レビュー
5.5合タイプと3.5合タイプはどちらがおいしい? など疑問を徹底検証

3.5合炊き炊飯器の進化にびっくり! 象印「極め羽釜」シリーズで炊き比べしてわかったこと

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筆者は発表会などで各メーカーの炊飯器で炊いたごはんを試食していますが、そのほとんどが5.5合炊き。ひとり暮らしなので3.5合炊きで十分なのですが、試食する機会はほぼありません。そこで、ごはん好きに高い評価を得ている象印の「南部鉄器の羽釜」を採用した「極め羽釜(特別仕様)」3.5合タイプ「NP-QT06」の実力を調査してみました。

5.5合タイプとの炊き比べのほか、下のクラスの3.5合タイプとの炊き比べも行いました

5.5合タイプとの炊き比べのほか、下のクラスの3.5合タイプとの炊き比べも行いました

象印最高峰! 南部鉄器素材の羽釜を採用した3.5合炊き炊飯器

「NP-QT06」は象印の最高級炊飯器「極め羽釜(特別仕様)」の3.5合タイプで、5.5合タイプ「NW-AT10」(5.5合タイプ)と同じ構造を採用した圧力IH炊飯器です。熱伝導率のよい南部鉄器でできた羽釜形状の内釜に、底面と側面に配置された各種ヒーターで熱を伝えて大火力をおこすとともに、圧力をかけることで釜内の米を大きくかくはんしながら炊飯。さらに、沸騰工程では1.3気圧の高圧力をかけて米表面のされた甘み成分を中まで染み込ませることで、甘みのあるふっくらとしたごはんを炊きあげます。

3.5合炊き「NP-QT06」の本体サイズは26.5(幅)×22.5(高さ)×32(奥行)cmと、一般的な3.5合炊きタイプと同じくらいのサイズ感です

素材に南部鉄器を採用した羽釜は、底側がせまく、上部が広くなった形状が特徴。釜底から水面までの距離が短く、沸騰した水が一気に上まであがって対流をおこし、米をかくはんするのでムラなく炊きあがります

一般的にIH炊飯器は熱を伝えれば内釜自体が発熱するため、内釜に接する底面や側面に配置されたヒーターで加熱しますが、「南部鉄器 極め羽釜」シリーズは「かまどヒーター」の部分(銀色のリングの部分)に羽が引っかかり、宙に浮いた状態になるのがポイントです

本体底、羽の部分、側面、フタの各部分に対応するヒーターで加熱するとともに、内釜が浮いていることでできた空間が空気断熱層となり、高い蓄熱と断熱効果を発揮。釜内から熱が外へ逃げるのを抑制します(「ふたヒーター」は、基本的に保温時に効果を発するヒーターとなります)

【検証1】3.5合炊きは5.5合炊きに劣る?

実は、筆者は5〜6年ほど前に、3.5合タイプと5.5合タイプのIH炊飯器の炊き比べをしたことがあります。当時は、小容量の3.5合タイプに力を注ぐメーカーは少なく、5.5タイプほどのおいしさを追求したモデルはほとんどありませんでした。そんな中、3.5合タイプの高級炊飯器が発売され、どれほどの実力かとワクワクして炊き比べをしたのですが、5.5合タイプと比べるとふっくら感、もちもち度、甘みなどがあきらかに弱く、筆者の3.5合タイプへの印象は悪いものに。その記憶が強く残っていたので、今回NP-QT06をレビューするにあたり、必ず行いたかったのが5.5合タイプとの炊き比べです!

3.5合タイプ「NP-QT06」と炊き比べするのは、南部鉄器の羽釜を採用した「NW-AT10」(5.5合タイプ)。基本的な炊飯プログラムは同じですが、炊飯時の消費電力が3.5合タイプは865W、5.5合タイプは1,450Wと大きく異なります

どちらの内釜も釜口に向けて広くなる形状ですが、5.5合タイプのほうが広くて浅い印象です

どちらの内釜も釜口に向けて広くなる形状ですが、5.5合タイプのほうが広くて浅い印象です

・炊きたてごはんの味をチェック!

まずは、白米を炊いてみましょう! それぞれの炊飯器がもっともおいしく炊けるという米の量(5.5合タイプは3合、3.5合炊きは2合)で炊いてみました(メーカーに聞いた量です)。

研ぎ方で差が出ないように無洗米を使用。炊飯モードは、標準のもちもち度に炊きあがる「ふつう」を選びました

米の量が1合分多いにもかかわらず、5.5合タイプのほうが15分ほど早く炊きあがりました。炊飯時の消費電力が1,450Wと大きいことが影響しているのかもしれません(3.5合タイプは865W)。炊きあがったごはんはみずみずしく、粒感もあります

3.5合タイプは5.5合タイプに比べると、見た目のみずみずしさは控えめ。食感も少しやわらかい印象ですが、もちもちしており、甘みもしっかり感じます

・冷やごはん、冷凍、保温のおいしさは?

炊飯した量が多めだったので、一部をお弁当箱につめて冷やごはんにするとともに、お茶碗1杯分を冷凍してみました。また、残ったごはんはそのまま炊飯器で保存します。

冷房の効いた室内に6時間置いておいた冷やごはんは甘みが若干控えめになった印象ですが、もちもち度はそのまま。炊きたての食感そのままという感じなので、かなりおいしいです

冷凍ごはんは冷凍庫に入れていたのをすっかり忘れ、10日が経過。会社の冷蔵庫にはおいしく冷やせる「瞬間冷凍」のような機能はないので、味は期待できないだろうと絶望感がただよいます……

冷凍していた期間が長めだったので期待していませんでしたが、あたためたごはんは炊きたてごはんのように復活! 粒離れは炊きたての時のほうが若干いいですが、べちゃっとしておらず、粒感もしっかり感じます。もちもちとした粘度もたっぷり

最後は、6時間保温したごはんの味をチェックします

最後は、6時間保温したごはんの味をチェックします

ごはんは量がずいぶん減った状態で保温しておいたので、5.5合タイプ、3.5合タイプともに表面のみずみずしさは少し減少していました。保温臭もなく、おいしさに不満はありませんが、冷凍したごはんのほうがおいしい印象。炊きたてを食べられないなら、冷やごはんか冷凍ごはんにしてしまうほうがいいと思いました

・0.5合の炊飯は3.5合タイプのほうが得意そう

5.5合タイプで3合、3.5合炊きで2合を炊いたあと、1合、0.5合というように米の量を変えて炊いてみました。結果としては、最初に行った検証と食感はおおむね同じで、5.5合タイプに比べると3.5合タイプのほうが全体的にやわらかめ。ところが、0.5合で炊いた際には「3.5合タイプのほうがおいしいかも!」と評価が逆転。もちろん、5.5合タイプの炊きあがりがいまいちというわけではありません。十分もちもちとしていておいしいのですが、お茶碗1杯分を炊くなら3.5合タイプのほうが相性はいいように感じました。

ほんのわずかな差ですが、0.5合を炊いた時には食感が3.5合タイプのほうがバランスがよい印象でした

ほんのわずかな差ですが、0.5合を炊いた時には食感が3.5合タイプのほうがバランスがよい印象でした

【検証1の補足】食感の不満は解消できる!

「検証1」で3.5合タイプ「NP-QT06」は少しやわらかめと評価しましたが、食感やもちもち度は調整できるのでそれほど大きな問題にはならなそう。一般的な炊飯器のようにあらかじめ食感を設定して炊くことができるほか、炊きあがったごはんの感想を入力することで好みの硬さや粘りに近づけてくれる「わが家炊き」メニューが用意されているからです。つまり、炊いたごはんの食感に対する回答を入力すると、次に炊く際には“物足りない”と感じた食感が補正されるという具合。最大49通りの炊き方ができるようになっているので、自分が求める食感にたどり着きやすいはずです。

「わが家炊き」メニューを利用するには、あらかじめ「わが家炊き」を選択して炊飯します。その他のメニューで炊いたごはんは、あとから感想を入力できないので注意

炊きあがったごはんの食感をチェック

炊きあがったごはんの食感をチェック

ごはんの感想は、保温中、もしくは「とりけし」キーを押したあとに「わが家炊き選択」キーを押して行います

ごはんの感想は、保温中、もしくは「とりけし」キーを押したあとに「わが家炊き選択」キーを押して行います

硬さと粘りをたずねられるので、3つの選択肢からチョイス。たとえば、硬さを「弱」、粘りを「弱」とした場合、次回「わが家炊き」メニューで炊くと、今回よりも「かためで、粘りが強い」ごはんになります

筆者は硬めのごはんが好きなので、「わが家炊き」の感想は硬さを「弱」、粘りを「弱」としました。その結果、次に炊いたごはんは粒感が出て、よりもっちりに! なかなか好みの食感に近づきました。最初に食感を「しゃっきり/ややしゃっきり/ふつう/ややもちもち/もちもち」の中から選んで炊く方法もありますが、「わが家炊き」メニューなら硬さと粘りの両方を微調整できるので、好みの炊きあがりを目指したいならこのメニューを使うほうがよさそう。

【検証2】南部鉄器じゃない羽釜モデルとの差は?

象印の炊飯器の最上位モデル「極め羽釜(特別仕様)」は「南部鉄器を使った羽釜」を採用していますが、実は、その下に南部鉄器ではない素材を用いた羽釜の「極め羽釜」もあります。基本的な構造や炊飯方法は同じで、大きな違いは内釜の素材。内釜の素材が異なることで味も変わってくるのか、調査してみました。

南部鉄器採用の3.5合炊き「NP-QT06」(右)と同じ炊飯容量の下位モデル「NP-QB06」(左)で、白米を炊き比べしてみました。炊飯時の消費電力はどちらも865Wです

内釜の素材は違うものの、底がせまく、釜口に向けて広くなる形状は同じ。釜厚はNP-QB06(南部鉄器でない内釜)のほうが南部鉄器採用の「NP-QT06」よりも0.5mm厚い2.2mmですが、内釜自体の重さは約720gと軽量です(NP-QT06の内釜は約1.1kg)

2合の米を炊いてみたところ、大きく違ったのは香りと食感です。南部鉄器の内釜を採用した「NP-QT06」のほうが香りは強く、米粒表面のみずみずしさ、もちもち度もたっぷり。南部鉄器ではない羽釜の「NP-QB06」で炊いたごはんは表面が若干渇いており、少し硬めに感じましたが、普段、硬めのごはんに慣れているならNP-QB06のほうが好みという人も多そう。ただ、この表面のみずみずしさの違いは、長時間保温すると大きな味の差になると思います

まとめ

今回の検証を押せて、もっとも衝撃を受けたのは3.5合炊き炊飯器の進化。他の価格.comマガジン編集部員にも試食してもらいましたが、どの炊飯器で炊いたごはんももちもちとしていておいしいという感想で、甲乙つけがたいほどの炊きあがりでした。ただ、粒感ともちもち度のバランスのよさは、やはり最高級モデルの「NW-AT10」(5.5合タイプ)が一番! 幼少期にガス炊飯器を使っていた編集部員は、5.5合タイプ「NW-AT10」で炊いたごはんを食した際、その当時のことを思い出し、思わず涙してしまったほど(目の前で泣かれてビックリしました!)。電気炊飯器でガス炊飯器レベルの味が再現できているのは、すごいことではないでしょうか。

5.5合タイプで少量を炊くとおいしくないというウワサがありますが、5.5合タイプ「NW-AT10」で1合炊いた際の食感や味わいもバツグンでした

このことから、個人的には置けるスペースがあるなら5.5合タイプ「NW-AT10」を選びたいと思いました。しかし、NW-AT10は本体サイズが大きく、内釜自体の重さが約1.9kgもあるので筆者宅にはオーバースペック。3.5合タイプ「NP-QT06」は最上級モデル(5.5合タイプ)と比べると少々やわらかい食感ですが、「わが家炊き」メニューで調整すればよさそうなので、特に問題が見当たりません。

3.5合タイプ「NP-QT06」の内釜は南部鉄器を使用しながらも、重量が約1.1kg。5.5合タイプの内釜より800gほど軽いので、持ち運びが苦にならないのも魅力です

「南部鉄器の羽釜を採用した炊飯器はレベルが高い」と結論が出かけたのですが、最後の検証で意外なダークホースが! 南部鉄器を使用していない羽釜の「NP-QB06」の硬めの食感が気に入ってしまったのです。もちろん、硬めと感じたのは表面のみずみずしさの違い。これを「乾燥している」と取るか、「粒感がある」と取るかの差となりますが、筆者は現在マイコン式炊飯器を使っており、もちもち度も少ない硬めなごはんに慣れているため、「NP-QB06」(南部鉄器でない内釜)のほうが“慣れた味”に近く、おいしいと感じてしまったようです。逆に、普段、圧力IH炊飯器を使っている編集部員は、「NP-QT06」(南部鉄器の内釜)のほうが断然好きと言っていたので、こればかりは個人の好みの差としか言いようがありませんが、マイコン式からIH式に買い替えようと思っている人は「NP-QB06」(南部鉄器でない内釜)の食感が合うかもしれません。価格も5万円以下で買えるので、初めてのIH炊飯器なら「NP-QB06」が最有力かも(南部鉄器の内釜を採用した5.5合タイプ「NW-AT10」は73,295円、3.5合タイプ「NP-QT06」は62,407円/2018年4月9日時点の価格.com最安価格)。

ただし、3モデルを炊き比べした結果、南部鉄器の内釜で炊いたごはんのほうが香りが強いのは確か。香りの強さは5.5合タイプ「NW-AT10」(南部鉄器)→3.5合タイプ「NP-QT06」(南部鉄器)→3.5合タイプ「NP-QB06」(南部鉄器でない内釜)という順でした。やはり、南部鉄器は米の甘み成分をより引き出し、みずみずしさもキープして炊きあげられることは間違いないようです。

中村 真由美(編集部)

中村 真由美(編集部)

モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。アウトドアからオタク系まで意外と幅広くイケちゃいマス。

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