スマホとおカネの気になるハナシ

割高なドコモの新料金「ahamoポイ活」がおトクになるのはどんな時?

スマートフォンやモバイル通信とお金にまつわる話題を解説していく「スマホとおカネの気になるハナシ」。今回は、NTTドコモが発表した「ドコモポイ活プラン」に基づく新料金「ahamoポイ活」を取り上げる。一見割高な料金プランに見えるのだが、どんな場合にお得になるのか解説しよう。

※本記事中の価格は税込で統一しています。

金融・決済サービスと密着した新料金が増加中

携帯各社の携帯電話料金と、傘下企業が提供する金融・決済サービスを密接に連携させることにより、お得に利用できる料金プランが最近急増している。KDDIの「au」ブランドで提供されている「auマネ活プラン」や、ソフトバンクの「ペイトク」などがそれに当たる。

KDDIの「auマネ活プラン」など、各社の金融・決済サービスと携帯電話料金を結び付けてお得になるプランがここ最近急増している

KDDIの「auマネ活プラン」など、各社の金融・決済サービスと携帯電話料金を結び付けてお得になるプランがここ最近急増している

これらのプランは、いずれも月額料金が決して安いわけではない。お得に利用するには、「auマネ活プラン」であれば少なくとも「au PAYカード」や「auじぶん銀行」の契約、「ペイトク」であれば「PayPay」の契約と利用が求められる。必要に応じて利用する金融・決済サービスを変更する必要があり、利用のためのハードルも高い。

しかしそのぶん、各種金融・決済サービスで大きな優遇が得られることから、それらサービスを積極的に利用するほど実質的な料金はとても安くなる。月額料金は高いが、うまく利用すれば非常にお得にできることから、両プランの契約は好調に伸びているようだ。

安くない「ahamoポイ活」はどんなユーザー向けか?

そこで、この流れに乗り、新たに金融・決済と連携したプランの提供に動いたのがNTTドコモで、2024年3月21日に「ドコモポイ活プラン」を発表している。これはスマートフォン決済の「d払い」など、NTTドコモが提供する決済サービスを利用することで、共通ポイントの「dポイント」がよりたまりやすくなるもの。特徴は「auマネ活プラン」よりも「ペイトク」に近い。

NTTドコモは新たに「ドコモポイ活プラン」の提供を発表。「d払い」などの利用でdポイントが貯まりやすくなることで、携帯電話料金を抑えられる仕組みだ

NTTドコモは新たに「ドコモポイ活プラン」の提供を発表。「d払い」などの利用でdポイントが貯まりやすくなることで、携帯電話料金を抑えられる仕組みだ

そして2024年4月1日から、「ドコモポイ活プラン」の第1弾として、オンライン専用プランの「ahamo」を対象とした「ahamoポイ活」の提供が開始されている。「ahamoポイ活」は新登場の料金プランではなく、ベースとなる「ahamo」のプランに複数のオプションを追加することで利用できる仕組みだ。

具体的にはまず、データ通信量が20GBの「ahamo」(月額2,970円)に、80GBの通信量を増量する「大盛りオプション」(月額1,980円)を追加した「ahamo大盛り」を契約する。そのうえで、新たに提供された月額2,200円の「ポイ活オプション」を追加することで利用可能になる。

「ahamoポイ活」は、オンライン専用プランの「ahamo」に80GBの通信量を追加する「大盛りオプション」を付け、さらに「ポイ活オプション」を追加したものとなる

「ahamoポイ活」は、オンライン専用プランの「ahamo」に80GBの通信量を追加する「大盛りオプション」を付け、さらに「ポイ活オプション」を追加したものとなる

「ahamo」に直接ポイ活オプションを直接追加することはできず、必ず「ahamo大盛り」を契約する必要があるためハードルは高く、すべてのオプションを含めると月額料金は7,150円となる。コストパフォーマンスの高さが評価されている「ahamo」のイメージからすると、かなり高額な印象は否めない。

ただし、「ポイ活オプション」を追加することで、「d払い」で決済した場合のdポイント付与率が3%増えるほか、2024年8月頃からは年会費11,000円 の「dカードGOLD」で月額料金を支払うことにより、ポイント付与率が5%にアップする。そして、提供開始当初から当面の間は、よりいっそうポイント付与率がアップするキャンペーンが提供される。

ポイ活オプションで追加されるdポイントの付与率は3%だが、「10%還元キャンペーン」の期間中はそれが10%に増量される

ポイ活オプションで追加されるdポイントの付与率は3%だが、「10%還元キャンペーン」の期間中はそれが10%に増量される

期間未定の「10%還元キャンペーン」は、月額40,000円のd払いでもとが取れる

キャンペーン期間中は「dカードGOLD」の契約などに関係なく、「d払い」で決済した際のポイ活オプション契約者のdポイント付与率が10%に増える。ポイ活オプションによるポイント付与の上限は4000ポイントなので、キャンペーン期間中は40,000円分の買い物をすれば4000ポイントを獲得できる計算となる。

さらに、その4000ポイントを携帯電話料金の支払いに充てれば、実質的に7,150円-4,000ポイント=2,750円の月額料金で、「ahamo大盛り」の通信量である100GBを利用できる計算となる。月に40,000円の買い物を「d払い」で済ませられるなら、非常にお得であることに間違いない。

キャンペーン期間中に「d払い」で40,000円の買い物をすれば、上限の4000ポイントが手に入ることから、それを通信費に充当することで実質2,750円での利用が可能になる

キャンペーン期間中に「d払い」で40,000円の買い物をすれば、上限の4000ポイントが手に入ることから、それを通信費に充当することで実質2,750円での利用が可能になる

キャンペーン終了後に最大限の還元を受けるには毎月133,333円、黒字化には毎月73,333円のd払いが必要

ただし、このキャンペーンは、終了時期未定ではあるもののあくまでキャンペーンなので、いずれは終了することになるだろう。そうなると通常のポイ活オプションの還元率は3%となってしまう。

そのため4000ポイントを獲得するには毎月133,333円をd払いで決済する必要があり、一気にハードルが上がってしまう。黒字化するため「ポイ活オプション」の2,200円分をポイントで賄うにしても、73,333円の支払いが必要になる。

また、2024年8月以降に「dカードGOLD」を契約し、ポイント付与率を5%に高めた場合でも、4000ポイントを獲得するにはやはり80,000円の支払いが必要になるし、「ポイ活オプション」の料金を賄うのにも44,000円の支払いが求められる。キャンペーン期間中はお得だが、終了するとお得感が大幅に薄れてしまう点には注意が必要だ。

よく使うお店が「d払い」に対応していることも地味だが重要

そしてもうひとつ、注意が必要なのが、「d払い」に対応した店舗で日常的に買い物をしているかどうかだ。身近に「d払い」に対応しているお店が多く存在し、そこで普段からたくさん買い物をしているのであれば「ahamoポイ活」の恩恵を受けやすいが、「d払い」対応店舗があまりない、利用する機会が少ないのであれば恩恵を受けるための労力が余計にかかる。

「d払い」は全国520万か所で利用できるが、個人店などでは使えないケースも多いので、「ahamoポイ活」を利用する際は要注意だ

「d払い」は全国520万か所で利用できるが、個人店などでは使えないケースも多いので、「ahamoポイ活」を利用する際は要注意だ

また、「ahamo」の通信量である月間20GBで十分な場合、月額料金は元々2,970円なので、わざわざ「大盛りオプション」と「ポイ活オプション」を契約して“ポイ活”をする必然性自体が薄いだろう。そうしたことを考えると、現時点で「ahamoポイ活」が適しているのは、以下の条件2つを満たす人になる。

・ギガを多く消費するので「ahamo大盛り」を使いたい、あるいは使っている

・d払いに対応した店舗で普段から多くの買い物のd払いをしている。(キャンペーン中なら月額40,000円、キャンペーン終了後なら黒字化には月額73,333円)

ただ、これはあくまで現時点での話であり、「ahamoポイ活」、さらに言えば「ドコモポイ活プラン」は今後まだ内容が変化する可能性がある。

夏〜秋の「eximoポイ活」登場まで様子見もアリ

そもそも、今回の「ahamoポイ活」は、「ドコモポイ活プラン」の第1弾であり、第2弾として使い放題プランの「eximo」を対象とした「eximoポイ活」の提供が2024年夏〜秋に控えている。「eximo」は「ahamo」より基本料金が高いことから、決済だけではなく金融サービスとの連携など、より多くのサービスとの連携が進められることも予想される。

加えて、「ahamoポイ活」のdカードGOLD特典が提供されるのも2024年8月頃であることから、「ドコモポイ活プラン」を巡っては夏ごろに再び大きな動きがあるのでは? と筆者は予想している。現時点で「ahamoポイ活」では割に合わなそうと感じるなら、夏ごろまで様子を見るのも手かもしれない。

佐野正弘
Writer
佐野正弘
福島県出身。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。
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田中 巧(編集部)
Editor
田中 巧(編集部)
通信を中心にしたIT系を主に担当。Androidを中心にしたスマートデバイスおよび、モバイルバッテリーを含む周辺機器には特に注力している。
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