長年家電業界を見てきた価格.com編集長が、価格.comが保有するさまざまなデータと、自身の知識・経験をベースに、家電製品の最新トレンドを解説。今押さえておくべき機能やスペックを紹介しつつ、コスパ、性能、ユーザー評価などの観点から、今買って間違いなしの製品を厳選して紹介する。
第7回は、毎朝トーストを食べるというトースト派に人気の、オーブントースターの最新トレンドについて解説する。
朝食のトーストをはじめ、揚げ物の温め直しや、ちょっとしたグリル料理、グラタンなどのオーブン料理まで幅広く使えるオーブントースター。まさに、一家に一台あると便利な製品だ。特に、朝のトースト派にとっては生活必需品という人も多いが、電子レンジと両方置くスペースがなかなか取れないという理由から購入をためらう人も少なくないのではないかと思う。
ちなみにオーブントースターという製品ジャンルが登場してからすでに60年近い時間が経ち、すっかりおなじみのキッチン家電になったという印象があるが、数年前までは、「数千円で買える、主にパンを焼く機械」というイメージをほとんどの人が持っていたのではないだろうか。それが大きく変わったのは、2015年のこと。当時は新興のメーカーだったバルミューダが、トーストの焼き加減にとことんこだわった「BALMUDA The Toaster」を発売したのをきっかけに、高級オーブントースターブームが到来。発熱効率のいいヒーターの搭載に、スチーム機能をプラスすることで、従来のオーブントースターで焼くのとは別格の焼き上がりを実現した本製品の成功をきっかけに、さまざまなメーカーが独自のアプローチで、高級オーブントースター(あるいはコンベクションオーブン)を開発し、しのぎを削った。
こうした開発競争の結果、オーブントースターの活躍する場もグンと広がった。単にトーストがおいしく焼けるというだけでなく、揚げ物やフライも表面をパリッとさせながらの温めが可能になったり、グラタンなどのオーブン料理も、焼き目をキレイにつけながらのグリルが可能になったりと、その活用は広範囲にわたる。グリル・オーブン系の調理であれば、もっとサイズの大きなオーブンレンジよりもむしろ便利に使えるという声もあるほど、その価値は向上し、こうした高級オーブントースターが人気を牽引する形で、ここ数年のオーブントースター市場は成長してきた。
【図1】価格.com「トースター」カテゴリーの閲覧者数推移(過去3年)
図1は、価格.com「トースター」カテゴリーの、過去3年間における閲覧者数の推移を示したもの。約3年前にコロナ禍で需要が高まったこともあり、それ以降は全体としてやや下がっているようにも見えるが、ほぼ横ばいで推移しており、底堅い人気があることがわかる。いちばんの需要期は年末年始を含む冬の季節であるが、やはり寒い時期になると、こうした加熱調理系の家電製品の需要は伸びる傾向にあり、オーブントースターもこの例に漏れないということになろうかと思う。なお、ややニッチな需要かもしれないが、この時期によく食べられる「餅」を焼くというニーズも、年末年始のピークを形成するのに、若干ながら貢献しているのかもしれない。
【図2】価格.com「トースター」カテゴリーにおける主要5メーカー別閲覧者数推移(過去2年)
図2は、価格.com「トースター」カテゴリーの過去2年における主要5メーカーごとの閲覧者数推移を示したものだ。これを見ると、どのメーカーもほぼ拮抗した勢力状況にあるが、中期的に見ると、パナソニックがやや下げているのに対し、「Aladdin」ブランドで知られる日本エー・アイ・シーがやや伸ばしている印象だ。とはいえ、以前ほど、メーカーによる人気の差はなくなってきており、オーブントースター市場全体の技術の底上げが見て取れる。
【図3】価格.com「トースター」カテゴリーにおける人気5製品の閲覧者数推移(過去1年)
図3は、価格.com「トースター」カテゴリーにおける人気5製品の閲覧者数推移(過去13か月)を示したもの。これを見ると、高級オーブントースターとして人気のバルミューダ「BALMUDA The Toaster K05A」は1年を通じて安定しており、日本エー・アイ・シーの「Aladdin グラファイトトースター」も旧モデルから新モデルにバトンタッチしたものの、依然として高い人気であることがわかる。意外なのは、比較的低価格でオーソドックスなスタイルのパナソニック「NT-T501」の人気が、昨年夏以降グンと上がってきていること。いわゆる高級オーブントースターではないが、価格も含むトータルバランスのよさが見直されたということかもしれない。以下、5位周辺には、象印、タイガーといった、この分野では長く活躍してきたプレーヤーを含む低価格モデルもランクインしており、高級オーブントースターが人気の中心とはなっているものの、数千円で買えるようなベーシックなオーブントースターも依然として固い需要を保っていることが見えてくる。実際、これらのベーシックモデルも、ここ数年、ヒーターの改良や操作系の改善などによって、より高い温度が出せるようになったり、細かい温度調節ができるようになるなど、使い方によっては、かなりマルチに使えるように進化しているので、性能面でも決してあなどれない。購入の際には、価格.comのユーザーレビューやクチコミなどを参照し、その特徴や真価をしっかり確認していただくとよいだろう。
※最安価格とユーザー評価は、いずれも2023年2月1日 時点のものです。
価格.com最安価格:12,300円
発売日:2022年9月1日発売
ユーザー評価:★4.64(11人)
ここ数年、常に高い人気を集め続けている「Aladdin グラファイトトースター」の最新モデル。本製品の最大の特徴は、製品名にも冠されている「グラファイトヒーター」が搭載されていること。わずか0.2秒で発熱し、一気に庫内を高温にできるこのヒーターの搭載により、トーストの表面をカリッと焼き上げ、中の水分はそのまま保持できるので、「外はカリカリ、中はしっとり」という理想的な焼き上がりを実現できるのだ。もちろん、揚げ物の温め直しも得意で、サクッとした食感を再現可能。最大280℃までの細かな温度調節もでき、さまざまなグリル調理に活用できる。レトロチックな外観も人気の理由のひとつだ。
価格.com最安価格:20,850円
発売日:2020年9月24日発売
ユーザー評価:★4.24(40人)
高級オーブントースターのブームを作った立役者、バルミューダの最新モデル。初号機の発売から7年ほど経った今でも、トーストの焼き上がりの絶妙さは変わらず、他社のモデルと比べても、やはりこちらがおいしいというファンも多い。その上質な焼き上がりの秘密は、少量の水を高温のスチームにして庫内に充満させるスチームテクノロジーと、トーストを焼き上げるのに最適な温度管理による。温度設定は、170℃、200℃、230℃の3段階で設定できるほか、トースト、チーズトースト、フランスパン、クロワッサン、クラシックモードの5つの専用モードを搭載。うまく焼くのが難しいこれらのパンでも簡単においしく焼き上げられる。なお、火力を上火に集中させて焼き上げられる「サラマンダーモード」を搭載した上位モデル「BALMUDA The Toaster Pro K05A-SE」も2022年9月に登場した。
価格.com最安価格:16,439円
発売日:2021年10月7日発売
ユーザー評価:★4.44(6人)
シャープが誇るウォーターオーブン「ヘルシオ」の技術をオーブントースターに応用した「ヘルシオ グリエ」の最新モデル。名前が示すとおり、ヘルシオで培った“過熱水蒸気の高火力で食品を焼く”、というのが最大のウリとなっており、トーストだけでなく、グリル系調理全般を得意とする。やや多めの水を使うが、100℃以上の高温になるまで加熱した気体「過熱水蒸気」で包み込むように食品を熱するので、焼きムラも少なく、外はカリッと、中はしっとりとした食感に仕上げることが可能。また、揚げ物の温めなどでは表面の油分を落とす効果もある。運転モードは、通常のトースト以外に、弱、中、強の3段階の温度設定が可能。
価格.com最安価格:10,700円
発売日:2022年6月発売
ユーザー評価:★4.86(7人)
象印が作るオーブントースターのミドルクラスモデル。スチーム機能などは搭載していないが、5本のヒーターを搭載することで最大250℃の高火力を実現。また、独自の緻密な温度コントロールによって、外はサクッと、中はふんわりのトーストを焼くことができる。なおトースト4枚を同時に焼ける大容量タイプで、ホールのピザも直径25cmまでなら焼くことが可能だ。トースト以外にも、冷凍ピザやフライあたためなど、8種類の「マイコン自動コース」を搭載し、ボタンひとつで最適な調理が行えるのも特徴。フタを外して洗えるのも使い勝手がいい。
価格.com最安価格:7,234円
発売日:2022年4月下旬発売
ユーザー評価:★5.00(7人)
タイガー製オーブントースターのミドルクラスモデルで、スチーム機能は非搭載。黒遠赤ヒーターを含めたトリプルヒーターで最大250℃の高火力を実現し、トーストも表面サクサク、中はふわっと焼き上げる。温度調節は80℃〜250℃まで段階的(80/100/120/140/160/180/200/230/250℃)に行え、最長30分のロングタイマーも備えるため、グラタンや焼き芋などの長時間の調理にも対応。なお、食材のこびり付きを防ぐシリコン加工を表面に施した波型深皿調理トレイが付属しており、グリル調理に便利に使える。この内容で7,000円台から購入可能と、コストパフォーマンスの高さもピカイチの製品だ。
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価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。