選び方・特集

スーパーハイトワゴンの売れ筋 スズキ「スペーシア」とダイハツ「タント」

スズキ「スペーシア」 VS ダイハツ「タント」

なんだかんだで、現在いちばん売れている軽自動車と言えば、スーパーハイトワゴンというカテゴリーです。軽自動車はボディサイズが規格により、全長3400mm以下、全幅1480mm以下、全高2000mm以下と決まっているなかで、スーパーハイトワゴンは特に全高の高さが特徴となります。
その全高の高さは、室内空間を広くとるという意味もあるのですが、スーパーハイトワゴンは後部座席のドアに横開きのスライドドアが採用されているケースが多いので、上下にレールが必要なタイプのスライドドアを設置するとなると、どうしても背が高くなってしまうんですよね。

以前、後部座席のドア側のセンターにスライドレールを設置し、全高を1550mmに抑えた三菱「eKワゴン」というモデルもありましたが、現在は一般的なスイングドアが採用されているところを見ると、やはりスライドドアには開口部の広さ&高さが求められるようです。
 
さて、現在スーパーハイトワゴンと呼ばれるものの代表選手と言えば、スズキ「スペーシア」、ダイハツ「タント」、日産「ルークス」、ホンダ「N-BOX」、三菱「デリカミニ」、あたりでしょうか。なかでも三菱「デリカミニ」は、「デリ丸。」のCMも話題になり、大反響&大ヒットとなりましたが、そちらはまた次の機会にお話をしたいと思いますので、今回はスーパーハイトワゴンの中でも大人気のスズキ「スペーシア」とダイハツ「タント」に焦点を当てましょう。

スズキ「スペーシア」(後部座席の多彩なシートアレンジで使い方広がる)

まず、スズキ「スペーシア」。最大の特徴は後席にあります。後席座面の先端部に「マルチユースフラップ」が装備されていて、オットマンモード、レッグサポートモード、荷物ストッパーモードと、3段階にアレンジできるんです。後席前の空間は、ただでさえ広いのですが、オットマンモードにすれば足を前に伸ばして、よりゆったりとくつろげます。逆に後席を荷物置きとして使う場合は、後席スライドをいちばん前に出して、荷物ストッパーモードにしておくと、前に荷物が滑り落ちる心配もなく、信号待ちなどでちょっと荷物を取りたいというときにも、運転席から手が届きやすくて便利ですよね。

オットマンモード(左)  レッグサポートモード(中)  荷物ストッパーモード(右)(写真は「スペーシアギア」)

   オットマンモード(左)       レッグサポートモード(中)     荷物ストッパーモード(右)     (写真は「スペーシアギア」)

ちなみに後席は、50:50分割でスライドもできるため、荷室と室内をバランスよく使い分けることもできます。

荷室を最大限に使いたいときは、後席のシートを前側にたためば、27インチの自転車が搭載できるほどの広大なスペースになります。自転車で出かけた子どもを、雨が降ってきたからお迎えに行くなんていうときもフレキシブルに使えます。さらに、助手席背もたれも前倒しできるので、長尺物を積むときにも威力を発揮してくれます。

写真は「スペーシアギア」

写真は「スペーシアギア」

また逆に前席・後席ともに後ろ側にシートを倒せば、くつろぎの室内スペースを作り出すこともできます。目的地に早く到着してしまったときや、デイキャンプやピクニックのときなど、休憩スペースのような使い方もできますね。

ダイハツ「タント」(ミラクルオープンドアの広い開口部で車内動線の自由度高い)

続いて、ダイハツ「タント」。最大の特徴は、「ミラクルオープンドア」です。センターピラーインドア、Bピラーレスとも言われますが、Bピラー(通常前部座席と後部座席の窓の間にある柱)をドアの中に内蔵している構造になっています。前席と後席のドアを開けると、通常真ん中にあるはずの柱がないので、とにかく広い開口部を得られるメリットがあります。

図の赤い部分が前後ドアに内蔵されたBピラー(写真はタントカスタム)

図の赤い部分が前後ドアに内蔵されたBピラー(写真はタントカスタム)

合わせて使いたいのが、助手席のロングスライド機構。助手席をいちばん前に出すと、子どもと手をつないだまま乗り込めるほどの広い空間を確保できます。そのままチャイルドシートに座らせて、シートベルトを締めたりなどもやりやすいですし、また高齢者のサポートもしやすいと思います。

さらに運転席ロングスライド装着車(運転席側は一部グレードに装着可能なメーカーオプション)で、運転席を下げ、助手席を前に出せば、車内でウォークスルーのように移動することもできます。子どもや高齢者のお世話をした後、そのまま運転席に移れるのは便利ですよね。

また、荷室にも工夫があります。荷室の床が「デッキボード」になっているので、脚を立てれば2段式の荷室スペースを作り出せます。転がりやすいボールなどを、下の段に積むのもよいですよね。

荷室に格納される「デッキボード」は取り外してテーブルとしても使用可能

荷室に格納される「デッキボード」は取り外してテーブルとしても使用可能

荷室でデッキボードの脚を立てると、荷室を二段に仕切って使用できる

荷室でデッキボードの脚を立てると、荷室を二段に仕切って使用できる

【まとめ】 小学生以上の子どもがいるならファミリーで使い勝手のよいスズキ「スペーシア」、 幼児や高齢者のお世話メインならダイハツ「タント」!

両車とも、後席スライドや前にたたむ、後ろにたたむなど、基本的なことはできるうえで、それぞれの特色を打ち出していますが、個人的には、小学生以上の子どもがいるファミリーならスズキ「スペーシア」、 小さい子どもや高齢者のお世話メインならダイハツ「タント」という感じになるのかもしれません。ライフステージによって、使いやすいクルマは変わってきます。今選ぶなら……という観点で乗り換えていくと、よりよいカーライフを送れると思います。

竹岡 圭
Writer
竹岡 圭
テレビやラジオのレギュラー番組、自身のYoutubeチャンネル「圭Tube」での配信、雑誌やwebでの執筆、芸能プロダクション人力舎に所属し、タレント業も行うなど幅広く活動するモータージャーナリスト。日本自動車ジャーナリスト協会副会長、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、道路や自動車関連を始めとする官公庁の審議会等の委員も務める。またレーシングチーム「圭rallyproject」を主宰し、チームオーナー兼ラリードライバーとして参戦中。
記事一覧へ
記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
SPECIAL
ページトップへ戻る
×