レビュー

今期注目のハイエンドスマホ、「Galaxy S9」&「Galaxy S9+」、24時間使用レビュー

Androidスマートフォンを代表するシリーズとなっているサムスンの「Galaxy」。その最新モデルである「Galaxy S9」および「Galaxy S9+」が、NTTドコモおよびauから5月18日より発売されている。すでに手にされている方も多いだろうが、発売開始から1週間経った今、NTTドコモ版の「Galaxy S9 SC-02K」と、「Galaxy S9+ SC-03K」をそれぞれ丸1日使用し、その実力を詳細に検証した。

画面サイズ(解像度):約5.8インチ(Galaxy S9、1440×3040)/約6.2インチ(Galaxy S9+、1440×3040)
サイズ(幅×高さ×厚さ):約69×148×8.5mm(Galaxy S9)/約74×158×8.5(Galaxy S9+)
重量:約161g(Galaxy S9)/約187g(Galaxy S9+)
防水/防塵:○(IPX5/8)/○(IP6X)
CPU:Snapdragon 845 SDM845(2.8GHz×4+1.7GHz×4)
RAM容量:4GB(Galaxy S9)/6GB(Galaxy S9+)
ストレージ容量:64GB
増設用メモリーカードスロット:microSDXC(最大400GB)
OS: Android 8.0
Wi-Fi:IEEE802.11a/b/g/n/ac
NFC:搭載
FeliCa:搭載
ワンセグ/フルセグチューナー:搭載/搭載
メインカメラ:約1220万画素(Galaxy S9)/約1220万画素×2(Galaxy S9+)
フロントカメラ:約800万画素
バッテリー容量:3000mAh(Galaxy S9)/3500mAh(Galaxy S9+)
電池持ち時間:約115時間(Galaxy S9)/約120時間(Galaxy S9+)
USBポート:USB Type-C

ボディはGalaxy S8/S8+から大きな変化はないが、より画面比率が高まった

サムスンのスマートフォン「Galaxy S」シリーズは、最新の技術を毎年いち早く取り入れることで知られており、世界的に見ればAndroidスマートフォンを代表する製品と言える。2018年の最新モデルである「Galaxy S9/S9+」も、2月末にスペイン・バルセロナで開催されたモバイル機器・スマートデバイスの見本市「Mobile World Congress 2018」で披露され、大きな話題をさらった。日本国内向けには、それより3か月ほど遅れて、NTTドコモとauから夏モデルとして発売されている。今回は、それぞれに1日という時間を割り振って使用、短時間ではあるがNTTドコモ版「Galaxy S9 SC-02K」と、「Galaxy S9+ SC-03K」の性能を検証した。

まずはボディデザインから見てみよう。両機は画面のサイズが約5.8インチと約6.2インチと違うもののデザインはほぼ共通。ホームボタンを廃したシンプルな表面に、縦長のエッジディスプレイを備える。そのシルエットは、前モデルGalaxy S8/S8+とよく似ているが、新旧モデルを並べて見比べれば、ボディの縦幅が少し短くなったことで、ボディ表面に占めるディスプレイの比率がさらに高められていることがわかるだろう。S9とS9+の間には横幅で約5mm、重量で約26gの差があり、手にした際のサイズや重量感も違うが、エッジディスプレイのおかげでいずれもスペック値以上に薄く感じられる。なお、IPX5/8等級の防水仕様とIP6X等級の防塵仕様をクリアしているが、耐衝撃などのタフネス性能は備えていない。

Galaxyシリーズの特徴である有機ELディスプレイの画質は、以前から完成の域にあるので不満点は見当たらない。解像度の低い有機ELディスプレイの場合、細かな文字の表示でにじみなどが見られる事もあるが、Galaxy S9/S9+ともにWQHD+(1440×2960)という高い解像度を誇るため、その点も問題がない。なお、両機とも画面解像度は3段階の切り替えが可能で、初期状態ではフルHD+(1080×2220)表示となっている。今回の検証は最大解像度のWQHD+表示に変更して検証を行った。

Galaxy S9(手前)とGalaxyS9+(下側)はひと回りサイズが違う。ただ、両機とも画面サイズや機能性を考えればかなりコンパクトな部類だ

18.5:9という比率の縦長の有機ELディスプレイは、前モデルから変わらない。なお「iPhoneX」などで採用されている画面の切り欠き“ノッチ”は設けられていない

Galaxyシリーズの特長にもなっている湾曲した「エッジディスプレイ」。湾曲部分のゆがみが人によっては気になるかもしれないが、ボディを薄く感じさせる効果は絶大だ

かつての有機ELパネルが苦手としやすい白の表現も高い。輝度を低下しても極端な色かぶりは見られない

かつての有機ELパネルが苦手としやすい白の表現も良好。輝度を低下しても極端な色かぶりは見られない

外部接続インターフェイスでは、NFCポートFeliCaポート、Bluetooth 5.0、USB Type-Cポートを装備。フルセグおよびワンセグチューナーを搭載しており、機能面にいっさい不安はない。従来どおりヘッドホン端子も搭載されている。近ごろは、ヘッドホン端子を省略したスマートフォンが増えているが、手持ちのイヤホン・ヘッドホンをそのまま使えるのはやはり便利だ。なお、AKG製のハイレゾ対応カナル型イヤホンが同梱されている。生体認証として指紋認証と顔認証、虹彩認証に対応している。特に虹彩認証は先行する富士通「arrows」シリーズに迫る精度と速度で、Galaxy S8/S8+と比較して格段に実用性を増した。

ボディ下側面に、USB Type-Cポートやヘッドホン端子を備える

ボディ下側面に、USB Type-Cポートやヘッドホン端子を備える

同梱されるAKG製のハイレゾ対応カナル型イヤホン

同梱されるAKG製のハイレゾ対応カナル型イヤホン

パワフルな最新SoC「Snapdragon 845」を搭載。体感速度もすばらしい

次は、処理性能に迫ろう。最新のハイエンドSoC「Snapdragon 845(2.8GHz×4+1.7GHz×4)」を搭載している点に注目だ。このSoCは、ピーク時の性能を追及するBigコア4個と、消費電力とのバランスをとったLITTLEコア4個を組み合わせているが、Bigコアの動作クロックが従来の「Snadpragon 835」の2.45GHzから2.8GHzに高められ、ピーク時の処理性能が2〜3割程度向上した。また、ハイエンドSoCで重視される描画性能もGPUが「Adreno540」から「Adreno 630」に変更され、3割程度の性能向上を果たしている。

実際の処理性能を定番のベンチマークアプリ「Antutuベンチマーク(バージョン7.x)」を使って計測した。「Galaxy S9+」の総合スコアは264,841(CPU:90,001、GPU:107,487、UX:59,297、MEM:8,056)、「Galaxy S9」の総合スコアは262,579(CPU:88,645、GPU:106,295、UX:59,156、MEM:8,483)となった。価格.comマガジンでは、過去にGalaxy S8/S8+のベンチマークテストも実施しているが、ベンチマークアプリの仕様が変更され、直接比較ができなくなった。そのため、Galaxy S8とスペックの近似する「Snapdragon 835」搭載モデル「HTC U11」のスコアを対象に比較を行う。HTC U11の総合スコアは189,825(内訳、CPU:67,656、GPU:65,513、UX:41,361、MEM:15、295)で、これと比較すると、やはり3割ほど伸びている。1年間の進化としてみれば順当なところだろう。

AnTuTuベンチマークの結果。左がGalaxy S9で右がGalaxy S9+。両者の間では総合スコアで4000ほどの差がついたがこれは、計測値のブレとともにRAM容量の差も含まれるだろう

試しに、処理負荷の大きなゲームアプリとして知られる「アイドルマスター ミリオンライブ シアターデイズ(ミリシタ)」を遊んでみた。ミリシタは、先日のバージョンアップ以来、負荷が高まったのか音とびや処理落ちが起こりやすくなっているが、本機はものともせず、アプリをスムーズに動作させており、そのまま1時間ほど遊び続けても性能の低下は感じられなかった。スマートフォンでゲームをよくプレイするという人にとっては、本機は高い満足度をもたらしてくれそうだ。

なお、ベンチマークテストのスコアやミリシタの動作では「Galaxy S9」と「Galaxy S9+」に決定的な差はなかったが、Galaxy S9が4GB、Galaxy S9+が6GBという搭載されるメモリーの容量の違いにより、タスクを切り替えた場合のスムーズさにわずかな違いがあった。大量のアプリを起動した場合、Galaxy S9+のほうが明らかにスムーズだったのだ。Android OSは、搭載されるRAMの容量を考慮して、優先度が低いと判断されたアプリを勝手に終了させてしまう。そのためメモリーが足らない場合、中断されたアプリが起動画面まで戻ってしまう。だが、Galaxy S9+ではその頻度が明らかに少なかった。

Galaxy S9とGalaxy S9+の体感速度で差を感じるのは、タスクの切り替え時。6GBのRAMを積んだGalaxy S9+のほうがスムーズに動作する

リズムゲーム「アイドルマスター ミリオンライブ シアターデイズ(ミリシタ)」で先ごろ実装された13人ライブを、高画質モードで再生。コマ落ちや音飛びもなく、処理性能には余裕がありそうな様子だった

デュアルカメラ化されたGalaxy S9+のカメラ機能

今夏に登場したスマートフォンでは、2台のカメラを組み合わせて表現力を強化するデュアルカメラが多くのモデルに搭載されている。Galaxyシリーズでは、2017年秋に登場した「Galaxy Note8」が先行して搭載していたが、今回、Galaxy S9+もメインカメラがデュアルカメラとなった。

Galaxy S9+のデュアルカメラは、いずれも約1200万画素のイメージセンサーを採用するが、視野角約77°の広角レンズと、約45°の望遠レンズという組み合わせで、光学2倍のズーム撮影が行えるのが特徴。なお、広角レンズ側には、デジタルカメラ同様の絞りが設けられており、F値を1.5と2.4の2段階で切り替えることのできる「デュアルアパチャー」という機能も備えている(Galaxy S9のメインカメラにも搭載されている)。スマートフォンのカメラは近ごろレンズやセンサーを大型化し、特に暗いシーンでの高感度撮影に対応すべくF値を高める傾向にあるが、F値が小さくなると明るすぎるシーンで光が飽和しやすくなり、白トビを起こす可能性も高くなる。デュアルアパチャーならそうした問題を回避できる。

Galaxy S9+のメインカメラは、広角と標準の2個を組み合わせたデュアルカメラ仕様となっている

Galaxy S9+のメインカメラは、広角と標準の2個を組み合わせたデュアルカメラ仕様となっている

Galaxy S9+の広角側カメラを使い性能の差が現れやすい暗い場所を撮影。手持ち撮影だが手ブレやノイズは見られない。肉眼より明るく鮮やかに写っている

同じ場所を、望遠レンズ側のカメラで撮影。こちらはF値が2.4と暗くなったが、それでも手ブレは目立たない

夜景撮影でデュアルアパチャー機能によってF値が自動的にF1.5に切り替わり、手ブレが抑えられている

夜景撮影でデュアルアパチャー機能によってF値が自動的にF1.5に切り替わり、手ブレが抑えられている

明るい場所では、絞りが自動で切り替わり、白トビしないように調節される

明るい場所では、絞りが自動で切り替わり、白トビしないように調節される

F1.5で撮影

F2.4で撮影

F値はマニュアルモードでも調整が可能、上がF1.5、下はF2.4。縮小した画像ではわかりにくいが下のデータではF1.5のほうがオーバー気味だった。なお、一眼レフカメラのレンズではF値の違いによる被写界深度(ピントの合う奥行き範囲)に違いが現れるが、光学的な制約の大きいスマートフォンのカメラではさほど顕著な違いは現れないようだ

走行する新幹線を構図の中央でとらえた。応答速度が速いので、動く被写体を狙った構図でも、ピントが合いやすい

今回の検証におけるバッテリー駆動は、ギリギリ丸1日レベル

今回の検証は、各24時間ずつという短期間だったが、その間にバッテリーがどれだけ減ったかを調べた。Galaxy S9+(容量3,500mAh)はバッテリー残量86%から使い始め、18時間後に残量18%まで消費した。このペースを維持したと仮定するとフル充電からバッテリー残量ゼロまで使えば約28時間バッテリーが持つ計算になる。いっぽうのGalaxy S9(容量3,000mAh)はフル充電の状態から22時間後に残量14%までバッテリーを消費したので、単純計算で24時間以内にバッテリーがゼロになることになる。今回は短時間の検証であり、ミリシタを1時間通して遊び続けたことが響いたのかもしれない。

なお、実際の利用スタイルに近いスマートフォンのバッテリー持続性を示す指標である「電池持ち時間」は、前モデル「Galaxy S8 SC-02J」が約115時間、Galaxy S9 SC-02Kが約115時間で変わってない。いっぽう、「Galaxy S8+SC-03J」が約135時間なのに対してGalaxy S9+が約120時間であり、1割ほどスコアが低下している。

Galaxy S9+の検証を行った18時間におけるバッテリー消費の様子。当初の残量86%から18%まで消費した

Galaxy S9+の検証を行った18時間におけるバッテリー消費の様子。当初の残量86%から18%まで消費した

両機とも完成度は高いが、デュアルカメラと6GBのRAMを搭載するGalaxy S9+のほうが満足度は高い

今期のハイエンドモデルの出来を占う意味でも注目されるGalaxy S9/S9+。基本性能を高めつつ、カメラ機能は大幅にアップした。特にGalaxy S9+のデュアルカメラはかなりの完成度で、カメラにこだわるユーザーでも十分納得のスペックと言えそうだ。

Galaxy S9+とGalaxy S9を比較すると、6GBと4GBというRAMの容量の違いが、意外に動作のスムーズさに大きな影響を与えていた。そういう意味でも、ボディサイズが許容できるのであればGalaxy S9+のほうがハイエンド機らしい満足度を味わえるはずだ。NTTドコモおよびauの直販サイトにおける両機の価格差はおよそ1万円だが、その価格差も思わず納得できるだけの魅力があると言っていいだろう。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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