筆者の実家では、親戚や仲間などが集まった時は必ずと言っていいほど、ホットプレートで焼き肉をしています。そんな時にやっかいなのが電源コード。延長コードを使って電源を取っているのですが、小さな子どもがいるので引っかかってしまうおそれがあるほか、ブレーカーが落ちないように他の家電製品の使用には配慮しなければなりません。そこで、そういっためんどうごとをすべて取っ払ってくれそうな、カセットガス式のホットプレートを購入することにしました。
カセットガス式のホットプレートを購入するにあたり、ネットで探してみたものの、意外とカセットガス式は販売されていませんでした。価格.comのホットプレートカテゴリーで検索しても、カセットガス式でヒットしたのは、イワタニ「焼き上手さんα」のみ。もちろん、カセットコンロに別途購入したプレート(鉄板)を合わせてホットプレートのように使うこともできますが、プレートのサイズが大きすぎるとカセットボンベが熱され、爆発事故につながる可能性もあるので、安心を第1に考え、プレートがセットになったものを選びたいというのが本音です(カセットコンロに合うプレートを探すのも購入するのもめんどうですし)。なお、カセットガス式の焼き肉グリル「やきまる」も候補にあがりましたが、筆者宅は焼き肉だけでなく、お好み焼きなどいろいろな料理をホットプレートで作っているため、フラットなプレートが付いた焼き上手さんαのほうがよさげ。さらに、鉄板を外せばカセットコンロとしても使える汎用性の高さが決定打となり、焼き上手さんαに決めました。
本体サイズは471(幅)×325(奥行)×169(高さ)mmで、プレートサイズ(内寸)は約342(縦)×267(横)×22(深さ)mm。カセットコンロにプレートを載せて使う場合でも、ここまで大きいサイズのプレートに対応したものはほぼないような気がします
プレートは焦げ付きにくいように、フッ素加工が施されています
5cmほど高さがあるフタも付属しており、厚みのある食材の調理に役立ちます
カセットボンベをセットする部分には、長時間使用しても燃焼が低下しないようにボンベを適度に暖める「ヒートパネル」が装備されています
カセットコンロとして使いたい時には、プレートを外します。ゴトクが装備されているので、すぐに鍋などを載せることも可能
点火すると、写真のように火がつきます。中央部に集中していますが、プレートは均一に熱されるのでしょうか
焼きムラが気になるので、さっそくギョウザを焼いてましょう。プレートのサイズが大きいので32個並べても、余裕があります
約5分後に焼き上がったギョウザは、やはり熱源に近いほうが高温になることがわかりました。とはいえ、中央部にしっかり焼きたい食材を、プレートの端側にはゆっくり焼きたい食材や保温したい食材を並べればいいので、この焼きムラはそれほど問題にはならないでしょう
また、ゴトクに鍋などを載せ、カセットコンロのように使うこともできます。ゴトクに置けるのは、鍋底17cm以上の鍋から土鍋8号(直径24cm程度)まで
実際に使ってみて気付いたのですが、ゴトクが本体から飛び出していないので載せた鍋の位置が低い!
鍋の位置が低いので、鍋の中の食材が取りやすかったです
カセットコンロとしても使えるホットプレートという機構は備えているものの、ホットプレートとしての構造はいたってシンプル。となれば、買って損をしないかの判断材料は、おいしく焼けるかどうかと使い勝手となります。筆者所有の電気式ホットプレートと焼き上がり具合を比べてみました。
右が筆者宅で普段使っている、電気式のホットプレート
最高温度(火力)で運転をオン(着火)にしてから1分くらいタイミングでのプレートの様子をサーモグラフィーカメラで撮ってみたところ、その差は歴然。やはり、直火のカセットガス式(左)のほうが立ち上がりは圧倒的に早い!
十分熱されたところで、焼き肉用の牛肉と鶏肉、そして野菜を焼いてみました
正直なところ、焼き肉用の牛肉はカセットガス式のほうが少し早く焼けるというスピードの違いはあったものの、味については大きな差を感じず
味において明確な差が出たのは、野菜。じゃがいもやかぼちゃは特に違いが大きく、カセットガス式のほうがほくほくで甘みがある感じがしました
そして、鶏肉も焼き色が付いたところのカリカリ具合が別物! やはり直火で焼いたほうが、カリッとしており、食感もおいしい
焼き肉用の牛肉の差があまり出なかったので、少し厚みのあるステーキ肉を焼いて比べてみました。
ちょっと焼きすぎた感がありますが……同じような焼け具合になるまで焼いてみました
ほぼ同じ時間焼いていたのですが、カセットガス式のほうが肉の表面を高温で焼くことができるためか、中に火が通りすぎていない印象! その差なのか、食べてみると電気式のホットプレートで焼いたステーキよりもなめらかでやわらかく、ジューシーでした
おいしく焼けることが確認できたので、続いて、使い勝手をチェック。実家に持ち込み、焼き肉をしてみました。
プレートの中央部のほうが熱くなるとわかっていたはずなのに、つい、いつものくせで肉と野菜を左右に分けて並べてしまいました
肉のほうが早く焼けていきますが、思ったよりも煙が出ておらず、筆者両親はそこも気に入った様子
肉のほうが勢いよく焼けていくので、火力を少し弱めることにします
火力の調整ダイヤルは目盛りのない仕様。炎を見ながら調整するそうです
ただ、プレートを置いていると本体の窓からのぞくしかないのですが、意外と見えにくい! 慣れれば感覚をつかめると思いますが、最初は火力調整にとまどうかもしれません
火力調整が若干わかりにくい印象はありますが、当初の目的のとおり、電源コードがないのでテーブルも床もすっきり! 普段、あまりほめることのない筆者父も「電源コードないの、いいな」とつぶやいていました
調理したあとは、片付け。片付けのしやすさも、頻繁に使うものなら重視したいポイントです。
かなりの量の食材を焼きましたが、周囲にはそれほど油は飛んでいませんでした。深さのあるプレートのおかげかも!?
プレートの重量が約1.4kgと比較的軽く、たっぷりと食材を並べられるサイズ感はありつつも、取り回しやすい大きさなので洗いやすい! 焦げ付きもなく、キレイに汚れは落とせました
検証のため、たった1回焼き肉をしただけなのですが、筆者両親がとても気に入ってしまい、焼き上手さんαは両親に奪われ進呈することとなりました。年に数回、人が集まった時に使うのだろうと思っていたのですが、筆者が東京に戻って2週間後に話を聞くと、2日に1回のペースで使っているとのこと。IHクッキングヒーターで野菜や肉を焼くよりも、焼き上手さんαで焼いたほうがおいしいので、ほぼ卓上で作って食べていると言います。そして、頼んでもいないのに調理した写真が送られてくる始末。送られてくる写真の頻度をみると2日に1回以上のペースで使っているようです(笑)。
普段、フライパンで作っている料理は焼き上手さんαで行うことが劇的に増えているようです。冷凍した鶏肉(焼き鳥)を焼いた時も、直火のほうがふっくらと焼けたと興奮ぎみに話していました
魚も焼き上手さんαで! 焼いている様子が見えるので、真っ黒に焦げてしまうことがないのも気に入っていました
いろいろな食材を焼き上手さんαで焼いている筆者母によると、焼き野菜がとにかくおいしいとのこと。野菜の水分が失われず、ホクホクに仕上がるのがいいようです
なすの田楽は、通常、なすを揚げますが、揚げたものは油を多く吸収しているので年をとった筆者両親にはつらいのだそう。なので、焼き上手さんαで焼き、味噌をつけたなす田楽は最高♪と大絶賛していました
これだけ頻繁に使っている焼き上手さんαですが、毎回、きちんと棚に片付けているそう。しかし、フタを含めた重量が約4.1kgなので、従来使っていたホットプレート(右)と比べれば圧倒的に軽く、持ち運びも苦ではないといいます
ホットプレートを選ぶ際、どのようなプレートが付属するかも決め手となりますが、焼き上手さんαはフラットなプレート1枚のみ。焼き肉をしている時は、余分な油が落ちる波形プレートが欲しい気もしましたが、料理に合わせてプレートを交換するのはめんどうですし、複数のプレートを置いておくのもじゃまなので、筆者宅はフラットなプレート1枚で十分という結論になりました。そして、何より電源コードがないラクさがハンパじゃない! たまにしか使っていなかったホットプレートを日常的に使う調理家電に昇格させた大きな理由は、コードレスだからかもしれません。それでいて、直火なので焼き上がり具合やおいしさは申し分なし。価格は9,500円(2018年8月2日時点の価格.com最安価格)ですが、筆者宅の場合、2週間でもとは取れたといっても過言ではないほど役立っています。正直、これほど母がハマるとは思っていませんでしたが、焼き上手さんαはおいしさと使いやすさを兼ね揃えた製品であることは間違いないでしょう。なお、オプションでたこ焼きプレート(CB-P-TAF)が用意されているので、直火でのたこ焼きを楽しむこともできます。
モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。アウトドアからオタク系まで意外と幅広くイケちゃいマス。