日産「リーフNISMO」の走行イメージ
先代リーフと現行のノーマルリーフは、モーターそのものはおなじだが、制御系の見直しによって動力性能が引き上げられた。たとえると、先代リーフが2.5Lのガソリンエンジン並みとすれば、現行リーフは3Lクラスに相当する。そしてリーフNISMOでは、そこからさらに動力性能が引き上げられているのだ。
ノーマルリーフに比べると、アクセルペダルを深く踏み込んだ際に、その違いが感じられる。予想を超える駆動力が一気にタイヤへと加わり、車両を押し出すように鋭く加速させる。この感覚は、モーターを駆動して走る電気自動車ならではと言える。
エンジンは、回転の上昇にともなって駆動力を高めていくが、モーターは瞬時に高い駆動力を発揮する。リーフNISMOではその駆動力が強すぎて、慣れないと踏み込んだアクセルペダルを戻すハメになる。
110kW(150PS)の最高出力、320Nm(32.6kg-m)の最大トルクはベース車と同じだが、短時間で最大の動力性能を発揮するようにして、瞬発力を高めている。
リーフNISMOはスポーティーモデルと言えども、電気自動車なのでノイズが発生せず、それにより独特の雰囲気を生み出す。スポーティーカーならではの大きなエンジン音が聞こえれば、強い加速力も自然に受け取れるが、無音に近いので速さと高級感を両立させたような、不思議な感覚が得られるのだ。
サスペンションは、ショックアブソーバーがリーフNISMO専用となり、4輪ブレーキを独立制御して旋回性能を高めるインテリジェントトレースコントロールも、リーフNISMO専用の制御となる。
日産「リーフNISMO」の走行イメージ
この、インテリジェントトレースコントロールの効果は、とてもわかりやすい。ノーマルリーフでは、S字カーブを抜けたあとや、車線変更が終わった際などに、不安定な揺り返しを感じることがある。シャシーの性能に対して、1,500kg前後のボディが重すぎるのだ。だが、リーフNISMOは挙動の収まりがよく、コーナーリング直後でも安定している。後輪の接地性も十分に確保されていて、挙動が安定している。
評価:★★★★☆(4点)
コメント:ドライバビリティはスポーティーに仕上げられ、さらにノーマルリーフでは不安定であった挙動も解消されている。
乗り心地はやや硬めで、路上の凹凸が乗員へと伝わりやすい。にもかかわらず、段差を乗り越えたときの突き上げ感は上手に抑えられている。コーナーを曲がるときには、ボディの傾き方を小さくして安定性を高めながら、不快なショックは吸収している。
日産「リーフNISMO」のタイヤ&ホイール
タイヤサイズは18インチ(225/45R18)で、銘柄は「コンチネンタル・コンチスポーツコンタクト」。このタイヤはスポーツ指向で、指定空気圧は標準グレードと同じく250kPaと少し高いが、その割に快適だ。
評価:★★★★☆(4点)
コメント:リーフのボディは、乗り心地に関する素性がいい。そのために、スポーツ指向の足まわりとタイヤを装着しても、快適性が損なわれない。
日産「リーフNISMO」の単眼カメラ
単眼カメラを使った「緊急自動ブレーキ」と、「車線逸脱防止支援システム」は、ノーマルリーフと同様に、標準装備されている。緊急自動ブレーキの作動上限速度は、車両に対しては時速80km、歩行者は時速60kmだ。高速道路における安全確保を考えると、車両に対しては時速100kmまでカバーしてほしいと思う。
「横滑り防止装置」や「4輪ABS」は、リーフNISMO専用のチューニングを受けている。また、運転支援技術の「プロパイロット」は、メーカーオプションで装着することが可能だ。先行車に追従しているときの加減速はおおむね満足できるが、白線を読み取って行う操舵支援は、直進時でも少し探るようにハンドルが左右に動く。
評価:★★★☆☆(3点)
コメント:運転支援の機能は充実しているが、緊急自動ブレーキの作動上限速度に不満を覚える。車両に対しては、時速100kmまでカバーすべきだろう。
日産「リーフNISMO」のフロントフェイス
リーフNISMOの価格は、403万2,720円だ。ノーマルリーフは、「リーフX」が351万3,240円、「リーフG」が399万600円だ。リーフNISMOは、リーフXをベースに専用エアロパーツ、サスペンション、モーター制御機能など、幅広い分野にわたってチューニングやドレスアップが施されている。さらに、LEDヘッドランプなども装着されるなどで、約52万円の価格アップであれば、割高感は生じない。
評価:★★★☆☆(3点)
コメント:チューニングやドレスアップが施されたリーフNISMOは、ユーザーが購入後にみずからチューニングするのに比べて、価格が抑えられている。
日産「リーフNISMO」のテールイメージ
電気自動車のリーフをベースに、動力性能まで含めてチューニングされていることで、従来のスポーティーカーとは異なる、独特な運転の楽しさを味わえるのがリーフNISMOだ。
特に、パワーを一気に解き放つような加速感、そしてすぐれた静粛性の両立は、高性能な電気自動車ならではと言える。
これまで、さまざまなスポーティーカーを乗り継いだユーザーには、ぜひいちどリーフNISMOに試乗してみてほしいと思う。
評価:★★★★☆(4点)