iOS/Androidで配信されている音声アシスタントアプリ「Google アシスタント」経由で、GoogleのAIが人間の代わりにレストランやヘアサロンに電話をかけ、予約を代行してくれる機能が「Google Duplex(グーグル・デュプレックス)」です。
にわかには信じがたい話ですが、AIが実店舗や予約センターに電話をかけて、人間を相手に会話をし、予約を取り、その結果を報告してくれる、まるでSF映画のようなサービスです。しかも、いかにも「ロボットが電話をしています」という機械的な声ではなく、まるで人間が電話をしているかのようなナチュラルな声で予約をしていくれるというから驚き。いわば「AI秘書」のような存在が、人間の代わりに面倒な電話予約をしてくれるというわけです。
とは言っても、「本当に機能するのか?」という疑問がぬぐえないので、サービスが展開されているアメリカで実際に試してきました。
まずは、筆者が実際に「Google Duplex」を使用してみた様子を動画収めたのでご覧ください。
ここからは、実際に「Google Duplex」でインド料理レストランを予約した流れを写真でレポートします。
まずは、「OK, Google」で「Googleアシスタント」を起動し、「Show me Indian restaurant near hear(この近くのインド料理のお店を見せて)」と聞きました
表示された一覧から予約を取りたいレストランを決めて「Make me a reservation at ○○○(○○○に予約を取って)」と伝えます
Googleアシスタントが人数や予約の日時を聞いてくるので順に答え、最後に「これでよろしいですか?」という音声とともに希望した予約内容が表示されるので、「Confirm(承認します)」と言うと、電話予約が始まります
AIアシスタントによる予約はバックグランドで行われ、その間ユーザーはスマホの前で待機する必要はなし。予約の結果は10分から15分後に「Googleアシスタント」と「Gmail」に送られてきます。
予約が成功した場合は「COMPLETED(完了)」と書かれた通知が日時、店名、住所などのサマリーと一緒に届きます
予約ができなかった場合は「CAN’T BOOK」と書かれたメールが届き、ちゃんと予約ができなかった理由も書かれています。タイレストランのケース(上記写真)では「8名様以下のご予約は受け付けておりません」と言う理由で予約できませんでした
予約が成功したインド料理レストランに到着し、名前を伝えるとすぐに席に通されて美味しいビリヤニをいただくことができました。本当に予約できているのか内心どきどきしていたので、成功したことにビックリです
「Google Duplex」からの電話を受けた店員さんにAIからの電話がどうだったか聞いてみると、「電話の声がAIとは気づかなかったよ。かかってきた番号は、アメリカでよくあるマーケティング会社の電話番号っぽかったから最初はそれかと思った。まぁ、でもこの時間は誰も客が来ないからOKって答えておいた。最近のテクノロジーはすごいね」と話してくれました
電話を受けたスタッフも、「Google Duplex」には驚いた様子でした
なお、本記事を書いている2019年夏時点において、「Google Duplex」を使えるのはアメリカの48州だけとなっており、日本国内でのサービスは始まっていません。
「Google Duplex」は「Google アシスタント」経由で使用するため、このアプリに対応したiOS/Androidの端末とアメリカ国内の電話番号が必要になります。「Google Duplex」のサービスが行われている地域や使用できる端末の最新情報については、下記のGoogle公式ブログで確認できます。
Book a table with the Google Assistant across the country on more devices
「Google Duplex」は、予約をする側、予約を受ける側の双方ともサービス料などはかからず、無料で使用可能です(通信料は除く)。
今回の記事では筆者が実際に「Google Duplex」で予約をしてみましたが、逆に店舗が「Google Duplex」を受ける側はどうしたらいいのか気になったので、調べてみました。
店舗が行う手続きは実にシンプルで、「Google マイビジネス」にアカウントを作り、設定するだけでOKです。なお、「Google マイビジネス」に電話番号を掲載している場合でも、「Google Duplex」によるAIからの入電を許可しない設定にすることも可能とのことです。
今回は大人1名でお手頃価格のレストランを予約しようとしため、レストランが「1名での予約は不可」「予約なしで来てくれていい」と「Google Duplex」による予約を受け付けなかったケースもありました。「ただし、予約が取れなかった場合でも、その結果をメールできっちり報告してくれる点には驚きでした。予約をするだけでなく「ほうれんそう(報告連絡相談)」の「ほう(報告)」までキッチリこなすとは、AI恐るべし!
とは言え、ニューヨークタイムズによれば、「Google Duplex」のAI が行った会話のうち約15%は人間のオペレーターが引き継いで対応していたたとのことなので、すべてをAIが対応している状況ではないようです。
この点は「AIが予約代行をしていると思っていたら、予約先とは別の人(オペレーター)に自分の予約内容を聞かれていた」ということになる可能性があるので「ちょっとキモチワルイな」と感じる人はいるかもしれません。
筆者は、電話予約自体が面倒と感じることが多く、待ち時間や聞き取りづらい通話にストレスを感じることもあるため、こういった作業をAIがサクッと代行してくれるのは魅力だと感じるとともに、AIはここまできているのかと驚きを隠せませんでした。
世界50か国以上を旅したバックパッカー。週刊アスキー編集部などを経て、AppBankに入社。「バイヤーたてさん」として仕入れとYouTubeを活用したコンテンツコマースに取り組み、上場時は広報として企業PRを担当。現在はフリーランスで活動中。