筆者は駅までの往復に、折りたたみ自転車を愛用している。フレームの形が特殊なので、普通の自転車の鍵が使えないため、ダイヤル式のチェーンロックを使っているのだが、夜になると駐輪場が薄暗く、いつもダイヤルが見えないので困っていた。
こういうものこそITの力でどうにかならないのかといろいろ製品を探していたのだが、いわゆる南京錠タイプのスマートロック「noke」を見つけたので、購入してみた。
nokeはKickstarter発の製品のため、以前は海外の事業者から購入するしかなかった。筆者がオーダーしたのは4月上旬で届くのに1か月かかったが、今探してみるとアスキーストアやAmazonでも買えるようになっていて、拍子抜けである。
nokeは自転車の鍵として利用されることを想定しているようだが、日本だとまずこんなにがっちりした南京錠を自転車に使う人は少数派だろう。重量も本物の南京錠同等に重く、320gぐらいある。1台30万円ぐらいするロードバイクならありうるかもしれないが、駅の駐輪場に置いてあるレベルでこんなにどでかい鍵は見たことがない。もっとも海外ではナチュラルに自転車が盗まれるので、見た目のアピールというのが大事なのかもしれない。
南京錠型スマートロック、noke
まずは専用アプリをダウンロードして、ユーザー登録を行う。次にスマートフォンとnokeをペアリングすると、ようやく解錠できるようになる。
アプリは日本語化されていないが、難しくはない
スマートフォンを使った解錠方法としては、1ステップと2ステップの2つが選べる。
普段使いの解錠方法は2つ
1ステップがもっとも簡単で、nokeとスマホが通信圏にある時に、nokeのフック部分を1回押し込む。するとスマートフォンと通信し、ユーザー情報の確認が取れると解錠する。
簡単だが、フックを1回押し込んだぐらいで開いて大丈夫か、という懸念も出てくる。施錠したあと、まだその辺をウロウロしている間に誰かがフックを押し込めば、当然開いてしまうわけだ。鍵が開くとスマホ側に通知が飛ぶが、それに気がつかないかもしれない。心配性の人にはあまり向かないスタイルだ。
もう1つの2ステップは、解錠するときにフックを押し込むところまでは同じだが、解錠するにはスマホアプリでUnlockをタップする必要がある。スマホまで奪われない限り、他の人には開けられない。もっとも、鍵を開ける手順が増えるほど利便性は下がっていくので、その辺りはユーザーの考え方次第だろう。
2ステップ時の解除画面
スマホが手元にないが、どうしても鍵を開けたいというケースもあるだろう。これはアプリを使って、解除のためのサインを決めておく。フックの押し込みで、短く押す、長く押すの組み合わせを作り、それを登録するのだ。モールス信号みたいなものである。サインを忘れないよう、時々はこの方法で開けるといいのかもしれない。
nokeは当然ながら、動作に電力が必要だ。内部にボタン電池を内蔵しているが、使用中に電池切れになる可能性もある。その時のために、底部に外部電源端子がある。実際にはボタン電池をこの端子にくっつけるわけだ。こうして通電させておいて、上記の解除手順を行うことで、鍵を開けることができる。鍵を開けないと、中の電池を交換できないようになっている。
中にボタン電池が
電池切れに対応できるよう、底部に端子がある
この電子の鍵は、他の人にもシェアできる。noke専用アプリをインストールしてユーザー登録してもらう必要はあるが、期間や曜日、時間帯を指定してテンポラリ的に鍵を渡せるのは便利だ。部室や倉庫など、特定のメンバーが一時期だけ頻繁に出入りするような場所に使っても面白いだろう。
南京錠という古臭い装置が、ITによって破格に便利になるのは快感だ。ただ、もう少しゴッツくないモデルも欲しいところである。