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ドライバーをサポートする安全機能も充実

装備は最小限でも寝心地は上々!ハイブリッドになったトヨタ「プロボックス」も車中泊にイイ!!


軽自動車からワンボックスまで、さまざまな車種で車中泊している筆者が今回セレクトしたのは、トヨタの商用車「プロボックス」。車名を聞いてもピンとこない人でも車体を見れば「見たことがある!」となるほど、多くの台数が街中を走り回っている車種だ。そんな商用車での寝心地を確かめてみた!

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商用車ならではのスペース効率

荷物を積んで運ぶことを目的とした商用車は、余計な加飾や機能を省いてスペース効率を高めているため、実は、車中泊に向いている。普通の自動車であれば乗り心地も重要なので、リアシートは厚みのあるものとされ、リクライニングもするが、商用車はリアシートを折りたたんで荷室スペースとして使われることが多いため、クッション性はほぼなく、リクライニングもしない。だが、リアシートに厚みがないということは、折りたたんで荷室とつなげた際の段差ができにくいということでもある。これは、商用車が長さのある荷物を積むことを前提に作られているからだ。今回取り上げるプロボックスも、車中泊として使う荷室空間の床面に段差はできない。さらに、めいっぱい荷物が積めるムダのない設計とされているので、奥行きや幅も広くゆったりと横になることができる。

近年は流線形のデザインがトレンドだが、隙間なく荷物を積めるように角ばったフォルムとなっている。車体サイズは4,245(全長)×1,690(全幅)×1,525(全高)mm

プロボックスのプラットフォームは同社の「ヴィッツ」と同じだが、商用車なので荷室は圧倒的に広い。2019年に発売された「ヴィッツ ハイブリッド」の荷室の広さは1,000(幅)×625(長さ)×745(高さ)mmなのに対し、プロボックスは1,420(幅)×1,040(長さ)×935(高さ)mmと、特にたっぷりと長さがある

荷室に出っ張るタイヤハウスは最小限にされ、側面の窓も内側に傾斜させないなど、極限まで荷物を積める設計となっている。床面にはビニールが貼られているので、泥が付いても拭き取りやすい

その分、リアシートは前よりに配置されており、シートのクッションは例にたがわず薄手。リクライニングもしないので、長時間座っているのはキツそう

リアシートを倒すと、このように荷室とつながる。シートが薄い分、リアシートを倒した時の荷室との境に段差はできない

車体前方に向かって傾斜がついているように見えるが、角度は比較的小さいほう。さらに、寝っ転がるとリアシートの部分は沈み込むので、寝る際には気にならない

プロボックスと荷室形状や長さが近いSUVの場合、ユーティリティスペースは広いものの段差や隙間ができない車種は、近年の車中泊ブームで増えてきているとはいえ、まだそれほど多くない。写真は、SUVの中で車中泊向きといえるスバル「フォレスター」。プロボックスと車長やリアシートを倒した感じは似ているが、フォレスターのリアシートのクッションは厚みがあるため、プロボックスのほうが実際に寝た時に感じる傾斜は小さい

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また、車中泊向きの自動車には、リアシート部の傾斜は少ないが、リアシートと荷室のつなぎ目に隙間ができるものもある。マットなどを敷けば寝られるので、こういった車種も車中泊向き。“車中泊向き=完全にフラット、まったく隙間がない”というワケではないことを覚えておいてほしい

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比較として普通の自動車(フォレスター/プロボックス)のリアシートを倒した状態を紹介したが、商用車で人気のホンダ「N-VAN」の様子も載せておく。商用車は荷室スペースを広げて使えるように、段差ができないように設計されているものが多いのだ

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寝心地や過ごしやすさをチェック!

若干の傾斜はついているものの、床面に段差や隙間はなくフラットな居住空間ができるプロボックス。寝心地を実際に1泊して確かめてみた。

リアシートを倒して荷室を広げると、荷室長は1,810mmになるので、身長175cmの筆者でも車体に対して垂直に横になることができた。なお、カタログに記載されている「荷室長」は収納できる荷物のサイズを指しているため、床になっている部分は数値よりも短いので、スペックだけで判断しないほうがいい

荷室長は足りているが、後頭部に逆向きの傾斜があり、このまま寝るのは若干違和感がある

荷室長は足りているが、後頭部に逆向きの傾斜があり、このまま寝るのは若干違和感がある

そんな落ち着かない頭の状態を解決するには、枕! 枕を使えば違和感なく寝られる

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ビニールが敷かれた床面は少々やわらかいものの、クッション性のあるマットを使用したほうが快適性は断然高まる

まっすぐ縦に寝転べば大人2人が横になれるほどの広さがあるので、ひとりなら大の字で寝るのも余裕!

まっすぐ縦に寝転べば大人2人が横になれるほどの広さがあるので、ひとりなら大の字で寝るのも余裕!

撮影するためにリアゲートは全開しているが、実際に車中泊する時はもちろん閉めている。リアゲートを閉めると、足の裏がちょうどリアゲートに当たるくらいになった。一般的に外気温が低くなると、こうした部分から体が冷やされていくのだが、プロボックスはリアゲート内側に毛羽立った素材が貼られているので、体に伝わる冷たさが少しは緩和されるのではないだろうか

ひとりで使うなら、車体に対し斜めになって寝てもいい。このように横になったほうが、頭の上や足の下に余裕ができる

実際に1泊してみたが、寝心地はかなりいい。フラットで広いため、きゅうくつさもなく、体の向きも自由に変えられる。限られたスペースで寝る車中泊は、動きづらさや納まりの悪さなど、少しの違和感がストレスとなってしまう。1泊程度ならがまんできるが、連泊するとなれば、こうした不安要素は少なくしておきたいもの。この点においてプロボックスは、なかなか優秀だ。今回筆者は、最小限の就寝グッズしか使用していないので、もっとグッズや装備を充実させれば、快適さもより高まるだろう。

UVカットガラスが採用された窓にはスモークは貼られていないので、シェードを用意したほうがいい。シェードは目隠しや日射をさえぎるだけでなく、防寒対策にもなる。プロボックスの壁面は薄く、断熱性能は期待できないので、冬場に車中泊するなら断熱性能を備えたシェードを使うといいだろう

そして、寝ている時に役立った機能がひとつある。今回、車中泊した時期が夏だったにもかかわらず、窓にシェードを装備していなかったため、朝方に陽が差し込み、車内の温度はどんどん高くなっていった。夏場であれば、たとえシェードをしていたとしても、車内の温度上昇はもれなく起こるもの。アイドリング禁止の地域ではカーエアコンは使えないので、本来であれば、就寝前に少し窓を開けておけばよかったのだが、うっかり閉めたまま寝てしまったため、暑さで目が覚めてしまったのだ。こうなったら、窓を開けて換気するしかない。その時に、ありがたみを実感したのが、レバーを回して開けるタイプの窓だったこと。もし、パワーウィンドウだったなら、わざわざ運転席まで移動してアクセサリー電源をオンにしなければ操作できなかった。

電動で開閉できるパワーウィンドウは便利だが、回転式レバーのタイプはエンジンを切っている時にも開け閉めできるので車中泊に向いている

車中泊は、車内で寝るだけでなく、食事をとったり、部屋でくつろぐように過ごしたりする。そのあたりの過ごしやすさもチェックしてみた。

食事する際に使用できそうな引き出し式のテーブルが、運転席と助手席の間にある

食事する際に使用できそうな引き出し式のテーブルが、運転席と助手席の間にある

耐荷重は10kgなので、飲食物を置いてもまったく問題ない。ガタツキや傾斜もないので、汁物も安心して載せられる

前席に移動するのがめんどうなら、寝ていたところで食事をとってもいい。荷室高が935mmあるので、座高が高めの筆者でも頭を天井にぶつけることなく座ることができた

飲み物や汁物を床に置くのが不安なら、タイヤハウス横の平らになったスペースを使うのもよさそう

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天気がいい時は、リアゲートを開けて腰かけて食事するのもよさそうだ

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開口部も段差のない設計。本来は荷物の出し入れをしやすくするための工夫だが、開口部に座った時にお尻が痛くならないというメリットもある

ハイブリッドモデルは車中泊に役立つ

プロボックスのライバルとしてあげられる日産「ADバン」をはじめ、フラットで荷室長も十分な荷室空間を作れる商用車はほかにもある。そんな中、プロボックスを選出したのは、ハイブリッドモデルが追加されたからだ。ハイブリッド車であれば、エンジンをかけずにバッテリーから給電できる時間が長い。プロボックスに標準装備されている電源は、USBポートと120W(DC12V)までの電化製品が使えるシガーソケット。出力はそれほど大きくはないが、扇風機や電気毛布、ノートパソコンは十分使える。夏場や冬場の車中泊には、充電式の扇風機やモバイルバッテリーで駆動する電気毛布を使用している人も多いが、プロボックスのハイブリッドモデルであれば、家で使っている電源コード付きのタイプを車内に持ち込むことも可能だ。なお、ガソリン車でも同じような状態で給電できるが、バッテリーが上がる可能性があるため、エンジンをかけたうえで使用するのが基本だと考えておいたほうがいい。

1,496ccのエンジンにハイブリッドを組み合わせ、燃費はJC08モードで27.8km/Lを実現

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USBポートとシガーソケット(DC12V/120W)が標準装備されている。オプションのACコンセント(100W)を取り付ければ、シガーソケットと同時に使用可能

このほか、ビジネスユースで1日中使われることを想定した商用車らしい設計でいいと感じたところがいくつかあるので紹介しておきたい。

車中泊で寝るためのスペースにはドリンクホルダーはなかったが、運転席まわりには3つも!

車中泊で寝るためのスペースにはドリンクホルダーはなかったが、運転席まわりには3つも!

運転席と助手席の間にあるドリンクホルダーにはカバーが装備されており、カバーを開閉することで紙パックとペットボトル、それぞれのドリンクがジャストで納まる

このドリンクホルダーのカバーは2重構造となっており、ドリンクを挿す穴のない状態にすればトレイになる。上部にUSBポートやシガーソケットがあるので、充電中の機器を置いておくことも可能だ。スマートフォン用のマルチホルダーも装備されている

グローブボックスにフタがないので、買ったものをサッと入れておくこともできる。本来は、伝票や書類などを出し入れしやすくするための設計だと思われるが、車中泊目的で移動する際にも役立った

なお、姉妹車に「サクシード」というモデルもあるが、車名と販売ルートが異なるだけで、プロボックスとほぼ同じ車種だ。

まとめ

商用車で車中泊するのは、ホンダ「N-VAN」日産「NV350キャラバン トランスポーター」に続いて3台目となるが、毎回、スペース効率の高さや意外なほどの快適さに驚かされる。プロボックスは車中泊を視野に入れて設計されていないため、過去に紹介した2車種の商用車とは異なり、メーカーや関連会社の公式オプションは用意されていないが、幅も長さも十分あり、フラットな荷室スペースはなかなかいい寝心地だった。

とはいえ、商用車なので走行中の座り心地はそれなり。特に後席の座り心地は期待できないため、家族みんなで出かける際に使うのはつらいかもしれない。だが、自動ブレーキ「プリクラッシュセーフティ」や、車線のはみ出しを警告する「レーンデパーチャーアラート」などを作動する「Toyota Safety Sense」を搭載し、安全性を高めている点は評価できる。車中泊では遠出することも多いので、安全機能が充実していることはドライバーの負担軽減につながるはずだ。

フロントウインドウに装備されたカメラとレーザーレーダーで前方を監視する

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増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

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