家電選びでは、性能や機能だけでなくデザインも重要なポイント。性能や機能がすぐれていても、外観はもちろん、細かい部分のデザインにピンとこないと購入する気にならない筆者が、「これは!」と思った家電を紹介します。
今回目に留まったのは、アイリスオーヤマの薄型ホットプレート「IHU-A10-B」です。
卓上調理の定番家電「ホットプレート」は、近年、ファミリー向けのタイプにも、お皿のように見えるもの や分厚い鉄板のようなデザインで高級感を醸し出すもの など、テーブルに置いたときの見栄えにこだわった製品が続々と登場しています。そのなかでもラインアップ数が増えているのが、プレートにヒーターを内蔵した薄型ホットプレート。プレートと脚、電源コードと、少ない部品数で構成されているのでかさばらず、見た目がすっきりしているうえ、プレートと脚を分離できる構造を採用しているものが多く、収納場所に困りにくいのも特徴です。
アイリスオーヤマ「IHU-A10-B」もプレートにヒーターを内蔵した薄型タイプ。脚部(スタンド)を取り外せます。
プレートとヒーターを一体化させた薄型ホットプレートは、棒ヒーターが付いた深型の本体が不要なので、脚の上にプレートを配置した構造。「IHU-A10-B」の使用時のサイズは465(幅)×266(奥行)×62(高さ)mmで、消費電力は1,300Wです
「IHU-A10-B」が発売された2023年当時はこの構造のホットプレートはそれほど多くありませんでしたが、ここ最近、このタイプを販売するメーカーが増加。そうしたなか、なぜ1年以上も前に発売された「IHU-A10-B」を取り上げるのか……というと、「薄型プレート」で「プレートと脚が分離できる構造」の製品はほかにもあれど、木目調を取り入れたデザインは珍しいからです。
このスタイルのホットプレートはプレートと同じブラックで統一されていることがほとんどですが、「IHU-A10-B」は脚などに木目調を採用することで、機械的で無機質な要素を排除。ナチュラルで温かみのあるテイストに仕上げています。ちょっとした違いですが、木目があるだけで食卓の雰囲気が一変。一般的なホットプレートより、料理が映えるような気がします。
カフェっぽい雰囲気になり、気分があがります。木目調のデザインがあることで、食卓だけでなく、ダイニングとの調和性も高くなる印象
スタンド(脚)に加え、温度調節のダイヤルにも木目調のデザインを採用。機械っぽさを感じやすい部分ですが、ダイヤルの周囲が木目調になることでやさしい雰囲気に。全体の統一感も高まります
木目調の脚の形状をX型にしているのも注目してほしいポイントです。同構造の薄型ホットプレートは、両サイドに着脱式の脚を付けたスタイルが大半。機能的にはそれで十分ですが、「IHU-A10-B」はX型にすることで足元にほどよい空間を作り、軽快感のあるフォルムを追求したそう。確かに、プレートの下に垂直に同じ色の脚が付いているより、開放感がある印象。木製の台の上に、鉄板に載せた料理を提供しているようにも見えます。
脚をまっすぐ付けるよりもX型のほうが木目調がよく見えるので、デザイン的にも効果的
実は、この脚はアウトドア用の組み立て式の鍋敷きから着想したもの。使用時は大きく広がりますが、I字型に閉じられるので場所をとりません。家庭用のホットプレートにおいて、着脱でき、かつ、折りたためるスタンドは、筆者が知る限りでは唯一です(2025年1月21日時点)。
ワンタッチで開いたり、閉じたりできるので手間もなし!
脚とコントローラーは棚の中に入れ、プレートはまな板スタンドに立てかけて収納できます。棚にまとめて置いてもかさばりません
ヒーターを内蔵した構造なのでプレートの加熱が速く、プレートの温度が均一に保たれるためムラなく焼き上がり、料理の仕上がりは上々。筆者も実際に使用しましたが、均一な焼き上がりでホットプレートとしての性能に不満は感じませんでした。
温度設定は、保温から約80〜230度まで無段階調節できます。煙が出にくい温度(160〜200度)にプレートの温度を制御する「減煙モード」も搭載
プレートの形状はフラットに近いですが、食材から出た汁などがこぼれ落ちにくいように縁が設けられています。一般的なホットプレートは、プレートの下にある棒ヒーター付近に食材が落ちると拭き取りに苦労することがありますが、「IHU-A10-B」はそうした手間はかかりません。使用後はプレートを洗うだけと、食卓で使っているときの見栄えだけでなく、準備や後片付けがスマートに済ませられる、そうした使い勝手のよさも高く評価したいです。
洗い物はプレートだけ。ヒーターが内蔵されているためプレートの重量は約2kgありますが、ヒーター部分の掃除をしなくていいのは楽です
「IHU-A10-B」の公式オンライストア価格は13,090円(税込)。同構造の薄型ホットプレートは20,000円以上するものが多いので、かなり購入しやすい価格設定と言えます。高価なものと比べると重厚感や高級感は若干見劣りしますが、かと言って安っぽいわけでもなく、雑貨感のあるカジュアルで軽快な感じが逆に好印象。個人的に、このお値段でこのデザインと機能性なら、全然アリ! と思える逸品です。