子どもの安全を守るモノやコトを知って体験しようという見本市「セーフティグッズフェア with サイエンスアゴラ2016」に行ってきました。当イベントでは身近な危険から身を守る技術を体験できるワークショップも開催されていましたが、筆者が注目したのは展示されていた100点のグッズ。いずれも、キッズデザイン賞を受賞した作品です。キッズデザイン賞とは安全のための工夫や、子どものコミュニケーション能力や表現能力を高めたり、子どもを産み育てやすい社会環境づくりに貢献するデザインが施されているモノやサービス、施設、取り組みに授賞されるもの。その受賞作品の中から、筆者がイイと思った心身の成長を促す遊びツールをいくつか紹介しましょう。
「セーフティグッズフェア with サイエンスアゴラ2016」は2016年11月4〜6日の期間、お台場・東京都立産業技術研究センターにて開催
比較的幼い頃から手することの多いクレヨンは、安全性の高いものをセレクトしたいですよね。そこで提案したいのが、舐めても大丈夫なクレヨン「プリモモくれよん」(プリヴェAG)。プリモモクレヨンは除菌ソープや中性洗剤、水で洗うことができ、万が一口に入れてしまっても安全な素材を使っているほか、気道も確保できる形になっています。卵型やリング型、花の形などが用意されており、描くだけでない楽しさが得られるのもポイント。
指にはめるたり、ヒモを通してネックレスのように遊ぶ子どももいるかも!? 実は、ピーチの香りがします
右にある「プリモモくれよん たまご」は、割れ目で分解できます。組み合わせを自由に変えたり、コマののように回せるなど遊べる要素が満載
独特な形をしていますが、意外と描きやすい
けっこうギューっと握っていましたが、手にはクレヨンの汚れなし!
付属の消しゴムを使えば、描いた線を消すことができると言われましたが……なんだか、うっすらと残っています。でも、子どもが使うものならこのぐらいでも大丈夫! かな!?
クレヨンでもう1つ気に入ったのが、米と野菜からできた「おやさいクレヨン vegetabo」です。野菜パウダーをライスワックスに溶かし、補色は食品の着色に用いられる成分と同じ顔料を採用するなど徹底的に安全性に配慮しています。さらに、すばらしいのは廃棄される野菜を使っていること。本物の野菜が原料となっているので、青色が作れないのもおもしろいですよね。
色違いの4種類がこれまで発売されていましたが、人気の高い“野菜色”をセットにした「おやさいクレヨンStandard」が2016年に登場しました。写真のものは「Season3」ですが、スタンダードにはきゃべつ、ねぎ、ながいも、ごぼう、とうもろこし、雪にんじん、りんご、カシス、紫いも、竹炭が入っています
一般的なクレヨンと色が微妙に違います。淡くやさしい色あいで、大人でも欲しくなるようなセンスだと思いました
クレヨンからペンに持ち替えた時期に起こりがちなのが、ペン先を潰してしまうこと。力のかけ具合がまだわからない子どもはグリグリやってしまいますからね。ペン先を丈夫にした「キンダーマーカー たふっこ」なら、その点安心です。思う存分、お絵描きをしてもらいましょう。
一見、普通の水性マーカーですが……
ペン先が丸い! この形状にすることで耐久性が高まったそうです
さらに、フタにも工夫が。子どもが自分でフタを取れるように表面には突起を装備しているほか、誤飲してしまった際に窒息しないように6つの通気孔が設けられています
指先を使って造形していく粘土は、子どもの創造力を育むのに最適な玩具。近年は、カラフルな小麦粘土が人気ですが、小麦アレルギーを持つ子どもは遊ぶことができません。そこで誕生したのが米粉から作った「お米のねんど」(銀鳥産業)。使っている時は乾燥しにくいのに、そのまま乾燥させると紙粘土のように固くなるので作品づくりにもうってつけ!
8色入りと12色入りが発売されています
けっこうしっかりとした弾力で、造形しやすい印象
もう少し大きくなった子どもには、ミシンなんていかがでしょうか。「毛糸ミシンHug」(アックスヤマザキ)は針に糸を通す必要もなく、毛糸を所定の位置にひっかけるだけで準備完了という手軽さが魅力。さらに、針に指が触れない構造となっているので子どもだけで使っても安心です。
毛糸ミシンHugは単3電池4本で稼働
針の部分にはガードが付いており、針に手が触れない機構になっています。すき間が4mmなので、子どもの指でも入りません
毛糸を上部にある「毛糸ガイド」と針のある「針ガード」の窪みにかけたら準備完了です
布をセットし、スタートボタンを押すと下の動画のように稼働します。布を送る機構は非搭載なため、自分で布を動かして操作。
縫ったものも裏側を見てみると、縫い目がありません。毛糸ミシンHugは縫うのではなく、毛糸を生地に打ち込むという仕組みになっているからです
厚めや固い生地でなければ、毛糸ミシンHugで裁縫可能。縫っているわけではないので、たとえば作ったカバンに重いものを入れたりすると底が抜けることもあるので注意しましょう
自分で描いたり作ったりできるグッズは楽しいですが、完成しているものを見ることでもいろいろな成長が期待できます。なかでも、絵本の読み聞かせは胎教にもいいといわれていますよね。今回紹介する絵本は、読むより体験するもの。「YKK布絵本」は製品名のとおり布でできた絵本で、ページにあるファスナーやボタン、スナップなどを子どもが触っているうちに着替えをする時に必要な操作が習得できてしまうのです。ただ、残念なことに市販はしておらず、保育所や病院等へ寄贈されるものとなります。施設で見かけたら、ぜひ手にとってみてください。
ポリエステルでできた絵本なので、洗濯も可能。読み終えたあとチャックを閉めれば、カバンの形になります
チャックを開閉したり、バックルのつけ外しなど、絵本でやり方を習得できれば日常生活でも自分でできるようになりそうですね
カバの口にあるチャックを開けると歯が! 「食事のあとは歯磨きしよう」といった生活習慣のコミュニケーションもとれそう
子どもの成長には運動も大切。足けり自転車「D-bike mini」(アイデス)はハンドルを切ると方向が変わり、蹴ると進むといったことを自ら体験していくことでバランス感覚を身につけられる乗り物。さらに、一人で乗り降りできるようになってくると、足腰も鍛えられます。産婦人医の意見を取り入れて開発されているため、安全性もバッチリ。倒れにくく、足がぶつからないデザインなので、1歳から始めるトレーニングにぴったりです。
ハンドルにもたれかかると転倒したり、床を蹴った時に後輪に足がぶつかるといった課題を、前輪を2つ、後輪を1つにすることでクリア
タイヤには傷をつけにくく、細かい振動を吸収する素材が採用されているため、室内で乗っても安心
会場でD-bike miniに乗っている子どもを発見! かなり傾倒していますが、なんなく乗りこなしていました。こうやって自然とバランスをとる感覚が養われていくのでしょうね
大人にも人気のクライミングを子どもにもさせちゃいませんか? クライミングによって全身の筋力が鍛えられるだけでなく、バランス感覚や持久力、瞬発力、判断力といった思考能力も育まれます。また、落ちることでも怪我をしにくい身体感覚が養われるそう。
「クリムボン」(ダイナマークス)で遊べるのは、3歳から小学3年生まで。グリップの配置や向き、ボードの増設などにより難易度は自由に変えられます
初めてトライした女の子ですが、一度も落ちることなく左側のスタートから右端のゴールまで到達。途中、どのグリップに足や手をかけようか考えている様子もあり、身体と頭脳が鍛えられるのは間違いないと思いました