レビュー

USB Type-Cケーブル1本で接続OK! あのアイリスオーヤマが手がけたモバイルディスプレイを試す

USB Type-Cケーブル1本で接続可能な、アイリスオーヤマのモバイルディスプレイ「ILD-A1616MS」

USB Type-Cケーブル1本で接続可能な、アイリスオーヤマのモバイルディスプレイ「ILD-A1616MS」

いわゆるテレワークの普及にあわせ、「デュアルディスプレイ環境」のニーズが高まっている。PCのデスクトップは広いほうが作業効率は高まるもの、ディスプレイは1台より2台のほうがいい。それをノートPCで実現するとなると...据え置き型もいいが、どうせなら持ち運び自由なモバイルディスプレイを選びたいもの。今回は、アイリスオーヤマのモバイルディスプレイ「ILD-A1616MS」を、M1チップ搭載のMacBook Airと組み合わせて利用したレビューをお届けする。

白物家電に強いアイリスオーヤマのモバイルディスプレイ

アイリスオーヤマといえば、日用雑貨やインテリア製品で知られるが、照明器具やエアコン、炊飯器やホットプレートといった生活家電・キッチン家電の取り扱いも多い。国内電機メーカー退職者を雇い入れるなど開発力強化にも余念がなく、成長分野として家電事業を重視していることは間違いない。

そんなアイリスオーヤマがテレビ市場参入を宣言したのは2019年秋のこと。2021年現在、液晶テレビ「LUCA」のラインアップは、音声操作対応・4Kチューナー搭載の75インチモデル(しかも直下型LEDバックライト)から40インチモデルまで十数種類を数える。

ここに紹介する「ILD-A1616MS」は、LUCAシリーズのディスプレイ専用機。IPSパネル採用のノングレア液晶でサイズは15.6インチ、解像度はフルHD/1920×1080ピクセルに対応する。入力端子はUSB Type-Cが2基、miniHDMIが1基。本体重量は500g、スタンドカバー込みでも550gという軽さはまさにモバイルディスプレイだ。

IPSパネルを採用しているため、このような角度で見ても色味が大きく変わらない

IPSパネルを採用しているため、このような角度で見ても色味が大きく変わらない

カバーを含めても重量は550g、最厚部は約1cmと持ち運びやすい

カバーを含めても重量は550g、最厚部は約1cmと持ち運びやすい

Type-C接続の場合、使い方はきわめてシンプル。USB Alt Modeを利用してDisplayPortの信号を流す「DisplayPort over USB-C」に対応、Type-CケーブルでPCと接続すれば自動的に電源ONとなり、外部ディスプレイとして認識される。MacBook Air(M1、2020)の場合、初回のみ解像度を1920×1080に指定する必要があるものの、2回目以降は自動認識された。つまり、1本のType-Cケーブルさえ持ち歩いていれば、場所を選ばずデュアルディスプレイ環境を利用できるのだ。

MacBook Air(M1、2020)のシステム情報。1920×1080@60Hzとして認識されている

MacBook Air(M1、2020)のシステム情報。1920×1080@60Hzとして認識されている

Type-Cポートが2基あることもポイント。1基をPCとの接続に、もう1基をUSB-ACアダプターとの接続に利用できるからだ。1基だけが電源入力専用ということはないため、どちらに挿し込めばいいか迷うことがない。USB-ACアダプターの代わりにモバイルバッテリーを用意すれば(推奨値は2.5A以上)、それこそアウトドアでも長時間使えるデュアルディスプレイ環境を構築できる。

入力端子は右側面に集中。USB Type-Cのほか、miniHDMI端子も装備

入力端子は右側面に集中。USB Type-Cのほか、miniHDMI端子も装備

IPSでノングレア処理のモバイルディスプレイが欲しい人に

使い始めて最初に感じたのは、その軽さ。15.6型とモバイルディスプレイとしては大きめながら、厚さ約9mm/重量約500gと薄型軽量、購入後すぐに外へ持ち出せる機動力は特筆ものだ。バッテリーは内蔵しないものの、PCなどのホスト機から電源を供給できるためType-Cケーブル1本あれば足りる。左右2基のスピーカーを搭載、ステレオ出力可能なため動画再生やゲームに活用できるところもいい。3.5mmジャック装備でヘッドホンも利用できる。

取り回しは上々。付属のスタンドカバーは本体背面とマグネットで密着する構造で、その部分がカバーの厚みのぶんだけ凹んでおり、カバーを取り付けるとフラットになる。ファブリック調仕上げにするなど質感にこだわりがあるとなおよかったが、汚れが付きにくく拭き取りやすい素材のため、質実剛健とも解釈できる。固定する角度は2段階と微妙な角度調整には対応しないものの、しっかりとしている。

スタンドカバーの傾きは2段階で調整可能

スタンドカバーの傾きは2段階で調整可能

スタンドカバーには滑りにくく汚れを拭き取りやすい素材が採用されている

スタンドカバーには滑りにくく汚れを拭き取りやすい素材が採用されている

明るさは左側面のメニューボタンで手動設定できるほか、外部電源の大きさでも自動調整される。「明るさ」の値がMacBook Airのみ接続している時は30に、40WのUSB PD電源も接続している時は70に変化した。PCのバッテリーを長持ちさせるにはありがたい仕様だが、色味も変化してしまうため、自分で用意した設定を使うほうがよさそうだ。

肝心のディスプレイ性能/画質だが、IPSらしく視野角による色・輝度変化の少ない、静止画を中心としたPC用ディスプレイに適した描画を見せてくれる。IPSの特性上、正面から見た時のコントラストが犠牲になるため、黒の引き締まり感はもう一声という印象だが、視野角の広さというメリットがそれを補ってくれる。応答速度は5msとまずまずの水準、アクションゲームに利用しても特に不満を感じなかった。

表面がノングレア(非光沢)処理されていることは、好みが分かれそうだ。今回組み合わせて使用したグレア処理のMacBook Airと並べると、映り込みがないというメリットの反面、映像がややぼやけた印象になってしまう。もっとも、PCのディスプレイは自分の作業用でサブディスプレイはギャラリー用といったプレゼン目的で使う場合、映り込みが少ないほうがなにかと好都合だろう。

光沢処理のMacBook Airは映り込みが激しいが、非光沢処理のILD-A1616MSではほとんど気にならない

光沢処理のMacBook Airは映り込みが激しいが、非光沢処理のILD-A1616MSではほとんど気にならない

気になった点としては、入力ポートが右側面に集中していること。Type-Cポートは電源を兼ねるため設計上やむをえない部分はあるが、ユーザー側としては両側面に1基ずつ分散しているほうが配置の自由度が高まるためありがたい。スタンドカバーも傾き2段階と"よくある"タイプで、質感ともども日本メーカーらしいこだわりがほしいところだ。

競合製品は、IPS+Type-C入力対応という同等のスペックを備えたオンライン販売オンリーのモバイルディスプレイということになるのだろうが、カバーを含めた重量が550gと軽く、2基あるType-C端子の両方が映像・電源の入力に対応する仕様の製品は意外に少ない。実勢価格2万円台半ばという値ごろ感もあり、アイリスオーヤマという名前に親しみを覚えるのならば、安心して購入できる1台といえるだろう。

海上 忍

海上 忍

IT/AVコラムニスト、AV機器アワード「VGP」審査員。macOSやLinuxなどUNIX系OSに精通し、執筆やアプリ開発で四半世紀以上の経験を持つ。最近はAI/IoT/クラウド方面にも興味津々。

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