キャンピングカーの近年のトレンドと最新モデルを、2025年1月31日〜2月3日に開催された「ジャパンキャンピングカーショー2025」でウォッチ! 購入しやすい軽キャンパーや人気の高いバンコンなどの注目モデルから、スズキ「ジムニー ノマド」をベースとした話題性の高いモデルまで紹介する。
(※本記事での価格はすべて税込表記となります)
軽自動車をベースとした「軽キャンパー」はエントリー層向けとして人気だが、近年は価格の安さをアピールするモデルは目立たなくなり、クーラーなどの装備を充実させたモデルが増えてきている。そのため、価格はやや上昇傾向。昨今の夏場の暑さを考えると、通年で車中泊をするならエアコンは必須だろう。
軽キャンパーはスペースが限られるため就寝できる人数は大人2人までという場合が多いが、本モデルは2段ベッドのような構造とすることで3人就寝を実現した。内装は「クオッカ」シリーズの特徴であるヒノキ材がふんだんに使われており、落ち着いて過ごせる空間に仕上げられている印象。クーラーはオプション設定だが、テールゲート部に換気扇を標準装備するなど快適に車中泊するための工夫を随所に施している。
ベース車はダイハツ「ハイゼットカーゴ」 。車両本体価格は2,606,500円で、クーラーやリアカーテン、ローダウンなどのオプションを装着した展示車両は3,278,916円だ
ベッドを展開すると、大人3人の就寝が可能(乗車人数は4人)。ベッドにもヒノキ材が使われている。ベッドの反対側手前にあるのが、オプションの「12VDCクーラー」。縦型なのでスペースを取らない。使用するにはポータブル電源が必要
テールゲートに車内の熱気を抜くための換気扇を装備している。窓に設置するタイプが一般的だが、こちらのほうがスマートな印象。暑い時期、前側の窓を少し開けて(網戸装着)換気する人は多いが、そのときにこのモデルのように車体後方下のほうに換気扇が配置されていると、足元の空気が抜けやすく、効率よく換気できる
軽キャンパーのベース車として人気の高いホンダ「N-VAN」 にポップアップルーフを追加したモデル。車内で2人、ポップアップルーフで2人の計4人で就寝できるため、最大乗車人数4人で出かけても全員で車中泊できる。テーブルは車内だけでなく、車外にも展開できる仕様。運転席には回転機構が備えられているので、テーブルを囲む椅子としても使用可能だ。
車両本体価格は3,854,400円。特別車体色に加え、ポップアップルーフを車体と同色にするなどのオプションを装備した展示車両は3,920,400円
助手席側がピラーレスで開口部が大きい設計。この部分に腰掛けることも可能だ。室内高が高く、開口部の広い「N-VAN」の特徴を生かして空間を設計している
ポップアップルーフには車内からアクセス可能。サイドパネルや内装に木材を多用した内装の雰囲気もいい
2024年に発売されたばかりの電気自動車「N-VAN e:」をベースとした軽キャンパーが早くも登場。ポータブル電源を装備しなくても、走行用バッテリーで家電製品を動かせるのがポイント。たとえば、12Vのクーラーならば約40時間可動できるという。バッテリーでの走行可能距離は245km(WLTCモード時)とそれほど長くないが、家電製品に使えることを考慮するとEVのキャンピングカーには可能性を感じる。
車両本体価格は4,019,400円。ポータブル電源や電子レンジなどのオプションを搭載した展示車両は4,390,100円
2段ベッドのような構造により、3人就寝を実現。室内高のある「N-VAN」の利点が生かされている
展示車両にはベッドの下に電子レンジと1kWのポータブル電源が収納されていた。なお、ポータブル電源は走行バッテリーから充電できる
日本のキャンピングカー市場の主力であるバンをベースとした「バンコン(バンコンバージョン)」は、ベース車のバリエーションが増加傾向。トヨタ「ハイエース」 が多いなか、日産「キャラバン」 や車体が一回りコンパクトなトヨタ「タウンエース」 など日常使いしやすいクルマをベースとしたモデルが増えている。
コンパクトなトヨタ「タウンエース」をベースに、FRP製のルーフを新設。ハイルーフとすることで収納場所を拡大し、車内での着替えやベッド展開をしやすくしている。走行充電が可能な電装システムは24V化されており、高負荷時の電圧低下や発熱を抑制。FFヒーターのほか24Vのクーラーも標準装備しているので、季節を問わず快適に泊まれる。
車両本体価格は7,888,100円。ボディ塗装やデカール、バックカメラなどのオプションを装着した展示車両は8,853,900円
日常で運転しやすいサイズの車体ながらハイルーフ化によって余裕が生まれ、車内での快適性は上々。木材を多用した内装の雰囲気もいい
標準装備の24Vクーラー「CAM COOL」は木製のボックスの中に収まる。室外機も一体となった構造なので、取り付けやすい
インテリアや架装パーツなどを選んでカスタムオーダーできるサービス「Style_iD」が今回の目玉。カスタマイズできる部分は20か所以上あり、ボディカラーだけでも20色以上用意されている。ボディカラーといってもメインカラーだけでなく、ミラーの色、アッパーとボトムの色、フォグランプカバーの色などをそれぞれ選択可能。このサービスを使えば、世界にひとつだけのキャンピングカーが手軽に作れそうだ。なお、「Style_iD」はホンダ「フリードクロスター」 からスタート。今後、第二弾、第三弾とベース車のバリエーションは増えていく予定だ。
「フリードクロスター」(FF、5人乗り)の車両本体価格は3,162,500円。ブースには年齢層やライフスタイルなどにあわせて仕上げた4つのスタイルが展示されていたが、今回取り上げるのはファミリーキャンパー向けに作られたもの(価格は7,002,600円)。サイドオーニングもオプションだ
選択するインテリアなどで雰囲気はもちろん、使い勝手も変わる。回転シートやテーブルキットを選べば、車内での快適性が向上しそう
ポップアップは新設計のもの。ポップアップ部に大きめの窓を備えており、開放感が高い。ポップアップルーフを使えば、4人就寝できる
トヨタ「ハイエース」や日産「NV200」をベースとした車中泊モデル「GMLVAN」シリーズを展開するゴードンミラーの新モデル。ベース車に日産「キャラバン」を採用し、シリーズのコンセプトに沿って内装をアカシア材で仕上げている。本モデルからオリジナルの丸目フェイスで外観イメージを一新したほか、外部給電やポータブル電源に接続して使用できる100Vコンセントが新たに装備された。
価格は2WDモデルが6,369,000円〜、4WDモデルが7,271,000円〜。アルミホイールやルーフキャリアはオプション
天然のアカシア材を天井などにも多用しており、ログハウスのような雰囲気。ベッドモードとテーブルモードに展開できる。写真はテーブルモード。ベッドとして使用する板をテーブルとして使用している
車体後方の左側に新装備の100Vコンセントを配置。展示車はポータブル電源から給電しているが、外部電源から給電することも可能だ
ベース車は、トヨタ「ハイエース」の標準サイズ。そこに「かーいんてりあ高橋」が展開する「リラックスワゴン」シリーズの使いやすい設計を施しているので使い勝手がいい。FFヒーターや12Vクーラー、リチウムイオンのサブバッテリー、ソーラーパネルなどが標準装備されており、このままでも暮らせそうな完成度だ。
車両本体価格は7,425,000円。LEDライトやパノラミックビューモニターなどのオプションを装備した展示車両は7,726,000円
リビング空間はテーブルを挟んで対面で座れる構造。この部分はベッドにもなり、2人まで就寝可能だ。内装はインダストリアルな雰囲気に仕上げられている
収納棚には車外からもアクセスできる。工具やアウトドアで使うアイテムを入れておくと便利そう
会場で目立っていたのが、2022年から日本に正規輸入されるようになったフィアット「デュカト」 をベースとしたモデル。車内で立てるサイズということもあり、キャブコンの市場を奪いそうな勢いを感じる。このほか、2025年4月に発売予定のスズキ「ジムニー ノマド」 ベースのモデルなど、注目度の高い車中泊カーをいくつか紹介しておこう。
フィアット「デュカト」をベースに、ポップアップルーフを装備した本モデルは迫力のある仕上がり。2000万円を超える高級モデルだが、ポップアップルーフ側面をエアクッションのような構造とすることで断熱性を高めているほか、トイレとシャワーをそれぞれ個室で用意するなど装備が充実している。“移動できる家”を購入する感覚に近いかもしれない。
車両本体価格は18,150,000円。セパレートエアコンやサイドオーニングなどのオプションを装備した展示車両は21,263,000円
ポップアップルーフには天窓もあり、開放感がある。エアコンの導風口も設けられているので、外気温の影響が大きいポップアップルーフでも快適に寝られそうだ
家にあってもおかしくないほど豪華なキッチン。立った状態で調理できるのでストレスなく使えるだろう
三菱のピックアップトラック「トライトン」の荷台にキャビンを積んだトラックキャンパー。一般的なポップアップルーフは前側か後ろ側が持ち上がるのに対し、本モデルに装備されているものは全面がポップアップする。最も低く折りたたんだ状態から車中泊で使用する状態すると、ポップアップ内の空間は約3倍に拡大。就寝時はキャビン内に4人就寝できる広さになるが、折りたためるので走行に影響しないのが魅力だ。
ポップアップルーフの付いたキャビンの価格は2,394,700円。荷台に設置するためのアンカーやバックル、取り付け費用を含めると2,752,200円となる。キャビンは脱着可能で、車検時には取り外す必要。ちなみに、このキャビンはトヨタ「ハイラックス」 にも対応している
片側だけが持ち上がるポップアップルーフよりも、明らかに居室空間が広い
ポップアップルーフは断熱加工も施されているので快適に眠れそう。FFヒーターも標準装備している
「東京オートサロン2025」でドレスアップ・SUV部門優秀賞を受賞したモデル。N’s STAGEがカスタマイズしたスズキ「ジムニー ノマド」に、ホワイトハウスが開発中のポップアップルーフを装備している。開発中のため価格などは未定なうえ、現在、「ジムニー ノマド」の注文受付は一時的に停止しているが注目しておきたい1台だ(2025日2月9日時点)。
展示車両はフロントグリルが交換され、オーバーフェンダーやサイドステップにはプロトタイプが装着されていた
リアにはキャリアが装備され、足回りもカスタマイズされている
車体が長い「ジムニー ノマド」に対応したポップアップルーフなので、大人でも就寝可能。ホワイトハウスでは車両込みで先行予約を受け付けている