B級グルメとして、根強い人気を誇る「油そば」。そのルーツは東京・武蔵野地区と言われており、伝統的なご当地グルメでもあります。今回は、そんな油そばの専門店として、都内を中心に展開する「東京油組総本店」に注目。お店の味とコラボカップ麺を比較して、再現度をチェックします。
油そばの醍醐味――それは、ダイナミックなムーヴ。
モクモクと湯気が立つ、モチモチな太麺。華を添えるのが、チャーシュー、メンマ、ネギ。お酢とラー油で円を描き、箸を突っ込んで、高速回転。麺にむしゃぶりついて、さらにかき混ぜて、ひたすら腹を満たす。この一連のお作法こそが、油そばの神髄であります。
そんな油そばですが、コンビニでは最近、「カップ油そば」の新製品をよく見かけます。なかでも、東京・吉祥寺の名店の味を再現した「ぶぶか 油そば」(明星食品)が頭ひとつ抜きん出て、定番のシリーズ化。もはや、コラボカップ麺の域を超えているかもしれません。
今回調査するのは、都内を中心に展開する「東京油組総本店」の味を再現したという、カップ油そば。パッケージには、トレードマークである「油そば」という赤い看板文字が描かれ、コンビニの売り場でひときわ存在感を放っています。
はたして、お店の味とカップ麺はどこまで似ているのか、または似ていないのか?
「東京油組総本店」で、油そばW盛り(760円)と「ねぎゴマ+半熟たまご」のスペシャルトッピングA(180円)を注文。麺と具材のコントラストがすばらしい!
油そばに欠かせないのが、お酢とラー油。このほか卓上には、唐辛子入りラー油と玉ねぎもありました
お酢をジャーッ!
ラー油もジャーッジャーッ!
味変えに、玉ねぎを投入してサッパリ。特有の辛みやエグみはありません
ふむふむ。一般の小麦から6%しか採れない、貴重なアリューロン層を使っているとのこと
「東京油組総本店 赤坂見附組」で今回、油そば+スペシャルトッピングAを食べました。麺の量は、お値段変わらずで、並盛り(160g)、大盛り(240g)、W盛り(320g)から選択できます。グルテン野郎としては迷わず、最大値のW盛りを注文です。
まず、視覚を刺激するのが、太麺のまぶしい“黄色”。麺は、貴重なアリューロン層を使っており、かみしめながら食べると、小麦の風味がしっかり伝わって、とてもウマいです。ただし、やわらかめに茹であがって、コシがやや弱かったのは気になるところ。
そして驚いたのが、意外にもあっさりであること。さっぱりしたタレで、油そばという割に、油っぽくない。食べ終わった後も、どんぶりの底に、油はほとんど残っていませんでした。筆者は気に入りましたが、これには賛否がありそうです。濃いめにガツンッと攻めたい場合は、お酢とラー油を多めに投入するか、別トッピングのマヨネーズやパルメザンチーズを注文したほうがいいかも。
具材では、きざみのりが“陰の立役者”。のりの風味が香ばしくて、脇役ながら(よい意味で)主張が激しいです。このほか、チャーシューは、肉の旨みが凝縮されているいっぽう、こちらもあっさりしています。
総じて、かなりスタンダードな油そばだったという印象。なるほど、このクールさが“東京スタイル”なのか?
「東京油組総本店」赤坂見附組。東京メトロ丸ノ内線、銀座線 赤坂見附駅ベルビー出口から徒歩1分、東京メトロ千代田線 赤坂駅から徒歩約6分、赤坂見附駅から70m。営業時間は月〜土が11:00〜5:00、日が11:00〜22:00。麺がなくなり次第終了、日曜営業。2018年8月19日時点、「食べログ」より
続いて、コラボカップ麺の「東京油組総本店 油そば」(258円)を食べて、お店の油そばと比べていきます。ここで注目したいのが、メーカーが日清食品であるという点。麺や具材のクオリティに定評のある同社だけに、食べる前から、期待値と興奮度が高まります。
お酢とラー油も、もちろん用意!
見よ、このキャッチコピー。とにかく、すごい自信だ!
カップの中身は、きざみのり、かやく(ネギ、メンマなど)、特製液体ダレ
“フライング麺”で、麺のクオリティを視覚的にチェック!
ネギやチャーシューが大きく、しっかりしているのが、うれしい
熱湯を入れて5分経った後、カップ焼きそばと同じように、湯切りします。湯切りするわたし、湯切りのわたし
油切りした後は、特製液体ダレをジャーッ!
東京油組総本店とコラボした、油そばカップ麺が完成!
見た目はかなり美味しそう!
お店と同様に、お酢をジャーッ!
ラー油もジャーッ!
麺は太麺タイプでモチモチ。ノンフライで、生麺にかなり近い
「さすが日清食品だ!」と膝を打ってしまったのが、麺と具材のクオリティ。麺は平打ちで、お店よりやや色が薄いものの、しっかりとした弾力で歯ごたえ十分。さらにノンフライで、生麺タイプに近い味わいです。具材は、それほど量がないものの、チャーシューやネギ、メンマが美味しくて、しっかり存在感があります。
タレの味は、お店とほぼ同じですが、やや油っぽいのが残念。実際に、食べ終わったカップには、ドロドロの油が溜まっていました。よく言えば、お店よりコクがありますが、ここは好みがわかれるポイントかもしれません。
しかし、お酢とラー油を一気にかければ、絶品の麺とあいまって、より本物の油そばに近づき、お店の味にグンッと近くなります。“きざみのりの主張”も、お店と同様に感じられるのがうれしいです。
今回の再現度は?
<いいところ>麺のウマさにすべてが救われている。少量ながら、具材の味も抜群。
<気になるところ>タレは、味の再現度は高いが、お店よりも油っぽいのがマイナス。
スープ(タレ)の再現度:★★☆☆☆
麺の再現度:★★★★☆
具材の再現度:★★★☆☆
食べごたえの再現度:★★★☆☆
コスパ:★★☆☆☆
今回のコラボカップ麺は、“麺のウマさ”に尽きるのではないでしょうか。これにより、すべてが救われていると感じました。ただし、コスパは悪いかも。油そばW盛り(麺320g)が760円と高コスパであるのに対して、カップ麺(麺80g)が258円とやや高めなのは残念なところ。カップ麺の量がもう少し多ければ、あるいはもう少し安ければ、満足度がさらに高まるかもしれません。
デジタル製品全般からホビーやカップ麺・スナック菓子まで、オールジャンルをカバーする編集部員。大のプロレス好き。読み方は、まつだ・しんり。