レビュー

「Xiaomi 14T」はライカカメラに本格生成AI機能を備えたハイエンド級の一品

auとUQ mobileから 12月12日に発売されるシャオミのスマートフォン「Xiaomi 14T」を1週間ほど使ってみたので、レビューをお届けする。ハイエンドに迫る内容だがauのWeb直販価格は57,300円と、シャオミらしいコスパの高さが光る。

※本記事中の価格は税込で統一している。
※率直な感想を交えてレビューするが、発売前の端末のため、実際に発売される端末では仕様や画面表示などが異なる可能性があることはご了承いただきたい。

シャオミ「Xiaomi 14T」。価格は57,300円。2024年12月12日発売予定

シャオミ「Xiaomi 14T」。auのWeb直販価格は57,300円。2024年12月12日発売予定

フラットなボディはカラーによって質感が異なる

「Xiaomi 14T」のディスプレイは約6.67インチの有機ELで、解像度は2712×1220。シャオミが「新世代の144Hz AIディスプレイ」とうたうように、リフレッシュレートは最大144Hzで、タッチサンプリングレートは最大480Hz。ピーク輝度は4000ニトと非常に明るく、HDR10+、Dolby Visionにも対応する。「Xiaomi 14T」はハイミドルクラスだが、ディスプレイのスペックはハイエンド級で、リフレッシュレートやタッチサンプリングレートについてはゲーミングモデルに迫る性能だ。

約6.67インチの有機ELディスプレイを搭載

約6.67インチの有機ELディスプレイを搭載

筆者が借りたチタングレーは厚さ7.80mmで、重さは195g。大画面としては軽く持ちやすく感じた。ただし、横幅は75.1mmで、片手持ちでもある程度の操作はこなせるが、文字を入力するのは厳しいかもしれない。

背面パネルはフラットで、落ち着いた光沢があり、サラサラとした質感

背面パネルはフラットで、落ち着いた光沢があり、サラサラとした質感

カラーバリエーションはチタングレーのほかに、チタンブルー、レモングリーンから選べる。ただし、「チタン」と名乗るが、チタン素材が使われているわけではない。フレームはアルミニウム、背面パネルはガラスで、チタンをイメージさせる仕上がりとなっている。ちなみに、レモングリーンは、レモンの繊維やリサイクル素材をベースにした樹脂を使用しており、ヴィーガンレザー調になっている。そのため、レモングリーンのみサイズが微妙に異なり、本体の薄さは7.95mmでほかのカラーよりも少しだけ厚く、重さは193gと少しだけ軽い。

カラバリは3色。レモングリーン(左)のみ背面パネルの仕上げが異なる

カラバリは3色。レモングリーン(左)のみ背面パネルの仕上げが異なる

右側面に音量ボタンと電源ボタンを配置。電源ボタンにはローレット加工が施され、触った感触だけでわかる仕組みだ。上部にはマイク。下部にはSIMカードスロット、USB Type-Cポート、スピーカー、マイクを搭載する。なお、SIMカードスロットにはnanoSIMカードを1枚しか挿せないが、eSIMを追加して、2回線を使い分けることはできる。

右側面に音量ボタンと電源ボタンを配置

右側面に音量ボタンと電源ボタンを配置

底部にSIMカードスロットとUSB Type-Cポートを搭載。スピーカーは上部にも搭載され、ステレオサウンドを出力できる

底部にSIMカードスロットとUSB Type-Cポートを搭載。スピーカーは上部にも搭載され、ステレオサウンドを出力できる

サウンドはDolby Atmosにも対応。好みの音にカスタマイズできるイコライザー機能も搭載

サウンドはDolby Atmosにも対応。好みの音にカスタマイズできるイコライザー機能も搭載

生体認証は指紋と顔の両方に対応。指紋センサーは画面内に搭載されている。顔のほうがスピーディーに認証されるが、指紋でのロック解除もスムーズだった。

指紋センサーは素早くロックを解除できたが、もう少し高い位置のほうが指を当てやすいと思った

指紋センサーは素早くロックを解除できたが、もう少し高い位置のほうが指を当てやすいと思った

ライカらしい “画作り” を手軽に楽しめるカメラ

「Xiaomi 14T」の最大の特徴はカメラだ。ライカと共同開発した「Summilux光学レンズ」を搭載し、趣がある色合いや、高めのコントラストなど、ライカらしい表現を気軽に楽しめるようになっている。

ライカとコラボした3眼カメラを搭載。左下はLEDフラッシュだが、撮影時に必要となることはなかった

ライカとコラボした3眼カメラを搭載。左下はLEDフラッシュだが、撮影時に必要となることはなかった

背面のメインカメラは広角(約5000万画素/F1.7)+望遠(約5000万画素/F1.9)+超広角(約1200万画素/F2.2)のトリプル構成。広角カメラには1/1.56インチのソニー製の画像センサーを採用する。シャオミは、これまでに日本市場でライカ監修モデルを2機種リリースしているが、今年5月に発売した「Xiaomi 14 Ultra」には1インチ、11月に発売した「Xiaomi 14T Pro」には1/1.31インチの大型センサーが搭載されている。つまり、「Xiaomi 14T」のカメラは、それらよりも控えめのスペックだ。

望遠カメラは広角カメラを基準に光学最大2倍ズームで撮影でき、デジタルズームは最大20倍まで拡大できる。一般的に、スマホに搭載される望遠カメラは画像センサーが小さく、レンズの 絞り値(F)も大きいため、暗めに写る傾向がある。しかし、「Xiaomi 14T」の望遠カメラは、F1.9と小さいのでその心配はなさそうだ。超広角カメラは120度の視野角で撮影できる。

なお、これらのメインカメラは「Leica オーセンティック」または「Leica バイブランド」の2つの写真スタイルから選んで撮影できるようになっている。前者はライカ独自の光と影のコントラストで自然な色合いで写り、後者はシャオミが培ってきた技術を取り入れて彩度が強めに写るようだ。好みで選んでいいわけだが、景色は「Leica オーセンティック」で撮り、料理は「Leica バイブランド」で撮るなど、構図ごとに使い分けるとよいだろう。

左側の写真は「Leica オーセンティック」で撮影したもの、ナチュラルな色合いで写った。右側の写真は「Leica バイブランド」で撮影したもので、鮮やかな色調で映える写真になる

左側の写真は「Leica オーセンティック」で撮影したもの、ナチュラルな色合いで写った。右側の写真は「Leica バイブランド」で撮影したもので、鮮やかな色調で映える写真になる

実際にいろいろな被写体を撮ってみたが、晴れた日の屋外はもちろん、夕景や夜景もきれいに撮れた。ライカが監修したものを含む14種類のフィルターを設定して撮影することもでき、奥行き感があるモノクロで撮影することも可能。写真を撮るのが楽しくななるカメラだ。

以下から静止画の作例を掲載する。なお、いずれも「Leica オーセンティック」で撮影した。

超広角(0.6倍)で撮影

120度の超広角なので、広い範囲を構図に収められる。構図の四隅はややディテールが減るが、許容できるレベル

120度の超広角なので、広い範囲を構図に収められる。構図の四隅はややディテールが減るが、許容できるレベル

広角(1倍)で撮影

広角カメラは、解像感も良好で画質では最も有利だ

広角カメラは、解像感も良好で画質では最も有利だ

望遠(光学2倍)で撮影

ズーム倍率をいたずらに追わなかったため、画質は思った以上に良好

ズーム倍率をいたずらに追わなかったため、画質は思った以上に良好

望遠(デジタルズーム4倍)で撮影

望遠カメラのデジタルズームで撮影。デジタルズームでもこの程度の倍率ならノイズは気にしなくてよさそうだ

望遠カメラのデジタルズームで撮影。デジタルズームでもこの程度の倍率ならノイズは気にしなくてよさそうだ

望遠(デジタルズーム20倍)で撮影

デジタルズームの最大20倍でも、かなりクッキリと写る

デジタルズームの最大20倍でも、かなりクッキリと写る

広角(1倍)で撮影

夕景のグラデーションもきれいに写った

夕景のグラデーションもきれいに写った

広角(1倍)で撮影

夜景はフラッシュを使わずとも、手ブレを抑え、コントラストが強く出た。ISOは10000だがノイズは目立たない

夜景はフラッシュを使わずとも、手ブレを抑え、コントラストが強く出た。ISOは10000だがノイズは目立たない

広角(1倍)で撮影

ポートレートモードで愛犬を撮影。背景はナチュラルにボケる

ポートレートモードで愛犬を撮影。背景はナチュラルにボケる

ライカが監修したフィルターを設定して撮ることも可能

ライカが監修したフィルターを設定して撮ることも可能

動画撮影機能を軽く試したが、動画の撮影画質もナチュラルな印象だ。最大で4K/60fpsでの撮影に対応し、映画のように背景をぼかす「ムービーモード」や、手動で細かい設定ができる「監督モード」なども備えている。なお、フロントカメラは3200万画素で、自撮りも高画質で楽しめる。

シャオミ独自AIでテキスト要約、文字起こし、画像切り抜き、通訳が利用できる

「Xiaomi 14T」のもうひとつの特徴となっているのがAI機能だ。「Gemini」や「かこって検索」など、Androidスマホとして標準のGoogleのAI機能とは別に、シャオミ独自の便利機能が利用できる。

たとえば、「メモ」アプリに入力した文章は、要約したり、読みやすいようにレイアウトを変えたり、校正したり、指定した言語に翻訳したりすることが可能。実際に試してみると、処理に要する時間が短く、翻訳の精度も高いように思えた。

自分がブログに書いた文章を「メモ」に入力して要約してみた。英語への翻訳を試してみたが、かなり正確と思えた

自分がブログに書いた文章を「メモ」に入力して要約してみた。英語への翻訳を試してみたが、かなり正確と思えた

「レコーダー」アプリでは録音した音声の文字起こしが可能。さらに、テキスト化された文章を要約したり、指定した言語に翻訳したりすることもできる。日本語と英語しか試していないが、文字起こしも翻訳もかなり正確なようだ。

「レコーダー」の文字起こしと翻訳は多くの言語に対応。パラグラフごとの翻訳が表示されるので、原文と参照しやすい

「レコーダー」の文字起こしと翻訳は多くの言語に対応。パラグラフごとの翻訳が表示されるので、原文と参照しやすい

「ギャラリー」アプリでは、写真に写り込んだ不要なものを消して、自然に見える背景が生成される「AI消しゴム Pro」、写真に写っていない背景を生成して拡張する「AI画像拡張」などの機能を利用できた。「AI消しゴム」は消したいものが切り抜けるほど明瞭な場合はうまくいくが、境界が不明瞭だったり、背景が煩雑だったりすると、不自然な仕上がりになることがあった。

正直なところ、Googleの「フォト」アプリの「消しゴムマジック」のほうが精度は高いと思った。なお、1枚の顔写真から自分好みのポートレートが作れる「AIポートレート」機能も搭載されるはずだが、筆者が借りた端末では確認できなかった。

「AI消しゴム Pro」は、指定したものは消えたが、不自然な影が残った

「AI消しゴム Pro」は、指定したものは消えたが、不自然な影が残った

外国語を話す人との会話をリアルタイムで翻訳する「AI通訳」も搭載。パソコンから英語や中国語を出力させて、擬似的に使ってみただけだが、反応は早く、正確に翻訳されるので、海外旅行などで活用できそうだ。

「AI通訳」は、海外旅行で役立ちそうだ。音声通話時にも利用できる

「AI通訳」は、海外旅行で役立ちそうだ。音声通話時にも利用できる

Googleの生成AIサービス「Gemini」のアプリもプリインストールされていて、電源ボタンの長押しで起動可能。調べたいテキストや画像が表示された画面でホームボタンを長押しし、そのテキストをなぞったり、画像を囲ったりして検索できる「かこって検索」も搭載する。

スマホのAI機能はハイエンド機中心に採用が進んでいる。だが、「Xiaomi 14T」のAI機能は、ミドルクラスながら、本記事執筆時時点におけるハイエンド級の充実度とクオリティーだろう。

パフォーマンスはハイエンド並み。電池持ちも及第点

本機はプロセッサーに「MediaTek Dimensity 8300-Ultra」を採用。メディアテックのルールでは8000番台はハイミドルクラスに属する。4nmプロセスで作られており、CPUは3.35GHz×1コア + 3.2GHz×3コア + 2.2GHz×4コアという構成だ。

メモリーは12GBで、ストレージの空き領域を利用して最大12GBの仮想メモリーを拡張できる機能も備えている。ストレージは256GBで、microSDカードには対応していない。

メモリーはハイエンド並みの12GBで、さらに最大12GBの仮想RAMを追加可能

メモリーはハイエンド並みの12GBで、さらに最大12GBの仮想RAMを追加可能

実際に使ってみると、タッチ操作でタイムラグを感じることはなく、アプリの切り替えなどもスムーズに行えた。処理に時間を要しやすい「カメラ」「ギャラリー」などのアプリもサクサクと軽快に操作できた。

ベンチマークアプリ「Geekbench 6」で測定したところ、結果はハイエンドスマホには及ばないものの、ミドルクラスでは上々と言えるスコアだった。なお、「Geekbench 6」公式のランキングサイトを参照すると、このスコアはGoogleの「Pixel 9」シリーズに比較的近い。実際の使用感ではハイエンドと同等と思えた。

 「Geekbench 6」アプリでベンチマークを測定した結果。ミドルクラスではトップクラスと思えるスコアを記録した

「Geekbench 6」アプリでベンチマークを測定した結果。ミドルクラスではトップクラスと思えるスコアを記録した

バッテリー容量は5000mAh。標準的な使い方であれば余裕で1日持ち、使い方によっては2日間の電池持ちを見込めそうだ。シャオミ独自の急速充電「Xiaomi 67W ハイパーチャージ」に対応していることも利点、同梱の充電器を使えば、50分でフル充電できるとのこと。筆者は「Xiaomi 90W ハイパーチャージ」の充電器を持っていたので、それを用いて充電してみた。残量20%の状態から充電すると、20分で65%になり、40分で96%に達した。充電は出かける前のわずかな時間で済みそうだ。(2024年12月13日修正:充電器は別売ではなく製品パッケージに同梱されています。以上訂正しお詫びいたします。)

67Wの急速充電に対応していることも魅力。

67Wの急速充電に対応していることも魅力

【まとめ】ハイエンド向けだった本格生成AIを使えるミドル機

スマートフォンの生成AI機能は、まだ一部の高価な製品を中心に採用されている機能だが、この価格帯で生成AI機能が使える「Xiaomi 14T」は珍しい。しかも、Googleと、シャオミ独自の生成AI機能両方が使えるのも見逃せない。

ハイエンドスマホに匹敵するディスプレイやカメラを搭載し、IP68の防塵・防水性能を備え、「おサイフケータイ」にも対応。“ほぼハイエンド” と呼んでもよい内容だ。ミッドレンジからワンランク上のスマホに乗り換えたい人には格好の選択肢となるだろう。

村元正剛
Writer
村元正剛
iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの企画・編集などにも携わっている。
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田中 巧(編集部)
Editor
田中 巧(編集部)
通信を中心にしたIT系を主に担当。Androidを中心にしたスマートデバイスおよび、モバイルバッテリーを含む周辺機器には特に注力している。
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