長年家電業界を見てきた価格.com編集長が、価格.comが保有するさまざまなデータと、自身の知識・経験をベースに、家電製品の最新トレンドを解説。今押さえておくべき機能やスペックを紹介しつつ、コスパ、性能、ユーザー評価などの観点から、今買って間違いなしの製品を厳選して紹介する。
第30回は、今や、キッチン家電の新必需品ともなりつつある、オーブントースターの最新トレンドについて解説する。
オーブントースターという製品ジャンルが生まれてからすでに60年近くになるが、いわゆる「高級オーブントースター」という製品が生まれたのは、今から9年前のこと。新興家電メーカーであったバルミューダが2015年に発売した「BALMUDA The Toaster K01A」がその先駆けと言われており、オーブントースターとしてはかなり高額な2万円以上の価格設定ながらも、トーストの焼き上がりの美味しさなどから一気に人気に。その後、他メーカーからも同様なコンセプトの製品が次々と登場し、「高級オーブントースターブーム」とも言うべき現象が起こった。
それから9年経った今、一時ほどのブームはもちろんないが、それでもこのオーブントースターの人気は一定程度保たれており、コロナ禍を経て浮き沈みの大きい生活家電の中でも、比較的安定した注目度をキープし続けている。図1は、価格.comの「トースター」カテゴリーの過去2年における閲覧者数の推移を示したものだが、ほぼ横ばいで遷移しており、コロナ禍が明けてもその人気は落ちていないことがわかる。
【図1】価格.com「トースター」カテゴリーの閲覧者数推移(過去2年)
面白いことに、オーブントースターの人気は、毎年1月にピークを迎えている。理由は定かではないが、1〜2万円台という手ごろな価格もあり、冬のボーナスなどの臨時収入の使い道としてちょうどよい存在なのかもしれない。そもそも製品ジャンル的にもまだまだ人気が続いているので、クチコミなどを見て、オーブントースターの購入を考えているという潜在ユーザーも多いのだろう。寒くなってくると売れるキッチン家電の上位製品とも言える「オーブンレンジ」もまさにそのひとつだが、食品を温めて食べることの多いこの時期にオーブントースターが売れるというのも、考えてみれば自然なことなのかもしれない。
【図2】価格.com「トースター」カテゴリーにおける主要5メーカー別の閲覧者数推移(過去半年)
図2は、価格.com「トースター」カテゴリーにおける、過去半年間における主要5メーカー別の閲覧者数推移を示したもの。これを見ると、人気の上位は「Aladdin」ブランドを展開する日本エー・アイ・シーを筆頭に、象印、パナソニック、タイガーといった国内老舗
メーカーが並ぶ。いずれのメーカーも1月に向けて需要が伸びてきていることがわかるが、なかでも最近伸びが著しいのは、ツインバードだ。昨年2023年末くらいから一気に人気に火がつき、それまでの6位前後から一気に首位をうかがうほどの人気を得るにいたっている。これによって、価格.com上では、このカテゴリーでは存在感の高かったバルミューダが6位以下に転落するといった現象も見られた。
【図3】価格.com「トースター」カテゴリーにおける人気トップ5製品の閲覧者数推移(過去半年)
このように、今もなお目まぐるしく順位変動が見られるオーブントースター市場だが、図3に示した人気トップ5製品の閲覧者数推移を見ると、象印とバルミューダが入れ替わっている以外は、図2の各メーカーの閲覧者数推移をそのまま写したように見える。それだけ、人気製品が全体に与える影響が大きなカテゴリーであるとも言える。なかでも、2023年11月に発売されたツインバードの「匠ブランジェトースター TS-D486B」の12月以降の伸びはすさまじく、これ1台でツインバードの全体順位を押し上げてしまったほどだ。
ちなみに、「匠ブランジェトースター TS-D486B」は、ドイツで開催されたパン職人の世界大会「iba cup」で2015年総合優勝を果たしたパン職人、浅井一浩氏が監修したオーブントースター。独自の細かな温度センシングと火力調整プログラムによって、自動でトーストを美味しく焼き上げてくれるほか、フランスパンやクロワッサンを焼きたてのようにリベイクすることもできると評判だ。2万円を超える高額製品だが、年末に放送されたテレビ番組で紹介された影響もあって、その本格派っぷりが注目され、今では、オーブントースター市場における台風の目となっている。
そのほかの製品では、1万円を超える高級ラインでは、日本エー・アイ・シー「Aladdin グラファイトトースター AET-GS13C」やバルミューダ「BALMUDA The Toaster K05A」が安定して高い人気を保っているほか、1万円以下のシンプルモデルでは、パナソニック「NT-T501」やタイガー「やきたて KAM-S131」といった製品が人気。それぞれ機能は違えども、各メーカー独自の方法で、「外はカリッと、中はモチッと」というトーストの焼き上がりを実現しており、いずれも甲乙付けがたい選択肢となっている。
※最安価格とユーザー満足度・評価は、いずれも2024年1月22日 時点のものです。
価格.com最安価格:11,000円
発売日:2022年9月1日発売
ユーザー満足度・評価:★4.72(35人)
わずか0.2秒で即発熱する「グラファイトヒーター」を採用したオーブントースター。庫内を素早く高温にすることで、パンの表面を焼き上げ、中の水分を閉じ込めるため、「外はカリッと、中はモチッと」の美味しいトーストが焼き上げられると評判だ。レトロな外観もかわいいと人気。前面に2つあるうち左側のダイヤルでは100〜280度までの温度設定が細かく行えるので、トースト以外にもさまざまなグリルや温めが自由自在に行える。
価格.com最安価格:17,927円
発売日:2023年9月22日発売
ユーザー満足度・評価:★4.68(8人)
上記「グラファイトトースター」のトースト4枚焼きモデル。基本的な機能などは上記「AET-GS13C」とほぼ同等だが、庫内の奥行きが広くトーストを一度に4枚焼くことが可能。さらに2種類の深さのセラミック塗装グリルパンが付属しており、グリルパンにふたをして調理すれば、焼く、煮る、蒸す、炊くなど、幅広い調理をすることができて便利だ。
価格.com最安価格:16,796円
発売日:2020年9月24日発売
ユーザー満足度・評価:★4.08(47人)
高級オーブントースターというジャンルを世に知らしめた「BALMUDA The Toaster」の改良モデル。独自の温度調整プログラムと、少量の水分を使ったスチームによって、パンを美味しく焼き上げる。通常のトーストモードに加えて、チーズトーストモードと、フランスパン・クロワッサンのリベイクモードも搭載。スチームを使わない「クラシックモード」を使えば、170度、200度、230度の温度調整ができ、幅広い調理に対応する。
価格.com最安価格:22,800円
発売日:2023年11月17日発売
ユーザー満足度・評価:★5.00(7人)
ドイツで開催されたパン職人の世界大会「iba cup」で2015年総合優勝を果たしたパン職人、浅井一浩氏が監修したオーブントースター。浅井氏の火入れを再現した独自の火力調整プログラムと、秒単位でパンの温度を計測するセンシング技術、そして遠赤外線、近赤外線という2つの異なるヒーターによって、パンを最適な状態で焼き上げる。トーストモード、アレンジトーストのほか、フランスパン、クロワッサン、カレーパンの各リベイクモードを搭載。リベイクでも焼き上がりのような状態を再現するという。
価格.com最安価格:25,427円
発売日:2021年2月1日発売
ユーザー満足度・評価:★4.61(55人)
その多機能さで人気のオーブントースター。7200通りのトーストプログラムで、食パンを最適に焼き上げる「インテリジェント制御」を搭載。さらに遠赤外線×2、近赤外線×1のトリプルヒーターで、常温/冷凍、薄切り/厚切りのいかんを問わず、最適な焼き上がりのトーストを実現する。15のオートメニューを搭載し、通常のトースト以外に、フランスパンやクロワッサン、総菜パン、ピザのリベイク、さらには焼き芋やパックもちまで自動で焼き上げてくれる。120〜260度まで8段階の温度調節も行え、オーブン調理にも広く対応する。
価格.com最安価格:6,735円
発売日:2022年4月下旬発売
ユーザー満足度・評価:★4.55(16人)
1万円以下で買えるオーブントースターとしては異例とも言えるほどの人気を持つ、タイガーの「やきたて」シリーズ。発売以来40年以上同シリーズで培った熱効率設計と、加熱バランスにすぐれたトリプルヒーターで、表面サクサク&中はふわっと熱々のトーストを実現する。80〜250度までの無段階温度調節機能と、最大30分のロングタイマー搭載で、さまざまなオーブン調理にも対応可能。調理に便利なシリコン加工の波型深皿調理トレイも付属する。
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