本連載は、ゴロゴロと食っちゃ寝の自堕落生活を効率的に行うためのツールを紹介する、という趣旨でお届けしてます。
で、自堕落生活でまず問題となるのが「QOL(Quality of Life=生活品質)」。単に食っちゃ寝するだけなら、雨風だけしのげる場所で寝て、カロリーだけ高い“駄メシ”を食っているだけでも十分ですが、そんなのはせいぜい「自堕落四天王」の中でも最弱程度の地位。「自堕落王(ジダラキング)」は、必要最低限の労力で考え得る最大のQOLを獲得するわけですよ。たとえば、白米を食べるにしたって、冷凍とかレンチンご飯で満足してるようではいけない。王たる者は毎回、楽してホカホカの炊き立てご飯を食べるべきだ。だってそれが1番ウマいんだから。
ひとまず、無洗米と炊飯器さえあれば米を炊く手間なんかほぼゼロも同然ですが、問題なのが肝心の炊飯器の部分。単身暮らしの場合、1回の食事で0.5〜1合ぐらいが基本量になりますが、一般的な炊飯器だと2合炊きが最低ライン。最近は0.5合炊き対応の小型タイプもありますが、炊きムラがあったり、おいしく炊ける製品は高価だったりと、いろいろ難しい。
そこで0.5〜1合炊きの最適解を探しているうちに、「これだわー!」的な製品を見つけました。
サンコーの「おひとりさま用 超高速弁当箱炊飯器」です。あー、これこれ。これでいいんすよ。
見た目は、本当に家電感ゼロ! サンコー「おひとりさま用 超高速弁当箱炊飯器」
もはや本連載では、“ジダラキング御用達”とも言えるサンコーですが、さすが見事に自堕落スピリッツを心得てるなーというクオリティでした。
見た目は炊飯器らしからぬスクエアな形状ですが、ここで製品名を確認していただきたい。これでピンと来た人はなかなかの自堕落者。
そう、これは炊飯器にして弁当箱でもあるので、炊き上がったご飯をここからダイレクトに食べてもOKな製品なんです。
単なる弁当箱じゃない証拠に、電源ケーブルと米用の計量カップが付属
いや、だってインスタントの袋麺は煮た鍋から直で食べられるのに、炊飯器は大き過ぎてそれが難しい。だから炊飯器からいちいち茶碗にご飯をよそわなきゃいけないんですよ。何あれ面倒くさい。洗い物も増えるし。
炊飯器から炊き立てご飯にノータイムで箸をつっこんで食う。これに勝る自堕落はありません。もうコンセプトだけで優勝!
自堕落生活にマストな食料と言えば無洗米。研がなくていいのは本当に楽です
先述した通り、炊くのは無洗米があれば手間ゼロ。付属の計量カップで0.5合なら1カップ半、1合で3カップすり切りを測って、弁当箱炊飯器にザラ〜。続けて、水を米の量に合わせて内釜の線まで注ぎます。
オフィスや外出先で炊き立てを食べたいなら、朝に自宅から無洗米だけ弁当箱炊飯器に入れて来て、あとはペットボトルの水を入れて炊けばよし。
注水線は1番下が0.5合で、上が1合用。かなり見づらいので要凝視
米と水をセットしたら、本体に付属の電源ケーブルを差し込んでスイッチオンしたら炊飯開始(挿し込み口近くの赤いLEDランプが点灯)。今回は1合炊きにトライです。
ちなみに、無洗米は本来なら30〜60分ほど吸水させると味的にベストなんですが、面倒だったり空腹な時はもういきなり炊いちゃっても大丈夫です。
スイッチを入れると、炊飯中の赤ランプが点灯。これ以外に表示はないシンプルな構造です
で、改めてもう1度製品名を見直してもらうと、ちゃんと書いてありますよね。「“超高速”弁当箱炊飯器」、と。
超高速というのが具体的にどれぐらいかというと、炊き上がりだけなら0.5合で約14分、1合でも約19分。これは他社の小型炊飯器と比較しても相当速い。
この速さは、底面全体にビッシリと熱源を敷き詰めたことで出る高火力によるもの。釜自体も浅いので、底面の熱源で釜側面までガッツリと加熱できるのもポイントのようです。
たとえば、夜に帰宅して「あー、腹減ったけどメシ炊くの面倒くせぇな」となっても、これぐらいの時間ですむなら、やる気が出ると思うんですよ。
炊飯開始から10分を過ぎると、フタがほんのり温まってくる感じ。しばらくは炊ける気配がないのでやや不安になるかもですが、信じて待つべし
炊き上がりも静かに緑ランプが付くだけ。うっかり炊いてるのを忘れないように、スマホで20分(1合の場合)ほどのアラームをかけておくといいかも
スイッチを入れて10分ぐらいは、まったく炊けている気配なし。そこを超えたあたりから、次第にポコポコ&グツグツと沸く音がしてきて、フタの穴から蒸気が上がります。おー、炊いてる炊いてる。
ただ、そのままメーカー公称値の19分を超えてもまだ炊いているので、やや不安になったんですが、最終的には20分をちょい超えたあたりでカチッとスイッチが切り替わって、緑の保温ランプが点灯。これで炊飯完了です。
どうやら炊飯時間は、水の温度とかで多少の誤差(冬場は1合で+1〜3分ぐらい?)が出るっぽいです。できれば、ここから+5〜10分ぐらいは蒸らしタイムを設けましょう。この時間を利用して、おかず類をレンチンして温めておくのがスマートかも。
おかずも温まったところで、いよいよフタをオープン。ちゃんと炊けてるかな……?
…………おおー! イイ感じにちゃんと1合分の白米が炊けています。普通のしゃもじではサイズ的にかき混ぜづらいので、スプーンぐらいで下から掘り起こすように混ぜてやると、なかなかのツヤ具合が見て取れます。
ここで「即食いたい!」となるのはわかるけど、まずは慌てず電源スイッチを切りましょう。フタを開けて釜の温度が下がると、自動的に赤ランプが点いて、再び炊飯モードになってしまうので……。また、このままだと食べづらいので、電源ケーブルもこの時点で抜いておいたほうがよさげ。
弁当箱にギッシリとホカホカのご飯。まさかこの弁当箱で炊き立てのものとは誰も思うまい
仕事が立て込んでいたので、仕事机でコンビニおかずとともにランチ。でも、ご飯が炊き立てというだけでテンションは上がります
(試食後)うん、いいじゃないですか!
そりゃ、ハイエンドな炊飯器やガス釜で炊いたものには敵うべくもありませんが、ちゃんとしたおいしい白米です。そして炊き立てホカホカ!
この感動は、レンチンのパックご飯に確実に勝ります。水の量で自分好みの硬さにも調整できるし。
全体的に炊きムラもなし。10,000円以下の0.5〜1合の少量炊飯器としては「えっ、こんなにちゃんと炊けるの?」という驚きのクオリティと言えるでしょう。
何より、炊飯器からダイレクトにご飯が食べられるという手軽さ! これは思った以上に感動です。ジダラキング、感動した。
ご飯の上におかずをワンバン(ワンバウンド)させて、そのまま炊飯器からガーッとかき込んでみたんですが、予想していたよりもイヤな背徳感はなし。これは電源を抜いた時点で見た目が完全に弁当箱になってるからかも。
さらには、こんなことだってできちゃうワケですよ。
炊飯器にカレーをダイレクト投入。これは弁当箱炊飯器でしかできない自堕落テク
蒸らし中に電子レンジで温められるレトルトカレーを温めておいて、炊き立てご飯の上にドバーッ!
容量的にも、ご飯1合+レトルトカレーでジャストな感じ。最初からそういう使い方も想定して作ったの?ぐらいの丁度よさです。もう最高。
そして、食べ終わったらそのまま洗えるのも最高。内釜を分離して……とかそういう手間もなしで、本体そのままを洗剤をつけたスポンジでこすって、さっとゆすぐだけ(電源挿し込み口は付属のゴムキャップをしておくこと)。
ムダに茶碗や皿を洗うこともないので、労働コストが確実に減るのも自堕落的に素晴らしい。炊飯器からのダイレクト食い、ほんと最高。
茶碗や皿は不要なので、食器洗いの手間はガッツリ減らせます。ただし、フタ部分だけは金属ブタ/プラフタ/パッキンに分解して洗う必要があります
高速でご飯が炊けて、すぐに食べられて、洗い物も減る。これ、ちょっとケチつける部分がないレベルでQOL爆上げしてくれる自堕落ツールですよ。実際、本稿を書いてる時点では売れ過ぎて品切れ状態のようですが、再入荷を待ってでも買ったほうがいいかも。
最新機能系から雑貨系おもちゃ文具まで、何でも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は大手文房具店の企画広報として企業ノベルティの提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。