本連載は、文房具ライターのきだてたくが、「価格.comマガジン」の編集担当・マキノに、便利な文房具をリモートで必死にプレゼンする様子を実況。もし紹介された製品の中で「欲しい」と思うものがあったら、それをマキノは実際に購入!……という自腹買い企画です。
第6回は、「自宅にあると便利な接着剤」をテーマに、最新3製品をプレゼン!
「価格.comマガジン」の編集担当・マキノ(左)に対し、文房具ライターのきだてたく(右)が、プレゼン!
●優秀な文房具の記事はこちらから!
「文具プレゼンターKIDATE」アーカイブ
https://kakakumag.com/backnumber/?contents=164
「文具対談」アーカイブ
https://kakakumag.com/backnumber/?contents=110
きだて 今、別のメディアで「工作」に関する記事を書いているんですけど、そこで細かいパーツを大量に貼り合わせるという作業が発生していて、接着剤をめちゃくちゃ使うんですね。
マキノ きだてさん、いろんな仕事していますよね……。
きだて だったらついでに、接着剤のおすすめを紹介しておこうかなと思いまして。マキノさんはガンプラ記事も担当しているけど、接着剤って使う?
マキノ 作り方によっては必要な場合もありますけど、今のガンプラは、基本的に接着剤は使わなくても組み立てられますからね。
きだて そうだよね。それ以外だと、あまり使わない?
マキノ 言われてみれば、使う機会ってあまりないですね。自宅には置いてないかも。
きだて そうかー、俺は仕事以外でもいろいろと工作するのが好きなんで、いろんなタイプの接着剤をストックしているんですけど。ほら……。
魔法瓶タイプのスープジャーを転用した接着剤ストッカー。放置するとすぐ使えなくなる接着剤も、これなら保存しやすい
マキノ え、何ですか、これ。
きだて 密閉できるスープジャーなんだけど、これが接着剤の保管に便利なんですよ。市販の接着剤って、空気中の湿度に反応して固まってしまうものが多いんで、こういう入れ物に除湿剤と一緒に入れておくと、かなり長持ちします。
マキノ そんな工夫しているんですね。マニアック!
きだて 何なら、冷蔵庫に保存しておいてもいいんですよ。冷蔵庫の中は、乾燥しているから。まあとにかく、いざという時に使えるように、接着剤はひとつぐらいストックしておいたほうがいいですよ。
きだて ホームセンターに行くと、たまに接着剤コーナーの前で“固まっちゃっている”人を見かけるんですよ。
マキノ 接着剤だけに、固まっているんですか(笑)。
きだて そういうウマいこと言った的なやつじゃなくて……(苦笑)。自分がくっつけたいモノに、どの接着剤が合うのかがわからなくて困っているんですよね。
マキノ でも接着剤って、パッケージに「これとこれは接着できます」みたいな一覧が書いてありますよね?
きだて そうなんですけど、自分のくっつけたいモノの素材がよくわからないケースも多くて。たとえば、プラスチック的なモノを見ても、それがアクリルなのかPS(ポリスチレン)なのかPP(ポリプロピレン)なのか、わかんないでしょ。
マキノ 言われてみたら、僕も全然わからないです。というか、その違いを気にしたことがない。
「ハイパー超多用途」のうたい文句が輝く「スーパーX ハイパーワイド」(セメダイン)
きだて この違いは、接着剤選びにおいてめっちゃ重要なんですけど、とはいえ、わかんないなら、もう全部くっつくやつを選べばいいんですよ。ということで、おすすめしたいのが、セメダイン「スーパーX ハイパーワイド」です。
マキノ 何か見たことはあるなー。お店の接着剤の棚に、よく並んでいるやつですよね。
きだて そう。セメダイン「スーパーX」シリーズは、接着剤の超定番なんだけど、硬化時間の差とか、接着できる材質の種類とかでいっぱいラインアップされているんですよ。そのなかでも、とにかく困ったらコレ!というのが、「ハイパーワイド」というわけ。
マキノ 今の話の流れだと、何でもくっつけられるタイプなんですか?
きだて そうそう。さっきプラスチックの種類をいろいろとあげたけれど、実はPPとPE(ポリエチレン)というのが、普通の接着剤ではくっつかない性質を持っているんですよ。
マキノ へぇー!
意外なほど接着難度の高いペットボトルキャップ(PP)にも、薄く塗るだけで……
きだて どちらの素材も、そこら辺にゴロゴロしているものなんですけどね。たとえば、ペットボトルのキャップなんかは、ほぼPPかPEのどちらかですし。
マキノ あのキャップって、普通の接着剤ではくっつけられないんですか!?
きだて 普通の接着剤を塗っても、乾くとペリペリって簡単に剥がれちゃうの。いっぽう、「ハイパーワイド」なら、PPもPEもこのとおりガッチリ接着できます。
ゴム素材のフィギュアとPPの異素材接着も、「ハイパーワイド」なら難なくこなす!
マキノ おおー、すごいな!
きだて 当然ながら、木材や陶器、金属、ゴム、ガラスも普通に接着できますし。とにかく、困ったらこれ買っとけ的な逸品ですよ。
きだて 接着剤を使い慣れてない人におすすめしたいのが、こちらです。
マキノ これは見たことないですね。どこのメーカーですか? ウフ?
日本ではまだ知名度は低いが、今後の注目株「マルチフィット3 リネイチャー」(UHU)
きだて これは、ドイツの接着剤メーカー、「UHU(ウフ)」の「マルチフィット3 リネイチャー」というものです。
マキノ うーん、やっぱり聞いてもわからないですね。
きだて 日本で発売が始まったのが2019年ですからね。世界的には超有名ブランドですけど、国内だとまだあんまり知られていないかも。
マキノ つい最近じゃないですか。接着剤業界にそんな動きが。
きだて いろいろとユニークな接着剤を揃えていて、UHU、面白いですよ。俺もかなり注目しています。「マルチフィット3 リネイチャー」もかなり面白い製品ですよ。
マキノ そもそも、容器が微妙に接着剤っぽくない感じがしますけど。
きだて そうなんですよ。容器にちょっと機能性があって。これが「マルチフィット3」という名前の由来でもあるんですが、まずキャップを取ると、緑色のノズルが出てきます。
マキノ はい、出てきました。
きだて この状態でボトルを押すと、割とサラッとした接着剤が、ポトッと1滴ずつ出てきます。
マキノ ホントだ。ほぼ液体って感じですね。
きだて で、ノズルの下の黄色いヘッドを90°ひねると、ノズル形状が変わって、細く線のように接着剤を塗れるようになります。
マキノ へー!
用途に合わせた3タイプに変形するノズルヘッド(接着液は透明です)
きだて さらに、もう90°ひねると、幅広くベターッと面塗りができます。ヘッドを回転させて3タイプの塗り方ができる“トランスフォーム接着剤”って感じですよ。
マキノ なるほど、これは、確かに面白いかも。
きだて えーとね、接着剤って、本来はヘラを使って塗るのがベストなんです。大体パッケージにヘラが同梱されているでしょ?
マキノ されてたかなぁ〜?
きだて PE製のヘラが基本は付いているんですよ。白とか半透明のやつ。
マキノ PE、さっき聞いた素材! 接着が難しいやつだ。なるほど、だから接着剤を塗るのに使えるんだ。
きだて ただ、マキノさんのようにそれに気付いてない人も多くて、チューブとかボトルから直接塗っちゃいがちなんですよね。だから、ボトルにそういうヘラのように使える機能があると便利、というわけ。
マキノ そういうことかー! それはいいですね。使いやすそう。
きだて あともうひとつ、「マルチフィット3 リネイチャー」は、手についても40℃のお湯で簡単に洗い流せるんです。
手についても、簡単にお湯で落とせるので、小さなお子さんの工作にも安心!
マキノ それもよいですね。接着剤を使うと、大体手についてベタベタするし、取るのも大変だし。
きだて もちろん、せっかく接着したものもお湯につけたら取れちゃうんだけど、水周りじゃないところなら使いやすいと思いますよ。
きだて ラストは、ちょっと毛色の変わったやつ行きましょうか。俺も普段からめちゃくちゃ愛用しているんですが、セメダイン「BBX」という粘着剤です。
接着剤では不可能な「貼って剥がせる」をこなす粘着剤「BBX」(セメダイン)
マキノ 粘着剤? 接着剤とは別物なんですか?
きだて くっつけるという用途は同じなんですけどね。接着剤って、1度硬化したら固まっちゃうでしょ。ところが、粘着剤は半固まりぐらいのベタベタした状態がずっと続くんです。
マキノ ??? どういう用途で使うんですか、それ。
きだて 貼りたいものに塗ってから乾かすと、ベタベタした塗膜になるんですが、それ以上は固まらないんですよ。だから、貼り合わせたものが後で簡単に剥がせるし、再びくっつけることもできます。
貼りたいものに塗って、10分ほど放置すると、塗膜が粘着質に
マキノ うーん、そう聞いてもまだよくわからないなー。付箋の糊みたいな感じですか?
きだて イメージとしては、そんな感じかな。鉄道模型業界では、もう完全に定番アイテムなんですけど、ジオラマを作る時に、小さなフィギュアの足の裏に塗って立たせるのに使うんです。フィギュアの配置を変えたいと思ったら、ペリッと剥がして立たせ直すだけ。
こんな不安定なフィギュアも、粘着させれば簡単に自立します
マキノ はー! そういう使い方か。すごいなーとは思うけれど、鉄道模型はたしなんでないからなぁ。
きだて 何言ってんすか。作ったガンプラ、立たせて飾ったりしてないんですか?
マキノ あー!!! そうか、そういうことか!
きだて ガンプラとかフィギュアを立たせておく時に、接地面にこれを塗っておくといいんですよ。地震とかあっても、倒れずガッチリ自立キープしますから。
マキノ 飾っている棚に足をぶつけて、その振動で倒れるみたいなこともありました。これは、確かにいいなぁ。
きだて あと、このベタベタした粘着の塗膜は、爪でカリカリッとひっかくと、きれいにペロッと剥がすこともできるんです。感覚的には“塗る両面テープ”って感じ。もちろん、貼っていた場所にも糊残りしません。
マキノ うわー、これは使えるヤツだ。フィギュアとかの置物の固定には、かなりマストなモノだという気がしてきましたよ。
きだて ちなみに、粘着塗膜になるまで乾く前に貼り合わせたら、普通の接着剤代わりにも使えます。しかも、PPやPE以上に接着しづらいシリコンゴムまでくっつくから、便利ですよ。
きだて 今回の3点、やっぱり気になるのは「BBX」?
マキノ うん、確かに気になってはいるんですけど、現状だとガンプラにしか使い道がないんですよね。だとしたら、何でも使える汎用性の高さのほうが気になるかな……。
きだて はいはい、「スーパーX ハイパーワイド」ですね。
マキノ 「ハイパーワイド」を家に常備しておくのは、よさそうだなー、と。
きだて 生活していると、何だかんだで壊れるものは出てきますからね。接着して直せるんだったら、コスト的にもそれに越したことはないですよ。
マキノ なるほど、確かにそうですね。うーん、考えます。
今回はどれも魅力的でしたが、すぐに活用できそうな「セメダイン BBX」を自腹買い! まずは、地震があるたびに棚の最上段から落ちてこないか心配だったガンプラに、本品を塗布することに。足の裏にちょっと付けるだけで安定するので、ガンプラの見た目も損ないません。これで安心して、好きな場所にガンプラが飾れます!
最新機能系から雑貨系おもちゃ文具まで、何でも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は大手文房具店の企画広報として企業ノベルティの提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。