レビュー
詳細なレシピの作成、共有、再現ができるBluetooth対応コーヒーメーカー

ハリオ「V60 オートプアオーバー SmartQ サマンサ」がとんでもなくマニアックで、とんでもなくおもしろい!

コーヒー好きに「ハリオ」を知らない人はいない。世界中のプロやコーヒー愛好家に愛用されている、かの有名な「V60ドリッパー」を世に送り出した国内のコーヒー器具メーカーである。自動でお湯を抽出してくれるコーヒーメーカーとしては、淹れたい量に応じて抽出時間と温度を自動調整してくれる「珈琲王2」と、湯温・湯量・抽出スピードをコントロールできるタッチパネルが付いた「V60 オートプアオーバースマート7」の2機種を展開していたハリオだが、2019年6月、Bluetooth対応の最上位モデル「V60 オートプアオーバー SmartQ サマンサ」(以下、SmartQ サマンサ)がラインアップに加わった。抽出設定を驚くほど詳細にカスタマイズできる、コーヒー愛好家垂涎の1台である。

コーヒー愛好家のための、究極のコーヒーメーカー

初めに、誤解を恐れずに言うならば、「SmartQ サマンサ」はコーヒー愛好家、それも、かなり本格的にコーヒー道を邁進しているユーザーでなればその魅力を十分に理解できないと思う。Bluetoothに対応し、専用のスマートフォン向けアプリ「HIROIA SAMANTHA」で抽出操作が行えるといううたい文句を聞く限りは、「初心者でも直感的に操作できる流行のIoT家電」のように思えるかもしれない。しかしその実、抽出設定の詳細さ、カスタマイズ性は超がつくほどハイレベル。実際に使うと間もなく、コーヒー愛好家の飽くなき探究心を満たすべく開発された、究極のコーヒーメーカーとも言うべき製品であることに気づかされるのだ。

専用のスマートフォン向けアプリを使えば、湯温は80〜96℃の範囲で1℃の単位、湯量は1ml単位、お湯を落とすスピードは15段階(2.4〜15ml/秒)で詳細に調節可能で、お湯を注ぐ間隔も1秒単位で設定することができる。カスタマイズした設定はオリジナルの「マイレシピ」として保存できるほか、クラウドにアップロードして世界中のユーザーとレシピをシェアしたり、レシピをダウンロードしたりといったことも可能。詳細なカスタマイズで、湯温や注ぐスピードによって変わるコーヒーの繊細な味が楽しめるうえ、おいしく淹れられた時の味を再現することもでき、さらには、バリスタチャンピオンの作成したレシピや友達が作成した自慢のレシピを再現することもできてしまうわけだ。

本体サイズは約125(幅)×275(奥行)×335(高さ)mmで、重さは役4.9kg。コーヒーメーカーとしてはコンパクトな部類に入るサイズ感だ。メタリックグレーを基調としたシンプルかつスマートなルックスは、デザインに定評のあるハリオ製品ならでは。価格.com最安価格は74,950円(2019年8月22日時点)

「V60 ガラスドリッパー 02サイズ」や「V60 コーヒーサーバー 02サイズ」のほか、コーヒーサーバーのフタ、「V60用 ペーパーフィルター」40枚、計量スプーン、転倒防止スタンドが同梱されている。「V60 ガラスドリッパー 02サイズ」や「V60 コーヒーサーバー 02サイズ」など、ハンドドリップの王道アイテムが手に入るのは率直にうれしい

さっそく、コーヒーを淹れてみよう。

まずは、本体に内蔵されている重量計のリセットから。サーバーとドリッパーを抽出口の下にセットして、本体天面の抽出ボタンを2秒間長押しする

続いて、タンクに水を入れる。タンクは1,100mlと大容量なので、2回、3回と連続で抽出できる。なお、タンクは熱湯も注げる耐熱仕様だ

ペーパーフィルターに杯数分のコーヒー粉を入れる。ドリッパーの内側には、リブと言われるいくつものひねりを加えた溝があり、このらせん状の溝によって、フィルターとドリッパーの間に隙間が生まれ、コーヒー粉にお湯を注いだ時にガスが抜け、コーヒーの雑味が出るのを防いでくれる。ハリオが試行錯誤の末に考案した、ひとつの「発明品」と言えるだろう

ドリッパーを載せたサーバーを抽出口の下にセットすれば、準備完了

ドリッパーを載せたサーバーを抽出口の下にセットすれば、準備完了

本体にプリセットされているレシピは、「2〜3杯・爽やか(湯量362ml/湯温90℃/コーヒー粉24g)」「2杯・リッチ(湯量300ml/湯温90℃/コーヒー粉24g)」「3〜4杯・爽やか(湯量536ml/湯温90℃/コーヒー粉36g)」「3杯・リッチ(湯量438ml/湯温90℃/コーヒー粉36g)」の4種類。ここでは、「2〜3杯・爽やか」を選択した。アプリ上から抽出を開始できるのはもちろん、本体天面のタッチパネルでもレシピの選択、抽出操作が行える

下の動画のように、5穴の細い抽出口からお湯が注がれ、約30秒の蒸らし工程を経た後、断続的にお湯を注いで抽出が進められていく。

湯温や注いだお湯の量など、抽出状況はアプリ上で細かくモニタリングできる

湯温や注いだお湯の量など、抽出状況はアプリ上で細かくモニタリングできる

淹れたてを飲んでみると、雑味やえぐみがまったくないことに感心した。コーヒー本来のコク、苦み、酸味をクリアに味わえる、ハンドドリップのお手本のような味わいだ。

今回は、やわらかく芳醇な味わいが特徴の「小川珈琲 プレミアムブレンド」(中挽き)を使用してみた

今回は、やわらかく芳醇な味わいが特徴の「小川珈琲 プレミアムブレンド」(中挽き)を使用してみた

抽出しながらレシピが作れる「バリスタモード」

数字入力による事前設定だけでなく、湯量やお湯を落とすスピード、お湯を注ぐ間隔を抽出の状態を見ながらリアルタイムで調節できることにも驚いた。「バリスタモード」と呼ばれるこの機能を使うことで、任意のタイミングでお湯を注いだり、止めたりしながら自由度の高いレシピが作れるのだ。

好みの抽出設定にカスタマイズできる「マイレシピ」の作成は数字入力で行う。湯量、粉量、粉の粗さのほか、お湯を落とすスピード(ベロシティ)や間隔(インターバル)まで細かく設定できるので、同じ豆で設定を変えて淹れ分けたり、カフェでバリスタに聞いた「おいしい淹れ方」を忠実に再現したりと、さまざまな楽しみ方ができる

百聞は一見にしかずということで、「バリスタモード」で淹れる様子を動画でご覧いただくことにしよう。アプリの画面中央のボタンをタップするとお湯が注がれ、もう一度タップすると停止する。注ぐお湯の量とスピードがリアルタイムで確認できるため、ハンドドリップよりも緻密に抽出をコントロールできるのは間違いない。なお、お湯を注ぐスピードは画面下部のスライドバーで調節できる。

左から、「バリスタモード」の準備画面、抽出中の画面、抽出後にレシピをクラウドでシェアする時の画面。「なんとなくうまく淹れられた」「あまりうまく淹れられなかった」といった感覚的な判断ではなく、抽出の詳細なデータを数値で確認し、次回に生かせる点はコーヒー好きにとってたまらなく魅力的だ

コーヒーがもっとおいしく、楽しくなる

コーヒーのおいしいカフェを見つけた時、筆者は淹れ方を尋ねるようにしている。大半のお店はいいですよ、と好意的にレシピを教えてくれるので、その場で豆を買い、自宅に帰って再現してみるのだ。ところが、どうにもうまく再現することができない。同じ豆、同じ湯温、同じ湯量、同じスピードのはずなのに、わずかに手元が狂ってしまっているのだろうか、お店で飲んだ味とは明らかに仕上がりが異なることがしょっちゅうある。また、試行錯誤の末にようやく「ベストな淹れ方」に辿り着いたのに、その淹れ方を再現できず、もどかしい思いをすることもある。コーヒーは奥が深い。そう片付けてしまうのは簡単だが、筆者はまがりなりにもコーヒー通を自負している。「まあいいか」では済ませられない。

再現性をいかに高められるか。ハンドドリップの難しさ、おもしろさはそれに尽きると思うが、「SmartQ サマンサ」を使うと、再現性が飛躍的に高まる。これはコーヒー愛好家にとってかなりインパクトが大きく、うまく活用することで、コーヒー研究の質が格段に向上するのではないかと思う。家庭用コーヒーメーカーとしてはかなり高価なこともあり、ともすれば「やり過ぎ」「マニアック」と言われかねない製品ではあるが、少なくとも筆者は、こんなにも探究心を刺激してくれる、ワクワクさせてくれるコーヒーメーカーがほかに思い浮かばない。

毛利真大

毛利真大

編プロでの広告制作、雑誌編集を経てフリーライター/エディターに。家電をはじめ、自動車、ファッション、ビジネス関連など幅広い分野で活動。86年、秋田県出身。「大曲の花火」とグミをこよなく愛する。

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