レビュー

確かに速い! バッファローのWi-Fi 7対応ルーター「WXR18000BE10P」レビュー

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バッファローからWi-Fi(無線LAN)ルーターの新モデル「WXR18000BE10P」が登場した。国内メーカー初の「Wi-Fi CERTIFIED 7」を取得したWi-Fi 7対応モデルだ。同社では無線通信で13ギガ超えの転送速度を動画で披露。その速さを実機で試してみた。

バッファローが2024年2月上旬に発売したWi-Fiルーター「WXR18000BE10P」。最新のWi-Fi 7に対応した同社のフラッグシップモデルだ

バッファローが2024年2月上旬に発売したWi-Fiルーター「WXR18000BE10P」。最新のWi-Fi 7に対応した同社のフラッグシップモデルだ

Wi-Fi7とは?

Wi-Fi 7は、Wi-Fi 6(6E)をベースに、通信効率や遅延を改善した最新の無線規格。IEEE802.11beという規格で、Wi-Fi Allianceから7番目の規格として案内されている。Wi-Fi 7の特徴はその最大通信速度。理論値ではあるが、Wi-Fi 6(6E)の9.6Gbpsに対して、約4.8倍の約46Gbpsという高速通信を実現している。

これまでWi-Fi 7対応をうたったルーターは国内でも発売されていたが、帯域幅が160Hzまでだったので、その性能をフルに発揮できなかった。国内では昨年12月に電波法令改正により、6GHz帯の帯域幅320MHz通信が可能になり、これを受けて、各社がWi-Fi 7に対応した無線LANルーターの開発を一斉に表明。一番乗りを果たしたのが、今回紹介するバッファローの「WXR18000BE10P」というわけだ。

パッケージには「Wi-Fi CERTIFIED 7」の認証取得済みのマークが大きく表示される

パッケージには「Wi-Fi CERTIFIED 7」の認証取得済みのマークが大きく表示される

いろいろな新機能や機能強化により通信速度アップを果たしているWi-Fi 7だが、なかでも注目機能は以下の3つ。

MLO(Multi-Link Operation)
2.4GHz/5GHz/6GHzから、複数の周波数帯を同時利用できる機能。これにより、通信容量が拡大し、通信速度が向上する。いずれかの周波数帯の干渉波を受けても、影響のない通信帯域を利用し、遅延が起きにくくなるなど通信の安定化も期待できる。

320Hz幅通信
一度に無線通信できる帯域幅が160Hz幅から2倍の320Hz幅に拡張されている。前述のとおり、帯域幅320Hzの通信ができるのは6GHz帯のみ。

4096QAM
変調方式が久方ぶりに変わった。一度に表現できる情報量が1024QAM(10bit)から4096QAM(12bit)に増加。これにより、通信速度が1.2倍にアップ。特に近距離通信時に有効とされる。

Wi-Fi 7の特徴(Wi-Fi AllianceのWebページより)。MLO、320Hz幅、4096QAMのほかにも、周波数の利用効率が向上するMulti-RUなど新しい機能(機能強化)が盛り込まれている

Wi-Fi 7の特徴(Wi-Fi AllianceのWebページより)。MLO、320Hz幅、4096QAMのほかにも、周波数の利用効率が向上するMulti-RUなど新しい機能(機能強化)が盛り込まれている

スループットの向上だけでなく、遅延の少なさもWi-Fi 7の特徴。AR/VRやゲーム、産業向けアプリ、医療における遠隔モニターなどさまざまな分野での展開が期待されている。

「WXR18000BE10P」をチェック

続いて、「WXR18000BE10P」をチェックしていこう。

本モデルは4つの外部アンテナが特徴のフラッグシップモデル。Wi-Fi 6E対応の「WXR-11000XE12」と見た目とサイズは変わっていない。筐体をそのまま利用することで、開発期間の短縮を実現しているのかもしれない。本体サイズは300(幅)×195(高さ)×75(奥行)mm(アンテナおよび突起部除く)。無線LANルーターとしては大型だが、外部アンテナの向きを調整することで、アンテナの特性をカスタマイズできるのが特徴だ。

バッファローのフラッグシップモデルの特徴である外部アンテナを搭載。高性能なチップや高い放熱性を備える関係で、Wi-Fiルーターとしては、本体は大きめ。並べているのはアップルの「iPhone 14 Pro」

バッファローのフラッグシップモデルの特徴である外部アンテナを搭載。高性能なチップや高い放熱性を備える関係で、Wi-Fiルーターとしては、本体は大きめ。並べているのはアップルの「iPhone 14 Pro」

3軸回転機構を備えたアンテナ。付属の「アンテナ設定ガイド」を見ながら、向きなどを調整し、高速かつ安定した電波環境を構築できる

3軸回転機構を備えたアンテナ。付属の「アンテナ設定ガイド」を見ながら、向きなどを調整し、高速かつ安定した電波環境を構築できる

外部アンテナは6GHzが4本、5GHzが4本、2.4GHzが2本(5GHz/2.4GHz共通2本、5GHz専用が2本、6GHz専用が4本)。転送速度(理論値)は、6GHzが最大11529Mbps、5GHzが最大5764Mbps、2.4GHzが最大688Mbps。同社によると、前述のMLOを使うと実効スループットは14000Mbpsを超えるという。対応ルーターと組み合わせてメッシュネットワークを実現する「Wi-Fi EasyMesh」もサポートする。

有線のポートも豪華。INTERNET/LANは、それぞれ最大10Gbps対応ポートを備えており、通信速度が10Gbpsの高速インターネットサービスを活用している人も安心だ。

10Gbps対応ポートを搭載

10Gbps対応ポートを搭載

実際どのくらいスピードがでるのか?

バッファローでは無線通信で13Gbps超えを達成する動画を公開しているが、実際のところはどうなのか試してみた。

といいつつ、Wi-Fi 7にフル対応するパソコンやスマートフォンは2024年2月16日時点で発売されていない。そのため2台の「WXR18000BE10P」を用意し、メッシュネットワークでつなげ、それぞれにデスクトップPCを有線接続(10GbEのLAN端子)。デスクトップPCにはバッファローの10Gbps対応のネットワークカード「LGY-PCIE-MG2」を取り付けた。

そして、1台のデスクトップPCにWebサーバーを立てて、速度測定ソフト「LibreSpeed」を仕込み、もう1台のPCからブラウザーでアクセスし、その速度を測定した。

ただ、準備したデスクトップPCではネットワークカードがうまく動かず、作戦を変更。5GbEのLANポートを備えたノートPCで測定することに。そのため、最大でも5Gbpsという制限での測定となることをご了承いただきたい。

[接続イメージ]
サーバーPC(10GbE)―WXR18000BE10P〜〜Wi-Fi 7(ここの速さを測定)〜〜 WXR18000BE10P ―クライアントPC(5GbE)
※メッシュネットワークで接続、MLOは有効

距離としては3mほど。ルーター間に障害物のない環境だが、都心かつ集合住宅なので電波はよく飛んでいる。結果は約3.7Gbpsと無線とは思えないスピードだった。何度か試したが、幅はあるものの、下りが3.5Gbps前後、上りが3Gbps前後というのが実力のようだ。クライアントPCが10GbEなら、より高速な結果が得られたかもしれない。

「WXR18000BE10P」の設定画面。「Wi-Fi EasyMesh」を使用し、MLOを有効にして速度を測定した

「WXR18000BE10P」の設定画面。「Wi-Fi EasyMesh」を使用し、MLOを有効にして速度を測定した

「LibreSpeed」の結果

「LibreSpeed」の結果

Wi-Fi 7対応のノートパソコンとして、デルの最新ゲーミングノートPC「ALIENWARE m18 R2」につなげてみた。無線ネットワークアダプターはインテルのKiller Wi-Fi 7 BE1750 x320Hz(BE200NGW)。「x320Hz」と記載があるので、320Hz帯に対応しているが、記事執筆時点では160Hz帯までのようだ。インテルのWebサイトでは最高速が5.8Gbpsとなっているが、「WXR18000BE10P」で接続したときのリンク速度は、約半分の2882Mbpsだ。ファームウェアのアップデートで320Hz帯が使えるようになるかは不明だが、ぜひ対応してもらいたいところだ。

リンク速度は2882Mbps

「WXR18000BE10P」にWi-Fi 7対応ノートパソコンを接続。リンク速度は2882Mbps

まとめ

価格.comに登録されているWi-Fi 7対応Wi-Fiルーターは5台のみで、Wi-Fi 7はまさに生まれたての状況だ(2024年2月16日時点)。ルーターに加え、パソコンやスマートフォンなどWi-Fi 7の速さを生かせる環境が整うのには数年かかるだろう。そんな状況でも、他社に先駆けて新しい規格に果敢にチャレンジしたバッファローに拍手を送りたい。

記事執筆時点で、Wi-Fi 7の導入のハードルは高いが、このスピードは新しい時代の到来を十分予感させるものだった。今回はテスト環境の都合で、Maxが5Gbpsまでだったが、それでもこのスピードは驚異的と言える。

「WXR18000BE10P」の価格.com最安価格は58,481円。メッシュネットワークを構築しようとすると2台以上は必要なので10万円コースだ。クライアントの対応状況は不透明で、MLOを有効にしてWi-Fi 7の速さを味わうには、現時点ではメッシュネットワークを構築するしかほかにない。環境によっては、SSDやネットワークカードなどがボトルネックとなる可能性もある。それでも、「WXR18000BE10P」は6GHz帯の帯域幅320MHz通信が利用でき、将来性は万全。特に10Gbpsの高速インターネットサービスを利用している人なら、先行投資として導入してもいいだろう。

三浦善弘(編集部)
Writer / Editor
三浦善弘(編集部)
出版社で月刊誌やWebメディアの編集・記者を経験し、2013年にカカクコム入社。「価格.comマガジン」にて、PCやスマートフォン分野を担当。取材歴は20年以上。現在は「価格.comマガジン」全体を統括する。
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