レビュー
ゴルフ譲りの走りとミニバンの使い勝手を兼ね備えた!

“7人乗れるゴルフ”VW「ゴルフトゥーランTDI」ディーゼルに試乗!

2018年10月1日、フォルクスワーゲンの7人乗りミニバン「ゴルフトゥーラン」へ、ディーゼルエンジンの「TDI」を搭載したモデルが追加された。

フォルクスワーゲンの7人乗りミニバン「ゴルフトゥーラン」にディーゼルエンジン「TDI」搭載モデルが追加された

日本におけるゴルフトゥーランのTDIモデルは、「ハイライン」と「コンフォートライン」の2グレードが展開されている。そのうち、ハイラインをおよそ1,000kmの長距離テストへと連れ出したので、その印象をレポートしよう。

■VW ゴルフトゥーラン TDIモデルのグレードラインアップと価格

Golf Touran TDI Highline:4,079,000円
Golf Touran TDI Comfortline:3,699,000円

矢継ぎ早にディーゼルを投入するフォルクスワーゲン

フォルクスワーゲン「ゴルフトゥーラン TDI」のフロントイメージ

フォルクスワーゲン「ゴルフトゥーラン TDI」のフロントイメージ

フォルクスワーゲン「ゴルフトゥーラン TDI」のリアイメージ

フォルクスワーゲン「ゴルフトゥーラン TDI」のリアイメージ

日本へゴルフトゥーランが初めて導入されたのは、2004年のことだ。“輸入コンパクト7人乗りミニバン”という位置づけで、日本ではこれまでに5万2,000台ほどが販売された。VWでは、ゴルフトゥーランよりもサイズの大きい「シャラン」というミニバンも存在するが、シャランとの棲み分けはヒンジドアかスライドドアかというところにある(ゴルフトゥーランにはヒンジドアを採用)。

フォルクスワーゲン「ゴルフトゥーラン」にはヒンジドアが採用されている

フォルクスワーゲン「ゴルフトゥーラン」にはヒンジドアが採用されている

フォルクスワーゲン グループ ジャパン 広報部 製品広報の池畑浩さんによると、シャランを購入するユーザーのほうが年齢は若いという。「スライドドアが便利なことで、小さなお子様がいる層が購入されています。自分で乗り降りできる年齢くらいの子供になると、ゴルフトゥーランのようなヒンジドアも購入対象になってきます」とのことだ。

また、「輸入MPVにおいても、積極的にメーカーがディーゼルを導入しており、30%を超えるシェアにまで成長してきました。日本のミニバン市場が微減傾向にあると言われていますが、輸入MPV市場はディーゼルエンジンの導入によってにぎやかになっています」とディーゼル投入の背景を語る。

ゴルフトゥーランの特徴について、池畑さんは、「ゴルフトゥーランは元々、クラストップレベルの安全性や積載量(最大1,857L)といったことが大きな購入動機になっていましたが、TDI投入により、日々の燃料代を含めたランニングコストがそこに加わるでしょう。また、ゴルフトゥーラン自体がゴルフ譲りのしっかりとした走りが楽しめるクルマですので、そこにディーゼルらしいトルク豊かな走りも楽しめるというメリットもお客様に提供できることになります」とアピールした。

フォルクスワーゲン「ゴルフトゥーラン TDI」へ搭載されている「2リッターディーゼルターボエンジン」

フォルクスワーゲン「ゴルフトゥーラン TDI」へ搭載されている「2リッターディーゼルターボエンジン」

ゴルフトゥーランに搭載されるエンジンは、先に投入された「パサート」や「ティグアン」と同じEA288型の2リッターディーゼルターボだが、最高出力150PS、最大トルク340Nmとパサートよりは少し抑えられている。そこに組み合わされるトランスミッションは、6速DSGだ。安全運転支援システムも、渋滞時追従支援システム「Traffic Assist」やレーンチェンジアシストシステム「Side Assist Plus」、駐車支援システム「Park Assist」、荷物を積み込む際に便利な「パワーテールゲート」などの先進技術が採用されており、乗員の疲労を軽減するとともに、安全性も向上している。

高いボディ剛性とスムーズなACC

フォルクスワーゲン「ゴルフトゥーラン」の走行イメージ ※画像は海外仕様

フォルクスワーゲン「ゴルフトゥーラン」の走行イメージ ※画像は海外仕様

今回のゴルフトゥーラン試乗は高速道路が主体であったので、まずは高いスピードレンジにおける印象からお伝えすると、ミニバンにもかかわらずボディ剛性が高いのは、VWならではと感心した。開口部の大きいミニバンの場合、どうしても剛性が低くなりがちなのだが、ゴルフトゥーランに関しては決してそのようなことはなく、目地や段差などを超えても嫌な振動やねじれなどは感じず、また静粛性も高い。その結果、しっかりとした直進安定性が生み出されており、長い直線などではステアリングに手を添えているだけで事足りる。

フォルクスワーゲン「ゴルフトゥーラン」のアダプティブクルーズコントロールの快適さに、ついステアリングを握る手がゆるんでしまう

高速道路では積極的にACC(アダプティブクルーズコントロール)などを活用したのだが、安定性の高さからステアリングを握る力がついゆるんでしまい、ステアリングを握るように警告が発せられるほどだった。

そのACCの作動そのものも、スムーズで好感が持てる。とくに車線変更時などでは、右にウインカーを出して追い越し車線へと移動する場合、他メーカーのACCの多くは完全にレーンチェンジが終わるまで加速せずにもたつくことが多いのだが、ゴルフトゥーランの場合はウインカーを付けると同時に、通常のアクセル操作をしているときと同じように加速体制に入るのだ。その加速感も、急激ではなくドライバーの感覚に非常に近いアクセル操作で、より自然な作動であった。

フォルクスワーゲン「ゴルフトゥーラン」の走行イメージ ※画像は海外仕様

フォルクスワーゲン「ゴルフトゥーラン」の走行イメージ ※画像は海外仕様

また、前走車が車線変更でいなくなり、その少し前に別の前走車がいるといったシーンはよくあるだろう。その際、多くのACCでは急加速したかと思うと、急にブレーキがかかるというぎくしゃくした動作をすることが多いのだが、この点もゴルフトゥーランでは前方の車両をきちんととらえ、むやみに加速しなかったのは好印象であった。

ゴルフトゥーランの乗り心地は若干硬く、道路の継ぎ目などでの突き上げが気になった。ただし、これは2つの条件を考慮しなければならない。ひとつはテスト車が1,000Kmも満たない新車同然の走行距離であったこと、そしてもうひとつはほとんどの行程で1人乗車だったことだ。当然7人乗りなのでフル乗車も視野にセッティングをしているはずなので、その影響で、1人乗車では硬さにつながったのではと想像する。また、タイヤサイズが215/55R17(コンチネンタル・コンチプレミアムコンタクト)であったので、コンフォートラインの205/60R16であれば、よりしなやかな乗り心地を味わえたと思う。

今回、ゴルフトゥーランで積極的にACCを使用したのには、実はテストという以外にアクセルペダルの角度がいまいちであったことがあげられる。長時間、一定の角度でアクセルペダルを踏み続けていると、足首が疲れるのだ。また、アップライト気味のステアリングポジションは気になる人もいるかもしれないが、筆者も最初は気になったものの1時間もすれば慣れてしまった。

パサートのエンジンを搭載してほしかった

フォルクスワーゲン「ゴルフトゥーラン TDI」の走行イメージ

フォルクスワーゲン「ゴルフトゥーラン TDI」の走行イメージ

ゴルフトゥーランに搭載されているディーゼルエンジンは、設計が少し古いために上り坂などで強くアクセルを踏み込むと、エンジンノイズが少々耳につくことがあった。また、そのようなシチュエーションでは1人乗りにもかかわらず、若干物足りなく感じることもあったので、フル乗車ではアンダーパワーを感じてしまうだろう。同社の「パサート」では出力とトルクが高い(190ps、400Nm)エンジンが搭載されていることから、ゴルフトゥーランにはなぜこちらを選ばなかったのか、疑問が残る。

フォルクスワーゲン「ゴルフトゥーラン TDI」の走行イメージ

フォルクスワーゲン「ゴルフトゥーラン TDI」の走行イメージ

市街地においても、ゴルフトゥーランの印象はほとんど変わらない。ディーゼルエンジン音は、車外へ出て聴いてみると意外とカラカラという音が聞こえてくるが、室内に入ればきちんと遮音されているので気になることはなかった。ただし、一気にアクセルを踏み込むと、かなりのエンジン音が車内へと入ってくるので注意したい。

ミニバンとしての資質は高いが、シート操作はやや重め

フォルクスワーゲン「ゴルフトゥーラン TDI」は視界がよく、ミニバンながら運転がしやすい

フォルクスワーゲン「ゴルフトゥーラン TDI」は視界がよく、ミニバンながら運転がしやすい

ゴルフトゥーランは、ヒップポイントが高めで見晴らしがよく、運転しやすい。とくにウエストラインが水平なこと、また、ドアミラーがドアから生えているため、むやみに視界が遮られることがない点は、ファミリーカーとして評価できる。

フォルクスワーゲン「ゴルフトゥーラン TDI」のフロントシートは疲れ知らずで、長距離も難なくこなせる

フォルクスワーゲン「ゴルフトゥーラン TDI」のフロントシートは疲れ知らずで、長距離も難なくこなせる

また、シートも乗り降りしやすく、長距離を走ってもむやみに疲れることはなかった。今回は、東京から名古屋まで高速道路を使って往復する必要があったのだが、その往復ともノンストップでこなすことができたくらいだ。

フォルクスワーゲン「ゴルフトゥーラン TDI」のセカンドシートは、3人分のシートを個別に倒すことができる珍しい仕様なのだが、使い勝手が高い代わりにシートを倒す操作が重いのが難点だ

使い勝手の面では、気になることがある。ひとつはシートレイアウトの操作だ。2列目は1席ずつ倒すことができるなどよく考えられているが、その操作が非常に重いのだ。シートの剛性や座り心地を保つためには致し方ないところはあるものの、このあたりが楽にこなせないと宝の持ち腐れになりかねない。ぜひ、もうひと工夫加えてもらいたいところだ。

フォルクスワーゲンやアウディのナビゲーションは、国産メーカーに搭載されているナビと比べて操作しづらく、ゴルフトゥーランも例外ではなかった

また、純正のナビは相変わらず使いにくい。アウディも同様なのだが、目的地設定が非常にやりにくく、音声入力で行き先がセットできればいいのだが、システムが“ご機嫌斜め”だと、きちんと反応してくれないことがある。そのために、最終的には複数ある目的地設定から手間暇をかけて入力しなければならないのだ。また、これは個体差だと思われるが、テスト車はピンチアウトで地図を拡大しても、スケールは50mなどと表示されても実際の画面は1kmから変わらないといったことが多々あった。

ゴルフトゥーランは “VWらしさ”を忠実に表すミニバン

最後に燃費だが、市街地は「12.9km/L」、郊外路は「18.3km/L」、高速道路では「19.3km /L」を記録した。ゴルフトゥーランはボディサイズやエンジン設計がやや古く、出力やトルクが若干足りないことも影響して、高速道路でも「20km/L」には届かなかった。せめてパサートと同じ出力とトルクを備え、かつ、「ティグアン」と同じ湿式7速DSGを手に入れることができたのなら、もう2割程度は伸びたことだろう。

ゴルフトゥーランは、どんなシチュエーションにおいても穏やかなクルマであり、それはこのクルマが持つ個性ともいえる。クルマが自己主張することなく、ドライバーや乗員をいかに快適に、かつ安全に目的地まで運ぶか。それはフォルクスワーゲンというメーカーの多くのクルマがそうであるのだが、そのことを最も忠実に表現しているのが、このゴルフトゥーランと言えるのかもしれない。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

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