“弾丸”試乗レポート

スバル「フォレスター」試乗レポート! 走破性と洗練されたフィールを両立

SUVならではのリフト感&ワイド感をアップ! サスペンションも見直し!

続いて、フォレスターのビッグマイナーの具体的な内容を説明したい。

エクステリアでは、フロント回りを一新。フロントグリルとヘッドランプを変更した。NAエンジンモデルはバンパー形状とフォグライトのカバーも変更。よりワイド感を強めている。リヤ回りではコンビライトを変更。赤いストップランプ部分をLED化して高い位置に置いた。SUVらしく車高を高く見えるようにリフト感をアップしている。また、アルミホイールのデザインも変更。18インチはスポーティに、17インチは空力性能にすぐれたものとなった。

フロント周辺のデザインがすこし手直しされワイドで力強い印象となった

フロント周辺のデザインがすこし手直しされワイドで力強い印象となった

リヤコンビライトのデザインも変更。ストップランプがLED化されている

リヤコンビライトのデザインも変更。ストップランプがLED化されている

アルミホイールのデザインも変更された。写真の17インチホイールは空力特性が向上している

アルミホイールのデザインも変更された。写真の17インチホイールは空力特性が向上している

インテリアは基本デザインそのままに加飾を追加。ドアグリップとインパネセンター部に表皮巻きを採用。ハンドブレーキレバーやステアリングホイールなどには加飾を加えた。メーターはカラーTFT液晶パネルを採用した新デザインのものに変更になっている。

ダッシュボードや運転席周りのデザインは基本的に、従来から変わっていないようだが、質感向上がなされている

左右のメーターの中央に新たにTFT液晶パネルが配置された

左右のメーターの中央に新たにTFT液晶パネルが配置された

ドアグリップとインパネセンターなどが表皮巻きされた。手に触れる部分の質感アップは効果が大きい

ドアグリップとインパネセンターなどが表皮巻きされた。手に触れる部分の質感アップは効果が大きい

シャシーはステアリングギヤ比のクイック化をはじめ、フロントクロスメンバーの剛性アップ(溶接長さ延長・溶接追加)をはじめ、前後ショックアブソーバーのロッドガイドブッシュ構造変更と減衰力変更、前後スプリングのバネ定数変更、リヤトレーリングブッシュのバネ定数変更、リヤスタビライザーの取り付け位置変更などを実施。こうした細やかな変更で、乗り心地と操縦安定性の最適化、操舵時の車両応答性の向上、直進安定性向上、取り回し性と操舵フィーリング向上を実現している。

ターボモデルでは、左右の前輪に個別にブレーキをかけることで旋回時のライントレース性を高めるアクティブ・トルク・ベクタリングを採用。またSI-DRIVEでの「インテリジェントモード」と「スポーツモード」では、アクセル開度が大きいときに多段ATのような段付きのある加速を行うオートステップ変速制御を採用。「S#モード」での8段ステップ変速は、よりクロスレシオ化して、パワーバンドを使いやすい特性としている。

左右の前輪ブレーキを個別に制御するアクティブ・トルク・ベクタリングを採用、旋回時のトレース性が向上する

静粛性を高めるための改良も数多く実施された。ドアガラスは板厚が厚くなり、シール部品構造は二重化に。インパネ先端部のシーラー強化とホイールエプロン板厚をアップ。エンジンやタイヤ&ホイールから車内へのノイズ侵入を抑制している。

安全関連の先進装備もより充実したものになった。アイサイトは最新のアイサイトVer.3にアップデート。認識エリアを約40%広角化&望遠化。カラー認識できるようになったことで、より高精度の認識が可能となった。また、車線からはみ出さないための車線逸脱抑制支援機能と、アクセルを踏み誤っての飛び出しを防ぐAT誤後進抑制制御機能が追加されている。

「X-BREAK」グレードのシートは撥水ファブリックに合成皮革を組み合わせたヘビーデューティーなもの。オレンジのステッチも魅力的

さらに車両の側面と後方を警戒するスバルリヤビークルディテクション(後側方警戒支援システム)を採用。見えにくい斜め後ろの別車両の存在をドアミラー鏡面のLEDインジケーターや警告音で知らせてくれる。また、駐車場などから後進して出るときに、車両後方の左右から接近する車両の存在もインジケーター点滅と警告音でドライバーにアナウンスしてくれるのだ。

そして注目がスバル車初採用となる安全支援装備のアダプティブ・ドライビング・ビームだ。これは基本的にハイビームで走行中、対向車や先行車がいる場合、その車両にあたる光の部分だけをシェードで遮るというもの。他車両の存在はアイサイトver.3が認識する。シェードはロータリー式なので、光を遮るときは徐々に変化するのが特徴だ。また、ヘッドライトのLEDはロービームとハイビームをひとつのユニットで切り替えるLEDバイファンクションプロジェクターを採用。これはステアリングの操作と連動しており、夜道でカーブを曲がるときは、ヘッドライトの向きを進行方向に向きをかえるSRH(ステアリング・レスポンシブ・ヘッドライト)機能を備えている。

注目の技術アダプティブ・ドライビング・ビームに加え、ヘッドライトの向きを進行方向に向きをかえるSRHも搭載される

また、CVTのリニアトロニックの改良などによって燃費性能を向上。2リッターNAモデルは旧型のJC08モード燃費15.2km/lから16.0km/lとしている。2リッターターボモデルのJC08モード燃費13.2km/lはマイナーチェンジ前と変わらない。

価格は2リッターのNAモデルで214万9200円〜289万4400円。アイサイト搭載モデルは268万9200円〜289万4400円。ターボモデルは312万8760円となる。

コーナリングの気持ちよさが格段とアップ!

今回、試乗できたのは「2.0i-L EyeSight」。2リッターNAエンジンモデルでアイサイトVer.3を装備したミドルグレードだ。

実車を前にしたときの印象は、「あまり変わらないなあ」というもの。よく見ればヘッドライトのブラック部分が大きくなって、ちょっと精悍さを増しているけれど、全体のイメージの変化は小さい。運転席からの眺めも従来同様だ。ただし、こちらも、メーカーにカラー液晶が入っているなど、「ちょっと質感がアップしているね」とも。

試乗したのは2リッターNAエンジンを備えるミドルグレードの2.0i-L EyeSight

試乗したのは2リッターNAエンジンを備えるミドルグレードの2.0i-L EyeSight

ところが、走りだすと「おや?」と。ステアリングの手応えにしっかり感がある。ほんのわずかだけ動かしてみても、スッとクルマが反応する。落ち着きなくヒョコヒョコ動くのではなく、どっしりとしながらも、ドライバーの繊細なハンドル操作にしっかりとクルマが反応するのだ。さらにアクセル操作に対するレスポンスもよい。もちろん、ものすごくパワフルなわけもないけれど、こちらもドライバーの意思に忠実だ。

そして、コーナーをひとつ抜ければ、さらに「おや?」と。なんだか気持ちいいではないか。すっと頭の向きをかえ、スムーズにロールする。コーナーからの脱出までもシームレスに、思い描いたようにきれいに決まる。スポーツカーのような速さや俊敏さはないけれど、なんだか楽しいのだ!

マイナーチェンジにより、ステアリングやアクセルワークに繊細に反応する良好なフィールを備えるようになった

フォレスターのこれまでの印象は「落ち着きあるオフローダー」であった。全体として不満はないけれど、オフローダーならではのちょっと緩いところがあった。それに比べて新しくなったフォレスターは、ステアリングの反応も動きも締まっている。思い描いたように動いてくれる。これが運転する楽しみを生み出しているのだろう。

また、走行中の快適性も高まっていた。ビリビリという微振動がかなり抑えられている。路面にどんな凹凸があるのかは、はっきりとわかるけれど、雑味がないというか、スッキリとした乗り心地なのだ。さらに静粛性も磨かれていた。エンジン音もタイヤのロードノイズも非常に遠い。走行フィーリングの質感は、以前よりも格段にアップしていたのだ。
今回のフォレスターの走りの進化の大きさはうれしい誤算であった。しかし、考えてもみれば、最近のスバルは、ドライバーの狙った通りに走る気持ちよさや、スッキリとした乗り心地という数字では表しにくいフィーリングの向上に努めていたことを思い出した。乗り味を担当するスバルの実験部のスタッフに話を聞いてみれば、やはりそうした部分の蓄積が大きいという。「レヴォーグの開発のあたりから、そうした取り組みに力を入れるようになってきて、その知見が、今回のフォレスターには反映されています」というのだ。

もともと高い安全性やシンメトリカルAWDによる走破性の高さなど、走りのよさに定評のあったスバル。そうした走りの性能に、フィーリングのよさがプラスしようというのがスバルの狙いなのだ。そうした部分を、このフォレスターは相当高いレベルで実現できたのではないだろうか。日々ブラッシュアップを続けるスバル車は、どのモデルも最新モデルがベストということだ。

最近のスバル車は、ドライブフィールの向上に資する技術が日々進化している。新しいフォレスターには、「最新のスバルが最良のスバル」というフレーズが思い浮かぶ

鈴木ケンイチ
Writer
鈴木ケンイチ
新車のレビューからEVなどの最先端技術、開発者インタビュー、ユーザー取材まで幅広く行うAJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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田中 巧(編集部)
Editor
田中 巧(編集部)
通信を中心にしたIT系を主に担当。Androidを中心にしたスマートデバイスおよび、モバイルバッテリーを含む周辺機器には特に注力している。
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