家電ライターが、ガチで自宅の冷蔵庫選び! 優秀スペックのモデルが揃う最近の冷蔵庫の中から、自分のライフスタイルにあう1台を見つけていきます
筆者が今の家を建てて、今年で14年目。入居と同時に冷蔵庫を新調したので、冷蔵庫も今年で14年目。はっきりとした故障の気配はないけれども、ときどき音が大きくなることがあって、こりゃそろそろ代えどきかなと、ついに買い替えることにしました。
というわけで、今回は家電ライターの威信をかけた(?)、冷蔵庫のガチ自腹購入記をお届けします。わが家で冷蔵庫を買い替えるに至ったきっかけ、4人家族目線での選び方のポイント、そして実際の購入の決め手までを、一気にレポートしていきましょう!
<目次>
・14年間愛用していたシャープの冷蔵庫に、ありがとう
・冷蔵庫は“壊れる前”に買い替えよう! 筆者を動かした3つの理由
・“近藤家的”冷蔵庫を選ぶ7つのチェックポイント
1:まずは、サイズ感を決める
2:冷蔵室・冷凍室・野菜室のバランスをチェック!
3:鮮度保持性能に注目!
4:使いやすさも大事!
5:妻の意見は尊重すべし!
6:冷蔵庫は奥行きより“高さ”を取ったほうが賢い!?
7:タイミングを見計らってお得に購入!
東京・八重洲にある「ヤマダ電機 Concept LABI TOKYO」にて、各社の冷蔵庫を物色させてもらいました。最終的に購入したのは……料理に便利なあの性能がついたあの冷蔵庫です
>>《2018年》おすすめの冷蔵庫をメーカー別に徹底解説! 今、最強の選び方ガイド
はじめに。わが家でこの14年間愛用していたのは、シャープの“どっちもドア”冷蔵庫(400L)です。後述しますが、とっても便利な冷蔵庫でした。I Loveどっちもドア。まだ使えそうだけどお別れです。長い間、ご苦労さまでした。ありがとう。
わが家で14年間がんばってくれた“どっちもドア”冷蔵庫。冷蔵室は作り置きおかずや健康食品でもうぎっちり。冷凍室も野菜室もパンパンです
筆者が冷蔵庫選びを始めたのは、ちょうど7〜8月頃でした。このタイミングで筆者が冷蔵庫の買い替えを考えたのには、大きく3つの理由があります。まずはそこから語っていきましょう。
まず、暑い日が怖いから。夏はもっとも冷蔵庫の売れ行きが伸びる時期ですが、これは暑さによって冷蔵庫に負荷がかかり、故障が増えるからです。特に近年の酷暑の影響で、故障する冷蔵庫が多いのですが、故障してから家電量販店に駆け込んでも今日明日で配達されるとは限りません。
真夏はエアコン販売の最盛期であり、配達・設置業者がエアコンに多く割り振られるため、2〜3週間待ちはざらです。その間、冷蔵庫なしの生活になるわけです。真夏にですよ、考えられませんよね。特に今年は猛暑だったので、暑い日に冷蔵庫が壊れたらヤバイと強く思いました。
わが家も冷蔵庫を購入してから14年経つので、いつ壊れてもおかしくない状況。その日は1年後かもしれませんが明日かもしれません。なので、壊れる前に購入しようというのが大きな理由でした。
2つめは、実は夏〜秋にかけて冷蔵庫がもっとも安くなる時期だから。冷蔵庫は大体7〜9月に新製品が発売されるため、それに合わせて前年モデルの在庫処分が始まります。タイミングがよければ、前年モデルが半額近くで新品が買えるため、この時期は狙い目なのです。
それに一部の量販店は8月が決算だったり9月が半期決算だったりなので数字が欲しい時期のはず。できるだけ旧製品の在庫は減らしたいという業界事情があるはずなのです。というわけで、やはり狙い目!
3つめは、ライフスタイルの変化により、今の冷蔵庫の機能・性能が合わないなと感じ始めたからです。わが家は夫婦+娘2人の4人家族。最近は2人の娘が大学と専門学校に通うようになって、お弁当用の冷凍食品を大量に買いだめするようになり、冷凍室がいつもパンパンの状態になっていました。
また、夫婦ともに齢50を超え、健康が気になり始めたことで食生活が大きく変化してきました。野菜を多く摂るようになったので、野菜室もパンパン。さらに最近、ガスコンロをIHクッキングヒーターに変えて煮物調理がほったらかしで楽になったため、野菜を使って副菜を多く作るようになり、冷蔵室もパンパンに。
いろいろとパンパンの冷蔵室。共働きなので野菜もある程度買いだめしているのですが、これまでの冷蔵庫では鮮度の持ちにも不満が出てくるように
そんなライフスタイルの変化にあわせて、「400Lより大型で買いだめに対応した冷蔵庫」が欲しくなったのです。加えて、電気代も大いに気になっていたところです。14年前の冷蔵庫と最新の冷蔵庫では、省エネ性能が雲泥の差ですからね。
これらの理由と、来年には消費増税も控えているため今のタイミングがベストと考え、買い替えを決断したのでした。
それでは以下より、近藤家的・冷蔵庫の選び方を、7つの注目ポイントに分けて語っていきたいと思います! 特にわが家と同じ4人家族構成の方は、参考になる部分があるかもしれません。
冷蔵庫を買い替えるにあたり、まず重要なのはサイズ決めです。わが家でこれまで使ってきたのは、600(幅)×680(奥行)mmの400Lモデルでした。妻からは「今の冷蔵庫よりちょっと大きいくらいでいい。大きすぎると死角が多くなり、使わずに捨ててしまう食材が増えそう」との意見があり、それほどキッチンが広いわけでもないので、今と外寸が大きく変わらない450〜470Lクラスで探すことにしました。
460Lクラスが陳列している冷蔵庫売り場を物色中の筆者
サイズ感が決まったら、いよいよ各社冷蔵庫の冷凍室や冷蔵室を見ていきましょう。広い冷凍室といえば、パナソニックの「ワンダフルオープン」です。冷蔵庫を冷やすためのコンプレッサーの位置を、最下段から最上段に移動しているのがポイント。引き出すレールをケースの下に配置するなどしてデッドスペースを削減し、食品収納スペースを拡大しています。
パナソニックの冷蔵庫はコンプレッサーを最上部に配置したトップユニット方式を採用。これにより、下段の野菜室と冷凍室の容量が大きい
これは野菜室も同じで、たとえば470Lモデルで三菱電機の冷蔵庫と容量を比較した場合、三菱電機の冷蔵庫は「冷凍室が53L(食品収納スペース、以下同)・野菜室が60L」なのに対し、パナソニックのほうは「冷凍室が64L・野菜室が77L」と、ともに10L以上の差があります。
また、ワンダフルオープンの名前の通り、パナソニックの冷蔵庫は冷凍室と野菜室をめいっぱい引き出せるので、奥の奥まで目が行き届き、食品の使い忘れや二重買いが防げそう。シャープの「メガフリーザー」も86Lと広くて魅力的ですが、こちらはその分、野菜室が49Lと小さくなってしまいます。冷凍室と野菜室の広さのバランスは、パナソニックが1番イイ感じです。
引き出しを全開できるので奥に入れた食材も見つけやすい
野菜の使用量が増えたことで、鮮度保持も大きなポイントです。実は現在、メーカー各社が開発を競い合っているのがこの野菜室。そのため、どの製品を見ても魅力的な性能が並びます。
まずは東芝。そう、野菜室と言えば東芝でしょう。野菜室に力を入れすぎて「VEGETA(ベジータ)」というブランドを作り、世界的人気アニメ「ドラゴンボール」ともコラボしてしまうほどの突き抜けっぷりです。ドラゴンボールが好きな筆者はそれだけで買ってしまいそうになりましたが、機能・性能もちゃんと検証しなければいけませんね。
冷蔵庫の中はとかく乾燥しがちですが、東芝「VEGETA」は空気中から集めた水分を野菜室に送り込み、野菜にうるおいを与えることで鮮度を保つ「ミストチャージユニット」を搭載しました。冷蔵庫の中で野菜が乾いてシナシナになるという事態が防げるのです。これはかなりグッときます。同様の仕組みを冷蔵室とチルドルームにも採用しているので、ハムや刺身などもみずみずしく保つことができます。
ミストチャージユニット搭載の「もっと潤う摘みたて野菜室」が特徴の東芝VEGETA。また、野菜室がまん中にあるのもポイントです。庫内を3〜5℃の低温に保ち野菜を休眠状態にすることで、野菜に含まれるβカロチンやビタミンC、ポリフェノールなどの栄養素もアップさせます
もちろん、そのほかのメーカーも負けていません。日立は「プラチナ触媒」で野菜を眠らせるようにして栄養素と水分を閉じ込め、パナソニックは「モイスチャーコントロールフィルター」で湿度をコントロール、シャープは低温・高湿な密閉構造の「雪下シャキット野菜室」で鮮度保持と甘味成分をアップ、三菱電機は3色LEDライトによりビタミンCや糖量がアップする「朝どれ野菜室」を搭載……というように、各社さまざまな工夫をしています。
密閉構造で野菜に冷気を直接あてず乾燥を防ぐのは、もはや当たり前。“保存して栄養素アップ”が時流なのですが、やはりこの辺の魅力度では東芝のVEGETAが一歩抜きんでている印象です。
ちなみに、一緒に検討していた妻が気になっていたのは、日立の「真空チルド」でした。チルドルームの中に大気圧より低い0.8気圧の密閉空間を作り、低酸素により刺身などの生鮮食品の酸化を抑えておいしく保存します。ハムやチーズなどをラップなしで入れておいても、乾燥しません。
ハムやチーズは気づくとカラッカラに乾燥して食べられなくなることが多々あるので、わが家ではジップロックに入れてチルドルームで保存していますが、この面倒な手間がなくなるのはかなり魅力的。さらに真空状態では浸透力もアップするので、日立の真空チルドを使うと、マグロの漬けや鶏肉の下味漬けなどの浸透時間を短縮できるメリットもあります。
日立の真空チルドは真空密閉状態で保存することで酸化や乾燥を抑え、おいしく保存できます。「ヤマダ電機 Concept LABI TOKYO」でも、日立の製品は売れ筋でした!
使いやすさの面で惹かれるのは、やはりシャープの冷蔵庫の“ドアの工夫”です。実際わが家では、左右どちらからでも開くことができるシャープの“どっちもドア”冷蔵庫を使ってきていて、家族みんながかなり気に入っていました。
わが家ではキッチンの入り口に冷蔵庫を設置しているのですが、調理中はシンク側から、ちょっと飲み物をというときはリビング側からドアが開けられるというのは、動線の短縮になって結構便利でした。また、“どっちもドア”は4隅ががっちりホールドされているので、ちょっとやそっとの地震ではドアが開くことはありません。安全性が高いのも魅力的です。
左右のどちらからでも開く、シャープのどっちもドア! 調理中に他の人が冷蔵庫を開けたいときも便利
さらにシャープは、自動ドア付きの冷蔵庫も開発しています。実は、娘がこの自動ドアタイプを欲しがっていたこともあって、かなり迷いました。しかし、最終的なジャッジ権を握っていたのは……
さて、こうしてスペック・機能を見比べてみても、魅力的な機能ばかりで一向に決まりません。特に筆者は仕事柄、各社の冷蔵庫の説明会には全て参加しており、それぞれのよさをよく知っているので、逆にどれが1番と決めることができないのです(笑)。
そんなわけで、最終的なジャッジは妻のひとことでした。「切れちゃう瞬冷凍っていいな」。
そう、三菱電機の冷蔵庫に搭載される「切れちゃう瞬冷凍」は、肉などの食材を約-7℃で凍らせる冷凍機能で、食材を解凍せずにそのまま包丁でサクッと切ることができます。
三菱電機といえば「切れちゃう瞬冷凍」。約-7℃で凍らせるので、冷凍なのに包丁で切れます
妻いわく、「近所のスーパーで挽肉の特売の日が月に何回かある。切れちゃう瞬冷凍があれば、特売日にまとめ買いしておいて、使う分だけすぐに切って使えるから便利」。同じ肉を買うなら特売日にまとめて購入したほうがお得ですが、いちいち小分け冷凍したり、その都度解凍したりという手間も面倒です。切れちゃう瞬冷凍があれば、この手間が不要! ちなみに冷凍した薄切り肉も、使う分だけペリペリはがして調理できます。
また、「氷点下ストッカーD」も後押しになりました。チルド室よりも低い約0〜-3℃で、凍らせずに保存する肉・魚専用スペースで、チルド室よりも食材が長持ちするとされています。今週中に食べるつもりの肉と魚を買ってきて、何も考えずにひとまず氷点下ストッカーDへ突っ込んでおけばOKというのは楽チン。それに野菜室には三色LEDを使った「ビタミンCアップ機能」があるし……もうこれで決定です! 最終的には、毎日キッチンに立つ妻の意見が決定打となった形でした。
氷点下ストッカーDはチルドルームより低く、凍らない温度帯で食材を保管するのでチルドより長持ちします
ついに購入する冷蔵庫のメーカーまで絞ることができました。最後にサイズを確認しましょう。三菱電機の470L冷蔵庫には、高さが異なる2種類のモデルがあるのです。
【1】高さが1,696mmと低く最上段のトレーにも手が届きやすい。しかし奥行きが699mmと深くなるモデル
【2】高さは1,821mmと高いけど、奥行きは650mmと今のより30mm引っ込むモデル
妻の身長は157cmと決して高いほうではありませんが、後者の背が高いモデルを選びました。理由は、「最上段はカレールーなど頻繁には使わないものを入れて、それを覚えておけば死蔵はない。でも、奥行きが深くなるとすべてのスペースで奥のほうが見づらくなり、無駄な死蔵が増える」(妻談)。なるほど、賢い。
「それに、もともと冷蔵庫の上は何も置けないのだから、無駄な空間は少ないほうがいい」。わが妻ながらよくご存知で。そう、最近の冷蔵庫は背面を壁にピッタリくっつけられるようになった代わりに、側面と天面には空間が必要です。
これは、運転時の熱を外部に放熱するパイプが内蔵されているため。これをふさいでしまうと冷却効率が著しく下がり、熱がこもることで故障の原因にもなりかねません。このため、冷蔵庫の上は物を置くことができないデッドスペースとなり、背の低い冷蔵庫にすればその無駄な空間がさらに広がってしまうというわけなのです。
というわけで、わが家では三菱電機のプレミアムフレンチドア470Lモデルを購入することに。タイミング的にも、ちょうど最新の2018年モデル「MR-WX47D」が発表されたばかりです。……と言いつつ、実は1年前に発売された2017年モデル「MR-WX47C」を買うことに決めました。
そう、そもそもこのタイミングで冷蔵庫を買い替えようとしたきっかけは、ちょうど夏〜秋が前年モデルの在庫処分の時期だからです。前年モデルと最新モデルの違いを見比べて、スペックの差が特に気にならなければ、前年モデルを安く買うというのはかなりアリな選択。今回は、1年前の製品発表直後に約30万円だったMR-WX47Cを、なんと消費税・リサイクル料込みで約半額で購入することができました! 大満足です。
冷凍室の引き出し部分が引きやすい加工になるなどのマイナーアップデートだったので、わが家的には昨年モデルのMR-WX47Cでも問題なしと判断! しかもヤマダ電機で「搬送センター在庫が残り4台です」と言われたので速決しました。なお、あとでネットを含めた各家電量販店をいろいろ見てみたところ、MR-WX47Cはどこも売り切れ状態でした。新製品の発売にあわせて在庫が売りつくされてしまったのでしょう
数日後、わが家に搬入されるMR-WX47C。いやー、新しい冷蔵庫ってうれしいものですね! キッチンに鎮座しました。シックで落ち着きのあるカラーもイイ
使い始めてからまだ日が浅いですが、とにかく購入の決定打となった「切れちゃう瞬冷凍」が使えるようになって、妻も大満足! サクッとはいかないまでも、ちょっと力を入れれば冷凍肉に包丁が通るのがやはり便利です。以下の動画をご覧ください。
現時点でひとつ変化したことと言えば、これまでは冷蔵庫の扉に娘の学校関係の通知書などをベタベタ貼っていたのですが、MR-WX47Cの扉はガラスタイプなので貼れなくなったことです。後日、大型のホワイトボードを購入して、キッチンの壁に貼り付けるスタイルに変わりました。
最新のガラス扉の冷蔵庫は、マグネットが貼り付きません。冷蔵庫の佇まいがシンプルになりました
家電製品の買い替えは、タイミングをうまくつかめばプレミアムモデルでも超お得に買うことができます。壊れてからでは、自分が必要な機能・性能をじっくり吟味する時間も、安く購入するタイミングを見計らうこともできません。まさに、転ばぬ先の杖ならぬ、壊れる前の家電の買い替えです。
気になる電気代ですが、環境省の省エネ製品買換ナビ「しんきゅうさん」で年間電気代を調べてみると、MR-WX47Cに買い替えたことで年間約1万円の削減になるとのことで、これまた超お得! この10年間で省エネ技術は格段に進化しました。冷蔵庫に限った話ではなく、10年以上使っている家電製品があるのならば、早めの買い替えをおすすめします。
1966年生まれ、福島県出身。大学では考古学を専攻。主に生活家電を中心に執筆活動する家電&デジタルライター。レビューや検証記事では、オジさん目線を大切にしている。得意分野は家電流通・家電量販店。趣味は、ゴルフ、ギター、山登り、アニメ、漫画、歴史、猫。