東ハトが2025年2月に発売した「パックル」が、明治の国民的スナック「カール」にそっくりだと話題です。
左から、「パックル・まろやかチーズ味」と「パックル・コク旨カレー味」
ただ、筆者は背景に深いワケがあると推察。というのも、元々「ジェネリックカール」として親しまれているファミリーマートの「サクサクか〜るいチーズスナック」が「パックル」と同じく東ハト製であり、東日本のカールロスの受け皿になっていたのです。
それに、「パックル」が似ていると言うのなら、2021年からおやつカンパニーが販売している「くちどけ小路サクまろ(以下、サクまろ)」にもスポットライトを当てるべきだと思います。そこで本稿では、「カール」「パックル」「サクサクか〜るいチーズスナック」「サクまろ」の4ブランドを食べ比べてそれぞれの特徴や味を解説!
食べ比べるのはこれらの商品。ただ、「カール」の黄色い袋は「カールうすあじ」という独自のフレーバーで、今回の比較対象ではありません
まずは、全ブランドでラインアップされているチーズ味を比べていきます。
「カール」は1968(昭和43)年に誕生し、長年愛され続けて今にいたります。「それにつけてもおやつはカール」のキャッチコピーは、カルビー「かっぱえびせん」の「やめられない、とまらない」に並ぶ、スナック菓子界における名パンチラインと言えるでしょう。
現在のラインアップ。売り上げ構成を踏まえた結果、もうひとつの定番フレーバーだった「カレーあじ」は消えることとなりました
しかしながら、当時と現在ではライバルの数も違いますし、加えて少子化でもあります。公式サイトによると、「販売規模の低迷、生産効率や物流などの総合的判断」という理由で、2017年に「カール」は西日本地域のみの販売になることが発表されました。まあ、ネットでなら全国どこでも買えるんですけどね。
「カールチーズあじ」。1袋64gあたり324kcal、炭水化物42.5g、脂質15.2g
ではいよいよ、「カールチーズあじ」から試食。サクサク感に、シュワッと繊細な口どけはピカイチです。素材であるコーン生地の味と、チーズパウダーとのバランスもよく、濃さもちょうどいい塩梅。フレーバーが強すぎず、粉チーズ的なパンチある香りを苦手とする人にもやさしい味で、とにかく飽きないおいしさに仕上げられています。
6種のチーズをうまくブレンドすることで、香りはおだやかながら旨味や味付けはしっかりさせている印象。万人に愛されるのも納得です。ちなみに1個5g
お次は話題の、東ハトによるNB(ナショナルブランド。自社製品のこと)「パックル・まろやかチーズ味」。パッケージの色まで「カールチーズあじ」に寄せるとは、なかなかあざといですが、味のほうはどうでしょうか。
「パックル・まろやかチーズ味」は、1袋57gあたり335kcal、炭水化物28.0g、脂質23.2g。昆布、カツオ、煮干し、宗田節などダシをきかせているのも、カールにはないポイントです
「カールチーズあじ」は6種のチーズでしたが、「パックル・まろやかチーズ味」は2種。チェダーとカマンベール、各チーズのパウダーを使っているそうです。こちらは香りがしっかりめで、その分本格チーズ感も。
また、旨味の奥に「カールチーズあじ」よりも甘みを豊かに感じ、ミルキーなコクも強めです。ただし味付けが濃いわけではなく、素材の味もしっかりめで、食べ疲れもありません。食感に関しては、カールほどの密度はないものの、口どけは心地よくサクサク感も上々。
香り、甘み、ミルキー感がやや強めですが、濃厚とまではいかない絶妙な味。シュワシュワ感は「カールチーズあじ」のほうが上です。1個は4g
「サクまろ(チーズ味)」は、ベビースターラーメンで有名なおやつカンパニーのコーンスナック。形は「カール」型ですが、違いをあげるとすれば、生地の気泡的な穴が大きめなところでしょう。
「サクまろ(チーズ味)」は、1袋52gあたり270kcal、炭水化物32.6g、脂質14.1g。ビーフオイルを使っている点が、味付けの独自性です
食べてみると、そのクレーター(穴)の効果か実にエアリーで、名前のとおり確かにサクサクです。いっぽう、シュワッとする感じはおだやかで、口どけはドライ。味付けは、ビーフオイルによるものなのか比較的濃いめで、香りも甘みも豊かに感じました。
軽めに感じますが、1個単位はパックルと同じ4g。チーズの数や種類は記載がないものの、見た目的にはオレンジ色のチーズを使っていると思われます
チーズ対決のラストは、ファミリーマートのPB「サクサクか〜るいチーズスナック」。冒頭でも触れましたが、こちらは長年、「パックル」と同じ東ハトが製造しています。味付けで注目すべき点は、チーズの種類。「パックル・まろやかチーズ味」は2種類ですが、こちらは「カールチーズあじ」と同数の6種が採用されています。
「サクサクか〜るいチーズスナック」。1袋62gあたり381kcal、炭水化物27.5g、脂質29.0g。「パックル・まろやかチーズ味」にあった、魚介系のダシは使われていません
加えて本商品は、使っているチーズの名称が裏面の原材料名に記載されていることも特徴。内容は、チェダー、カマンベール、エメンタール、ゴーダ、モッツァレラ、パルメザン。これはカロリーなども含め、前回2021年に記事にした際と変わらないので、ずっと同じ味で親しまれているのかもしれません。
サイズは最も大きい印象(誤差の範囲内ですが)。測ってみると、「カール」と同じ1個5gでした
味は想像どおりというか、「パックル・まろやかチーズ味」と「カールチーズあじ」の中間的な立ち位置に感じます。どちらかと言えば「パックル」寄りでいて、塩味が控えめな分甘みが前に出ているような。またサイズは少々デカめで、濃淡の個体差を、より感じるとも思いました。食感も「パックル」に近く、適度なサクジュワ感です。
それぞれ1個ずつ並べました。「カールチーズあじ」とファミマがやや大きく、「サクまろ」の色が濃いことがわかると思います
ここからは、カレー味を比較します。「カール」には現在カレー味のラインアップがないため、対象となるのは「パックル・コク旨カレー味」と「サクまろ(カレー味)」の2ブランド。カレー味の商品数がチーズ味よりも少ない理由はおそらく、スパイスに慣れない幼児など、苦手な人がいるからだろうと推察します。
先攻は「パックル・コク旨カレー味」。1袋57gあたり333kcal、炭水化物28.4g、脂質22.9g
「パックル・コク旨カレー味」の味付けには、20種の香辛料を使ってリンゴの甘みを加えているとのこと。なるほど、リンゴということは少なからず、ハウスの「バーモントカレー」や、「とんがりコーン <バーモントカレー味>」を参考にしていると考えられます。
食べてみると想像以上に本格的なカレー風味で、20種の香辛料にも納得。焙煎したような香ばしさがあり、その中にはフルーティーなニュアンスも。とはいえスパイスフルな香りほど辛さはなく、カツオと昆布を使っているのもあってか、味はむしろマイルド。ダシの風味は感じませんでしたが、現代的なスパイスカレーにヒントを得ている気もしました。
味は「バーモントカレー」よりも、ハウスの「X-BLEND CURRY(クロスブレンドカレー)」的な香り高さ。クミン、カルダモン、クローブ、その奥にシナモンを感じました。1個4g
後攻は「サクまろ(カレー味)」。味や香り付けに関する公式解説が見つからなかったものの、原材料名を見ると、カレー風味パウダーやカレーパウダーのほか、クミンパウダーの文字も。「パックル・コク旨カレー味」との違いはどうでしょうか。
「サクまろ(カレー味)」。1袋52gあたり260kcal、炭水化物33.2g、脂質12.8g
開封してみると、色からしてかなり異なりました。詳細は後ほど写真で紹介しますが、「サクまろ(カレー味)」は「パックル・コク旨カレー味」よりも濃くて褐色。スパイス的な粒も見えます。香りも、焙煎のアロマはあってもビターな方向性で、ある種焦げたような香ばしさを感じます。
特有のスパイスとして感じるニュアンスは、強いてあげるならクミンやフェンネル程度。基本的には、ガラムマサラ的なミックススパイスの香りです
味は「パックル・コク旨カレー味」よりもやや濃く、辛さは同程度でマイルド。肉のような旨味も感じますが、甘みは控えめですね。また、軽快なサクサク食感はこちらも印象的で、ドライな口あたりは「サクまろ」ならではだと改めて感じました。
比較的「サクまろ」のほうがスカスカですが、サイズはどちらも1個4gで、見た目のサイズもほぼ同じ。色は「サクまろ」のほうが濃い褐色です
今回比較した結果のまとめは以下のとおり。選ぶ際の参考になれば幸いです。フレーバー全体の比較としては、チーズよりもカレー味のほうが、違いがわかりやすかったです。
なお、個人的に好きな味だったのは、チーズは「カールチーズあじ」で、カレーは「パックル・コク旨カレー味」。みなさんも、ぜひ食べ比べてみてください。
「パックル」は今のところ一部エリア限定。しかし話題になっているので、今後販路が拡大される可能性は高いはず
なお、「パックル」対「カール」で着目すべきは、現状では販売エリアがかぶっていないところです。ざっくり言えば、前者は東日本、後者は西日本がテリトリー。「カール」が東に来ることはないでしょうが、現状“一部先行発売”とうたっている「パックル」が西に進出する可能性はありえます。縄張り争いになったときが、真の勝負なのかもしれません。その意味でも、引き続き注目なのです。