こんにちは。斎藤充博です。僕の本業は指圧師です。日頃から自らの手でたくさんの人を施術しています。
ところで家電量販店に行くと「マッサージ器」がたくさんありますよね。前々から気になっていたのですが、あれがいつの間にか人間のマッサージ技術を超えている…なんてことはないですよね?
最新のマッサージ器はどれほどの実力なんでしょう。一度勝負してみたいのです。
今回対決するのはこちらのフットマッサージ器。「モミーナエアー フットマッサージャー KC-210」(以下モミーナ)です
メーカーのフジ医療器に「御社の製品と対決したいので製品をお借りしたい」とメールしたら、快く貸し出してくれました。フジ医療器、すごいな…。
今回の対決はこんなルールで行うことにします。
今回は膝から下をマッサージして「どのくらい脚が細くなるか」(膝から足首までの部分の最大周径を計測)で勝負してみます。マッサージにはいろいろな効能がありますが、数値で明確に結果が出るものにしました。「気持ちよさ」や「マッサージ効果」などでは勝負しにくいですからね。
施術のモニターになってもらうのは株式会社カカクコムの社員5人。「マッサージで脚を細くする対決です」と募集したら、あっという間に集まりました。マッサージする側、される側が共に気合い十分といえるでしょう。ちなみに時間は、脚がむくんでいるであろう夕方17〜18時頃に実施。さあ、やるぞ!
まず、ふくらはぎの一番太い部分をメジャーで測ります
次に取り出したのは「マッサージクリーム」。僕が施術をするときに使っているものです。これがあるとむくみ改善のためのマッサージがだいぶやりやすくなるんですよ。モミーナに絶対に負けたくなくて用意しました。
10分間のマッサージがスタート。モミーナの施術時間に合わせています
モミーナは10分間で両足を同時にもみますが、僕は片足ずつしかできません。脚1本につき5分で細くするというのは、かなりのプレッシャー
めちゃくちゃ忙しいですね。圧の入れ方が、普段よりもだいぶ荒っぽくなってしまっています。ときおり被験者から「ちょっと痛い…」との声が漏れることも。ごめん! でも、モミーナに負けたくないんだ、おれは!
ここでマッサージをするとふくらはぎが細くなる理由について説明させてください。
人間の体の中は血液やリンパ液という形で水分が循環しています。これらの水分をポンプのように送り出しているのが心臓です。
しかしふくらはぎは心臓から遠く、ポンプの働きが効きにくいのです。さらに重力が加わり、下に落ちた水分が上がりにくくなっています。これが夕方などに脚がむくむ原因のひとつです。
マッサージをして、物理的に外から圧迫したり、心臓に向かってさすったりすると、水分の移動がうながされます。こうして、脚が細くなる(むくみが取れる)のです。
10分経過したところで施術はいったん終了。再度ふくらはぎの太さを計測します
汗だくになってしまった
これ、ものすごく疲れるんですよ! 僕は普段ベッドに寝ている患者さんを施術します。自分の体重を使って圧を入れることができるんですよね。
今日施術しているのは株式会社カカクコムの応接スペース。ここだと座ったままの施術しかできないので、自分の体重を入れることができません。ただ、対決相手のモミーナ(マッサージ器)も座った状態で使うものなので、条件は合わせましょう。
さらに両足で10分という短すぎる施術時間と、勝負というプレッシャー。100m全力ダッシュみたいな施術でした。これを後4人やるのか…
マッサージを受けるほうも、こんな汗だくの指圧師に施術されるの、イヤですよね。でもやらせてもらいますが。
同じようにふくらはぎをメジャーで計測して、全ダッシュのマッサージ。そして再度ふくらはぎの計測。立て続けに4人行いました。
5人全員分終わった後は「やりきったぞ」という笑顔まで生まれています
ここで価格.comマガジンの担当者が、モミーナを準備してくれました
担当「斎藤さん、疲れているみたいですし、試しにモミーナを使ってみます?」
お、おう…。
担当「どうですか? プロの指圧師からみてモミーナは?」
斎藤「…いいですね」
担当「いいというと?」
斎藤「人間には絶対に出せない“圧”を出してくるんですよ。でも人間が指圧しているような繊細さもある」
モミーナは空気の圧力でふくらはぎ全体に圧迫をしています。脚の裏と表を同時に圧迫される感触は、人間には絶対に出せません。
また、圧迫している面が意外と細かく動きます。この感触は人間が指圧しているようにも感じられるのです。
斎藤「ぶっちゃけ欲しいですね。これ…」
担当「ちなみに価格.comの最安値なら3万円くらいです」
斎藤「3万円なら買うべきですね、これ。全然アリ」
担当「買いですか?」
斎藤「ちょっと待ってください! 疲れているときに価格.comで買い物させようとしないでくださいよ!」
何か買わされそうになりましたが、今日の撮影はここまで
1週間後、同じ時間に同じ人がモミーナの施術を受けてふくらはぎの太さを測ります。はたしてどうなっているのか。自分が全力だっただけに、モミーナに負けないか不安です。
そして1週間後の同じ時間帯、同じ被験者に今度はモミーナの施術を受けてもらい、脚の太さを計測しました。コースは「全体」「つかみ指圧」「しぼりもみ」の3種類がある中で、今回は「全体」を選択。強さは5段階あるうち、全員一番強い「5」でやってもらいました。時間はこちらも指圧師と同じ10分(タイマーで計ると、ちょうど10分で自動的にコースが終了するようになっていました)。
モミーナの施術と計測は価格.comマガジンの担当者にお願いしています
さて結果はどうだったのか。僕の施術の結果と合わせてどうぞ。
細くなった分を青色、太くなった分を赤色で記載しています
5人10本の脚を施術して、指圧師(僕)が細くしたトータルの数字が1.9cm。対して、マッサージ器が細くしたトータルの数字が2.5cm…。
ん? これは僕が負けているのか? やっぱり負けているよな…? うん。100回見たけど負けていますね。あれれれ…? 何だかんだいって勝てるとは思っていたのに!
よく見るとなぜか施術後のほうが太くなっているデータもあります。特にDさんの左足です。計り間違えじゃないのか。これさえなければ勝てたのにな…。悔しい!
定性的なデータとして、それぞれの施術に対する感想をまとめてみました。
○指圧師の施術
・施術後に脚が「ものすごく軽くなった感じ」がする
・人の手のほうが筋肉の細かいところに行きとどく、温かみがある
・脚の裏をクリームでこすられるのは少しくすぐったい感じがした
・疲れの原因や予防などについて話ができるのは人間ならでは
○モミーナの施術
・ヒーターが内蔵されており体全体がポカポカしてきた
・ふくらはぎ全体を一気にしめつけてくれるのはいい
・脚にかかる圧が一定なので、施術の終盤には圧に慣れてしまう
・いつでも手軽にできるのがいいけど、結構サイズは大きめ
全体的な感想は僕のほうが褒められていました。ただ、それぞれに一長一短があるという感じがします。
モミーナを貸してくれたフジ医療器の方に、今回の勝負の結果を電話で伝えてみました。
斎藤「…ということで対決した結果、モミーナが勝利しました。率直に今のお気持ちはどうでしょうか?」
フジ「実は、最初に勝負の内容を聞いたときに負けるかもなあ、と思っていました」
斎藤「えっ。そうなんですか」
フジ「そもそもモミーナは“脚を細くするための機械”ではないんですよ。そして、むくみをとるための商品でもありません」
確かにそれはそうです。「脚を細くする」というのは、今回僕が勝手に作ったルール。自分で作ったルールで負けているのは、どうなんだという気がしますが…。
フジ「ですから、今まで社内で使用後の脚の太さを測って比べるというデータをとったことはありません。未知数でした。今回このようなデータをいただけて、とてもありがたかったです。おもしろい企画ですね」
斎藤(大人な対応だ…!)
フジ医療器の方によると
「モミーナは5段階のきめ細かい圧の調節ができて、一番人気のフットマッサージ器です。全国の家電量販店で試すことができます。この気持ちよさは使ってみないとわからないので、記事を読んだ方にもぜひ試していただきたいです」
とのこと。
今回、脚を細くする数値の面では負けてしまいましたが、被験者に話を聞きながら施術することで、僕とマッサージ器の両方に特徴があるなということがわかりました。
家で手軽に脚をマッサージしたいときはモミーナ、細かくもみほぐされたい&相談までしたいときは指圧師、といった風に、疲れ具合や目的に合わせて選ぶのがいいんじゃないでしょうか。
考えてみればモミーナも僕も、共にマッサージをする者同士です。家に置いておいたら心が通じ合えるかも…
ともあれモミーナの実力は想像以上でした。脚が疲れている方は購入を検討してみてもいいのではないでしょうか。
そして、できれば人間の指圧師のことも忘れないでください!
僕の施術を受けてみたい方はこちら!
下北沢ふしぎ指圧
http://fushigishiatsu.com/