シャープの水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」に、新モデル「KN-HW24F」(2.4Lタイプ)と「KN-HW16F」(1.6Lタイプ)が登場。ローストビーフなどの本格的な「低温調理」が行えるようになったほか、シャープ公式ファンコミュニティ「ホットクック部」のユーザー投稿レシピを本体にダウンロードして自動調理できるようになったのが大きなポイントです。そんな新モデルの進化点を中心に紹介するとともに、新たに追加された低温調理をさっそく試してみました!
2.4Lタイプ「KN-HW24F」(市場想定価格70,000円前後/税別)と1.6Lタイプ「KN-HW16F」(市場想定価格60,000円前後/税別)ともに、レッド系とホワイト系が用意されています。2020年9月中旬発売予定
ヘルシオ ホットクックは、加熱時間や温度を“おまかせ”できる電気調理鍋。食材に含まれる水分のみで調理する「無水調理」や、仕上がり時間を設定できる「予約調理」が行えるのはもちろん、調理中に食材をかき混ぜることにより、焦げ付きや食材への味の染み込みムラを抑える「まぜ技ユニット」を備えているのが特徴です。これらの機能は、複数ラインアップされているすべてのモデルに完備。新モデルはこの基本機能のうち、予約調理できるメニュー数が12メニュー増えるとともに、内鍋にフッ素コート加工を施すことで、より使いやすくなりました。
見た目も従来のまま。今回は、1.6Lタイプ「KN-HW16F」を中心に紹介します。KN-HW16Fのサイズは364(幅)×283(奥行)×232(高さ)mmで、消費電力は600W
内ぶたの凹凸は、無水調理のための工夫「旨みドリップ加工」。食材から出た蒸気を水分にして鍋内に戻します
フタに蒸気センサー、底面に温度センサーを搭載。この2つのセンサーを使い、加熱温度や時間を制御します
「まぜ技ユニット」は着脱式。装着しておくと、必要なタイミングでアームが開き、鍋内をかき混ぜてくれます。また、2.4Lタイプと1.6Lタイプには負荷センサーも搭載されているのもポイント。食材の量ややわらかさに応じて回転を制御します
表示部は、近年のモデルで採用されている文字表示
新モデルの内鍋には、2.4Lタイプと1.6Lでは初となるフッ素コート加工したものを採用。従来のステンレス製より汚れがこびり付きにくくなりました。このフッ素コート内鍋は別売品(2.4L用「TJ-KN2FB」、1.6L用「TJ-KN1FB」)としても販売されるので、購入すれば従来モデルでも使用可能
フッ素コート内鍋の採用により、自動調理メニューに「オープンオムレツ」や「じゃがいものガレット」といった焼き物調理が追加されました。ステンレス製の内釜でもこうしたメニューを手動で作ることはできましたが、クッキングシートを敷かねばなりません。その手間がない分、手軽に焼き物調理が楽しめそうです
そして、予約調理できるメニューも拡充。クラウドサービス「COCORO KITCHEN」からダウンロードできるものも含めて12メニュー増えたそうです
次は、新モデルの大きな進化点のひとつである「低温調理」を紹介します。従来モデルの自動調理で作れる低温調理メニューは温泉卵や豆腐くらいだったのに対し、新モデルでは、ローストビーフやローストポーク、サラダチキンといった本格的なメニューが搭載されました。作り方は、市販のジッパー付き食品保存袋に食材入れて、水を張った内鍋で加熱するだけと超カンタン。ただ、このままだと袋が浮き上がり、蒸気口がふさがれ、吹きこぼれが起こる可能性があります。そこで、袋を押さえるため、蒸しトレイを使用。あとは、ヘルシオ ホットクックが肉や魚が硬くならない温度帯を保持しながら加熱してくれます。
ジッパー付き食品保存袋に入れて、湯せんする作り方は低温調理では一般的なもの。肉や魚のタンパク質が変性しない温度帯で加熱することがとても重要です
本来、蒸しトレイは蒸し物を作る際に使用するものですが、新モデルでは低温調理にも使えるように深さのある形状に変更されました(写真右)。写真左は、従来モデルのもの。蒸し板という名称でした
発売前の実機を借りることができたので、低温調理を試してみましょう。近年人気の高いサラダチキンを作ります!
鶏むね肉(300g)の皮を取り、フォークで表面に穴を数か所あけておきます
ジッパー付き食品保存袋に、オリーブオイルと塩、ハーブミックスを投入
そこに準備しておいた鶏むね肉を入れて、調味料をもみ込みます。その後、袋のジッパーを閉めるのですが、しっかり空気を抜くのがポイント!
食材を入れたジッパー付き食品保存袋を内鍋にセットし、水を「MAX」の水位線まで入れます
袋が浮き上がらないように、蒸しトレイでフタをします
蒸しトレイをかぶせた内鍋を本体にセットしたら、準備完了。まぜ技ユニットは使わないので、取っておきましょう
あとは、調理の設定をするだけです。「発酵・低温調理」の中から「サラダチキン」を選択
スタートボタンを押すと、調理が始まりました。表示された内容を確認すると、71℃の温度で管理しながら、約1時間10分加熱するようです
調理時間が長いなと思っていたのですが、ほかの作業をしていたら、あっという間に1時間経ち、低温調理が完了しました。しかし、サラダチキンはこれで完成ではありません
内鍋から取り出し、室温で1時間程度休ませる工程が必要。けっこう、時間がかかります……
ようやく完成したサラダチキンが、こちら。成功しているように見えますが、外観だけでは判断できません
きちんと中まで加熱されているかは、カットしてチェック。包丁で切っている時から、やわらかく、しっとりしているのがわかります。加熱具合も過不足ない印象
野菜を添えれば、立派な1品に。サラダチキンを試食してみると、やわらかくてジューシー。パサついた感はまったくなく、正直、市販されているものよりおいしかったです
そして、サラダチキンを室温で1時間休ませている時間を利用し、もう1品「ツナ」も作ってみました。
事前に、まぐろの切り身(150g)に塩をまぶし、15〜20分放置。水分をキッチンペーパーで拭き取ったあと、ジッパー付き食品保存袋に入れ、オリーブオイル、おろしにんにく、ブラックペッパーと混ぜ合わせます。レシピにはローリエも入れると記されていましたが、買い忘れてしまいました……
あとは、サラダチキンを作った時と同じように準備。内鍋に食材(袋)と水を入れ、蒸しトレイを重ねます
「発酵・低温調理」の「ツナ」を選択して、調理スタート。サラダチキンより8℃低い63℃をキープしつつ、約50分加熱するようです
50分後、加熱完了。「ツナ」はサラダチキンように休ませる必要はないので、これで完成です
市販のツナフレークしか食べたことがないので、塊の状態は初めて。成功しているのかまったくわかりません
フォークでほぐしてみると、想像以上に弾力がありました。そして、味は、とても上品。オリーブオイルの香りが漂い、続いて、まぐろの味が広がります。弾力もあるので、食べ応えもたっぷり。身はパサついておらず、噛むほどに旨みが出てきます。手作りなので、缶のニオイがしないのもいい!
バゲットに載せて、オリーブオイルをかけて食べてもイケました!
低温調理は調理時間が長めにかかりますが、ヘルシオ ホットクックなら“おまかせ”できるのでそれほど手間には感じません。ジッパー付き食品保存袋を使用することにより、洗い物も少なくて済みます。それでいて、でき上がった料理は想像以上のおいしさ! 価格.comマガジンの編集部員にも試食してもらいましたが、全員が高評価。「つまみに最適! 酒が飲みたい! 持って帰りたい!」と連呼するほどだったので、相当おいしかったのでしょう。食材の旨みが引き出されるという低温調理、おそるべし! このようなことから、新たに追加された低温調理メニューは、チャレンジしてみる価値は十分あると思います。なお、今回作ったメニューは2.4Lタイプ「KN-HW24F」の場合、2倍量(2袋)まで入れることが可能。1度にたくさん作りたいなら、2.4Lタイプを選ぶほうがいいでしょう
最後に紹介するのは、低温調理に並ぶ大きな進化点です。無線LAN機能を搭載したヘルシオ ホットクックは、クラウドサービス「COCORO KITCHEN」から本体に登録されていないメニューをダウンロードできますが、新モデルは「ホットクック部」にあるレシピもダウンロードが可能に。ホットクック部とは2020年5月にオープンしたファンコミュニティサイトで、ヘルシオ ホットクックで作ったレシピを投稿したり、ユーザー同士が情報交換できるもの。今回、そのサイトに投稿されたオリジナルレシピのいくつかを自動調理できるようにプログラム化。本体にダウンロードすれば、いちいち調理方法や加熱時間などを設定しなくても、メニュー選択→スタートでカンタンに作ることができます。
ホットクック部には、完全なオリジナルレシピから本体に搭載されているメニューをアレンジしたレシピまで投稿されています。今後もダウンロードできるメニューは拡充していくということなので、次はあなたのレシピが選ばれるかもしれません
「COCORO KITCHEN」で「ホットクック部」と検索してメニューを表示し、これまでと同じようにホットクックに送信すればOK
本体に送ったメニューは、「ダウンロードメニュー」に登録されます
モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。アウトドアからオタク系まで意外と幅広くイケちゃいます。