最新モデルの卓上型食器洗い乾燥機の実力もレビュー

生産累計1,000万台を突破したパナソニックの食器洗い乾燥機の今、昔

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2017年6月22日に生産累計1,000万台を達成したパナソニックの食器洗い乾燥機。とはいえ、日本国内における食器洗い乾燥機の普及率は30%にも満たず、普及率80%を超えるオーストラリアやノルウェー、70%強のスウェーデン、ドイツなどと比べるとまだまだ“一般的”とは言えません。そこで、60年近く食器洗い機(食器洗い乾燥機)を作り続けるパナソニックの歴史を振り返りつつ、最新モデルの進化を実際に洗浄してチェックしてみました。

1960年に誕生した食器洗い機から2016年発売の最新モデルまで、エポック的な製品をピックアップして紹介します。見ているだけで楽しい食器洗い乾燥機の歴史がここに!

パナソニックの食器洗い機の変遷を見てみよう

パナソニックの食器洗い機の歴史は古く、第1号機「MR-500」は1960年に誕生しました。これが、日本初の全自動食器洗い洗濯機です。ただ、「MR-500」は床に置き、シンクの横に並べて使うスタイルで、その風貌は洗濯機のよう。というのも、同社が製造していた洗濯機のボディを食器洗い機にも利用したのだからカタチが似ているのは当然です。そこから8年後の1968年に卓上型食器洗い機「NP-100」が発売されました。この卓上型食器洗い機も日本初! 瞬間湯沸し器のお湯を利用し、油汚れもよく落とせることがウリでした。その後も、1969年に温度調整機能やタイマーなどを搭載した、現在の食器洗い乾燥機の基本型となるような床置きタイプ「NP-1000」が登場しますが、まだまだ普及は思わしくなく、約30年間はまったく売れない時代が続いたと言います。そんな不遇の時代を変えるきっかけとなったのが、1986年に発売されたコンパクトな卓上型食器洗い機「NP-600」。シンクの天板に置けるサイズ感がヒットし、発売1年で約3万台が売れたそう。女性の社会進出という世情とも相まり、1991年には生産台数50万台を達成しました。

日本国内に初めて登場した全自動食器洗い機「MR-500」の価格は59,000円。この価格は当時の大卒の初任給(16,000円)の4倍弱と、かなり高額であったことからなかなか売れなかったそう

「MR-500」は天面がフタになっており、開けたところに食器を入れます。なお、水道ホースは上からつなぐ仕様で、フタの裏にある金属製ノズルから降り注ぐように噴出

お茶碗やお椀は入れやすそうですが、大きめの平皿はセットしにくそう。なお、洗剤も食器の上からふりかけて投入します。昔の縦型洗濯機の使い方と似ていますね

コースは、洗いとすすぎの2つのみ

コースは、洗いとすすぎの2つのみ

その形状から「オバQ」の愛称で親しまれた、日本初の卓上型食器洗い機「NP-100」(1968年発売)。食事の洋食化が進む中、当時急速に普及しつつあった瞬間湯沸し器とつなぎ、そのお湯を利用することで油類の落ちをよくしました。なお、お湯の温度調整は瞬間湯沸かし器の側で行います

カゴの設計、洗剤の投入方法、温度調整、タイマーといったのちの食器洗い乾燥機の基本構造を作り上げた、床置きタイプ「NP-1000」(1969年発売)

「予洗い」「殺菌すすぎ」といった運転もあり、かなり進化していることがわかります

「予洗い」「殺菌すすぎ」といった運転もあり、かなり進化していることがわかります

1986年に誕生した「NP-600」は、設置性が向上したことにより大ヒット! 愛称である「キッチン愛妻号」が記憶にある方も多いのでは?

「キッチン愛妻号」は、大きな平皿もラクにセットできるようになりました

「キッチン愛妻号」は、大きな平皿もラクにセットできるようになりました

水が出るノズルも、近年の食器洗い乾燥機に近い形状です

水が出るノズルも、近年の食器洗い乾燥機に近い形状です

洗浄コースや乾燥時間も選べるようになっています

洗浄コースや乾燥時間も選べるようになっています

その後も、日本の台所にあわせた食器洗い乾燥機がどんどん開発されます。1988年に日本のキッチン幅の規格にあわせた業界初の45cm幅対応ビルトイン型「NP-5500B」が発売され、1999年にはフルオープンできるビルトイン型「NP-P45X1P1」や、約30cmのシンクサイドに設置できるスリムタイプの卓上型「NP-33S1」が登場しました。これらは、今、市場にある食器洗い乾燥機のスタンダードとなっている規格。このように、日本の食器洗い機市場を牽引してきたのは間違いなくパナソニックであったのです。

これまでビルトイン型の扉は前にパタンと倒れるフロントオープンでしたが、1999年に登場した「NP-P45X1P1」(右)は引き出す仕様のプルオープンに!

「NP-P45X1P1」と同年に発売された卓上型「NP-33S1」。日本の住宅を徹底的に調べ、約30cmのシンクサイドに置けなければ普及しないという結果から、その規格にあうように開発されました

「NP-33S1」は外観だけでなく、食器をセットするカゴも近年のパナソニックの卓上型に近いデザインです

「NP-33S1」は外観だけでなく、食器をセットするカゴも近年のパナソニックの卓上型に近いデザインです

ある程度、基本的な構造が定着してきた食器洗い機は、以降、大容量化モデル、少人数世帯向けの設置面積が水きりかごサイズ(47×30cm)の「プチ食洗」など、多様なニーズに応える製品が開発されてきました。そして、超音波で発生した高濃度洗剤液を閉じ込めたミストで汚れを浮かして落とす「汚れはがしミスト」や「除菌ミスト」をはじめとする“手洗いではマネできない洗浄”、節水性能の向上といった基本性能を磨き上げ続け、今日の生産累計1,000万台までたどりついたのです。

食器洗い乾燥機の魅力とは?

60年近く食器洗い機を開発・製造しているパナソニックの最新モデルは、ビルトイン型、卓上型といくつかのラインアップがありますが、今回は卓上型の最上位機「NP-TR9」をピックアップし、どれほど進化したのかをチェックするとともに、食器洗い乾燥機の魅力を解説します。

2016年7月に発売された食器洗い乾燥機「NP-TR9」のサイズは、550(幅)×564(高さ)×347(奥行)mm。食器点数45点が入る容量ですが、奥行が比較的抑えられているので、調理スペースも確保しやすい印象です

食器洗い乾燥機は食器洗いを“おまかせ”できるため、家事の負担が軽減されるのはもちろんですが、節水性能が高く、水道代の節約につながるのも大きな魅力。たとえば、NP-TR9で6人分相当の食器(食器45点、小物24点)を洗った場合、手洗いでは約84Lの水を使用しますが、食器洗い乾燥機では約11L。水を流しっ放しにする手洗いとは異なり、食器洗い乾燥機は溜めて洗う循環式なので、水が少なくて済みます。では、なぜ食器洗い乾燥機は少ない水でキレイにできるのでしょうか。その秘密は、水温と洗剤、水流にあります。なかなか落ちなくて苦労する油汚れも、豚や牛の脂が溶ける50℃近辺の温度帯をはるかに超える60〜80℃の高温で洗う製品であれば、簡単に落とせます(手洗いでは20〜30℃のお湯で洗うため、油が落ちにくい)。さらに、食器洗い乾燥機用の洗剤は、台所用洗剤には含まれていない酵素や漂白成分を含んだ高濃度なもの。酵素は卵やごはん粒などのタンパク質やデンプンを分解し、漂白成分は付着した茶渋を分解するほか、除菌効果も得られます。

漂白剤や酵素が含まれていない台所用洗剤は、手のチカラで汚れをごしごしと落とさねばなりません。いっぽう、食洗機用洗剤は汚れを分解して除去する成分が入っているため、手洗いで苦労していた汚れも落ちやすいのだそう

手洗いで使う台所用洗剤と食洗機用洗剤の分解力の差を比べてみました(下の動画参照)。おかゆを入れた容器に、それぞれの洗剤を入れ、数十回シェイク! 台所用洗剤のほうはとろみのあるおかゆに洗剤が混じった状態で変化しませんでしたが、食洗機用洗剤を入れたおかゆはとろみがなくなりサラサラになっています。これは、酵素がデンプンを分解したため。つまり、専用の洗剤を利用する食器洗い乾燥機であれば、お茶碗に乾燥してこびりついてしまったごはんも落としやすい状態にできるのです。

これら、水温と洗剤の効果にくわえ、強力な水流が汚れを洗い流します。稼動中の水流を見ることはできませんが、もしもフタがなければ、ノズルから噴出される水流は高さ2mにも達するほどの勢いなのだそう。さらに回転するノズルにより、広範囲に水流を拡散できます。

多様な方向に向いたノズルを搭載。右上背面のノズルは前方に、ブーメラン状の3つのノズルは回転しながら上向きに水や洗剤液を噴射します

水流の様子は、下の動画でチェックしてください。動画にあるのは2015年発売モデル「NP-TR8」ですが、噴射の仕組みは同じです。

強力に水が噴射されるので、ザルの目に詰まってしまったポテトも食器洗い乾燥機の洗浄でキレイに!

強力に水が噴射されるので、ザルの目に詰まってしまったポテトも食器洗い乾燥機の洗浄でキレイに!

水を溜めて洗うとはいえ、食器洗い乾燥機はヒーターを使うため電気代が余計にかかるのでは? と思われるかもしれませんが、水道代、電気代(手洗いではガス代)、洗剤といったランニングコストの総計では手洗いよりも安く済みます。その差は1回あたり、約35円。わずかな差ですが、1日に2回食器洗いを行うとNP-TR9を導入したほうが1年で約25,000円の節約になるそうです。

最新モデル「NP-TR9」に追加された機構と機能がイイ!

ここまで紹介した水流などは、従来の卓上型食器洗い乾燥機とも共通ですが、最新モデル「NP-TR9」には使いやすさを高めるための新機構と、強力な洗浄コースが追加されました。まずは、新たに採用された機構から見ていきましょう。NP-TR9は食器を並べるカゴの一部を可動できるようにすることで、深さのある食器もラクに入れられるようになりました。水流をしっかり食器に当てることは汚れを落とすために大切なことなので、食器をきちんとセットできることは洗浄の向上にもつながるはず。

下カゴの一部が折りたためる仕様になりました

下カゴの一部が折りたためる仕様になりました

これまでは平皿を並べていたエリアですが、折りたためばお茶碗やどんぶりを立ててセットできます

これまでは平皿を並べていたエリアですが、折りたためばお茶碗やどんぶりを立ててセットできます

続いては、新しく追加された洗浄コース「パワフルコース」を紹介します。「標準コース」は7分間のプレ洗浄→約52℃の水温での洗い→すすぎ→約70℃での加熱すすぎ→乾燥という行程で稼動しますが、パワフルコースは洗い行程の最初に約40℃の水温で洗剤中の酵素を活性化させ、そのあとに70℃以上の水温で洗浄。その後60℃の水ですすぎ、さらに約70℃の加熱すすぎも行い、乾燥させます。標準コースよりも時間をかけて洗浄することで、魚焼きグリルのギトギト油もすっきり落とすことが可能に。筆者は、従来モデルの「標準コース」を試したことがありますが、標準コースでも、カレーがべっとり付いた皿や肉の脂が付いたボウル、こびり付いたごはんもしっかり落とせました。これまでも特に不満のない洗浄力でしたが、魚焼きグリルが“おまかせ”でキレイにできるのは、かなり魅力的だと思います。

パワフルコースの運転時間は約125〜130分。標準コースよりも46分ほど運転時間は長くなるので、油汚れが多い時に利用しましょう

魚を焼いたあとのグリル皿も、パワフルコースでキレイに! こびり付いた魚の皮もきちんと洗い落とされました

グリル皿に水をはって油が残っていないかをチェック! 結果、まったく油は浮いてこず、しっかり油が除去されたことを確認できました

<関連記事>標準コースの洗浄力は従来モデルのレビューでチェック!

実は工場見学してきました!

さて、冒頭でお伝えした歴史を感じる食器洗い機の実機など、どこで撮影してきたの? と気になっている方もいらっしゃるでしょう。実は、食器洗い乾燥機の生産累計1,000万台達成を記念して開催されたプレスツアーで、滋賀県にある草津工場を見学してきたのです。滋賀県草津工場では年間33万台のビルトイン型の食器洗い乾燥機を製造しており、業務の効率化や安全のための施策などもレクチャーしてもらいましたが、展示されていた食器洗い乾燥機の進化がおもしろかったので、第1号機から最新モデルまでを今回紹介させていただきました。今見ると、昔の食器洗い機のフォルムはかわいく思えますが、構造的にも洗浄力はいまいちだったのは間違いありません(笑)。

筆者は6年ほど前の卓上型の食器洗い乾燥機をレビューしたことがあるのですが、その際、洗浄力に「ん?」と思うところがありました。お茶碗に付いたごはんが若干落とし切れていなかったのです。その結果から、食器洗い乾燥機の洗浄力はいまいちだと思っていたのですが、2015年に卓上型「NP-TR8」を使ってビックリ! こんなに汚れが落ちるとは。油汚れも、懸念していたごはんのこびりつきも1回の運転でキレイになりました。たった数年でこれほど進化しているのだから、数年前のモデルで汚れ落ちに不満を感じているなら買い替えを検討してみてもいいかもしれませんよ。

東京ドーム11個分の敷地面積を有する滋賀県草津工場

東京ドーム11個分の敷地面積を有する滋賀県草津工場

滋賀県草津工場の敷地内には、海外で販売されているパナソニック製品も展示されていました。とはいえ、一般人は入ることができないので、気軽に見られる展示場所を作ってほしいです

中村 真由美(編集部)

中村 真由美(編集部)

モノ雑誌の白物家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。アウトドアからオタク系まで意外と幅広くイケちゃいマス。

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2017.9.22 更新
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