AMDの最新GPU「Radeon RX 480」を搭載するビデオカードの国内販売が開始された。今回、Radeon RX 480を搭載するリファレンスカードを試用する機会を得られたので、そのベンチマーク速報をお届けしよう。
ベンチマーク結果をお届けする前に、まずは今回取り上げるRadeon RX 480について簡単にご紹介しよう。
COMPUTEX TAIPEI 2016に合わせて行われたプレスカンファレンスですでに明らかになっている通り、Radeon RX 480は、AMDの最新GPUアーキテクチャー“Polaris”を採用する初のGPUとなる。前世代のハイエンドGPU「Radeon R9 390」に迫る5TFLOPS以上という処理能力を備えながら、199USドルからというミドルレンジの価格帯に投入されるかなり戦略的な製品となる。
Polarisには36基のCompute Unitを搭載したミドルレンジ向けの“Polaris 10”と、16基のCompute Unitを搭載したエントリー向けの“Polaris 11”の2種類が用意されていることが明らかになっているが、Radeon RX 480は前者のフルスペック版が採用されている。Polaris 10/ Polaris 11ともに、製造プロセス技術に14nm FinFETを初めて採用し、従来の28nmプロセス技術を採用したGPUに比べ、電力効率が飛躍的に向上しているのが特徴。同社によると、製造プロセス技術の変更やマイクロアーキテクチャーのチューニング等により、前世代の製品に比べてワット当たりのパフォーマンスは最大2.8倍まで向上しているという。Radeon RX 480も、5TFLOPS以上という処理能力を実現しつつ、消費電力は150Wと非常に低く抑えられている。
Polaris 10/ Polaris 11の主な仕様
Radeon RX 480の主な仕様。5TFLOPS以上という処理能力に比べ、消費電力は最大で150Wとかなり抑えられている
このほか、ディスプレイ出力周りに改良が加えられているのもトピック。新たに、DisplayPort 1.3/1.4とHDMI 2.0bをサポートし、4K/60fps出力とHDR(High Dynamic Range)に対応するという。特に4K/60fpsについては、ライバルのNVIDIAに比べて対応が遅れていたので、Polarisからしっかりとサポートされるようになったのはうれしいポイントといえる。
Polarisでは、DisplayPort 1.3/1.4とHDMI 2.0bがサポートされる
ここからはベンチマーク結果をお届けしよう。冒頭でも述べた通り、今回はRadeon RX 480を搭載するリファレンスカードを使用してベンチマークテストを行っている。Radeon RX 480は、GDDR5メモリーが4GBのモデルと8GBのモデルが用意されているが、今回は8GBモデルを使用した。ベンチマークプログラムは、「3DMark」のほか、ゲーム系ベンチマークとして「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」、「HITMAN」、「Rise of the Tomb Raider」を使用。検証PC環境は以下の通りだ。
CPU:インテル Core i7 6700K
マザーボード:ASRock Z170 Extreme4
メモリー:Corsair CMK16GX4M2A2666C16 [DDR4 PC4-21300 8GB 2枚組](2133MHzにダウンクロックして使用)
ビデオカード:AMD Radeon RX480 リファンレンスカード
システムストレージ:サムスン 850 EVO MZ-75E500B/IT
電源ユニット:SILVERSTONE SST-ST75F-PT
OS:マイクロソフト Windows 10 Pro 64bit
液晶モニター:Dell P2415Q [23.8インチ ブラック]
今回使用したRadeon RX 480 リファレンスカード
クーラーのデザインで大きく見えるが、基板自体はショートタイプになっている
ディスプレイ出力は、HDMI×1とDisplayPort×3を装備
補助電源は6ピン×1だ
3DMark Fire Strike
3DMark Fire Strike Extreme
3DMark Fire Strike Ultra
ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク
HITMAN(2016)
Rise of the Tomb Raider
システム全体の消費電力
今回、ゲーム系ベンチマークとして、要求スペックがそれほど高くない「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」と、要求スペックをそれなりに求められる比較的新しいタイトルの「HITMAN」、「Rise of the Tomb Raider」でテストを行ったが、これまでハイエンドを担っていた製品でしか実現できなかったような値がでており、予想以上によかった。特に「HITMAN」と「Rise of the Tomb Raider」は、設定次第でフルHDのワンランク上の解像度であるWQHDでも60fpsに近い値を出せている。ミドルレンジでこれはかなり優秀。AMDはDirectX12のタイトルの最適化を進めており、今後のドライバーの成熟次第では、さらに快適なゲームプレイが目指せそうだ。
Radeon RX 480搭載カードは、秋葉原ですでに販売が開始されている。現時点では、リファレンスデザイン準拠の製品しかなく、価格は30,000円台前半から中盤となっている。日本の場合、為替相場や消費税などもあるため、北米の想定価格からイメージしたものより若干割高感はあるものの、今後、2万円台後半くらいのプライスが付いたら、コストパフォーマンス重視のビデオカードとして大きな注目を集めそうだ。
PC・家電・カメラからゲーム・ホビー・サービスまで、興味のあることは自分自身で徹底的に調べないと気がすまないオタク系男子です。最近はもっぱらカスタムIEMに散財してます。