発売1か月で5万台超!なぜここまで売れる!?

ホンダ 新型「N-BOX」が“激売れ”の理由

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フルモデルチェンジを受けたホンダ 新型「N-BOX」の販売が絶好調だ。2代目となる新型N-BOXが発売されたのは2017年9月1日で、発売から約1か月後の10月4日における受注台数は5万2,000台に達している。

2017年9月1日に販売を開始したホンダ 新型「N-BOX」。外観は初代からほとんど変わっていないにもかかわらず、発売後1か月の受注は好調に推移している

ホンダは、新型N-BOXの情報を2017年5月25日に先行公開している。実質的には約4か月間の受注だから差し引いて考える必要はあるが、人気車であることに違いはない。そこで、新型N-BOXの人気の理由を改めて考えてみたい。

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画像は2013年に一部改良を受けた初代「N-BOX」

画像は2013年に一部改良を受けた初代「N-BOX」

新型N-BOXが好調なのは、まず初代N-BOXの人気の高さが背景としてある。初代が発売されたのは2011年12月で、2013年、2015年、2016年には軽自動車の最多販売車種となった。さらに、それ以外の年も2位にランクインしている。特に、フルモデルチェンジを控えた2016年に1位になり、累計販売台数が5年で100万台を突破したことはN-BOXが普遍的な人気を獲得した証でもあるだろう。

N-BOXの広い室内空間は、2011年の初代モデル発売当時から特徴のひとつとなっていた

N-BOXの広い室内空間は、2011年の初代モデル発売当時から特徴のひとつとなっていた

では、なぜ初代N-BOXが高い人気を得ていたのか? まず、筆頭にあげられるのは「広大な室内空間」だ。エンジンをコンパクトに抑えてホイールベースを伸ばすことで、軽乗用車で最大の室内空間を生み出した。さらに、燃料タンクを前席の下に搭載することで後席の床を低く抑えた。それによって、後席の居住空間と後席を畳んだ時の荷室容量は軽乗用車で最大の広さとなった。ボディサイズに制限のある軽自動車でありながら、背が高く室内の広さを売りにするコンパクトカーなどと比べても見劣りしない。初代N-BOXの室内を初めて見たユーザーは誰もがその広さに驚き、購買へと繋がっていった。

中央は初代「N-BOXカスタム」

中央は初代「N-BOXカスタム」

初代N-BOXは、外観デザインも巧みだった。ボンネットを短く抑えてフロントウィンドウの角度を立て、ワンボックス形状に近づけて車内の広さを表現している。サイドウィンドウの下端は視界を損なわない範囲で高く設定され、存在感とボックス感覚を一層強調している。

かつての軽自動車が不得意とされていた“広さ”をストレートに表現した結果、先代N-BOXは息の長い人気車となった。走行性能や燃費などを含めたトータルバランスでは、たとえばスズキ「スペーシア」のようなコンパクトカーのほうがすぐれた面もあるが、総合的な機能の優劣と、ユーザーが感じるクルマの魅力はまったく別だ。先代N-BOXは“ユーザーの気持ちに響く”すぐれた軽自動車であった。

そこで新型N-BOXは、初代の特徴を受け継ぎながらも、そのよさをさらに高めるクルマ造りを行っている。

新型N-BOXの助手席スーパースライドシート。画像は最も後ろへスライドさせた状態

新型N-BOXの助手席スーパースライドシート。画像は最も後ろへスライドさせた状態

まず、新型N-BOXが初代のメリットをさらに高める機能として「助手席スーパースライドシート」があげられる。助手席スーパースライドシートは、助手席を前後に570mmスライドできる。標準仕様の助手席は240mmだから、スライド量は実に2倍以上だ。

助手席を最も後ろへとスライドさせれば、身長170cmの乗員が座った膝先とインパネの間には、握りコブシが4つ収まるほどの足元空間が生まれる。リラックスした姿勢を取れるうえに、後席に座った人との会話もしやすい。

新型N-BOXの助手席スーパースライドシート。画像は最も前へスライドさせた状態

新型N-BOXの助手席スーパースライドシート。画像は最も前へスライドさせた状態

逆に、助手席を最も前へスライドさせると、助手席側の後席の足元空間が大幅に広がる。たとえば後席にチャイルドシートを装着した時には、子供を座らせる作業がしやすい。さらに、助手席スーパースライドシート仕様の新型N-BOXはフロントシートがセパレートタイプのため、子供をチャイルドシートに座らせた後は、外に出ずともそのまま運転席へと移動することができる。

この助手席スーパースライドシートは、初代N-BOXには採用されていない。また、ほかの軽自動車にも類似した機能はなく、初代から受け継いだ広い室内をさらに有効活用できる、新型N-BOXならではの機能となっている。

新型N-BOXでは、室内の広さもさらに拡大している。ホイールベースは2,520mmで変更はないが、前後席に座る乗員同士の間隔が25mm広がって1,175mmになった。この数値は、ライバル車のダイハツ「タント」(1,120mm)、ダイハツ「ムーヴキャンバス」(1,050mm)、スズキ「スペーシア」(1,025mm)、日産「デイズルークス」(981mm)を上回って、軽自動車では最長だ。シートの造りが改善され、座り心地もさらに快適になった。

この背景には、動力性能と燃費を向上するためにエンジンを刷新したうえに、助手席スーパースライドシートのスライドレールを装着するためにプラットフォームまで作り替えたことにある。設計を刷新する必要が生じたから、空間効率をさらに高めることができたわけだ。

新型N-BOXの助手席スーパースライドシートでは、シートの肩部分にベルトの引き出し口が付いている

新型N-BOXの助手席スーパースライドシートでは、シートの肩部分にベルトの引き出し口が付いている

ちなみに、助手席スーパースライドシートでは、どの位置でもシートベルトを体に密着させるため、通常はピラー(柱)にあるベルトの引き出しを助手席の背もたれに内蔵させている。そうなると、もし衝突した際に数トンに達するすべての荷重をピラーに頼らずシートのスライドレールだけで受け止めねばならない。そのために、スライドレールとその支え方を大幅に強化する必要が生じて、プラットフォームまで変更を受けているというわけだ。

新型N-BOXのラゲッジルームは初代よりも低床なため、重い荷物なども楽に積載できるようになっている

新型N-BOXのラゲッジルームは初代よりも低床なため、重い荷物なども楽に積載できるようになっている

このほか、ラゲッジルームの床面地上高も470mmと低く、初代N-BOXと比べても75mm低く抑えられている。これは、スライドドアを装着した軽自動車では最も低く、タント(595mm)やスペーシア(535mm)を大幅に下回るから、たとえば自転車などを積む時も前輪を大きく持ち上げる必要がない。燃料タンクを前席の下に搭載したからこそ可能となった低床設計といえる。

さらに、新型N-BOXでは初代の「欠点潰し」を行っている点も見逃せない。軽自動車はボディサイズが限られるため、初代N-BOXの室内の広さももはや限界に近かった。これ以上室内を大幅に広くするのは不可能であり、別の魅力を身につける必要がある。その柱が、欠点を潰すことだった。

新型N-BOXでは、安全運転支援システム「Honda SENSING」が採用されたことで、安全面が大幅に向上している。さらに軽自動車でありながらアダプティブクルーズコントロールが装備されるという点にも注目だ

初代の欠点潰しとしては、緊急自動ブレーキを作動できる安全装備の向上があげられる。初代は赤外線レーザー方式で、作動速度の上限は時速30km。歩行者の検知も不可能だったが、新型N-BOXではホンダの普通車と同様の安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダセンシング)」が装備された。

Honda SENSINGは、ミリ波レーダーと単眼カメラを併用して、緊急自動ブレーキは歩行者も検知する。作動上限速度は車両に対しては時速100km、歩行者も時速80kmと高い。時速40km以下で走行中に、路側帯を歩く歩行者と衝突する危険を検知した時は、歩行者を避ける方向(右側)にハンドルを回すよう電動パワーステアリングを制御する機能もある。

さらに、高速道路での走行を快適にする、アダプティブクルーズコントロールも採用されている。時速30km以上で作動中には、車間距離が自動制御されてペダル操作を軽減する。車線の中央を走れるように、電動パワーステアリングを制御する車線維持支援システムまで装備されている。

タントの「スマートアシストIII」やスペーシアの「デュアルカメラブレーキサポート」など、他メーカーの安全運転支援システムも2個のカメラを使って歩行者を検知し、緊急自動ブレーキを作動させる。だが、アダプティブクルーズコントロールは装備されていない。日産の「デイズルークス」は赤外線レーザー方式だから、作動速度の上限は時速30kmで歩行者は検知できない。

新型N-BOXでは、燃費も初代と比べて向上している。新型N-BOXのJC08モード燃費は、ターボを装着しないNA(自然吸気)エンジン搭載車が「27km/L」になった。マイルドハイブリッドを搭載するスペーシアの「32km/L」にはかなわないが、タントの「28km/L」やデイズルークスの「22km/L」よりも上だ。

新型N-BOXではエンジンやプラットフォームの刷新により、走行性能も大幅に向上している

新型N-BOXではエンジンやプラットフォームの刷新により、走行性能も大幅に向上している

新型N-BOXでは、走行性能も向上している。初代N-BOXでは実用回転域の駆動力が弱かったが、新型N-BOXは燃費と併せて動力性能も改善されている。パワフルとまではいえないが、平坦路では先代N-BOXのような力不足を感じにくくなっている。

前述のプラットフォームの刷新にともなって、走行安定性も高められている。先代N-BOXでは操舵感が鈍く、機敏に走ることが求められる市街地では違和感がともなった。峠道でも曲がりにくく感じたが、新型N-BOXであれば不満は感じない。ハンドルを切り始めてすぐにクルマの向きが素直に変わり、運転感覚も上質になっているのだ。

このように、新型N-BOXでは先代の特徴がさらに磨かれるのと同時に、欠点を潰すことで商品力が高められているのだ。

ホンダ 新型「N-BOX」エクステリアイメージ

ホンダ 新型「N-BOX」エクステリアイメージ

新型N-BOXは、価格も割安だ。軽自動車は基本的に国内専売で、薄利多売の商品だから大量に売る必要がある。ライバル車同士の競争も激しい。そのために設計の新しい車種ほど割安感が強まる傾向にある。

新型N-BOXで機能や装備の割に価格を安く抑えた買い得グレードは、標準ボディの「G・L Honda SENSING」だ。価格は149万9,040円で、ライバル車の買い得グレードとなるタントX・SAIII(142万200円)、スペーシアX(145万8,000円)、デイルスークスX(142万5,600円)と同じ140万円台の価格帯に位置する。そのうえで、新型N-BOX G・Lホンダセンシングは、すぐれた安全装備やフルLEDヘッドライトなどが標準装備されている。先進機能と高価な装備がセットされているうえで、価格も割安だ。

ホンダ 新型「N-BOX」エクステリアイメージ

ホンダ 新型「N-BOX」エクステリアイメージ

新型N-BOXは、ライバル車と比べて一歩抜きん出ており、トールワゴンタイプの軽自動車としての完成度はとても高い。だが言い換えれば、これほどの完成度が求められるほどに、昨今の軽自動車の競争は激化している。ダイハツやスズキも、新型N-BOXを徹底的に研究して、今後のモデルチェンジで巻き返しを狙ってくるのは間違いない。

軽自動車は、今後ますます安全で便利に、そして快適になり、今まで以上に日本のユーザーに愛される商品へと成長していくに違いないだろう。

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渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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2017.10.18 更新
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