日本ミシュランタイヤが本社機能を群馬県太田市に移したことを大歓迎している太田市在住のライター、マリオ高野です。
2023年8月より群馬県太田市の開発拠点に本社機能を集約した日本ミシュランタイヤ。ここは1990年代からミシュランのアジア市場向けタイヤの研究開発拠点「R&Dセンター(太田サイト)」として機能してきました。次世代タイヤや金属積層造形の開発研究が行われています。タイヤの生産は海外の工場が担います
ミシュランタイヤはフランスの老舗タイヤメーカーで、130年以上も前から自動車用空気入りタイヤを開発してきました。「カーカス」と呼ばれるタイヤの骨格部分を放射状に配置したラジアルタイヤを世界で初めて市販したなど、歴史の長さと技術力の高さに定評があります
このほど、愛車スバル「BRZ」のタイヤを新調。ミシュランのスポーツタイヤ「パイロットスポーツ(Pilot Sport)4S」を選んだところ、期待以上に好印象だったので、詳細を報告させていただきます。
まず、「BRZ」は純正装着のタイヤが元々ミシュラン製。Rグレードは「プライマシー(PRIMACY)HP」を、Sグレードは「パイロットスポーツ4」を装着しています。筆者の「BRZ」はRグレードながらアルミホイールをBBS製の「RI-A」に変更し、インチアップしたと同時に「パイロットスポーツ4」を装着。その詳細については、こちらをご参照ください。
これまで装着していたミシュラン「パイロットスポーツ4」は、ドライ路面、ウェット路面ともにグリップ感の高さがとても好印象だったので、これの進化版である「パイロットスポーツ5」が気になるところでしたが、今回はよりスポーツ性の高い「パイロットスポーツ4S」を選びました。
「パイロットスポーツ4S」は2017年に発売されたタイヤで、サーキット走行にも高いレベルで対応できる高性能車向けのハイグリップタイヤです。筆者の愛車はサスペンションやブレーキ、ホイールなどをカスタマイズしており、サーキット走行も楽しみたいため、よりスポーツ性の高いタイヤを求めた結果の選択です。
筆者の「BRZ」はカスタマイズにより、車高を約25mmダウン。サスペンションは標準の仕様に比べて引き締まった状態ですが、それゆえにグリップ力の高い「パイロットスポーツ4S」との相性は非常によい印象です
トレッドの内側には高強度、かつ耐熱安定性にすぐれたハイブリッド・アラミド/ナイロンベルトを採用。サーキット走行時など、高負荷下で加熱が進んだ状況でも高いグリップ感を維持する性能の高さが魅力です。ちなみに、タイヤに打刻された製造年月は2023年の第8週目でした
高次元のウェット性能を確保しながらトレッド面に対する溝の割合を抑え、接地面積を最大限に確保。また、タイヤの外側と内側で2種類のコンパウンドを配分し、ドライ路面での外側の踏ん張りと、ウェット路面での内側の路面への食いつきを高めています
「パイロットスポーツ4S」は「WRX STI」の限定車や、「コルベット」「GRヤリス」など本格的なスポーツモデルに純正装着され、それらの試乗で大変好印象だったことも選択の理由となりました。
「パイロットスポーツ4S」は高性能スポーツモデル向けのため、発売された当初は19インチ以上のサイズしか選べなかったものの、今では17〜18インチサイズも設定されたことも選択の大きなポイントに。
価格.com検索により、最安値に近いショップ(品川ゴム通販部)で注文、幸運にも筆者の希望したサイズの在庫があり、注文確定から2日で自宅に届きました。
ミシュランタイヤは輸入品なので、在庫がないと納期が数か月かかる場合もありますので、その点はご注意ください。
今回筆者が購入したサイズは「225/40ZR18」。2023年7月30日現在、価格.comで最安値に近い金額を表示していた品川ゴムさんでは、4本送料込みで120,420円でした。注文確定後すぐに送付されましたが、ミシュランタイヤは輸入品ゆえ、場合によっては納期が長くなるので、在庫や納期のチェックも忘れないようにしましょう
タイヤラベリング制度で最高レベルのウェット性能「a」を獲得。転がり抵抗係数はあまりよくありませんので、燃費には期待できませんが、その分、常に路面に強く食いついている感覚が得られます。騒音については、絶対的に静かなタイヤではないものの「低車外音タイヤ」には該当。音質は低めなので、不快なノイズは少なく感じられます
アルミホイールへの組み替え作業(重量バランス調整も含む)は、タイヤ専門店やカー用品店、整備工場などに依頼します。タイヤの持ち込み交換作業を受け付けてくれる業者さんは少なくないので、探すのにそれほど苦労はしませんが、今回筆者が購入したサイズだと、交換費用はタイヤ1本あたり2,500〜3,000円ほどになります。廃タイヤの引き取り費用がかかる場合も多いので、その点も確認しましょう。
装着後の街乗りでの印象や「パイロットスポーツ4」との比較をまとめると、下記のとおり
【操縦性】
・街乗りでも動き出した瞬間からタイヤをワンサイズ太くしたかのような高いグリップ感が伝わり、コーナーでのクルマの動きがより機敏なものに感じられる。接地感もより濃厚に。
・加速時はより力強く、制動時はより頼もしく止まる感覚が得られる。その分、抵抗感はわずかに増したかのように感じられる。燃費はわずかに悪化(0.1〜0.2km/L)。
・高速巡航中は、より力強く路面に食いつきながら直進する感覚が得られるため、運転の疲労軽減につながる。
・雨で濡れた路面でも、街乗りならドライ路面と同じ感覚のグリップ力が得られる。
・グリップ感とともに重厚感も高まる一方、軽快感の類いはやや減退する。
【快適性】
・乗り心地はやや硬くなったが、タイヤ本体の衝撃吸収性が高いので、スポーツカー用としては気にならない。個人的にはむしろ好ましいとさえ感じられる。
・騒音の大きさ自体は「パイロットスポーツ4」とほとんど同じか、わずかに高まったと感じられるものの、音質はより低く、高周波系のノイズは少なくなったと感じられるため、総合的な静粛性は同じレベル。
筆者の「BRZ」はカスタマイズを施してありますが、総じて今回のタイヤ交換はよい方法に向いたと感じられます
今回「パイロットスポーツ4S(225/40ZR18)」を装着した「BRZ」の足周りや車体の仕様には以下のとおり。
・ビルシュタイン車高調B14(車高25mmダウン)
・18インチBBS RI-A(037)
・STIドリルドディスク
・STIフレキシブルVバー
・STIフレキシブルドロースティフナーリヤ
より本格派のスポーツタイヤということで、快適性やコンフォート性については悪化するのを覚悟したものの、乗り心地はスポーツカーとしては許容できる範囲での悪化にとどまりました。個人的な好みからすると、むしろ理想的と思える快適性が実現しています。
グリップ感については期待どおりで、どんな場面でも路面にグイグイ食いつく感覚は快感といえます。サーキット走行での性能を試すのが楽しみです。
「パイロットスポーツ4S」が純正装着されるC8型「コルベット」では、305/30ZR20という大径&超低扁平タイヤでも良好な乗り心地を確保。500馬力オーバーの2輪駆動車ながら、大雨の中でも不安を感じることなく走行できたのがとても印象的でした
「GRヤリス」では、競技車両的なセッティングながら、過度に硬さを感じさせない乗り心地のよさに感心しました
2018年に発売された「WRX STI」の限定車「TYPE RA-R」では、状況を問わず高いグリップとコントロール性を発揮する総合的なバランスの高さにより純正採用