レビュー

安いのには理由がある!?1万円台の注目スマホ「moto g05」はどこまで使える?

今回レビューした製品

モトローラ「moto g05」

性能を吟味して1万円台の低価格を実現

モトローラ「moto g05」
  • モトローラのエントリースマホ
  • 約6.7インチHD+ディスプレイ
  • ステレオスピーカーや指紋認証を搭載
気に入った点
  • 1万円台の低価格
  • ヴィーガンレザー張りの背面などでチープさは感じにくい
  • オートフォーカスの性能の向上で使いやすくなったカメラ
気になる点
  • 前モデル「moto g24」とほぼ同じ基本性能
  • 充電にかかる時間は長め
  • 多少の水かぶりに耐えるが水没に弱い

安さの秘密は5G非対応とHD+のディスプレイにあり!

いろいろなものが値上がりしている昨今、最新のスマートフォンが2万円を切る価格で買えるのは、それだけも十分に魅力的です。いっぽうで安すぎると、ちゃんと使えるのか不安に思う人もいるでしょう。今回取り上げるモトローラ「moto g05」は、そんな格安スマホの最新モデル。2025年4月7日時点での価格.com最安価格は18,705円です。実際にどのくらい使えるのかを試してみました。

レビューに入る前に、製品名についての注意点をひとつ。モトローラのスマホにはかつて「Moto G5」や、「moto g50 5G」といった製品があり、検索の仕方によっては、このあたりが引っかかってきてちょっと混乱します。製品名にはメーカー独自のルールがあり、モトローラによれば「moto g05」の「05」は、2025年のgシリーズでいちばん下のモデルであることを示しているとのこと。なお、名前から勘違いしてしまいそうですが、5Gの通信には対応していません。

「moto g05」は、ちょうど1年前に登場し、同じく1万円を切る価格で注目を集めた「moto g24」の後継機種でもあります。ディスプレイは液晶で、前モデルより0.1インチアップの約6.7インチを搭載しています。解像度はHD+(1612×720、263ppi)。最近ではエントリークラスのスマホでもフルHDが当たり前になるなか、この解像度と前述の5G非対応など、一部の機能を割り切ることで低価格を実現しています。安いのにはちゃんと理由があるということですね。

ベゼル幅が狭く、画面占有率(アクティブエリアタッチパネル)は90.15%です

ベゼル幅が狭く、画面占有率(アクティブエリアタッチパネル)は90.15%です

カラーは写真のミスティブルーとフレッシュラベンダーの2色展開です

カラーは写真のミスティブルーとフレッシュラベンダーの2色展開です

ヴィーガンレザーを採用して、安っぽくないデザインを実現

いっぽうでその見た目に、安っぽさを感じさせる要素はありません。サイズは約75.98(幅)×165.67(高さ)×8.17(厚さ)mm(最薄部)とスリム。かつ大画面のスマートフォンとしては、重さも約188.8gと、持ちやすいボリュームに収まっています。前モデルの背面はマットでさらっとした仕上げでしたが、本機の背面にはヴィーガンレザーが採用されていて、しっとりとした触り心地でかつ滑り止め効果もあり、高級感が感じられます。

凹凸があり滑り止め効果もあるヴィーガンレザーを背面に採用しています

凹凸があり滑り止め効果もあるヴィーガンレザーを背面に採用しています

ディスプレイは十分実用レベル。屋外でうれしい輝度アップも

1日に何度も目にするスマホなので、HD+というディスプレイの解像度の低さは気になるポイントです。しかし、実際に使ってみるとまったく問題はありません。ハイエンドなスマートフォンと見比べたら確かに違いはありますが、単体で見ている分には十分に実用的な画質です。リフレッシュレート90Hzがサポートされているので、スクロール時のちらつきもなく、画面操作も快適。傷に強い「Corning Gorilla Glass 3」を採用した表面ガラスの指滑りも上々です。

さらに前モデルからのアップデートとして、ディスプレイをより明るく表示できる高輝度モードが利用できます。最大1000ニトをサポートしていて、オンにしているとバッテリーの消費は早くなりますが、バッテリーサイズも前モデルの5000mAhから5200mAhにアップしています。高輝度モードオフ、輝度50%、リフレッシュレート自動で実施した、「PCMark for Android」のバッテリーテスト結果は、100→20%まで12時間17分でした。ACアダプターは同梱されていませんが、18Wの急速充電をサポートしていて、約1時間で20→80%まで充電できました。エントリー向けスマートフォンも急速充電に対応するものが増えていますが、本製品の充電にかかる時間は特別に短いわけではありません。

太陽光下での視認性を確認したところ、春の西日の下でも、文字がしっかり読み取れました

太陽光下での視認性を確認したところ、春の西日の下でも、文字がしっかり読み取れました

ベンチマークテストの結果は前モデル並み。RAMブーストはさらに強化

基本的な性能に影響するSoCも、前モデルの「MediaTek Helio G85」から「MediaTek Helio G81 Extreme」に変更されています。定番のベンチマークアプリ「AnTuTu Benchmark V10.4.5」では、総合スコアが254276でした。そのほか各ベンチマークテストの結果は以下のとおりです。

AnTuTu Benchmark(V10)

3DMark Wild Life(左)/PCMark Work3.0(右)

Geekbench 6 CPU(左)/Geekbench 6 GPU(右)

4G向けのSoCなのでスコアが低くなるのは仕方ないところもありますが、いずれも前モデルと同じか低い結果でした。エントリーモデルとしては余裕のある8GBのRAM、128GBのストレージという構成も、前モデルから変わっていません。スマートフォンとしての基本性能は、前モデルと同等程度とみてよいでしょう。

いっぽうで前述の輝度やバッテリー容量のように、進化しているところもあります。たとえばメモリーの構成自体は同じですが、ストレージの一部を仮想メモリー化できる「RAMブースト」機能で、設定できる容量は最大8GBから16GBに増えています。8GBの実メモリーとあわせて、最大24GBまで拡張できます。

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2024/04/24 13:00
初期設定ではRAMブーストが「自動」になっていて、仮想メモリー4GBが割り当てられて、メモリーは12GBとなっていました

初期設定ではRAMブーストが「自動」になっていて、仮想メモリー4GBが割り当てられて、メモリーは12GBとなっていました

マクロカメラを捨てて新センサー採用でAFのスピードがアップ!

背面のカメラは一見すると2つに見えますが、5000万画素(F1.8)のメインカメラのほか、もうひとつは直接撮影には使わない環境照度センサーです。前モデルでは2つ目のカメラとして200万画素のマクロカメラがありましたが、代わりに環境照度センサーを搭載することで、明るさに合わせた素早いオートフォーカスが可能になりました。いっぽうで、被写体にぐっと近寄ってのマクロ撮影は、今回サポートされていません。なお、フロントのインカメラは前モデルと同じく、約800万画素(F2.0)となっています。

右がメインの5000万画素カメラで左は環境照度センサー。カメラの出っ張りが目立たないデザインになっています

右がメインの5000万画素カメラで左は環境照度センサー。カメラの出っ張りが目立たないデザインになっています

撮影モードは写真、動画のほか、ポートレート、QRコード、プロ、スローモーション、パノラマ、タイムラプス、ナイトビジョン。モトローラのスマートフォンはUIがシンプルです。たとえば暗所での撮影はあらかじめモードを切り替えなくても、AIがシーンを判断して自動的にナイトビジョンモードで撮影できます。このほか、OSには最新のAndroid 15を搭載。電源ボタン長押しでAIアシスタントのGeminiが起動するほか、モトローラのスマートフォンでは標準の写真アプリが「Googleフォト」なので、消しゴムマジック、編集マジックといったAI編集機能をシームレスに利用できます。このほか動画撮影はアウトカメラ、インカメラともにFHD (30fps)をサポート。

電源2回押しによるカメラ起動や、オートフォーカスの速さなど、カメラの起動→撮影→AIを使って編集という一連の流れがスムーズ。本機がエントリーモデルであることを忘れるぐらい、快適な撮影体験ができます。メインカメラでは4つのピクセルをあわせて、より多くの光を取り込める「クアッドピクセル技術」のおかげで、特にナイトビジョンでの夜景がきれいに撮影できました。ズームは1倍と2倍をワンタッチで切り替えられるほか、最大6倍のデジタルズームが可能。6倍はさすがに粗くなりますが、1倍、2倍のスナップは満足のいくものでした。

HDRがしっかり働いてトンネルの中と外、明暗部がちゃんと再現できています

HDRがしっかり働いてトンネルの中と外、明暗部がちゃんと再現できています

デジタル2倍ズームで撮影。波の表面の荒立つ様子や、波しぶき、雲のグラデーションもつぶれていません

デジタル2倍ズームで撮影。波の表面の荒立つ様子や、波しぶき、雲のグラデーションもつぶれていません

マクロまで寄れないものの、しずる感のある料理写真が撮れます

マクロまで寄れないものの、しずる感のある料理写真が撮れます

ポートレートで撮影。手前の花、間の花、奥の花でボケ具合が微妙に異なっています

ポートレートで撮影。手前の花、間の花、奥の花でボケ具合が微妙に異なっています

ナイトビジョンで撮影。ノイズは少ないもののやや黒つぶれが見られます

ナイトビジョンで撮影。ノイズは少ないもののやや黒つぶれが見られます

ナイトビジョンで撮影。やはりノイズは少ないものの、黒つぶれが現れています

ナイトビジョンで撮影。やはりノイズは少ないものの、黒つぶれが現れています

ナイトビジョンで6倍ズーム。かなり粗くなり、映像の細部は認識できません

ナイトビジョンで6倍ズーム。かなり粗くなり、映像の細部は認識できません

暗い店内でナイトビジョンで撮影。細かい泡まで明るく写りました

暗い店内でナイトビジョンで撮影。細かい泡まで明るく写りました

ステレオスピーカーや指紋認証など欲しい機能はしっかり搭載している

サウンド機能では、3.5mmの有線ヘッドフォン端子を備えるほか、エントリーモデルながらモノラルではなく、「Dolby Atmos」対応のステレオスピーカーを搭載しているのもポイントです。ディスプレイの解像度はHD+ですが、スピーカーサウンドの迫力もあり、動画を楽しむ端末としても使えそう。ヘッドフォンを接続すればFMラジオを受信することもできます。

有線ヘッドフォンが利用できるほか、「Dolby Atmos」対応のステレオスピーカーを備える

有線ヘッドフォンが利用できるほか、「Dolby Atmos」対応のステレオスピーカーを備えています

電源ボタンが指紋認証センサーを兼ねていて、スマートにロックを解除できる

電源ボタンが指紋認証センサーを兼ねていて、スマートにロックを解除できます

このほか、生体認証は指紋と顔をサポート。電源ボタンが指紋センサーになっているので、電源オンからロック解除までの動作もスムーズです。通信は4G LTEほか、IEEE802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 5.4、NFCをサポート。防塵はIP5X、防水はIPX2をサポートしていますが、これは雨などの水しぶきに耐える防滴レベルで水没の耐性はありません。水辺での利用には注意が必要です。なお、おサイフケータイにも対応していません。

SIMスロットにはnano SIM×2と、microSDカードを同時にセットできますが、eSIMには対応していません

SIMスロットにはnano SIM×2と、microSDカードを同時にセットできますが、eSIMには対応していません

【まとめ】シンプルで安価。副回線用、とにかくスマホが必要な人にちょうどよい一台

「moto g05」は、触り心地のよい質感やデザイン、ディスプレイの見やすさ、操作性、AIを用いた撮影、編集体験まで含めて、前モデルよりも使いやすくまとまっている印象。スマートフォンとして十分に実用的ですし、割り切りを理解したうえで選ぶなら、2万円を切る価格はかなりお買い得と言えます。

専用のTPUケースが付属します

専用のTPUケースが付属します

KDDI、ソフトバンクに続いて、2026年3月31日にはNTTドコモも3Gの停波を予定していますが、4Gが使えなくなることはまだ当面ありません。その意味では安心して使えるのですが、いっぽうで5Gのエリアはどんどん広がっていて、大手キャリアだけでなくMVNOでも、最近は5G対応のサービスが増えてきています。5Gがどんどん当たり前になるなかで、本機は過渡期の製品であるとも言えます。本機1台であらゆる用途に使うよりも、何らかのトラブルに備えた予備機、または使う機会は少なくてもスマートフォンが必要な人にちょうどよい一台でしょう。

太田百合子
Writer
太田百合子
インターネット黎明期よりWebディレクションやインターネット関連のフリーペーパー、情報誌の立ち上げに携わる。以降パソコン、携帯電話、スマートフォンからウェアラブルデバイス、IoT機器まで、身近なデジタルガジェットと、それら通じて利用できる様々なサービス、アプリケーション、および関連ビジネスを中心に取材・執筆活動を続けている。
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田中 巧(編集部)
Editor
田中 巧(編集部)
通信を中心にしたIT系を主に担当。Androidを中心にしたスマートデバイスおよび、モバイルバッテリーを含む周辺機器には特に注力している。
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