ゲーミングノートPCと言えば、「本体がゴツくて、厚い(そして重い)」というイメージを持っている人が多いのではないでしょうか? 確かにパワフルなCPUとGPUを冷却するため、どうしても本体の厚みや重みはアップしますが、最近は冷却技術の進化によって、スリムなゲーミングノートPCが続々と登場してきています。
今回は、そんなスリムなゲーミングノートPCとして注目の「Alienware x16」をレビューしていきます。
デル・テクノロジーズの「Alienware x16」。16型の液晶ディスプレイを搭載したスリムで高性能な最新のゲーミングノートPC。価格.com最安価格は299,409円から。今回試したモデルの価格.com最安価格は344,974円
「Alienware x16」は、デル・テクノロジーズのゲーミングノートPC。同社はいくつかゲーミングノートPCのシリーズを展開していますが、同モデルは薄型ゲーミングノートPC「Alienware x」シリーズの最新モデルです。
本体サイズは約364.81(幅)×289.98(奥行)×18.57(高さ)mm、最軽量構成時の重量は約2.72kg。厚さは2cmを切っており、ゲーミングノートPCながら、一般的な15型クラスのノートパソコンと変わらない厚さです。それでいて、CPUに「Core i9-13900HK」、GPUに「GeForce RTX 40シリーズ」を搭載。GPUに最上位の「GeForce RTX 4090 Laptop GPU」を搭載したモデルもラインアップします。
厚さ18.57mmと2cmを切るスリムボディ
本体デザインはゲーミング色全開とまではいきませんが、「Alienware」シリーズらしい遊び心が散りばめられたデザイン。天板には「Alienware」ではおなじみの宇宙人のロゴが配置され、「X」の文字が凹加工であしらわれています。外部インターフェイスが配置されている背面とタッチパッドにLEDが仕込まれており、好みの色にカスタマイズ可能。キーボードの上部や底面には、六角形を組み合わせた蜂の巣状の通気孔があり、これもデザイン上のアクセントとなっています。
天板には宇宙人のロゴと「X」の文字があしらわれています。金属らしい高級感のある質感
底面の約半分が蜂の巣状の通気口。この通気口をふさがないように、ゴム足が設けられています
キーボードの上部にも底面と同じ蜂の巣状の通気孔が設けられています
ゲーミングノートPCらしく、背面部分にはLEDが搭載されています。好みの色に光らせて個性を発揮しましょう
LEDは「Alienware Command Center」の「Alien FX」でカスタマイズできます
ディスプレイはアスペクト比が16:10の16型です。これまでの「Alienware x」シリーズは16:9のディスプレイを採用していましたが、本モデルからは縦方向が長いディスプレイを採用しています。これにより、縦に長いWebページが閲覧しやすく、表計算アプリや文章作成アプリも使いやすくなりました。
解像度は2560×1600。リフレッシュレートは最大240Hz、最大輝度は300ニット、色域はDCI-P3を100%カバーと高性能なディスプレイです。HDRにも対応しており、同規格に対応した動画を高画質で楽しめました。ゲームはもちろん、動画や写真の編集や閲覧にもぴったりなディスプレイと言えるでしょう。
アスペクト比が16:10の16型液晶ディスプレイを搭載。解像度は2560×1600です。輝度など各種スペックは高性能ゲーミングノートPCにふさわしい数値です
キーボードはキー単位で色を変えられるゲーミング仕様。アンチゴーストやNキーロールオーバーにも対応しています。今回は日本語配列のモデルを試しましたが、自然な配列で極端に小さなキーや窮屈なレイアウトはありませんでした。Enterキーの横に一列キーがありますが、音量調整やマイクのオフキーなど実用的なキーです。
なお、US配列キーボードには、メカニカルキーボードがオプションで選択できます(しかも価格は変わらず!)。US配列でしか選べないのは残念ですが、メカニカルキーボード派の人にはうれしいのではないでしょうか。
タッチパッドの色も見どころ。「AlienFXタッチパッド」と名付けられたこのタッチパッドは、全体にLEDライトが仕込まれており、好きな色にカスタマイズできます。色ムラなくきれいに光ります(もちろん、オフにすることも可能)。
がたつきがなく高品位なキーボード。もちろん、キー単位で光らせることができます。タッチパッドは全面が光る「AlienFXタッチパッド」
WebカメラはフルHD撮影に対応。フルHDでビデオ会議やライブ配信が可能です。スピーカーは6基搭載されており、単体でも意外といい音が出ます
外部インターフェイスはすべて背面に搭載されています。左右にポート類がないことで、使用中にケーブルなどが見えないのが美点ですが、ひんぱんに抜き差しするアクセサリーやケーブルがあると、いちいち背面まで手の伸ばさなければならないのが難点。この点は好みや使用環境によって判断が分かれそうです。
搭載する外部インターフェイスは、Thunderbolt 4(USB4)ポート、USB 3.2 Gen 2 Type-Cポート、HDMI 2.1出力、USB 3.2 Gen 1 Aポート×2、Mini DisplayPort出力、microSDメモリーカードスロット。
外部インターフェイスはすべて背面に搭載されています
続いて「Alienware x16」のパフォーマンスをチェックしていきましょう。今回試したモデルのスペックは以下のとおりです。
CPU:Core i9-13900HK
GPU:GeForce RTX 4070 Laptop GPU(グラフィックメモリーは8GB)
メモリー:32GB(LPDDR5)
SSD:1TB
CPUは第13世代Coreプロセッサーで、ゲーミング/ハイパフォーマンスモデル向けのHシリーズ。高性能コアが6基、高効率コアが8基という高性能なCPUです。メインメモリーはLPDDR5規格。容量は16GB、32GBの2種類が用意されており、今回試したモデルは32GBです。ストレージはPCI Express 4.0接続の1TB。最大4TBまで選べるので、ゲームの大容量化を考えると予算が許す限り大容量SSDを選びたいところです。
GPUはNVIDIAの最新世代である「GeForce RTX 40シリーズ」。前述のとおり、スリムボディながら、「GeForce RTX 4090 Laptop GPU」まで選べます。本モデルはミドルクラスの「GeForce RTX 4070 Laptop GPU」(ビデオメモリーは8GB)を搭載しています。
冷却の面では、独自の「Alienware Cryo-Techテクノロジー」と4つのファンにより、高い冷却性能を実現。「GeForce RTX 4080 Laptop GPU」以上を搭載した構成では、「エレメント31」(カプセル化されたガリウムシリコン熱伝導素材)という素材をCPUとGPUの両方に採用します。
実際に2、3時間ベンチマークテストを実施したり、ゲームをしたり長時間プレイしてみましたが、まったく問題なし。排気が両側面から出るので、本体の側面の近くでマウスを動かすとやや熱を感じましたが、動作が不安定になることはありませんでした。
「Alienware Command Center」でパフォーマンスモードを選択できます。ベンチマークテストアプリは電源を接続した状態かつ「パフォーマンス」モードで実施しました
パソコンの総合性能を測定する「PCMark 10 Professional Edition」は、トータルスコアが7694とデスクトップPC並み。「Digital Content Creation」が11392と3Dグラフィックや映像などのクリエイティブな作業も快適に行えるでしょう。ベンチマークテストアプリの結果は、高性能なゲーミングノートPCらしい、ハイスコアな結果でした。
CINEBENCH R23
CPU(マルチコア):16825、CPU(シングルコア):1953
CINEBENCH R20
CPU(マルチコア):6696、CPU(シングルコア):749
PCMark 10 Professional Edition
トータル:7694
Essentials:11305
Productivity:9599
Digital Content Creation:11392
3DMark Professional Edition
Speed Way:2972
Port Royal:7625
Time Spy Extreme:5825
Time Spy:12070
Fire Strike Ultra:6477
Fire Strike Extreme:12868
ヘビー級タイトルとして人気の「サイバーパンク2077」(CD Projekt RED)はどうでしょう。利用したのはゲーム内のベンチマークプログラム。プリセットを変えながらベンチマークプログラムを実行した結果が以下です。さすがに、画質重視の設定ではフレームレートは低いですが、「レイトレーシング:低」でも平均86.11fpsは立派。「サイバーパンク2077」がこれだけ動くので、多くのゲームタイトルを快適に遊べると言っていいのではないでしょうか。
「サイバーパンク2077」のベンチマークプログラムの結果
「レイトレーシング:オーバードライブ」では、平均21.37fps
「レイトレーシング:ウルトラ」では、平均51.80fps
「レイトレーシング:中」では、平均51.34fps
「レイトレーシング:低」では、平均86.22fps
「Steam Deck」では、平均115.99fps
「ウルトラ」では、平均75.20fps
「高」では、平均93.61fps
「中」では、平均122.57fps
「低」では、平均134.32fps
「Alienware x16」は2cmを切るスリムボディにパワフルな性能を詰め込んだ最新のゲーミングノートPCです。好みはありますが、ゲームに全振りしていないデザインも好印象。ゲーミングノートPCは欲しいが、ふだん使いもしたい人には、ぴったりなモデルではないでしょうか。ゲーム以外に、動画を編集したい人にもいいでしょう。
今回試したモデルの価格は30万円オーバーと高価ですが、ボディを薄くすると価格が高くなるのはノートパソコンの宿命。でも、やっぱりスリムだと、見た目がかっこよくて、使用中のテンションも上がります。デルはセールを実施することが多いので、気になる人はセール情報を忘れずにチェックしてみてください。
ガジェットとインターネットが好きでこの世界に入り、はやいもので20年。特技は言い間違いで、歯ブラシをお風呂、運動会を学芸会、スプーンを箸と言ってしまいます。お風呂とサウナが好きです!