「ダラダラ、ゴロゴロと食っちゃ寝生活の継続」が最重要課題の自堕落王(ジダラキング)ですが、そのために必要な技能のひとつに、「食べたいものを自分で作れる料理スキル」があります。わざわざ自炊しなくても、出前でも頼んじゃえばラクでいいんですが、たまに「出前じゃ食べられないもの」が食べたくなるんですよ。
たとえば、空気をたっぷり含んだふわっふわのおにぎりとか。お弁当として持ち運ぶための固く握ったおにぎりじゃなくて、専門店で提供されるような、ふわっと軽くご飯を寄せたおにぎりは特別においしいんですよね。口の中で米粒がホロホロとほどけていく感じがたまりません。
そんな“ふわホロ食感”のおにぎりは、揺らすだけで崩れてしまうので、輸送はほぼ不可能。それこそ専門店に食べに行くか、自分で作れるようになるしかないわけです。自宅でダラダラしたいジダラキングはもちろん自分で……できたらよかったんですけどね。
おにぎりをおいしく握るのって、実はなかなかの高等技術だったりします。何せ、握る力加減がメチャクチャ難しい。最高の“ふわホロ食感”のおにぎりが握れるようになるまでには、結構な修業が必要なんです、マジで。
そんなに時間をかけてられない! 今すぐホロッと崩れるおにぎりが食べたい! そんな場合は、手っ取り早くマシンに頼るのが上策です。
そこで今回目を付けたのが、タカラトミーアーツのクッキングトイ「究極のおにぎり」です。同社は食を極めるクッキングトイ「究極シリーズ」として、これまでに「究極のTKG(たまごかけご飯)」「究極のNTO(納豆)」「究極のMYO(マヨネーズ)」を展開しており、この「究極のおにぎり」が第4弾に当たります。なぜ製品名がONG(おにぎり)にならなかったのかは不明ですが。
握る修業不要! 簡単においしいおにぎりが作れる「究極のおにぎり」(タカラトミーアーツ)
構成としては、ご飯を炊きたてアツアツのままセットできる「おにぎりケース」と、ケースを回転させておにぎりを成形する「おにぎりスタンド」で1セット。非常にシンプルです。
「おにぎりスタンド」の内部には、「おにぎりケース」を回転させる仕組みが搭載されています
「おにぎりケース」は2つに分割されるので、片側に塩を軽くパラリと振ってから、アツアツのご飯を詰めていきます。ぎゅうぎゅうに詰めると米粒が潰れてしまうので、あくまでも軽くふんわりと! 説明書によると、ご飯の量は80〜100gほどが推奨されています。
おにぎりケースの内側はエンボス加工が施されており、ご飯がくっつきにくくなっています
ケースにご飯を入れる際は、ギュッと詰め込まないように要注意。あと、冷たいご飯は成形できないのでNGです
「おにぎりケース」にご飯を詰めたら、さらに上から塩をまた軽くかけてフタをし、「おにぎりスタンド」の上にセット。そしてスタンドのレバーをオンにすると、ケースが回転を始めます。
あとはその回転をじーっと眺めているだけ。マツダのロータリーエンジンみたいなカッコいい動きで、つい見入ってしまいそうになりますが、30秒ほどでレバーをオフにしましょう。
ご飯を詰めたケースをスタンドに載せて、電源をオン。レバーの形状は、しゃもじの柄がモチーフ!?
「おにぎりケース」を開けると、ふわふわのおにぎりが登場。あらかじめ準備しておいた海苔をそっと巻いたら、塩むすびの完成です。
ケースから取り出すときの感触ですでに気づいていましたが、できあがったおにぎりは米の粒と粒のあいだにしっかりと空気を含んでおり、超ホロッホロです。
完成したおにぎりは、三角と言うよりは短い円筒に近い形でした。実際に手に取ると、見た目以上にホロホロなのがわかります。海苔を巻く際は、形が崩れないように気を付けましょう
どのぐらいホロッホロかを確認するため、一応それなりに料理ができると自負しているジダラキングが手で握ったおにぎりと比較してみました。サイズを可能な限り揃え、見た目はほぼ変わらないように握りましたが、実際の重さはどうでしょうか。
写真左がジダラキングによる手作りおにぎりで、写真右が「究極のおにぎり」で作ったおにぎり。見た目を確認しながら、同じサイズになるようにふんわり握りました
重さを量ってみると、手握りのほうは133gほどで、「究極のおにぎり」で作ったほうは117gほどでした。手握りのほうも極力ふんわりと握ったのですが、それでも「究極のおにぎり」のほうが15g以上軽い。このことからも、ご飯の密度が低く、ふわっと仕上がっているのがわかります。
「究極のおにぎり」のほうが15g以上も軽く仕上がっています。メーカー推奨のご飯の量を考えると、むしろ、これでもちょっと詰めすぎたぐらい
食べてみたら、そりゃもう「うまい!!」としか。口の中に入れた瞬間にご飯がホロッと崩れて米粒がばらけます。これはもう完全に、おにぎり専門店の味わいでは!? 茶碗に盛ったご飯を食べるのともひと味違う、おにぎりならではの官能的な食感がたまりません。
塩むすび、うっま! これ、自分で握っていたら絶対再現できないやつだ!
シンプルな塩むすびを“ふわホロ”食感でおいしく作れるのはわかりました。では、具を入れたらどれぐらいおいしくなるのか? も気になるところ。
なので、どんどん作ってどんどん食べます。食べている間にスイッチを入れて回すと次のおにぎりができて、それを食べている間にまたスイッチ入れて……で無限連鎖。手軽に“自宅でおにぎりフェス”開催です。
具入りおにぎりを作るときは、まずご飯を半分詰めてから具を中心に入れて、残りのご飯を覆うように盛ります。欲張って具を入れすぎるとおにぎりが分解するので、ほどほどに
具材に関しては「入れ系」「混ぜ系」「混ぜ+入れ系」に分かれます。基本的に、味の濃い具を入れればより味にメリハリが付き、香りのある具を混ぜればより風味が豊かになり、シンプルな塩むすびとはまた異なるおいしさを楽しめます。
元々がふわふわな仕上がりなので、汁気のある具材を包むと、一般的なおにぎりより崩れやすくなるので注意しましょう。あらかじめご飯にちょっと混ぜて、水分を拡散しておくというのもテクニックのひとつです。
イカの塩辛+刻んだバター。旨み成分がとんでもないことになっています
具材を入れたうえで「もうちょっと味にインパクトが欲しい」と感じる場合は、おにぎりの上に追加で載せてしまうのも手です。
のり佃煮+刻んだ紅しょうが+青のり。紅しょうがのピリッとしたアクセントが加わったことで、甘い佃煮が大人の味に。青のりで香りもアップです
「混ぜ系」の場合、ご飯と具材が分離しないよう、事前にしっかり混ぜておくのがポイントです。
砕いたえびせん+青じそ+めんつゆ。天むす風の味わいで、食べ出すと止まらない……!
たくあん+クリームチーズ+醤油ひとたらし。たくあんのポリポリ食感とチーズのこってり感によるマリアージュがたまりません
香りのある具を混ぜたご飯に、味の濃い具を入れるという贅沢もありでしょう。そして、「究極のおにぎり」には、卵黄醤油漬けが簡単に作れる「卵黄トレー」が付属しているのもポイントです。
まずトレーに生卵を割り入れて黄身と白身を分離させ、黄身だけをトレーごと冷凍庫にイン。6時間ほどしたら取り出し、醤油を注いでさらに50〜60分、冷蔵庫で寝かせます。これで、卵黄醤油漬けができあがります。
「白身と卵黄を分離→冷凍→醤油漬け」の3役をこなす専用トレーが付属。最初にしっかり白身を分離させないと、隙間ができて醤油が漏れるので要注意です
一度凍らせた卵黄はちょっと水分が抜けるため、できあがった卵黄醤油漬けは、箸でつまめるほどモッチリとした塊になっています。これをおにぎりに入れたり載せたりすれば、ねっとりとした歯触りの卵黄がご飯に絡んで、さながら「卵かけご飯の超濃厚バージョン」といった感じ。
中に肉そぼろ、上に卵黄醤油漬けという黄金の組み合わせ! 個人的には、これが“自宅でおにぎりフェス”でベストワンのおにぎりでした
食べ終わったら当然ながら片付けをしなければなりませんが、洗うのは「おにぎりケース」だけなので非常に簡単。そしてケース内部はエンボス加工によってご飯粒が付着しにくくなっているため、洗剤の付いたスポンジでサッとこすってやるだけで済みました。
基本的にケアはケースをさっと流すだけ。具材の汁汚れも割と簡単に落ちます
「おにぎりスタンド」が汚れることはまずないはずですが、もし汚れが気になった場合は、ウェットティッシュで拭えばOK。スタンドは水洗いNGなので、そこだけ注意しましょう。
「おにぎりスタンド」に汚れが溜まったときは、ウェットティッシュで拭いましょう
電源は単2形アルカリ乾電池×2本(別売り)を使用。充電式電池は使えません
ぶっちゃけ、初手では「究極とは言うても、まぁクッキングトイでしょうが」と油断していたのは否定しません。
しかし冷静に考えると、作り方は理にかなっています。ご飯を入れたケースを回転させることで、遠心力によっておにぎり側面にだけ圧がかかって固まり、内部はむしろ米粒が分散してふんわり仕上がることで、ふんわりホロホロのおにぎりが作れるというわけです。
そして実際に作ってみたら、もう「専門店で味わうふわホロ食感!」と言っても過言じゃないレベルでした。技術の習得なしにこのレベルのおにぎりが自宅で食べられるなら、価値は十分にありそう。
ただし、いくらおいしいからと言って、お弁当にこのマシンで作ったおにぎりを持っていくと、冒頭でも述べたとおり、食べるころにはバラバラになっちゃうはずなので、そこだけ要注意で。自宅でおいしいおにぎりを食べるために使いましょう。