2020年3月に掲載した本連載の記事では、家庭内でしばしば飛び交う「あれ、どこにある?」という質問をなくすための文房具を紹介しました。
主に家事を担当する者に向けられる「あれ、どこだっけ?」は、いちいち家事や仕事を中断して対応しなければいけないため、かなりの負担なのです……という内容でした。
あれから1年が経ちましたが、コロナ禍による2度の緊急事態宣言があり、2回目は今も継続中です。今まで会社に出勤していた家族がリモートワークになったため、「あれ、どこにある?」に悩まされる人は増えているのではないでしょうか?
というわけで、「あれ、どこにある?」撲滅文房具第2弾です。
先述の対談では、冷蔵庫に貼れるファイル「スキットマン 冷蔵庫ピタッとファイル」(キングジム)を紹介しましたが、この「SPOT ハルファイル」は、その進化系とでも言うべき文房具です。
「SPOT ハルファイル」のA4変形版。冷蔵庫や食器棚に貼り付けて使います
「スキットマン」は、磁石で冷蔵庫に貼るタイプだったので、ガラスドアの冷蔵庫や食器棚には貼れませんでした。しかし「SPOT ハルファイル」は吸盤で貼り付けるタイプなので、磁石で貼れない場所にも設置できます。別売のマグネットも取り付けられるんですが、とにかく「スキットマン」よりも設置できる場所が増えたわけですね。
見開きに書類を収納できます
基本は、吸盤で貼り付けますが、マグネットも別売で用意されています
本製品のおもしろいところは、見開きでも貼り付けられること。左右に書類をたくさん収納できます。
このように見開きで貼れば、中にたくさんの書類やメモを入れても一目瞭然。A4変形サイズなら、切り取った雑誌のレシピページもそのまま入ります
左側には、チケットなどにぴったりの小さめのポケットを用意
また、綴じた状態ですと、表紙がホワイトボードとして使えるので、メモに便利。ペンホルダーも付いています。
綴じた状態ですと、このとおりホワイトボードとして活躍。足りない食材などをメモしておきましょう
書類入れとしても、ホワイトボードとしても活躍する。これを、冷蔵庫や食器棚に貼っておけば嫌でも目に入りますから、「家族で共有する書類はこの中」とルールを決めておけば、いちいち場所を聞かれることはなくなるでしょう。
ハサミは、引き出しの中で迷子になりがちなのか、場所を聞かれる文房具ランキングでいつも上位につける文房具。そこでオススメしたいのが、プラスの「フィットカットカーブ 料理はさみ《アウトドアパッケージ》」。コロナ禍の影響で、今までは手でちぎっていた野菜なども、できれば手で触れることを避けたい人が増えているのではないでしょうか。そんな人にはぴったりの料理ハサミです。
食材カットを想定した、全長20cmのやや大きめのハサミ
このハサミがあれば、食材もその袋も切れて便利。「ベルヌーイカーブ」という独特のカーブを描く刃が、肉も魚もスパスパ切ってくれますから、料理も楽になるでしょう。解体して洗えますので、衛生面の心配もいりません。
「ベルヌーイカーブ」を描くハサミの刃。このカーブが切れ味の秘密です
写真のように分解可能なので、洗いやすいのがうれしいですね
カシメをよく見てみてください。90°以上開かなければ外れないように作られているので、使用中に外れてしまう心配もありません
あと、ハサミのカラーには珍しい「モスグリーン」や「サンドベージュ」など、アースカラーのカラバリも素敵ですよね。「実用一辺倒!」な商品が少なくないハサミ界においては貴重です。
これをドンとキッチンに置いておけば、さすがに「ハサミ、どこだっけ?」と聞かれることもなくなるでしょう。
最後に、探し物ではなく、「あれ、いつだっけ?」という予定について質問が投げかけられた時に便利な文房具を紹介しましょう。
リモートワークの普及で自宅にいる時間が増えた家族から、「粗大ゴミの日はいつだっけ?」「次の出社日は?」といった質問を繰り返し投げられて困っている人もいるのではないでしょうか。「自分で覚えておいてくれ」と言いたくなると思いますが、覚える気がないから何度も質問してくるわけで、これにもやっぱり対策が必要です。
そんな人には、シヤチハタから出ている「オピニ 手帳のはんこペン」をオススメしましょう。文字どおり、判子とペンを合体させたアイデアペンで、ペンに好みの判子をセットして使うんですが、これが実に便利なのです。
キャップを兼ねた判子(左)と、赤と黒の2色油性ボールペン(右)を組み合わせた「オピニ 手帳のはんこペン」
判子は、スタンプ台を使わずにそのまま約500回連続して捺せるもの。製品を購入したら、「ネーム印」か「アイコン印」のいずれかひとつのスタンプをウェブサイトでオーダーします。追加の判子は単品で購入可能。写真のように、2つセットすることも可能です
判子と言っても、「佐藤」「山田」といったネーム印だけではありません。ネーム印はもちろん用意されていますが、それ以上に30種類もラインアップされている「アイコン印」が便利なのです。「出勤」「休み」「残業」「歯医者」「美容院」など、日常で発生するイベントがだいたい網羅されていますから、この「手帳のはんこペン」をカレンダーの近くに置いておけば、自分や家族のスケジュールを視覚的に管理できます。
判子の種類が多いのもポイント。ネーム印だけではなく、用事を示す判子がたくさんラインアップされています
私はこれを、キッチンのカレンダーのそばに置いていますが、今日紹介した「SPOT ハルファイル」とこの「手帳のはんこペン」がキッチンに揃っていることで、まるでキッチンが巨大なアプリになったような錯覚に陥ります。スケジュール管理からメモ、書類の確認までがキッチンで行えてしまうわけですから。もちろん、「フィットカットカーブ」を使った料理だってできちゃいます。そんな万能なアプリ、あのGoogleですら開発できていません。
カレンダーと組み合わせて使えば、視覚的に予定を管理できます
なかなか終わりが見えないコロナ禍に疲れている人も多いと思いますが、これを逆手にとって、“Googleを超えるキッチン”を作ってみましょう。
Webサイト「STATIONERY RESTAURANT」を運営する文具ソムリエールとして活躍。大学卒業後、好きが高じて雑貨店に就職し文具担当に。現在は、文房具の紹介、コラム執筆、商品開発、売り場企画などの活動をしている。