モトローラから発売されたフラッグシップスマートフォン「motorola edge 30 PRO」は、最新SoC「Snapdragon 8 Gen 1」を搭載しながらも、価格.com最安価格78,980円(2022年6月3日時点)という、2022年春から夏にかけて発売されたハイエンドスマートフォンの中では、価格が飛び抜けて抑えられたスマートフォンです。この「motorola edge 30 PRO」を実際にレビューし、その実力に迫ります。
モトローラのフラッグシップスマートフォン「motorola edge 30 Pro」をレビュー
「Snapdragon 8 Gen 1」は、クアルコムが手がけるSoCの中で最新のモデルであり、各社のフラッグシップスマートフォンに多く搭載されています。しかし、「Snapdragon 8 Gen 1」を搭載するスマートフォンは、どれも10万円オーバーの高級機がほとんどで、たとえば、サムスン「Galaxy S22」の価格.com最安価格は125,030円(2022年6月3日時点、)、ソニー「Xperia 1 IV」の価格.com最安価格は175,390円(2022年6月3日時点)となっており、なかなか手が届きにくい価格です。
しかし、「motorola edge 30 Pro」は、メモリー8GB/ストレージ128GBモデルが79,800円、メモリー12G/ストレージ256GBモデルが89,793円と、ちょっと考えられないような価格になっています。詳しくは後に解説しますが、基本スペック以外にもフラッグシップモデルらしい機能が詰め込まれており、ハイエンドスマートフォンの中では飛び抜けてコスパが高いと言えます。
「Snapdragon 8 Gen 1」を搭載するスマートフォンの中では、かなりお得感がある「motorola edge 30 Pro」
外観は、光の当たり具合で青い筋が鈍く輝く、目立たないながらも高級感を醸し出すデザイン。ギラギラしたデザインのスマートフォンとは違い、落ち着いた印象です
なお、顔認証に加えて、本体右側の電源ボタンを兼ねた指紋認証センサーによる端末のアンロックが可能です
肝心の「Snapdragon 8 Gen 1」の実力はと言うと、処理性能を計測するベンチマークアプリ「Geekbench」のスコアが、シングルコアで1196、マルチコアで3486。現行のAndroidスマートフォンとしてトップクラスのスコアを記録しました。実際に操作していても、アプリやゲームの起動でもたつくことがなく、レスポンスもミドルクラスのスマートフォンと比べるとワンランク上のキビキビとした動作を見せてくれます(試用したモデルはメモリー8GB/ストレージ128GB)。
「Geekbench」のスコア
グラフィック性能に関しては、ベンチマークアプリ「3D Mark」で計測。スコアは9672で、こちらも非常に高い数値を記録。試しにバトルロイヤルゲーム「Apex Legends mobile」を遊んでみましたが、画質を最高設定の「エクストリームHD」、フレームレートを「極高」にしても、プレイ中にカクツキなどは起こらず快適に遊べました。重たい処理を求められるほかのゲームでも、問題なく動作するでしょう。
「3D Mark」のスコア
「Apex Legends mobile」の画質、フレームレートを最高設定にしても、ラグやカクツキなどなくプレイできました。音ゲーなども余裕を持って遊べるはずです
バッテリー容量は4800mAhと、6.7インチの大型ディスプレイを備えるモデルとしては標準的。1日くらいであれば充電なしでも問題ありません。68Wの超高速充電「TurboPower」に対応しており、約15分で50%の充電が可能であるため、万が一充電し忘れてしまっても、朝の支度中にサクッと充電できます。
基本スペック、バッテリー容量においては、価格以上の性能を備えているのは間違いないと言えるでしょう。
続いては、「motorola edge 30 Pro」のディスプレイをチェックしていきましょう。本機は、6.7インチのフルHD+(2400×1080)の「Max Vision有機ELディスプレイ」を搭載しています。10bit表示、HDR+10にも対応しており、映像表現においてもフラッグシップスマートフォンらしいハイスペック。映画や動画を視聴してみても、鮮やかで、階調表現も豊か。また、大きな画面で見やすいというのもポイントです。
6.7インチの大画面で階調の豊かな映像が楽しめる「Max Vision有機ELディスプレイ」。Androidスマートフォンの中でも非常に高いスペックであるため、映画や動画をよく見る人にピッタリ
ディスプレイのリフレッシュレートは最大144Hz駆動に対応しており、ほかのスマートフォンを上回りますが、いかんせん144Hzの滑らかな表示を楽しめるコンテンツが少ないのがさみしいところ。画面をスクロールする際に文字の残像感が非常に少ないいっぽうで、やはり144Hz駆動であれば、それに対応するゲームを遊びたいというのが正直な感想です。
高画質で鮮やかな描写はゲームをするのにもピッタリ。ただし、144fpsに対応するゲームでなければその真価は発揮できず
もう少し、自分が遊んでいるゲームが144fpsに対応していればありがたいのですが、現状だとブラウザーなどでしか体感できないので、ちょっと宝の持ち腐れ感があります。120Hz駆動でも十分滑らかなので、あえて144Hz駆動にしなくてもよかったのかもと感じてしまいました。
オーディオは、2基のステレオスピーカーに加えて立体音響技術「Dolby Atmos」に対応しています。再生するコンテンツも「Dolby Atmos」に対応している必要がありますが、ユーザーを包み込むような立体感のあるサウンド体験が可能なため、映画や音楽などを楽しむ人にはうれしい機能です。
「motorola edge 30 Pro」は、5000万画素のメインカメラと、5000万画素の「超広角カメラ+マクロカメラ」、そして200万画素の深度センサーを搭載します。ハイエンドスマホで主流となっている望遠カメラは搭載されておらず、これは価格とのトレードオフになっているポイントです。
メインカメラと超広角カメラは、4つのピクセルをひとつに統合して効率よく光を取り込む「クアッドピクセルテクノロジー」を採用しており、実質約1250万画素になりますが、明るい写真が撮影できるようになっています。
メインカメラは、屋外であれば、高精細で明るく、色味もハッキリ映ります。屋内になると、若干ノイズが発生し粗さも少し感じますが、HDRによる階調表現も上々で、十分キレイに撮れます。
メインカメラの作例。屋外、日中曇り 。ネモフィラの水色や、葉っぱの緑色が鮮やか。ディテールもシャープです
メインカメラの作例。屋内、日中曇り 。屋内になると。ほんの少しですが、画質が落ちます。それでも窓の外は白飛びせず、HDRの効きも良好です
超広角カメラは、メインカメラに比べると、明るさや精細さという面では若干ダウンします。小さなオブジェクトの描写も少しぼやけてしまいます。また、歪みも出るでの、少しクセがあるカメラ。他社のフラッグシップスマートフォンのカメラと比べると、やや見劣りがします。
上がメインカメラ、下が超広角カメラの作例。屋外、日中晴れ。色味や精細さと言う点では、メインカメラのほうがキレイ
超広角カメラで撮影すると歪みが発生しますが、それを利用してインパクトのある写真を撮れる面白さもあります
マクロカメラは被写体の質感までもが身近に感じるほどの超接写が可能です。その距離は最短2.5mm。ただし、光量が少ないと暗くなってしまいがちなので、屋外で利用するのがいいでしょう。
マクロカメラ作例。屋外、日中曇り。花びらの根元の細かな質感などが、非常に精細に表現されています
暗い場所での撮影に対しては、低照度の環境でも被写体を明るく映し出す「ナイトビジョン」が搭載されています。ライティングされたテントを撮影しましたが、光源に近いところはシャープなものの、光源から遠く暗い場所は輪郭がぼやけて、ノイズも発生しやすい印象です。
「ナイトビジョン」の作例 。夜のキャンプ場のため、かなり光量が少なく、暗い部分はノイズが目立ちます。もう少し明るければ、画質も向上しそう
メインカメラ以外は、他社のフラッグシップカメラと比べると物足りなさを感じますが、標準カメラとフロントカメラなど2基のカメラで同時に写真や動画の撮影を行う「デュアル撮影モード」や、最大360°の「パノラマ」モードなど、写真や動画を問わず面白い撮影モードが多数搭載されているのも特徴です。
撮影者と風景など、2つのカメラの画角を同時に収められる「デュアル撮影モード」
「motorola edge 30 Pro」は、最新SoC「Snapdragon 8 Gen 1」によるサクサク動作や、高性能な大画面ディスプレイによる高品質なエンタメ体験をお得に楽しめるハイエンドスマートフォンです。カメラに関しては、カメラに強いハイエンドスマートフォンと比べると少し物足りなさを感じますが、カメラに強いこだわりがある人でなければ満足できるはずです。
また、FeliCaセンサーを搭載していないので、「おサイフケータイ」が利用できず、モバイルSuicaやモバイルPASMOなど交通系ICカードのアプリも使えません。防水・防塵もIP52等級にとどまっています。背面のガラスも最新モデルの2世代前に当たる「Gorilla Glass 5」を搭載するなど、10万円オーバーのハイエンドスマートフォンと比べると、コストカットが図られている点もあります。
しかし、ハイエンドスマートフォンが軒並み10万円オーバー、高い機種によっては15万円を超えるものもあるため、そういった端末と比べると非常にお買い得な端末です。気になる人はぜひチェックしてみてください。
最新ガジェットとゲームに目がない雑食系ライター。最近メタボ気味になってきたので健康管理グッズにも興味あり。休日はゲームをしたり映画を見たりしています。