レビュー
肉じゃが&煮魚定食に挑戦

耐熱ポリ袋「アイラップ」があれば、お鍋ひとつで定食が作れる!?

数年前から「ポリ袋」を使った料理が人気らしい。

ごはんとおかずがひとつの鍋で作れる、湯煎するだけの簡単調理、アウトドアや災害時の備えにも最適、との噂である。いいことずくめ。

とはいってもポリ袋だ。あのペラペラの袋で本当に実用的な調理ができるのだろうか。その使いやすさや肝心の味を確認してみよう。

ひと口にポリ袋と言ってもさまざまな種類があるのだが、熱に強いタイプを選ぶのが肝心ということで、食材を熱湯でボイルしても問題のない「アイラップ」を購入。スーパーなどでもらえる透明のポリ袋は、湯煎のような利用方法が想定されていないので注意されたい。

岩谷マテリアルのアイラップ。令和になっても愛されているデザインがすてき

岩谷マテリアルのアイラップ。令和になっても愛されているデザインがすてき

アイラップはカセットコンロなどで有名な岩谷産業のグループ会社が製造しており、発売以来40年以上の歴史を誇る伝統のポリ袋。その耐熱温度は安心の120℃である。

一応断っておくと、アップル社の製品ではない。

袋状のラップとして、さまざまな用途で使用可能らしい

袋状のラップとして、さまざまな用途で使用可能らしい

私がよく行くスーパーは、鶏胸肉を3枚まとめて買うと安いので、アイラップ ミニに1枚ずつ入れて冷凍している。袋状のラップ、超便利

ちなみにツイッターのアイラップ【公式】さんに確認すると、ポリ袋調理は40年以上前となるアイラップの商品開発時に、まったく想定していなかった使い方だそうだ。

そのためメーカーとして公式なポリ袋調理の料理方法は基本的に公表していないとのこと。へー。

そのへんの事情を踏まえつつ、今回はひとつの鍋なのに複数のおかずが並ぶ、「アイラップ定食」を作ってみたいと思う。


アイラップでごはんを炊いてみよう

まずはポリ袋調理の中で一番成功するイメージが湧かない、お米を炊く作業からチャレンジしてみよう。

ちょっと検索してみたところ、米と水の割合は1:1.5が基本らしい。また熱に強いといっても限度があるので、鍋底や鍋肌にポリ袋を密着させないのがポイントのようだ。

米は研がなくてもいいらしいが、生米1合(142g)を軽く洗い、1.5倍の水(213g)を足した重さにして実験してみる

アイラップを三角形の箱から引き抜くと、薄いながらも高密度ポリエチレンらしい張りと強度を感じる……ような気がする。

スーパーでもらった袋とは確かに違って、なんというかパリっとした手触りだ。

30分以上浸水させてから、アイラップに入れる

30分以上浸水させてから、アイラップに入れる

アイラップに米と水を入れたら、空気をしっかりと抜くようにグルグルとねじって、キュっと適当な場所を縛る。これを湯煎すればご飯が炊けるらしいのだが、さてどうなるか。

これを熱湯に入れるだけで、本当にごはんが炊けるのだろうか

これを熱湯に入れるだけで、本当にごはんが炊けるのだろうか


肉じゃが、煮魚、味噌汁、浅漬けも一緒に作る

メインのおかずは肉じゃがにした。具はジャガイモ2個、ニンジン半分、タマネギ半分、牛肉100g。そして味付けは醤油大さじ2、みりん大さじ3、砂糖大さじ半分、顆粒だし小さじ1、水200cc。

一般的な鍋での加熱と違って、ポリ袋調理は蒸発する水分が少ないと思われるため、ちょっと濃いめに味付けしてみた。これで肉じゃがが作れるのであれば、カレーでもシチューでも余裕で可能だろう

火が通りやすいように野菜はちょっと小さめに切ってみた

火が通りやすいように野菜はちょっと小さめに切ってみた

もうひとつのおかずは煮魚に挑戦。ブリやタラで作ろうと思ったのだが売っておらず、頭と内臓の抜かれたカレイとなった(おかげで大変なことに……)。

煮汁は醤油、酒、みりんをそれぞれ大さじ2、そして砂糖を小さじ1でどうだろう。ショウガのスライスも入れておこう。煮詰まらないので水は入れない。

鍋で煮る場合と比べて、焦げ付く心配がないのと、煮汁が少なく作れるので、少量を作るのがやりやすいようだ。

煮詰まらない場合の味付けがよくわからない

煮詰まらない場合の味付けがよくわからない

続いては味噌汁。アイラップに水と具(ちぎったキャベツ)と味噌と顆粒だしを適当に入れただけ。

手間としてはインスタントとたいして変わらない。

ポリ袋調理、だんだんと便利な気がしてきたぞ

ポリ袋調理、だんだんと便利な気がしてきたぞ

ついでに加熱の必要がない浅漬けも作っておこう。これは必ずしもアイラップである必要はない。

これは洗ったキャベツを適当にちぎって、千切りのショウガ、顆粒だし、塩を適量加えて、袋の上からもんだだけである。

浅漬けのある食卓っていいですよね

浅漬けのある食卓っていいですよね

こうして準備したものが下の5袋だ。ポリ袋に入った食材がいっぱいあると、なんだか東南アジアの屋台でテイクアウトしてきた人みたいである。

キャベツの浅漬けは冷蔵庫に入れるとして、ほか4つはひとつの鍋で湯煎調理。

はたして何品が成功するのだろうか。

ついクセで下のほうを縛っているけど、本当は袋の上を縛るのが正解です

ついクセで下のほうを縛っているけど、本当は袋の上を縛るのが正解です


ポリ袋を湯煎で加熱してみよう

ごはんの加熱時間が30分ということで、まずは沸いたお湯にお米と肉じゃがを入れて、その15分後に味噌汁と煮魚を加える段取りとした。

食材の入った袋を湯煎し始めるタイミングをずらすことで、加熱時間の違う料理が同時に仕上がる計算だ。そんなにうまいこといくかは謎だけど。

アイラップで湯煎をする場合は、鍋底や鍋肌に直接触れないようにするのが鉄則ということで、今回はパスタを茹でる鍋を使い、上から袋をぶら下げる方式を採用してみた。通常は鍋底に耐熱皿などを敷いたりする。なんにせよ大きめの鍋とたっぷりのお湯を使うのが無難だろう。

本当にこれで成功するのかな

本当にこれで成功するのかな

ポコポコとお湯が沸く程度の火力をキープしつつしばらく眺めていると、釣り上げた深海魚のようにアイラップが膨張してきた。

そうか、低温調理でやる60℃とかの湯煎と違って、沸騰したお湯での湯煎は、袋の中の水分が水蒸気になって膨れるのか。それで膨れた分の余裕を保つために、袋の上のほうを縛ったほうがよかったか。

袋がふくらみすぎて破裂するということはなかったが、やはり上を縛るのが正解なのだろう。

水は気化すると体積が増えるという実験結果がこちらです

水は気化すると体積が増えるという実験結果がこちらです

そんな感心をしている間に米を湯煎し始めてから15分が経過。

ここで煮魚と味噌汁をぶら下げて追加投入。料理というか理科の実験っぽい感じで、今のところ不安しかない。

今までにない緊張感がある料理だな

今までにない緊張感がある料理だな

そして煮魚を追加投入した15分後、トータル30分が経過。キッチンにおなかの空く匂いが充満してきたし、そろそろ煮えたかなとカレイの入った袋を引き上げてみると、ピョロロロ〜と煮汁が穴から飛び出てきた。やばい。

そうか、だから煮汁の匂いが漏れていたのか

そうか、だから煮汁の匂いが漏れていたのか

その原因は明らかにカレイのヒレである。ここの骨が運悪くアイラップを突き破ってしまったのだろう。骨のある魚など、とがった食材はポリ袋調理には向いていないようだ。って当たり前か。


アイラップ定食の味はいかに?

そんなトラブルもあったけど、とにかく肉じゃがと煮魚の定食が、ごはんと味噌汁付きでひとつの鍋によって完成した。普通に調理したよりも、なんだか達成感が味わえたのでお得だ。

さて肝心の味はどうなんだろうね。

袋に穴さえ開かなかったら完璧だったのだが

袋に穴さえ開かなかったら完璧だったのだが

ところでこれを器に盛り付けていくのだが、やっぱり袋は上で縛るのが正解だ。

結び目をほどくにしろ切るにしろ、食材から近い個所だと熱いし汁をこぼしやすいよ。

結び目の位置が下過ぎてこぼしそうになり、袋を開けるために鍋を使うという矛盾

結び目の位置が下過ぎてこぼしそうになり、袋を開けるために鍋を使うという矛盾

何はともあれアイラップ定食が完成した

何はともあれアイラップ定食が完成した

いただきまーす

いただきまーす

まずは一番心配だったごはんだが、これが想像以上にちゃんと炊けていて驚いた。袋の内部に蒸気の圧力がかかったためか、ふっくらと炊けているのである。ちょっとレトルトごはんっぽい感じもするが、十分合格点だろう。

アウトドアなら慣れない飯盒でごはんを炊くよりも、こちらの方法が簡単で確実だ。袋のままかじりつけば食器いらずだし。これは楽しい。

すごい、ちゃんと炊けている!

すごい、ちゃんと炊けている!

味噌汁も問題なく成功していた。黙って出されたら、これがポリ袋調理だとは絶対にわからないだろう。気軽に宇宙食気分が味わえる。

アレルギーや好き嫌いの問題で、味噌汁を個別に作る必要があっても対応可能だ。

袋から器にそそぐのがちょっと難しいけどね

袋から器にそそぐのがちょっと難しいけどね

さあ続いてはメインの肉じゃがだが、煮えにくいジャガイモやニンジンもちゃんと煮えていた。ただ味付けがちょっと薄い。湯煎だと煮詰まらないので濃いめにしたつもりだが、もっと濃くしないと食べなれた肉じゃがの味にはならないのだろう。このあたりは経験が必要か。

またこの調理方法だと途中でアクをとれないため、牛肉の臭みが出るかなとも思ったが、そこは全然気にならなかった。私の舌がバカなのかもしれないが、バカなほうが都合がいいこともあるのだ。

ちょっと味が薄くなったけど、ヘルシーな肉じゃがだと思えばOK

ちょっと味が薄くなったけど、ヘルシーな肉じゃがだと思えばOK

そして問題のカレイの煮付けだが、やはり袋に穴が開いて煮汁が漏れまくったため、肉じゃが以上に薄味に仕上がった。

このほうが魚本来の味が楽しめるのだと強がってもよかったが、醤油を追加していただいた。次回は骨が飛び出ていない魚を選ぼうと反省した次第である。

すごい薄味

すごい薄味

そりゃ穴も開くよなというヒレ

そりゃ穴も開くよなというヒレ

そして浅漬けが地味ながらもおいしかった。適当な野菜を調味料ともんでやれば、簡単に浅漬けができるんだという気づき。もっともこれはアイラップでなくとも作れるのだが。

キュウリやナスなどの夏野菜が出回ってくる時期だし、これは今後もリピートしよう。

簡単、おいしい、ヘルシー!!

簡単、おいしい、ヘルシー!!


ロールキャベツも作ってみたよ

ついでにもう1品、せっかくなので加熱の待ち時間を利用して作ってみた。

これまでの料理以上に、ポリ袋だからこそのメリットを感じる調理を試してみたいのだ。

普通の鍋に、蒸すときに使うやつを敷いて使用

普通の鍋に、蒸すときに使うやつを敷いて使用

そこで思いついたのが、ロールキャベツである。

ロールキャベツは鍋にぎっちり作らないと形が崩れてしまうが、アイラップに入れて割りばしで固定すれば、少量でも作れるのではないだろうか。

ちょうどお湯も沸いているので、これでキャベツの葉をサッと茹でて、挽肉とタマネギのタネを詰めてロールして、トマトジュースと顆粒コンソメで煮込んでみよう。

割る前の割りばしで軽く固定。これで煮崩れないはず

割る前の割りばしで軽く固定。これで煮崩れないはず

ロールキャベツを少量作りたいという全人類の夢がかなうかも

ロールキャベツを少量作りたいという全人類の夢がかなうかも

煮込むこと30分、煮崩れることも袋に穴が開くこともなく、ロールキャベツが無事完成。

やはり煮汁が煮詰まらないので、これもちょっと味が薄かったか。トマトジュースではなくトマトピューレを使うか、かなり濃いコンソメスープを使えばさらにおいしくなっただろう。

なんにせよポリ袋調理の可能性を感じるひと皿であり、もっといろいろ試したくなった。

ロールキャベツを2つだけ作ることに成功!!

ロールキャベツを2つだけ作ることに成功!!


災害時やアウトドアでも役立つ

このように実際にアイラップを使ったポリ袋調理を試してみると、事前にイメージしていたよりも簡単で、ちょっとしたコツさえつかめば失敗がなく、状況次第ではかなり使えることがわかった。もしアパートのガスコンロが1口だった学生時代の私がこの方法を知っていれば、きっと有効活用したことだろう。

今回は鍋の水も水道水を使用したが、水の使用に制限のある災害時やアウトドアでは、貴重な飲料水はごはんを炊くのや味噌汁の水分にだけ使用し、湯煎用の鍋には川や海の水を使えばいいだろう。また容器を覆うようにアイラップごと盛り付ければ、皿洗いで水を使う必要もない。

アイラップから直接食べれば、容器を洗う必要がない

アイラップから直接食べれば、容器を洗う必要がない

限られた条件の中で同時進行によって複数の料理をこなすという行為には、なんだかロマンを感じる。今回は基本的な料理しか作っていないが、次の機会があればもっと攻めた料理も作れるはずだ。ハンバーガーをアイラップで温めてアイマックとか。

ポリ袋を使った湯煎調理、普段の生活だと使う機会はそんなにないかもしれないが、いざというときのために覚えておいて損はない技だと思う。

骨の飛び出ていない魚で試したら、煮魚もおいしくできました

骨の飛び出ていない魚で試したら、煮魚もおいしくできました

玉置標本(たまおきひょうほん)

玉置標本(たまおきひょうほん)

食材採取と製麺が趣味のフリーライター。身近な動植物を捕って食べたり、家庭用製麺機でラーメンを作る日々。 著書「捕まえて、食べる」、同人誌「趣味の製麺」が発売中。
私的標本:http://blog.hyouhon.com 趣味の製麺:http://www.seimen.club

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