えないクルマは、減速時のエネルギーをムダにしているが(熱に変換して大気中に放出している)、ハイブリッドや電気自動車では、減速エネルギーで発電を行って駆動エネルギーとして再利用できる。ノートe-POWERでは、SかECOモードにすることで、ノーマルモードよりも強い回生充電を発生させることができる。

回生充電が強くなるということは抵抗が増えるために、速度の下がり方が大きくなる。ドライバーは、まるで低いギヤを使ってエンジンブレーキを作動させたような感覚になる。

ノートe-POWERでは、この「回生ブレーキ」についても注目したい。アクセルペダルを戻すと強い減速力が働くため、ペダル操作だけで速度を自由に調節できる。交通量の少ない市街地では、ブレーキペダルを踏む必要がほとんど生じない。アクセルペダルを戻すことで、停止状態までカバーできるからだ。

ノート e-POWERのSモード、ECOモードでは強力な回生ブレーキがかかるので、交通量が少ない道路であれば、アクセルペダルをオフするだけで停止することもできる

アクセルペダルを離した時の最大の減速力は0.15G。交差点の手前でゆるく減速した時に発生するのが0.1G程度だから、相応に強い減速力となる。0.13Gを超えた時は、フットブレーキを使わなくてもブレーキランプが点灯する。

ただし、Sモード、ECOモードを使って走行した際には、回生ブレーキが強く効きすぎるために、アクセルペダルを常に踏んでいる必要が生じる。デリケートな操作も求められるから好みが分かれるが、面白い、楽しいと感じるユーザーのコメントは多く見られる。

従来のエコカーのメリットは、主に燃料代の節約と環境性能の向上だが、ノートe-POWERはノーマルエンジン車とは異なる「回生ブレーキによる運転の楽しさ」という新たな価値を持たせた。それもあって注目を集め、結果として売れ行きも伸びている。低燃費技術を運転する楽しさに結び付けることは、今後の環境性能にすぐれたクルマの人気を集めるうえで、大切な条件となるだろう。

ライバル車に比べ、圧倒的な動力性能で差をつける

ノートe-POWERのライバル車としてはトヨタ「アクア」やホンダ「フィットハイブリッド」などがあげられるが、動力性能はノートe-POWERのほうが格段に滑らかで力強い。

ライバル車のコンパクトカーと一線を画すノート e-POWERの動力性能

ライバル車のコンパクトカーと一線を画すノート e-POWERの動力性能

運転感覚の似ている車種を強いてあげれば、マツダ「デミオ」のクリーンディーゼルターボ搭載車だろう。このデミオを大幅に静かにして、エンジン回転を滑らかに洗練させたという印象を受ける。

モーターは回転の上昇を開始した直後の加速は力強いが、回転数が高まるに連れて、動力性能の伸び方が次第に衰えていく。このモーターの特性がディーゼルエンジンに似ている。

ただしモーター駆動によるドライビングフィールは前述したとおり独特で、似通ったタイプを見つけにくい。それを200万円以下の価格(195万9,120円/e-POWER・X)で得られることにメリットがある。

ノートe-POWERは果たして「お買い得」なのか、ノート ガソリン車と比較!

ノートe-POWER・Xの価格をノーマルエンジンを搭載した「X」(149万5,800円)と比べてみよう。価格差は46万3,320円だが、e-POWER・Xにはエアコンのオート機能などが装着されるので、この金額を差し引いた正味の実質差額は約42万円になる。

さらにエコカー減税でもe-POWER・Xは約5万円を節約できるから、最終的な差額は約「37万円」だ。この金額はフィットやヴィッツなど、コンパクトカーにおけるハイブリッドとノーマルエンジン車の実質差額に近い。

次に、燃料代でどの程度走れば差額を取り戻せるかを計算してみよう。実用燃費がJC08モードの85%、レギュラーガソリンが1リッター当たり130円で計算すると、ノートe-POWER・Xが1km走るために必要な燃料代は「4.5円」だ。対するノーマルエンジンのノートXは「6.5円」になる。ノーマルエンジンのノートも燃費がすぐれているから、37万円の実質差額を燃料代の節約によって取り戻せるのは、18〜19万kmを走った頃だ。つまり、20万km近くまで頑張って維持したとしてようやくプラマイゼロだ。

だが、ノートとノートe-POWERで動力性能を比べると、e-POWERのほうが圧倒的に高く、ドライビングフィールも実に軽快だ。これまでは、高い動力性能や滑らかさが欲しい場合、高額を払って大排気量エンジン搭載車を選んでいた。そこを考えると、ノートe-POWERでは動力性能、滑らかさ、静粛性などが向上して、なおかつ燃費も大幅によくなるといいことずくめだ。それを考えると、ノートe-POWERは買い得といえるだろう。だからこそ、販売も好調なのだ。

日産 ノート e-POWERとモータージャーナリストの渡辺陽一郎氏

日産 ノート e-POWERとモータージャーナリストの渡辺陽一郎氏

日産 ノート e-POWERのグレードと価格
※価格は全て税込

ノート e-POWER S(2WD):1,772,280円
ノート e-POWER X(2WD):1,959,120円
ノート e-POWER MEDALIST(2WD):2,244,240円
ノート e-POWER X モード・プレミア(2WD):2,207,520円
ノート e-POWER NISMO(2WD):2,458,080円

日産 ノート e-POWER Sの主なスペック

全長×全幅×全高:4,100×1,695×1,520mm
ホイールベース:2,600mm
車両重量:1170kg
乗車定員:5名
最小回転半径:5.2m
エンジン(発電用):1.2リッター DOHC水冷直列3気筒
JC08モード燃費:37.2km/L
モーター最高出力:80kW(109PS)/3,008-10,000rpm
モーター最大トルク:254N・m(25.9kgf・m)/0-3,008rpm
モーター動力用主電池:リチウムイオン電池

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渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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2017.9.20 更新
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